AI検索時代に「価値ある一次情報」とは? BtoBで選ばれるためのコンテンツ設計

更新日:2026-10-13 公開日:2026-10-13 by SEデザイン編集部

目次

2026年10月7日、SEデザインは株式会社Bizibl Technologies主催のオンラインカンファレンス「AI検索時代、オリジナルな『ファクトの原石と強度』がバイヤーを動かす」に登壇しました。

本カンファレンスには、株式会社ベイジや「ミエルカ」を提供する株式会社Faber Company、株式会社IDEATECHなど、BtoBマーケティングやコンテンツ領域の各社が登壇。SEデザインからは「AI検索で問われる『価値ある一次情報』の条件とは?」をテーマに、導入事例を題材として、AI検索時代にBtoB企業がどのような情報を発信すべきかを解説しました。

本記事では、その登壇内容をもとに、BtoB企業にとっての「価値ある一次情報」とは何か、そしてAI検索を前提にどのように情報を設計すればよいのかを整理します。  

AI検索時代の一次情報設計を、資料でまとめて確認する

本記事で紹介した内容をもとに、AI検索時代にBtoB企業がどのような情報を整えるべきかを資料にまとめています。

 

AI検索時代、BtoB企業が発信すべき情報は変わりつつある 

生成AIやAI検索の普及によって、BtoBの情報収集や購買検討の進め方が変わりつつあります。

これまでWeb検索では、ユーザー自身が検索結果から複数のページを開き、情報を読み、比較しながら判断材料を集めるのが一般的でした。一方、AI検索では、情報を探すだけでなく、複数の情報を整理したり、条件を変えて追加質問したりするところまでAIが補助するようになっています。

こうした変化を受けて、「AI検索に対応するために、どのようなコンテンツを作ればいいのか」と考える企業も増えているのではないでしょうか。

ただし、重要なのは単純にコンテンツの量を増やすことではありません。

AI検索時代には、一般的な情報を発信するだけでなく、自社や顧客だからこそ持っている一次情報を、見込み顧客が判断に使える形で公開することがより重要になります。 

AI検索によって「情報を探して比較する」負荷が下がっている 

検索の目的そのものが変わったわけではありません。ユーザーが目指しているのは、自分が知りたいことについて、判断できる答えにたどり着くことです。

変わったのは、そこに至るまでの工程です。

従来の検索では、検索エンジンが主に「情報を探す」部分を支援し、その後はユーザーがページを読み、複数の情報を比較し、さらに調べながら判断する必要がありました。

AI検索では、探索だけでなく、ページの内容の整理、複数候補の比較、追加質問による深掘りまでAIが広く補助できるようになっています。Googleも、AIによる概要やAIモードなどの検索機能について、ユーザーが関連情報やウェブ上のコンテンツを見つけるための仕組みとして説明しています。

つまり、AI検索の大きな価値の一つは、答えに近づくための探索や比較の負荷を下げられることだと考えられます。

ただし、これは人がページを読まなくなる、比較しなくなるという意味ではありません。人の行動が消えるのではなく、AIが肩代わりできる範囲が広がったということです。追加質問や条件変更をしながら深掘りできるようになった分、そこで参照される情報をどう整えるかが、企業にとって以前より重要になっています。

この変化は、BtoBの購買行動にも表れています。

HubSpot Japanが2026年に実施した「日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026」では、情報収集の過程で生成AIを利用した人のうち、50.3%が「候補となる商品・サービスの洗い出し」、47.1%が「各社の特徴・違いの整理」に利用したと回答しています。

また、売り手に接触した回答者の63.5%は、「複数候補をリストアップした」段階以降になって初めて売り手に接触しています。

※63.5%の内訳は、「複数候補をリストアップ」29.6%、「候補を数社まで絞り込み」18.7%、「要件・比較表・稟議資料を準備」8.8%、「第一候補があり最終確認」6.4%。売り手接触の段階は、売り手に接触した回答者(n=1,431)を母数としています。
※調査対象:従業員50名以上の企業に勤務し、直近12カ月にBtoB購買の比較・選定・稟議・承認・決裁などに関与した1,573名。

売り手と話す前から、候補を探し、違いを整理し、比較するところまで進めやすくなっているということです。 

 AI検索では、探索・読解・比較・追加質問までAIが補助する範囲が広がっています 図1_従来検索とAI検索における情報探索・比較・判断プロセスの違い

「知るための情報」だけでは差がつきにくくなる 

こうした環境では、企業が優先して発信する情報も見直す必要があります。

もちろん、用語の定義や基本的な方法、一般的なノウハウが不要になるわけではありません。しかし、それだけでユーザーの目的が完結する情報は、AIの回答の中でも整理しやすい情報です。

一方で、

「自社の条件に合っているのか」
「他社とは何が違うのか」
「本当に任せられるのか」
「実際にどのような企業で使われているのか」

といった情報は、比較・選定の段階で必要になります。

そのためAI検索時代には、AIの回答内で役割が完結しやすい一般情報だけでなく、AIに使われたとしても自社が選ばれる理由につながる情報を持っていることが重要になります。

ここで重要になるのが「一次情報」です。 

 AI回答内で完結しやすい情報より、比較・選定の判断材料になる情報の重要性が高まります 図2_AI検索時代における一般情報と比較・選定の判断材料となる情報の違い

BtoB企業における一次情報とは 

一次情報というと、独自調査やアンケートデータをイメージする人も多いかもしれません。しかし、BtoB企業が持つ一次情報はそれだけではありません。

本記事では一次情報を、自社または顧客が情報源となる事実・経験・実績・データ・評価と捉えます。

例えば、次のような情報です。

  • 製品の仕様、機能、利用条件、対応範囲
  • 価格や契約条件
  • 導入実績や導入に至った経緯
  • 実際に提供した支援内容や結果
  • 顧客や担当者による評価
  • 独自調査や実証データ
  • 自社の経験から得られた知見

これらに共通するのは、インターネット上の一般情報をまとめただけでは作れないことです。

ただし、「自社にしかない情報だから価値がある」と考えるだけでは不十分です。

重要なのは、自社や顧客だからこそ示せる事実を、見込み顧客が判断できる形で公開することです。 

価値ある一次情報は「Fit」と「Proof」を支える

では、どのような一次情報を優先して発信すべきでしょうか。

一つの考え方として、自社が比較・検討の候補として認識された後の判断材料は、Fit(要件適合)とProof(信頼の根拠)の2つに分けて整理できます。

Fit:自社に合うかを判断する情報

Fitは、「この商品やサービスは自社に合っているのか」を判断するための情報です。業界や企業規模だけでなく、課題、用途、既存環境、予算、納期、社内体制、重視する価値なども含まれます。

例えば「製造業向けのサービス」という情報だけでは、自社に適しているか十分には判断できません。

同じ製造業、同じ企業規模でも、

「既存システムを残したまま移行したい」
「半年以内という期限を優先したい」
「複数部門の調整まで支援してほしい」

といった条件によって、適したサービスは変わります。

したがってターゲットを説明するときも、業種や企業規模などの属性だけでなく、どのような前提条件や制約があり、何を重視する企業に適しているのかまで示すことが重要です。

Proof:本当に任せられるかを判断する情報

もう一つがProofです。Fitが分かったとしても、それだけで購入や問い合わせに進めるとは限りません。

「実際に対応できるのか」
「同じような企業で実績があるのか」
「なぜその企業から選ばれたのか」
「導入した結果どうなったのか」

といった、任せるための根拠が必要になります。

実在顧客、選定理由、提供内容、支援範囲、成果、顧客評価などがProofになります。

Fitで「自社に合いそうだ」と判断でき、Proofで「ここなら任せられそうだ」と判断できる。

この2つをセットで考えることで、一次情報を単なる企業紹介ではなく、購買判断に使える情報へ変えやすくなります。

 同じ業種・規模でも、前提条件や重視する価値によって、適した選択肢は変わります  図3_BtoB購買でFitを判断するための属性・前提条件・重視する価値の整理

一次情報は「何を出すか」と「どう具体化するか」を分けて考える 

一次情報を設計するときは、「WHAT」と「HOW」の2つに分けると整理しやすくなります。

WHATは、どの判断を支える情報が不足しているかを見る考え方です。

例えば、

「そもそも候補として認識してもらうための情報が足りない」
「自社に合うか判断するFitの情報が足りない」
「任せられると判断するProofが足りない」

といった不足を特定します。

ここでいう「候補入り」とは、見込み顧客の課題や用途に対して、解決策の選択肢の一つとして認識される状態を指します。Fit・Proofを判断してもらう前に、そもそも比較の土俵に上がれているかを確認する視点です。

一方のHOWは、その情報をどのように判断に使える形まで具体化するかという視点です。

ここでは、「文脈 → 経緯 → 評価」という3つを意識します。

文脈では、「誰が、どのような条件で検討していたのか」を示します。

経緯では、「なぜ選んだのか」「実際に何を提供したのか」を示します。

評価では、「何が変わったのか」「その結果を当事者がどう評価したのか」を示します。

単に事実を並べるのではなく、こうしたつながりまで見せることで、見込み顧客が自社の状況と照らし合わせやすくなります。 

 一次情報は、「何を揃えるか」と「どう判断に使える形にするか」の2層で設計します   図4_一次情報をWHATとHOWの2層で設計する考え方

AI検索で問われる「価値ある一次情報」の条件とは?自己診断ガイドをダウンロード

本記事で紹介している「候補入り・Fit・Proof」や「文脈・経緯・評価」の考え方は、ダウンロード資料でも図解とあわせてまとめています。

導入事例の価値は「文章量」ではなく、判断材料が残っているかで決まる 

一次情報の違いが分かりやすく表れるコンテンツの一つが導入事例です。

前述のHubSpot Japanの調査でも、購買検討で触れる情報のうち、導入事例を「信頼できる」とした回答は57.0%でした。導入事例は、実績や選定理由、顧客評価などを示せるため、Proofを支える代表的なコンテンツの一つといえます。だからこそ、その中身が判断に使える形になっているかが問われます。

ここでは架空の案件をもとに、同じ取材素材から書いた導入事例を比べてみます。例えば、次のような事例紹介があったとします。

大手製造業の複数部門にまたがる基幹システム刷新を支援しました。対応の難しい要件変更にも柔軟に対応し、予定どおりのリリースを実現。導入後も安定稼働し、お客様から高い評価をいただきました。

一見すると、問題のない導入事例に見えます。

しかし、この内容だけでは「柔軟な対応とは何をしたのか」「なぜその会社が選ばれたのか」「自社と似た条件なのか」が分かりません。

同じ取材素材でも、例えば、

「従業員約5,000名の製造業で、3事業部門が利用する基幹システムを刷新。移行期限は固定で、途中で仕様変更が発生した。期限内移行と導入後の安定稼働を重視していた」という文脈があり、

「要件整理から本番移行まで一貫して支援できる点を評価して選定され、仕様変更時には影響範囲を整理して移行計画を再設計した」という経緯があり、

「期限内に本番稼働し、その後も安定運用できた。担当者からは『変更時も判断材料を整理してもらえ、予定どおり移行できた』と評価された」ところまで示されていれば、読み手が得られる判断材料は大きく変わります。

重要なのは文章量を増やすことではありません。誰に適しているのか、なぜ選ばれたのか、何を提供し、その結果どう評価されたのかが残っていることです。

事前の条件や重視した点、選定理由、評価が具体的に書かれていれば、見込み顧客が自社の状況と照らし合わせやすくなります。加えて、AIが複数の情報を整理・比較する際にも、「どのような条件の企業で、なぜ選ばれ、どのような結果が出たのか」を読み取るための情報になります。 

最初から「何を作るか」を決めない 

AI検索への対応を考えると、「導入事例を増やそう」「独自調査を作ろう」「FAQを充実させよう」と、すぐ施策を決めたくなります。

しかし、最初にやるべきなのはコンテンツの制作ではありません。

まず、現在の自社の情報発信を棚卸しし、顧客が実際にどのような条件で商品やサービスを比較・選定しているのかと照らし合わせます。

そのうえで、

  • 候補に入るための情報
  • Fitを判断する情報
  • Proofとなる情報

のどこに最も大きな不足があるのかを確認します。

例えば、課題や用途そのものが認識されていないのであれば、独自調査や課題解説、ユースケースが必要かもしれません。

誰に合うサービスなのかが分からないのであれば、サービス・機能の説明や適用条件、比較軸を整理する方が先です。

サービス内容は理解されているものの、任せる根拠が弱いのであれば、導入事例や成果データ、顧客評価を充実させる必要があります。

つまり、作るコンテンツを先に固定するのではなく、顧客の判断に必要な情報の不足から施策を決めることが重要です。 

 作るコンテンツを先に決めず、最も大きい情報不足から優先順位を決めます   図5_候補入り・Fit・Proofの情報不足からコンテンツ施策の優先順位を決める流れ

AI検索でも「選ばれる理由」が伝わる情報へ 

AI検索の普及によって、企業のWebコンテンツが不要になるわけではありません。

むしろ、AIが探索や比較を支援するほど、AIや見込み顧客が参照できる公開情報の中に、どれだけ判断材料を用意できているかが重要になります。

そのためには、一般的な情報を増やすだけではなく、

  • 候補として認識されるための情報があるか。
  • 自社に合うと判断できる情報があるか。
  • 本当に任せられると判断できる根拠があるか。

という視点で、現在の情報発信を見直す必要があります。

そして一次情報は、単に事実を公開するだけではなく、「誰に・どんな条件で」「なぜ選ばれ・何をしたのか」「何が変わり・どう評価されたのか」まで具体化することで、初めて購買判断に使える情報になります。

AI検索への対応を「AIに表示されるための施策」だけで考えるのではなく、AIに使われても、自社が選ばれる理由が伝わる情報を整えること。

これからのBtoBコンテンツ設計では、この視点がより重要になるでしょう。 

AI検索時代の一次情報設計を、資料でまとめて確認する 

本記事で紹介した内容をもとに、AI検索時代にBtoB企業がどのような情報を整えるべきかを資料にまとめています。

「候補入り・Fit・Proof」のどこに情報不足があるのか、一次情報を「文脈・経緯・評価」までどう具体化するのかなど、自社のコンテンツを見直す際の考え方を図解で確認できます。 

こんな方におすすめです。

・AI検索を意識してコンテンツを見直したい
・自社に足りない情報が何か整理したい
・導入事例やサービス情報を、より購買判断に使える内容にしたい
・LLMO施策で何から着手すべきか整理したい

AI検索で問われる「価値ある一次情報」の条件とは?自己診断ガイドをダウンロード

AI検索での見え方や情報不足を確認したい方へ 

SEデザインでは、ChatGPTやGeminiなどの生成AI上で、自社やサービスがどのように認識・引用されているかを確認し、改善につなげる「LLMO診断・伴走支援サービス」を提供しています。
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参考情報

Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」
Google公式ページ

HubSpot Japan「日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026」
HubSpot調査ページ
 

 

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