生成AIの能力を最大限に生かしたチャットボットをパートナー伴走支援で実現|テクノプロ・ホールディングス様
更新日:2026-08-17 公開日:2026-08-17 by SEデザイン編集部
本記事は、テクノプロ・ホールディングス株式会社様の許可を得て、同社Webサイトの事例記事を転載したものです。BtoB企業における生成AI活用の実践例として、AWSベースのAIチャットボット導入プロジェクトの背景・技術選定・成果をご紹介します。
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多様な技術領域をカバーするテクノプロ・ホールディングス株式会社は、Webサイトのお問い合わせ内容から具体的なニーズを把握し、担当部門に取り次ぐ過程を効率化したいという課題を抱えていました。そこで、AIチャットボットの開発実績を持つ株式会社テクノプロ コンサルティング・パートナーズ社(以下、コンサルティング・パートナーズ社)に依頼し、AWSベースのAIチャットボットを導入。要件の詳細な把握、問い合わせ対応の効率化、顧客満足の向上を実現しています。
プロジェクト概要
| 導入の背景 | AWSの活用 | 今後の展開 |
|---|---|---|
|
Webサイトで情報を収集するお客様に、テクノプロ・グループの技術やソリューションを分かりやすく発信。 AIチャットボットで課題を明確化し、問い合わせ内容の精査や、営業担当者による詳細なヒアリングに要する工数を削減。 |
切り替えコストやメンテナンスを考慮してAWSの生成AIモデルを採用。 サーバーレスを基本にAWSのベストプラクティスに準拠する形で構成。 Amazon BedrockとAmazon Lexを組み合わせてAIチャットボットを実装。 マーケティング部門に会話履歴を取り次ぐアプリケーションを開発。 |
複数のWebサイト共通のAIチャットボットを介してお客様の課題を顕在化。 質問データを活用したマーケティングオートメーションツールとの連携。 チャットボットを起点としたマーケティング施策の強化。 |
導入の背景
"多岐にわたるソリューションをお客様にわかりやすく伝わる手段が欲しい"
そのような悩みからこのプロジェクトは立ち上がりました。各種技術分野における研究開発や商品開発などの技術サービスを提供するテクノプロ・グループの強みは、複数のソリューションをカスタマイズして提供できることにあります。だからこそ、Webサイトで情報を収集するお客様に、幅広い領域にまたがる技術やソリューションを分かりやすく伝える必要があります。盛永氏は次のように語ります。
「お客様からのお問い合わせは、『このソリューションについて知りたい』といった調査段階のものから『AWSに強いエンジニアを派遣してほしい』のように、課題や技術領域が明確化されていないケースも少なくありません。マーケティング部門では月間30~50件の問い合わせの内容を精査して適切な部署に取り次ぐ作業に、約30時間を費やしていました。担当部署に取り次いだ後も、あらためて営業担当者からの詳細なヒアリングが必要となるため、本来注力すべき商談活動に影響が出ていました」
こうした課題を解決するために決断したのが、AIチャットボットの導入でした。 「目的は、お問い合わせ時点でお客様へのヒアリングを行うことで課題を明確化し、適切なソリューションを一次提案する仕組みを構築することです。初動から最適な情報を提供し、その後の営業連携を円滑にすることを目指しました」
豊富な知見を持つ開発パートナーを選定し、導入要件を明確化
AIチャットボットの開発は、複数のベンダーを検討した結果コンサルティング・パートナーズ社に依頼しました。同社の実績(社内AIチャットボットの開発経験)に基づく、豊富な開発ノウハウを評価しての決断です。盛永氏は「開発から運用まで幅広く対応できる技術力を評価しました」と語ります。
テクノプロのマーケティング部門とコンサルティング・パートナーズ社は週1回の定例ミーティングを通じて、密接に要件のすり合わせを行いました。
「AIチャットボットの導入は初めての経験で、当初は必要な要素の提示も漠然としていましたが、"やりたいことは全部言ってください"という自由に要望が出せる環境のおかげで、制約を意識することなく希望を伝えることができました」(盛永氏)
AWS設計構築のリーダーを担当した藤原氏は「どのサイトからの問い合わせも同一のナレッジにアクセスし、一貫した回答を返せる設計を検討しました」と語ります。
また、導入後の運用体制も重視しました。堀江氏は「生成AIの関連プロジェクトで培った運用保守の知見を活かし、テクノプロのマーケティング部門が単独でナレッジ更新などの運用ができるように設計し、スキルトランスファーを進めることにしました」と語ります。
プロジェクトは2025年10月に開始し、2026年4月にベータ版をリリース。検証を経て、同年7月に3つのWebサイトで本番運用を開始します。3サイト共通のAIチャットボットを実装するとともに、お客様の課題や要望はフォーム経由で収集し、営業部隊へのスムーズな連携を実現しています。
AWSの活用
生成AIのエンタープライズ活用に最適なプラットフォームとしてAWSを選定
AIチャットボットの技術基盤には、コンサルティング・パートナーズ社が豊富な知見を有するAWSを採用し、生成AIモデルはClaude 4.5を選定しました。 AWSを選定した理由について、各氏は以下のように語っています。
生成AI活用を前提とした「将来の選択肢」を確保できるプラットフォーム
生成AIは進化のスピードが速く、特定のモデルや技術に依存した設計は将来的な制約に繋がる可能性がありますが、AWSはAmazon Bedrockを通じて複数の生成AIモデルを柔軟に利用でき、精度・コスト・用途に応じた選択や切り替えが可能になります。(津久井氏)
エンタープライズ利用を前提としたセキュリティと信頼性
顧客の問い合わせ情報を扱う基盤として、高いセキュリティ水準とガバナンスは不可欠です。AWSは、厳格なアクセス制御、多層防御、各種コンプライアンスへの対応など、エンタープライズ要件に応える実績と信頼性を備えており、安心して利用できる基盤と言えます。(柴田氏)
事業拡大に耐えうるスケーラビリティと運用効率
問い合わせ件数の増減や対象サイトの拡張を見据え、インフラ運用に過度な負荷をかけずに拡張できることが必須要件でした。AWSのサーバーレスアーキテクチャにより、初期投資を抑えつつ、需要に応じたスケールが可能となり、運用コストの最適化と業務効率向上の両立が可能になりました。(藤原氏)
フロントエンドはAWS CloudFrontとAmazon S3で構成し、データソースはAmazon S3上に配置。AIチャットボットはAmazon BedrockとAmazon Lexを組み合わせて実装しました。
回答精度を大幅に向上するナレッジ(RAG)の設計
回答精度を高めるため、コンサルティング・パートナーズ社の開発チームはAIチャットボットが参照するナレッジの設計を重視しました。ナレッジは、テクノプロ・グループが保有する膨大な過去案件のデータを基にしたサービスカタログを活用。関係者間で密に議論を重ねながらデータを精査し、AIが回答しやすい形式に整形しました。
「PDFやExcelのデータをそのまま使うのではなく、Pythonを用いてMarkdown形式とJSON形式に変換して検索性を高めました。その結果、回答精度を大幅に向上させることができました」(津久井氏)
今後の機能拡張を見据えて管理用のWeb UIを開発
今回、AIチャットボット利用者との会話履歴を管理し、マーケティング部門が取次内容を確認しやすいよう管理者用のWeb UIをスクラッチ開発しました。
「今後の運用状況に合わせて機能拡張などを行えるよう、管理者用の画面に関しては完全スクラッチでの作成を選択しました」(津久井氏)
また、サイバー攻撃対策としてAWS Identity and Access Management(IAM)による厳密なアクセス権限に加え、アーキテクチャ全体でも徹底したセキュリティを実装しています。「過去に手がけたAWS案件のノウハウを最大限に活かし、ポリシー制御によるAmazon S3の非公開設定やフロントエンドへのAWS WAFの導入などで、外部からの攻撃を防ぐ構成としています。また、認証認可にAmazon Cognitoを採用し、情報漏洩リスクの低減を図っています」(柴田氏)
セキュリティを担保しつつAIの能力を最大限に活かした運用を実現
AIチャットボットの運用は始まったばかりですが、マーケティング部門ではテスト段階から手応えを感じています。
「まずは、お客様に新たな問い合わせ手段を提供できたことが大きな成果です。テスト環境での検証において、想定を上回るレスポンス速度と回答精度の高さを確認できました。的確かつ幅広い回答を行うことで、お客様自身が認識していない潜在的な課題も、会話を通じて深く引き出せるようになります。単なる案内役にとどまらず、質の高いヒアリングツールとして機能することで、課題の抽出が格段にスムーズになると期待しています」(盛永氏)
開発を手掛けたコンサルティング・パートナーズ社は、現状を見極めながらさらなる改善に取り組んでいます。「曖昧なご質問にも回答ができていますし、想像で回答せず、存在する情報だけで回答できるよう慎重に設定しています。さらにパフォーマンスについてチューニングを重ねるほか、ネックになっている処理がないか調整していきます」(津久井氏)
今後の展開
サイト流入数増加やCV率向上、成約までのプロセス効率化へ
テクノプロが今後見据えるのは、AIチャットボットを起点としたマーケティングの強化です。お問い合わせ内容をマーケティングオートメーション(MA)ツールと連携することで関心領域を分析し、サイトからの流入数増加や具体的なCV(コンバージョン)率の向上といったマーケティング目標の達成を目指しています。さらには、見込顧客への的確なアプローチを実現し、営業プロセス全体を効率化することも視野に入れています。AIチャットボットの精度向上に向けてナレッジの継続的な拡充も計画中です。
「新たなサービスや事例をナレッジに随時反映させながら、より精度の高い提案ができる仕組みへと進化させていきます」(盛永氏)
コンサルティング・パートナーズ社も、伴走型支援によって継続的な改善に取り組む構えです。
「AIチャットボットは導入して終わりではなく、運用しながら改善を重ねることが重要です。ナレッジは常に最新で価値ある状態であることが大事です。その改善、積み重ねがお客様の真の課題解決につながると考えています」と藤原氏は語り、津久井氏も「当社はサークルモデルでの伴走支援を掲げていますので、顧客に寄り添い、都度課題解決を重ねることでより良いものを作っていきたいです」と付け加えます。
お客様の現場に直接入り込み、業務を理解しながら課題を把握した上で最適な提案を行う、それがテクノプロ コンサルティング・パートナーズ社の強みです。
様々な業界・業務に精通したエンジニアが、生成AI・チャットボット導入のご支援を行います。本記事につきまして気になる点がございましたら、些細なことでも構いませんのでお気軽にお問い合わせください。
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本記事はテクノプロ・ホールディングス株式会社様の許可を得て転載しています。原文はテクノプロWebサイトに掲載されています。