新商品の設計やPRを企画する際、顧客を具体的にイメージできずサービス開発の途中で軸がずれてしまうなどの悩みを抱える方もいらっしゃるでしょう。顧客イメージを明確にするためには、ペルソナ分析の活用がおすすめです。
この記事ではペルソナ分析の設定方法と必要項目、メリットとデメリットを説明していきます。
ペルソナ分析とは
ここでは、「ペルソナ分析」の基礎知識をまとめます。
ペルソナの基礎知識
本来のペルソナとは、「人間の外的側面・自分の内面に潜む自分」という意味です。
マーケティング業界でいうペルソナとは、サービスや商品の顧客像・ユーザー像を指します。特定の人物を指す言葉ではなく、以下のような特徴を具体的に設定した顧客イメージです。
- 年齢
- 性別
- 住居地
- 趣味嗜好
ペルソナの基礎知識についてもっと知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
マーケティングにおける「ペルソナ」とは?意味や役割、重要性について解説
ペルソナ分析とは
続いて、「ペルソナ分析」とは何かを解説していきます。
ペルソナ分析とは、顧客の視点から商品・サービスの開発・改良・販促などにアプローチするため、ペルソナを詳細に設定していくマーケティング手法です。ペルソナ分析を使ったマーケティングの流れは、新商品や新サービスを設計する際に架空の顧客像を作り上げたあとに、作成したペルソナ像に合わせてマーケティングの施策を実施していきます。
ペルソナ分析のメリット
ここからは、ペルソナ分析をするメリットを以下の3つにわけて詳しく解説していきます。
- 顧客目線でマーケティングができる
- 認識のズレを防ぐことができる
- マーケティング・プロモーションの精度を高められる
顧客目線でマーケティングができる
ペルソナ分析をすることで、顧客側の立場にたったマーケティング戦略を立案できる点がメリットです。
たとえば、子ども用のおもちゃを販売している会社では、性別と年齢を決めるだけでも以下のような方向性があります。
- 遊ぶ難易度や危険性
- 色合いやデザイン
- 使用キャラクター
このようにペルソナ設定を行うことによってユーザー視点に立つことが可能です。その結果、ユーザーにピンポイントに響くサービス設計ができるようになります。
認識のズレを防ぐ
ペルソナ分析をすることで、社内プロジェクトメンバー間で認識のズレを防ぐことができる点も大きなメリットでしょう。
マーケティングや営業、デザイナーのような職種の異なるメンバーの認識を統一することも重要です。認識の相違により作業が停滞してしまうと、追加コストの発生や、スケジュール遅延などのトラブルが生じる可能性があります。
ペルソナを明確にし社内で共通認識を作ることで、これらのトラブルを未然に防止することができ、PDCAを素早く回すことにつながるでしょう。
マーケティングとプロモーションの精度を高める
ペルソナ分析を活用すると顧客を明確にでき、顧客の動きが見えてきます。その結果、想定される動きに対して精度の高いマーケティングとプロモーション戦略が可能です。
たとえば、10代の女性をターゲットにした広告を出す際には、新聞広告を出稿するよりも、スマホアプリに広告を出稿したほうが効果的といわれています。
このように、適切なペルソナ分析とユーザー属性を組み合わせることで、最適なマーケティング戦略を発見することができます。
ペルソナ分析のデメリット
ペルソナ分析には、メリットだけではなく以下のようなデメリットもあります。
労力がかかる
ペルソナ分析をして、明確なユーザー層を設計するには労力がかかります。なぜなら、膨大な量のデータや情報を収集したうえでペルソナを分析する必要があるためです。
具体的には、以下のような手間が発生します。
- ユーザーアンケートで情報収集をする
- SNSなどで情報収集をすることで、好みを理解する
社内のリソースを活用するだけではなく、外部の専門家に依頼する場合にも、準備や打ち合わせに労力がかかります。具体的な設定方法や手順は後半で解説しますので。進め方を検討する際にぜひ活用してください。
ペルソナ設定を見誤る
ペルソナ設定を誤ると、その後のマーケティングに失敗する可能性があるのもデメリットのうちの一つです。
たとえば、サービス設定に当てはまりそうな顧客像を考えることや、調査不足を補うために仮説のみでペルソナを作りあげることは、正しいペルソナ設定ではありません。間違ったペルソナを設定すると、マーケティング施策を行っても結果が出ずらくなるため注意が必要です。
精度が高い情報を収集し、ペルソナ設定と乖離が出ないようにすることが重要になります。
ペルソナ設定のおもな項目
ここではペルソナ設定に必要なおもな項目についてまとめていきます。サービスがBtoB向けかBtoC向けかなどで項目は異なってきますので、参考程度にご覧ください。
おもな項目と設定の例は以下の通りです。
- 名前
- メージ写真
- 年齢
- 性別
- 居住地・出身
- 職業・役職
- 企業情報
- 学歴
- 生活パターン
- 家族構成
- 趣味嗜好
- 消費行動
- 週末の過ごし方
- 現状困っていること
- 将来やりたいこと
上記のように項目は多岐に渡ります。
続いて、ペルソナ設定によって完成した顧客像は以下のようになります。今回はBtoB向けの場合で例を作成しています。
- 立花かおり
- 33歳女性
- 東京在住(就職のため福岡から上京)
- 福岡の私立大学 英文学科卒業
- 現在はメーカー勤務で人事部所属、今年から来年度新卒採用プロジェクトのリーダーに就任
- 創業50年の社員規模は300人。
- 平日は朝に情報収集をし、夜はドラマ視聴など趣味に費やす。平日は友人と出かけることが多い
- 地元に両親と兄がいる
- アウトドア派で夏は必ず海水浴へ行く
- 就職希望者の情報管理が煩雑なうえ、上長に希望者の情報の伝達が現状システムだと面倒で繁忙期は残業が続いてしまって困っている
とくに、サービス設計に必要な箇所は深く掘り下げて分析することで、より明確なペルソナを設定することができます。
ペルソナ分析の方法と手順
ここからは、ペルソナ分析を進める方法と手順を5つのステップで解説していきます。
1. 自社の現状把握
情報収集の前に、まずは自社やサービス内容の現状を把握することが重要です。自社の現状把握には、3C分析というフレームワークの活用がおすすめです。
3C分析の3Cには以下の意味があります。
- Company:自社
- Competitor:競合
- Customer:市場や顧客
上記は、3つの「C」の軸から自社の立ち位置や強みを明確にするためのフレームワークです。3C分析によって、自社の強みを明確にしてから次のステップに進んでください。
2. 情報収集
情報収集には対面と非対面の2つの方法があります。
対面には、アンケートやインタビューなどの方法があります。具体的には、街頭でアンケートを取ったり、電話をかけて回答してもらったりする方法があり、自社リソースや業務委託で対応可能です。対面の情報収集は、情報収集にコストや手間はかかりますが、情報の精度が高いことが特徴です。
一方、非対面による情報収集には、SNSやWebの分析ツールを用いた方法などがあります。たとえば、Webサイトや広告のデータを分析して、流入ユーザーの情報を調べたり、SNSの口コミを調べたりする方法です。
Web上で実施できるため、対面と比較してコストや手間を抑えやすいですが、情報の精度は劣る点に注意しましょう。
3. 情報の絞り込み
収集した情報をカテゴリーに分け、ペルソナを絞り込んでいきます。
年齢層や居住地のような大枠を決めていくことが重要です。情報を絞り込むことで、対象となる顧客が情報を得ている場所・ニーズなどを理解できます。情報量が多い場合は、自社に関連性が高いものから絞り込んでいくとよいでしょう。
サービスを設計するために、掘り下げて考えるべき項目と検討する必要のない項目が何なのかを明確にしておく必要があります。
4. ペルソナの詳細設定
ペルソナの詳細設定では、絞り込んだ情報から具体的なペルソナを組み立てていきます。ペルソナの詳細は物語風に設定すると、商品の認知から購入までのストーリーが明確になるでしょう。
ペルソナを詳細に設定すると顧客像が明確になる反面、対象となる実際の顧客数が減少します。一方で、ペルソナを大まかに設定すると対象となる実際の顧客数が増加する反面、顧客像が不明確になります。
販売する商品やサービスが大衆に向けたものなのか、ニッチな層に向けたものなのかによってペルソナの細かさを変更することが重要です。
5. 社内で共有する
完成したペルソナを社内で共有しましょう。
共有することにより、サービスをどのように提供していくのかという共通認識を得られます。また、ペルソナは一度設定した後でも定期的に見直すことが重要となります。市場や競合の変化などの外部要因により状況が変化していくことがあるためです。
見直しをするタイミングを決め、改善し続けることを意識しましょう。
※関連コンテンツ:ペルソナ作成を簡単に!カスタマージャーニー・戦略まで見える化するテンプレート
ペルソナ分析の注意点
ペルソナ分析には、以下のような注意点もあります。
- 根拠を持ってペルソナを設定する
- 必要以上のコストをかけない
- 設定して終わりにしない
ペルソナ分析を成果につなげるためにも、上記の3つはおさえておきましょう。
根拠を持ってペルソナを設定する
ペルソナ分析は、根拠が不明確な状態で設定すると精度が下がるため注意が必要です。インタビューやSNSで得た情報をもとに、根拠のあるペルソナを設定しましょう。また、ペルソナは誰でもイメージできることが重要です。
解釈の幅が広い単語の利用や馴染みのないストーリー設計などは避けるようにし、共通認識となるペルソナを設定するようにしましょう。
必要以上のコストをかけない
ペルソナ分析に必要以上の時間や費用をかけないようにしましょう。
ペルソナ分析は、設定する目的を明確にしてゴールをある程度決めておかないと、際限なく時間的なコストをかけることになってしまいます。
分析と設定にコストをかけないためにも、どこまで明確にするのかの上限を設けておくことが重要です。
設定して終わりにしない
成果をあげるためにはペルソナ設定後の施策の実施と検証が大切です。また、継続的に成果を挙げるためにはペルソナを定期的に見直していくことが重要となります。
まとめ:ペルソナ分析を実施しマーケティングを最適化しよう
この記事では、ペルソナ分析の設定方法や必要な項目、メリットとデメリットについてまとめました。
ペルソナ分析は、サービスや商品を設計する際の軸となるものです。ペルソナが不明確なままでは、ペルソナ像との認識の相違や社内の方向性のズレにつながってしまいます。
解説したポイントや設定手順を参考にして、自社に最適なペルソナ設計を進めてみてください。
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