自治体と民間をつなぐLGWAN接続支援──AWS導入の“はじめの一歩”にNTT東日本が選ばれる理由

更新日:2025-07-08 公開日:2025-07-08 by SEデザイン編集部

目次

本記事では、AWSパートナーを検討されている方に向けて、「AWSパートナーの選び方とおすすめ企業一覧」でご紹介した企業の実際の取り組みを、個別にご紹介していきます。今回は、NTT東日本株式会社についてお伝えします。

NTT東日本は、AWSサービスパートナーとして、自治体と民間企業の間に立ったLGWAN接続支援や、ファイルサーバー移行、音声対話ソリューション、生成AIの活用支援など、幅広いクラウドサービスを提供しています。導入・接続・運用・請求代行までをワンストップで対応する体制と、現場に寄り添う丁寧な支援体制を兼ね備え、多くの自治体・中堅・中小企業から選ばれています。

「社内に情シス部門がない」「何から始めればいいのか分からない」といったクラウド導入初期の悩みにも、エンジニアによる直接対応で応えており、安心して“最初の一歩”を踏み出せる存在として信頼を集めています。

本記事では、NTT東日本が提供するクラウド関連ソリューションの特長と強みを、具体的な導入事例を交えながらご紹介します。

※こちらの記事は、2025年6月に実施した、NTT東日本のご担当者様へのヒアリングをもとに作成しております。

 

中堅・中小企業と自治体に最適化──NTT東日本のクラウド支援

NTT東日本は、これまで通信インフラの提供を通じて地域社会を支えてきた企業です。近年ではその枠を超え、クラウドや生成AIといった非通信領域にも力を入れており、AWSをはじめとしたパブリッククラウドの導入・活用支援にも注力しています。

主なターゲットは、全国の中堅・中小企業(SMB)と自治体です。NTTグループ全体ではエンタープライズ企業との取引も多い中で、NTT東日本は「クラウドを使いたいが、ノウハウも体制もない」という地域の企業や組織に向けて、地に足の着いたサポートを行っている点が特徴です。

NTT東日本のクラウド関連サービスは、大きく3つの軸で構成されています。

1つ目は、クラウド導入・運用サービス。料金体系がパッケージ化されているため、見積もりもスピーディーです。
2つ目は、AWS・Microsoft Azureの請求代行サービス、3つ目は、セキュアな閉域接続を可能にするクラウド接続サービス(クラウドゲートウェイ クロスコネクト)です。これらの基本サービスに加え、ソリューションを組み合わせた提供にも力を入れています。

また、エンドユーザー向けだけでなく、パートナー企業の支援にも取り組んでいるのがNTT東日本の特徴です。たとえば、Webアプリケーション開発を行う企業や、オンプレミス環境の知見はあるがクラウドに詳しくないSIerと連携し、インフラ部分をNTT東日本が担うといった形で、共創の幅を広げています。

⇒パートナー支援についてはこちら

SMB・自治体向けに最適化されたAWS活用ソリューション

NTT東日本がSMBや自治体に選ばれる理由の一つが、「導入のハードルを下げた、実践的なソリューション」が整っている点です。AWSをはじめとしたクラウドの特性を活かしつつ、誰もが使いやすく、成果が見える形で支援を行っています。ここでは、同社が特に注力している3つのソリューションをご紹介します。

1.ファイルサーバー構築・移行支援

クラウド化の第一歩として提案されているのが、「ファイルサーバーのクラウド移行」です。オンプレミスで運用しているファイルサーバーには、老朽化や運用負荷、バックアップの不備など、さまざまな課題があります。一方で、「いきなりクラウドに全面移行するのは不安」といった声も多く聞かれます。

NTT東日本では、商談段階からエンジニアが直接対応し、用途や予算に応じた構成を提案しています。サーバー1台から相談可能で、小規模な構成にも柔軟に対応できるため、ITリソースの限られた企業にとって頼れる存在です。

また、パッケージ化された料金体系により見積もりが早く、契約までの手続きもスムーズです。段階的な移行にも適しており、初めてクラウドを導入するSMBにとって取り組みやすい選択肢です。

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出典:NTT東日本

⇒ファイルサーバー構築・移行for AWS / Microsoft Azureについてはこちら

2.生成AIを活用したIVRソリューション

クラウド活用の幅を広げる新たな試みとして注目されているのが、Amazon Connectと生成AIを連携させた音声IVR(自動音声応答)ソリューションです。

従来のIVRでは電話のプッシュボタンを押す必要がありましたが、このソリューションでは生成AIの活用により、自動での応答・振り分け・検索・予約が可能になります。

電話窓口業務の効率化はもちろん、オペレーターの負担軽減や対応品質の均一化といった効果も期待されています。

▽生成AI×自動応答のイメージ

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出典:NTT東日本

⇒生成AIを活用したIVRソリューションについてはこちら

3.自治体向け防災支援:シン・オートコール

「シン・オートコール」は、Amazon Connectを基盤とした自治体向けの音声ソリューションです。電話対応業務を自動化し、人的リソースの削減と対応スピードの向上を同時に実現する仕組みです。

たとえば災害発生時に、これまで自治体職員が個別に行っていた連絡業務を自動化し、住民へ避難情報などを一斉発信することで、迅速な情報伝達が可能となります。

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出典:NTT東日本

治安・防犯分野では、警察署から地域の金融機関に対し、振り込め詐欺などの警戒情報を一斉に通報するといった活用も進んでいます。これにより、広域かつ迅速な情報共有が可能となり、被害の未然防止が期待されます。

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出典:NTT東日本

「シン・オートコール」は単なる自動発信ツールではなく、防災・防犯・見守りといった多様な行政課題に対応できる音声コミュニケーション基盤として活用の幅を広げています。NTT東日本は、これらの導入支援を通じて、自治体の業務効率化と地域の安全・安心の向上を支援しています。

⇒シン・オートコールについてはこちら

NTT東日本が選ばれる理由

クラウドを導入したいと考える中堅・中小企業や自治体にとって、「技術的に信頼できること」「相談しやすいこと」「料金が分かりやすいこと」は非常に大きな判断材料です。NTT東日本は、これらすべてのニーズに応える存在として、高い評価を得ています。

情シスがいなくても安心して相談できる体制

NTT東日本の支援体制で特徴的なのは、情シス担当者がいない、あるいは少ない企業でも安心して相談できるように設計されていることです。クラウド導入と聞くと「専門知識が必要なのでは」と構えてしまいがちですが、同社では商談の初期段階からエンジニアが直接対応し、現状や課題のヒアリングを通じて、企業ごとの実態に即した提案を行います。

これにより、技術に不安があるお客様でも「自分たちにもクラウドが使える」と実感できる支援が可能になります。

SMBでも始めやすい明確な料金体系とスピード感

もうひとつの大きな特長が、利用規約型の料金体系です。サービス内容と費用があらかじめ定められており、「この内容でいくらかかるのか」がすぐに分かります。これにより社内稟議が通しやすく、契約後に想定外のコストが発生する心配も少ないため、限られた予算で進めたいSMBにとっては導入しやすい設計です。

こうした「わかりやすさ」「導入しやすさ」は、NTT東日本がクラウドサービスを提供するうえで一貫して重視してきた姿勢であり、「情シス担当者がいなくてもクラウドを使える環境を提供したい」という想いが根底にあります。

導入事例1.医療法人社団ときわ──情シス不在でも進められたクラウド導入

訪問医療を行うときわは、オンプレミスからクラウドへの移行を決めたものの、社内に情シス部門が存在せず「何から手を付ければよいか分からない」状態だったといいます。

NTT東日本との出会いは、展示会がきっかけでした。他社の営業担当が“クラウドの知識がある前提”で話す中、NTT東日本の担当者は「何にお困りですか」と丁寧にヒアリングし、課題の洗い出しから寄り添ってくれたことが印象的だったといいます。

導入にあたっては、検討中だったクラウドサービスの違いを分かりやすく解説し、要望が変わっても柔軟に対応。さらに、RPAベンダーとの三者調整もスムーズに行うなど、現場目線での対応が高く評価されました。

AWSの導入後は問題なく運用を継続できているだけでなく、担当者自身がネットワークやAWSに関する知識を習得し、「システムのどこに課題があるかを自分で理解できるようになった」と語ります。

クラウドの“基礎の基礎”から伴走し、導入だけでなく内製力の育成まで支援した好事例です。

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出典:NTT東日本

⇒医療法人社団ときわの支援事例はこちら

導入事例2.学校法人佐藤栄学園──複数拠点の統合管理を実現

複数の学校を運営する佐藤栄学園では、各校ごとにサーバーが設置され、運用や保守は教職員が直接ベンダーに依頼して対応していました。「いつまでも教員が“お守り役”をするのは限界がある」と感じ、クラウド化に踏み切ります。

NTT東日本が選ばれたのは、学園の実情を踏まえたコストバランスの良い提案と、「本校のことを一番分かってくれている」と感じられる丁寧な対応でした。提案内容には、個人情報を扱う学校としてのセキュリティも考慮しつつ、予算内に収まる提案により、導入のハードルが下がりました。

構築後はICT担当教員の管理負担が軽減されたほか、オンプレミス機器にかかっていた余計なコストの削減にもつながりました。教員が自宅から安全にデータにアクセスできる環境も整い、働き方改革にも寄与しています。

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出典:NTT東日本

⇒佐藤栄学園の支援事例はこちら

生成AIと自治体連携を軸に、クラウド活用の領域をさらに拡大

自治体向けソリューションとして、「シン・オートコール」だけでなく、アプリケーションの構成を変えずにお手軽にLGWAN接続を提供できる「クラウドゲートウェイサーバーホスティングLGWAN-パブリッククラウド接続支援」もNTT東日本ならではの強みを持ったサービスとして、今後注力していきます。本サービスは、民間企業がAWSなどのクラウド環境で構築したサービスを、地方自治体専用ネットワークであるLGWANを通じて安全に提供できるようにするサービスで、自治体とSaaS事業者の間に立つ“橋渡し”のような役割を果たします。

▽提供イメージ

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出典:NTT東日本

この仕組みを活用したのが、自治体向け事業への参入を検討していたテックタッチ社です。同社は、行政向けにも自社サービスを提供したいと考えていましたが、LGWAN接続の追加開発や環境構築の手間を懸念していました。

NTT東日本の「クラウドゲートウェイサーバーホスティング LGWAN-パブリッククラウド接続支援」を活用することで、追加開発・設定の負担を最小限に抑えてLGWANに接続可能であることが決め手となり、パートナーにNTT東日本を選定しました。

この取り組みにより、テックタッチ社は自社のクラウドサービスを安全かつ効率的に自治体へ展開することが可能となり、新たな市場の開拓に成功しています。今後は同様に、自治体向けにサービス提供を検討するSaaS企業との連携を拡大していく計画です。

⇒テックタッチの支援事例はこちら

NTT東日本は、ただクラウドを提供するだけでなく、公共領域と民間テクノロジーをつなぐ“仕組みづくり”そのものを支援するパートナーとして、その役割をさらに広げようとしています。

まとめ

クラウドの導入にあたり、「社内に詳しい人がいない」「何から始めてよいか分からない」といった悩みを抱える中堅・中小企業や自治体は少なくありません。NTT東日本は、そうした現場に寄り添い、わかりやすいサービス設計とエンジニアによる丁寧な支援で、クラウド活用を確かな一歩へと導いてきました。

ファイルサーバーの移行支援から、生成AIを活用した音声ソリューション、自治体向けの接続支援まで、対応領域は年々広がっています。クラウドの技術だけでなく、それを「現場で活かす力」に強みを持つNTT東日本は、これからもお客様の課題解決とDXの推進に貢献していきます。

 

会社概要

会社名

NTT東日本株式会社

所在地

東京都新宿区西新宿3-19-2

設立

199971

代表者

代表取締役社長 澁谷 直樹

資本金

3,350億円

資本構成

NTT株式会社 100%出資

従業員数

4,700人(2023年度)

事業内容

東日本地域における地域電気通信業務※2及びこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務

 

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