BtoBビジネスにおいて、導入事例は顧客の信頼獲得と営業効果向上に欠かせないツールです。SEデザインは、外資系IT企業様を中心に、年間150件以上、累計2,500件以上もの導入事例を制作してきました。
今回は、ディレクターとして数多くの導入事例を手がけているSEデザインのT・KとK・Aの2名に、ディレクターの難しさとやりがい、そして現場で見えてきた事例制作の未来について聞きました。
事例制作の過程は標準化できない
――ディレクターとして長年取り組む中で、「今でも難しい」と感じるのはどのような点でしょうか?
K・A:
導入事例は、「相手あっての仕事」ですから、システマチックに進められない部分があります。クライアントごとに状況やニーズが異なるので、作業の標準化は難しいところだと感じます。
T・K:
まさに、事例制作は標準化が難しい作業ですよね。お客様によって内容やゴールが都度変わってくるので、柔軟に対応する必要があります。
――取材の現場でも苦労はありますか?
T・K:
お客様(クライアント)の要望に沿ったライターをアサインすることが大事です。優秀なライターであっても相性が合わないこともあります。長年事例を制作していた経験から、このお客様にはこのライターがマッチするということがわかることもあります。また、取材の序盤は特に注意を払う必要がありますね。序盤がかみ合わないままだと、話が広がらず質の高い事例にならないので、その調整も含めてディレクターの腕が試されますね。
K・A:
取材で話がうまく回らないとき、場の状況を見極めて「こうしたほうがスムーズかも」と即座に判断するのはやはり難しいですね。長年やっていても、完璧にできているという実感はなかなか得られません。
環境の変化スピードについていかなければならない
――さまざまな業界の情報をインプットしておくのは大変かと思いますが、業界にまつわる情報を把握するうえでの難しさなどはありますか?
T・K:
クライアントに多いIT業界はとにかく変化が激しく、情報を追うだけでも必死です。AIでもLLM(Large Language Model)のような技術トレンドは、あっという間に新フェーズを迎えていて、少し前に話題になったと思ったら次の進化が始まっているんですよね。
K・A:
DX(デジタルトランスフォーメーション)というキーワードも、もう当たり前になりつつあります。IT業界だけでなく、自治体や行政機関でも「デジタル化の次」を模索していて、「もうこれで終わり」という節目がない印象です。
――海外からの影響も受けているのでしょうか?
K・A:
海外のトレンドが日本に入ってくるまでには、半年ほどかかることも多いです。外資系IT企業がすでに実践している手法が、日本で話題になるのは後になってからという感じですね。海外の事例制作に関わることで得た情報が、国内取材時に意外な形で活きることもあります。
――海外の動向や新技術を追うのは大変そうですが、日々どのように情報をアップデートしているのですか?
K・A:
海外の記事やレポートのチェックは重要です。ITは欧米で新しい技術が登場し、しばらくすると日本でも話題になるパターンが本当に多いので。それから、取材でお客様のお話を聞くなかで新たな情報を知ることも多いですね。
T・K:
私も取材や案件を重ねる中で少しずつ知識を蓄えています。ある案件で聞いた情報が、別の案件で「この前こういう話を聞いたんですが…」と活きることもあります。事例制作そのものが、新しい知見を得るための場といえるかもしれませんね。
ディレクターとしての準備と心構え
――こうした環境変化や技術トレンドに備えるために、ディレクターとしてどのような準備や意識が必要だと思いますか?
T・K:
細かい技術仕様までエンジニア同等レベルの知識を習得する必要はないと考えていますが、大枠の動きや概念を把握していないと、適切な質問もできません。ニュースサイトや専門メディアの情報は当然チェックしますが、それが記事化された時点で「もはや新しくない」という厳しさもあります。先を読む姿勢が常に求められますね。
――たとえばAIやDXも、すぐに次の段階へ行ってしまいますよね。
K・A:
そうなんです。だからこそ現場目線も大切にしています。取材の際、お客様の何気ない一言に、次の案件に活かせるヒントが隠れていることが多いんです。一度得た知見は他の案件でも活かせますし、あらゆるアンテナを張って情報を掴んでいく意識が大切だと思います。
T・K:
ディレクターは、各案件で得た情報をいかにストックし、次に活かすかが鍵だと思います。一度取材した内容を忘れてしまうのはもったいないですし、逆に「こういう事例がありましたよ」と提案すると、クライアントにも喜ばれることが多いですね。取材も準備も、すべては記事のクオリティだけでなく、クライアントの満足度にも直結します。
ディレクターが感じる仕事のやりがい
――事例制作ディレクターの難しさを伺いましたが、それを上回るやりがいがあるからこそ続けられるのかなと思います。実際には、どんなときにやりがいを感じますか?
K・A:
私はまず「お客様の仕事の話を聞くのが純粋に好き」というところが大きいです。普段はなかなか接することのない業界の方々が「こんな課題意識を持って仕事に取り組んでおられるのか」など、大きな刺激を受けます。
大手企業の事例は社会的意義が大きくインパクトがありますが、以前取材した小規模メーカーの事例も印象的でした。AIで機械の異音を検知し、故障を未然に防いでいるというお話だったんですが、24時間体制で監視できるようになり、人力で行う作業負担が大幅に軽減できたと喜んでいらっしゃいました。そういう話が聞けると、広くご紹介したいなと思いますね。
T・K:
導入事例には乗り越えるべき山が2つあると思っていて、それを乗り越えたときに大きなやりがいを感じます。1つ目の山は、クライアントが「取材でお客様から良い話が聞けた」と満足してくださったとき。2つ目の山は、完成した原稿の質をクライアントに評価してもらえたときです。
取材で伺った内容がしっかり理解して、記事化していないと「こんな話はしていない」「イメージと違う」となりかねません。逆に「まさに言いたかったことをうまくまとめてくれた」と感じてもらえれば成功ですよね。この2つの山、つまり“取材の満足度”と“最終的な文章のクオリティ”の両方を乗り越えられたとき、ディレクターとしての達成感は大きいです。
――まさに、他の仕事ではなかなか出会えない企業や担当者の“生の声”に触れられるのは、ディレクターならではの魅力ですね。やはり良い取材ができ、結果的に良い事例が生まれたときこそ、大きなやりがいを感じるわけですね。
導入事例制作はSEデザインにご相談ください
本記事では、導入事例のディレクターが感じる難しさと、その先にあるやりがいについてご紹介しました。取材相手や案件内容が毎回異なるからこそ、標準化が難しい一方で、さまざまな業界の課題解決に寄り添う醍醐味が大きい仕事です。
SEデザインは、年間150件以上、累計2,500件以上の導入事例を制作してきた実績があります。取材方法や記事構成のノウハウはもちろん、ディレクターとライターが連携しながら、柔軟に案件を進められる体制を整えています。
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