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マーケティングにおけるインサイトの意味とは?潜在ニーズとの違いも解説

SEデザイン編集部
2022-06-17
2022-06-17
目次

インサイト1変化の加速する現代市場のなかでイノベーションを創出するためには、顧客ニーズの創造に取り組むマーケティング戦略が求められます。そこで重要となるのが、ターゲット自身が言語化も認識もできていないニーズを掘り起こす「消費者インサイト」です。
本記事では、消費者インサイトの概要や企業事例などを解説します。

マーケティングにおけるインサイトの意味とは

現代社会はモノや情報の飽和状態にあり、競合他社との差別化や商品・サービスに付加価値を与えることが困難になりつつあります。情報通信技術やテクノロジーの進歩に伴い、さまざまな産業が革新的な発展を遂げる一方、市場の競争性は激化の一途を辿っているのが実情です。

このような時代において企業が競争優位性を確立するためには、顕在化しているニーズをやみくもに追うのではなく、顧客ニーズの創造を目指すマーケティング戦略を立てることが必要です。

経営学者のピーター・ドラッカーは著書『現代の経営』のなかで、「企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち顧客の創造である」と述べています。
企業が発展していくためには、既存の市場における需要の奪い合いから脱却し、新たなニーズと付加価値を創造する経営体制を構築しなくてはなりません。
そして、新たな市場を開拓し、顧客を創造するために欠かせない概念が、「消費者インサイト」です。

引用:P.F.ドラッカー 現代の経営[上]|ダイヤモンド社
https://www.diamond.co.jp/book/9784478307007.html

消費者インサイトとは

「insight」は「洞察」や「明察」と訳される英単語であり、「物事の本質を見抜く」といった意味合いで用いられます。

詳しくは後述しますが、消費者の欲求には大きく分けて「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」という2つの領域があります。
顕在ニーズと潜在ニーズのさらに深い領域には、消費者自身が言語化も認識もできていない無意識下の欲求や願いなどが存在します。その消費者自身が気付いていない無意識下にあるニーズが、消費者インサイトです。


消費者インサイトを的確に捉え、イノベーションを創出した事例の代表格といえるのがフォード・モーター・カンパニーです。
現代の自動車社会を創り出す原動力となったのは、同社が1908年に製造した「T型フォード」だといわれています。創業者のヘンリー・フォードは、荷馬車による移動が当たり前の時代に、T型フォードの大量生産体制を構築し、世の中に自動車という新しい市場を開拓しました。

当時の自動車は一部の富裕層だけが乗れる代物であり、一般消費者が求めていたのはより健康で丈夫な馬です。しかし、ヘンリー・フォードは深い洞察力と先見性から自動車の大量生産体制を構築し、一般消費者が気付いていなかった「荷馬車よりも優れた移動手段」という市場を創造し、自動車王と呼ばれる人物になりました。

このように消費者インサイトは、従来の常識や固定観念を覆すような新たな付加価値を創造するために欠かせない概念といえるでしょう。

インサイトマーケティングとは

インサイトマーケティングとは、ターゲットとなる潜在顧客や見込み客の消費者インサイトを掘り起こし、新たなニーズと市場の創造を目指すマーケティング戦略を指します。既存市場の需要動向に対してマーケティング戦略を講じるのではなく、消費者自身が気付いていない新しい観点からニーズを創造するアプローチがインサイトマーケティングです。

たとえば、Apple(アップル)の共同創業者であるスティーブ・ジョブズは、「iPod」の開発によって音楽はCDで聞くものという常識を覆しました。また、「iPhone」という革新的なデバイスによって携帯電話の在り方に大きな変革をもたらしました。

Appleやフォード・モーター・カンパニーのように、消費者が意識的に求めているニーズに応えるのではなく、認識さえしていない新たなニーズを発掘し、市場と顧客を創造していく戦略がインサイトマーケティングの本質的な目的です。

消費者インサイトと潜在ニーズの違い

インサイト2先述したように、消費者の欲求には「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」という2つの領域に大別されます。
ここからは2つの概念、消費者インサイトとの相違点について見ていきましょう。

顕在ニーズとは

顕在ニーズは、消費者や顧客が表層意識で認識している問題や悩みなどを意味する概念です。たとえば、ニキビに悩んでいるユーザーが、ニキビ予防に効果のある洗顔料を求めるような心理状態を指します。
顕在ニーズは欲求が具体的に明確化されているため、企業側も見込み客の需要動向を把握しやすい点が大きなメリットです。

ニキビや肌荒れなどに悩む見込み客に対して化粧品を販売する場合、大きな市場で一定のシェアを獲得できれば高い収益性が期待できます。しかし、顕在ニーズに基づく市場は競合が多く、新規参入が難しい点はデメリットです。需要動向を把握しやすいがゆえに、競合他社が多く市場がレッドオーシャン化(競争の激しい市場や業界、ジャンルになること)する傾向にあります。

潜在ニーズとは

潜在ニーズは、深層意識では求めているものの、表層意識では認識できていない欲求を指します。ニキビに悩む見込み客は、表層意識ではニキビ予防に効果の高い洗顔料や化粧水を求めていますが、深層意識で求めているのは「綺麗になりたい」という本質的な願望です。
潜在的な欲求を満たしたいという思いが本当のニーズであり、洗顔料や化粧水などは綺麗な自分になるための手段の一つでしかありません。

この場合、化粧品販売企業が潜在ニーズを捉えるためには、ニキビケアのみに注力するのではなく、その商品を使用することでどれだけ理想とする美しい自分になれるのかを伝えるプロモーションが必要です。
しかし、潜在ニーズは見込み客自身も欲求を自覚しておらず、ニーズの抽象度が高いため、企業側も需要の把握やプロモーション展開が困難になる傾向があります。

消費者インサイトと潜在ニーズの違い

消費者インサイトと潜在ニーズはともに深層意識の欲求であり、非常によく似た意味合いをもつ概念です。決定的な違いとしては、消費者インサイトは言語化も認識もできていない無意識下の欲求であるのに対し、潜在ニーズは深層意識では欲求に気付いている状態を指します。

前例のフォード・モーター・カンパニーでは、より便利な乗り物が欲しいという消費者の需要は潜在ニーズに該当します。しかし、もっと便利な乗り物が欲しいと思っても、自動車という概念がなければ消費者は言語化も認識もできません。
ヘンリー・フォードはT型フォードを製造したときに「消費者はもっと速い馬車が欲しいと言うだろう」と言ったとされています。

消費者も気付いていない無意識下の欲求という意味においては、消費者インサイトと潜在ニーズは同義の概念です。
しかし、潜在ニーズが心の奥底にある消費者の本音を指すのに対し、消費者インサイトは世の中や市場に存在しておらず、その商品やサービスを初めて見た消費者が「本当に求めているのはこれだ」と思わせるものといえます。

消費者インサイトが重要とされる理由

冒頭で述べたように、現代社会はモノや情報が飽和状態にあり、競合他社との差別化や付加価値の創出が困難になりつつあります。また、スマートフォンの爆発的な普及によって消費者の情報リテラシーが向上しており、顧客ニーズは年々高度化かつ多角化しているのが実情です。

そのため、テクノロジーの進歩とともに変化の加速する現代市場では、消費者が求める需要を見つけるのではなく、需要を創造するものとなりつつあります。

そして、需要と市場を創造するために不可欠となるのが消費者インサイトです。たとえば、ニキビに悩む見込み客をターゲットとする場合、洗顔料や化粧水などの枠にとらわれていてはレッドオーシャンから脱却するのは困難です。

しかし、サプリメントや健康食品といった市場にも目を向け、皮脂の過剰分泌抑制やターンオーバー促進の重要性を説き、身体の内側から綺麗にする大切さをプロモーションすれば、新規顧客の獲得につながる可能性が期待できるでしょう。

消費者インサイトのマーケティング事例

インサイト3ここからは消費者インサイトをマーケティング戦略に取り入れ、高い成果を創出した企業事例を見ていきましょう。前例のフォード・モーター・カンパニーとAppleのような歴史的なイノベーションではなく、一般企業でも参考にしやすいマーケティング事例を紹介します。

日清食品株式会社「カップヌードル リッチ」

日清食品株式会社が提供する「カップヌードル」は、インスタント食品は健康を害するというイメージにより、シニア層への販売が伸び悩んでいました。
競合他社が健康志向の商品を打ち出すなか、同社はSNSの調査から贅沢な食事を好むシニア層がいることに着目します。そして、スッポンやフカヒレなどの高級食材を使った「カップヌードルリッチ」を発売し、シニア層を中心に大ヒットさせました。

シニア層は健康志向が強いという既成概念にとらわれることなく、高級路線という消費者インサイトを発見し、新たな市場を開拓した好例といえます。

フォルクスワーゲン「ビートル」

20世紀半ば頃のアメリカでは大型車が人気を博しており、大きいことを良しと考える「think big」が主流となっていました。そんななか、ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、ビートルのコンパクトさと性能・燃費の良さを全面的に打ち出し、「Think small(小さいことが理想)」のプロモーションを展開することで、爆発的にビートルの販売台数を伸ばしました。
燃費性能や取り回しに優れる実質的な自動車を求める消費者インサイトを発見したのです。

ユニリーバ「ダヴ」

ユニリーバが展開するパーソナルケアブランド「ダヴ」は、「自分を美しいと思うか」というリサーチで「はい」と答えた女性は世界的に約2%しかいないという事実を発見しました。そこで同社は一般女性も起用し、美の多様性を表現するプロモーションを展開しました。

このプロモーションによって、自己肯定感が低い傾向にある見込み客が本当に求めていた言葉、つまり、消費者インサイトを捉えることに成功し、大きな反響を得るとともにブランドイメージの向上を実現しています。

カリフォルニアミルク協会

1990年代アメリカではミルクの消費量が落ち込んでおり、カリフォルニア牛乳協会は販売拡大のキャンペーンを検討していました。市場調査を実施したところ、水分が少なくなるものを食べたときに牛乳が欲しくなるという消費者インサイトを発見しました。 そこで同社はクッキーと一緒に「got milk?」というメッセージが記されたポスターを展開し、右肩下がりだった牛乳の消費量を回復させることに成功しました。

このキャンペーンは、全米でもっとも人々に影響を与えたともいわれており、同協会は内容を少しずつ変えながら20年間以上同キャンペーンを展開しています。

消費者インサイトの調査方法

消費者インサイトを調査する代表的な方法には、以下の4つが挙げられます。
  •  インタビュー調査
  • 行動観察調査
  • MROC(エムロック)
  • ソーシャルメディア分析

インタビュー調査

マーケティング戦略やプロモーションを展開するうえで、リサーチは最も重要なプロセスですが、とりわけインタビュー調査は有効な施策のひとつといえます。
しかし、消費者インサイトは無意識下にある言語化も認識もできていない欲求であるため、インタビューで直接的に消費者インサイトを引き出すことはできません。

インタビュー調査からターゲットの日常生活や商品・サービスへの評価を調査して潜在ニーズを探り、消費者インサイトを発見するヒントとして活用しましょう。

行動観察調査

行動観察調査はリサーチにおける手法の一つです。見込み客の心に刺さるランディングページやプロモーションを立案・策定するためには、ターゲットがどのような生活をし、どんな店舗で買い物をしているのかといったデータを収集しなくてはなりません。 ターゲットの普段の生活や行動を観察し、同様の環境を経験することで、消費者インサイトを発見する糸口となります。

MROC(エムロック)

MROC(エムロック)とは、調査対象者が集うコミュニティをオンライン上に構築し、一定期間の交流を行うリサーチ手法のことです。
インタビュー調査のように当日限りのリサーチを行うのではなく、1〜2ヶ月程度の交流機会を設けることで参加者同士の深い交流が生まれるため、より有効な意見や情報を得られる可能性が高まります。

ソーシャルメディア分析

現代はソーシャルメディアが隆盛を極めており、TwitterやInstagram上には、「なぜ」「どうして」といった消費者のリアルな声がタイムリーに集積されています。たとえば、ハッシュタグ検索で特定の商品やサービスを検索すれば、消費者の脚色されていない本音や動機を調査することも可能です。

こうしたSNS上に蓄積されている潜在顧客や見込み客の声を深掘りすることで、消費者インサイトを得る手がかりがつかめます。

インサイトマーケティングにはeBookの作成がおすすめ

インタビュー調査や行動観察調査、MROC、ソーシャルメディア分析などは、消費者インサイトを発掘するうえで非常に有効な施策です。 しかし、より効果的にリードを獲得するためには、顧客情報の入手が欠かせません。そこで有効なのが、eBookの作成です。

eBookとは

eBookは無料でダウンロードできる、自社の商品やサービスに関する情報をまとめた資料のことです。通常、PDFやパワーポイントのファイル形式で、商品やサービスの特長が一目でわかるように作られています。

コーポレートサイトやオウンドメディアで幅広い情報を提供し、より専門性の高い情報や商品・サービスの詳細を知りたいと考えるユーザーをeBookのダウンロードへ誘導するのが一般的な流れといえるでしょう。

eBookがおすすめな理由

eBookを無料で提供することで、潜在顧客や見込み客の獲得が期待できます。
eBookをダウンロードするということは、ユーザーが自社の製品やサービスに関心を持っている状態だということです。継続的なコミュニケーションを図ることで、顧客情報から消費者インサイトを発掘するヒントを得られるでしょう。

さらに、情報発信を通じて段階的なアプローチを仕掛けて見込み客の購買意識を高めることで、商品やサービスの購入につながる可能性も高まります。

まとめ

消費者の欲求には顕在ニーズと潜在ニーズがあります。消費者インサイトとは、消費者のニーズのさらに奥にある、消費者自身も認識できていない無意識下の欲求のことです。
消費者インサイトはイノベーションの創出に不可欠な概念ですが、言語化も認識もできていない欲求のため、発掘は容易ではありませんが、自社に合った調査方法で消費者インサイトを発見し、新たなニーズを掘り起こしていきましょう。

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