外資系IT企業向け導入事例づくりのポイント|最新技術×グローバル基準への対応【社内インタビュー】

更新日:2025-03-28 公開日:2025-03-26 by SEデザイン編集部

目次

導入事例は、BtoBマーケティングでも注目度の高いコンテンツの一つです。そのなかでも、特にIT業界や外資系企業の事例制作では、最新の技術革新への適応や厳格なブランドガイドラインへの対応、導入先の業種・企業における独自の業務知識が求められるなど、注意しておくべき点が数多くあります。

SEデザインは、IT業界の深い知見と外資系企業への対応力を武器に、年間150件以上、累計2,500件以上の導入事例を制作してきました。

今回、ディレクターとして数多くの導入事例を手がけているSEデザインのT・KとK・Aの2名にインタビューを実施し、IT業界や外資系企業における事例の特徴について聞きました。

ITの知見だけでなく、導入先の幅広い業界知識が必要

――SEデザインでは、外資系IT企業を中心に、IT業界における導入事例の制作実績が豊富ですが、IT業界の事例の特徴はどのようなところでしょうか?

T・K
IT業界はとにかく技術革新のスピードが速いですね。かつてIT業界はドッグイヤー(犬の1年は、人間の7年に相当する)と言われていましたが、今はそのようなものではありません。最新技術だと取り沙汰されていたものが半年後にはすでに陳腐化して、使えない情報になることもあります。特にAIのような最新技術ではその傾向が顕著です。常に最新動向をキャッチアップして新規の事例制作や従来の事例のアップデートをしていかないと、読者の関心を引かないものになってしまうリスクがあります。

また、IT製品はさまざまな業界に導入されるので、業界ごとに押さえるべきポイントを把握しなければなりません。たとえば金融業界ではデータセンターを日本国内に置くことが必須など、規制や法的要件への対応の方法などが導入事例のポイントになる場合が多くあります。

K・A
医療現場では患者さんの診療情報をスマホアプリで管理するなど、業界によってデジタル化の進み方や障壁が異なります。また自治体の場合は、国(政府)が決めた方針に従ってプロジェクトを始めるケースもあるので、官公庁のWebサイトで最新動向を調べることもよくあります。

IT以外の業界でも、デジタル化は大きなテーマです。ただ、その課題やボトルネックは業界ごとに異なります。そうした背景を理解したうえで事例の切り口を考える必要がありますね。

――IT業界の知識があることは大前提で、さらにその導入先の業界知識も求められるわけですね。

T・K
そうですね。たとえばある企業では、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)施策として、特定の金融企業にアプローチするために「金融業界の事例を最優先で作ろう」という動きがありました。金融業界は規制が厳しいので、その点をしっかり押さえた事例を複数用意しておくことで、ターゲット企業の説得材料になります。もちろん、ターゲット企業が抱える個別の課題もリサーチし、「どんな内容なら刺さるか」を検討して方向性を定めています。

K・A
取材を通じて知った最新の業界情報が、別の取材で役立つことも少なくありません。業界をまたいだ共通の課題やキーワードを把握しておくと、「この事例ではこういうアプローチができそうだ」というアイデアにつながるんです。

T・K
最近では「AIの事例を増やしたい」というご依頼が増えています。AIは技術の進歩がとにかく速いので、数値的な効果よりも「こういう技術をこういう場面に導入している」という事例を積み上げたい、という場合が多いです。あっという間に情報が古くなってしまうので、スピード感を持って制作しないとタイミングを逃してしまうんですよね。

――なるほど。技術革新のスピードに対応しながら、導入先の業界知識も踏まえて事例を作るのは簡単ではなさそうですね……。ですが、そうした工夫こそ、IT企業が求めているポイントと言えそうです。

メーカーとパートナー企業の合同取材も可能

――IT業界の事例の「作り方」について、特徴的な点はありますか?

K・A
IT業界では、導入支援や保守運用などを外部のパートナーに委託することも多いです。たとえばある企業(お客様)がメーカーAの製品を導入する際に、メーカーAと直接契約するのではなく、Aのパートナー企業がライセンスを販売し、導入支援も行っていることがあります。この製品の導入事例を作ることになって、お客様の課題や導入経緯をメーカーA社内では把握していない場合、パートナーに取材への同行を依頼して協力していただくことがあります。

――パートナー企業の事例を作ることもあるのでしょうか?

K・A
もちろんあります。メーカー視点の事例を作るだけでなく、その製品を取り扱っているパートナー視点の導入事例も制作できます。メーカーとパートナーが合同取材を行うこともあります。

――1つの導入先に対して、メーカーとパートナー両方の事例取材を同時に行うということですか?

K・A
そうです。メーカーにとっては「自社製品を導入いただいた事例」、パートナーにとっては「A社の製品導入を支援した事例」として合同取材を行い、2つの導入事例を作ることがあるんです。同一製品やサービスに関する取材を1度で済ませ、お客様の取材の負担を減らすことが目的ですが、同じライターが視点を変えて書き分けることで、それぞれの立ち位置での事例を作ることができます

――なるほど。同じ導入先を対象に、メーカーとパートナーの両方から事例を作れるのは、パートナービジネスが普及しているIT業界ならではの進め方といえそうですね。

外資系企業には厳格なブランドガイドラインが存在する

――外資系IT企業の事例制作実績が豊富ということで、今度は「外資系」というところに焦点を当てていきたいと思います。外資系企業の事例を作るうえでの注意点はどんなところですか? 

K・A
外資系企業では、ブランドに関するガイドラインが非常に厳しいです。製品名の正式表記はもちろんですが、ロゴ・登録商標記号(®や™)の使用、デザインに使用してよい色や画像にも細かいルールがあります。同一の製品やサービスがグローバル展開されている場合、ブランド価値を毀損することがないよう、グローバル共通ルールが最優先されると考えておく必要があります。

ただし、日本語フォントなど地域独自の要素はグローバルにルールが存在せず、日本のお客様に見ていただくための対応も必要になりますので、グローバル指定の英数字フォントに合った日本語フォントや日本らしい画像などの提案を行うこともあります。

T・K
ルールが突然変わることも外資系企業ではよくありますね。たとえば、以前は製品名に音引き(「ー」)を使わなかったのにある日突然使うルールになったり、送り仮名が変わったりするような、細かい改定も多いです。当社ではある外資系企業のブランド事務局を担っていることもあり、こうしたルール変更にも柔軟に対応しています。

――「厳格なガイドラインがある」とのことですが、文章のトンマナ(トーン&マナー)は完全に統一するわけではないのですか?

K・A
もちろん、商品名の表記などは世界共通で守りますが、言語体系や文化的背景がまったく異なるグローバルのトンマナに合わせすぎると、日本の読み手にとっては読みづらい事例になってしまいます。

日本のお客様が読みやすいものは、外資系企業の本社よりも、日本で事例を数多く作っている当社のほうが理解しているという自負のもと、日本のお客様に刺さる表現を提案し、クライアントが満足いただけることを重視しています。

――たしかに、いかにも直訳という感じの文章はやはり違和感がありますし、内容が入ってこないので、文化や読者の習慣に合わせたローカライズが重要ということですね。
では逆に、国内外の事例における共通点はありますか?

T・K
定量的な効果については、日本でも海外でも共通して重要視されます。たとえば、製品の導入によって「コストを○%削減できた」「生産性が○%向上した」という具体的な数値は、どちらの市場でも説得力を持つ要素とされています。

――数字による説得力は万国共通なのですね。
最後に、これまで外資系企業やIT業界の事例を数多く制作してきたSEデザインならではの強みは、どのような点だと思いますか?

K・A
IT業界の仕組みに精通していることに加え、さまざまな業界の方々へのインタビュー実績があり、外資系企業のガイドラインや独特の進め方にも、理解と経験が十分にあるということです。初めて事例を作る場合でも、安心してご相談いただけたらと思います。

T・K
ITの知識があるというのも含めて、クライアントからいただいた情報をもとに「一を聞いて十を知る」ができる点に、信頼を置いていただいているのかなと思っています。
大事なポイントをいくつか共有いただければ、あとは必要な手順を把握し、スムーズに進められる体制を整えています。これまでの経験と柔軟な対応力が、外資系IT企業のお客様にも信頼いただけているポイントです。

――外資系IT企業ならではの厳格なガイドラインや、業界特有のエコシステムへの理解が、SEデザインの大きな強みとなっているのですね。

IT業界や外資系企業の事例制作はSEデザインにご相談ください

本記事では、SEデザインが強みを持つIT業界と外資系企業の事例制作について、特徴的な点や難しいポイントなどをご紹介しました。取材時の柔軟な対応、業界トレンドを意識した内容構成、そしてグローバル基準に即した品質管理が、クライアントの信頼につながっていることが分かりました。

導入事例は、お客様の生の声を反映した強力なエビデンスであり、重要なマーケティングコンテンツです。IT業界や外資系企業で導入事例の制作を検討されている方は、ぜひSEデザインにご相談ください。

貴社の課題やビジネス目標をヒアリングし、顧客に響く導入事例を作り上げるお手伝いをさせていただきます。

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TK
インタビュイー

株式会社SEデザイン コンテンツディレクター T・K

出版社で編集者として活動した後、SEデザインへ入社。20年以上に渡り、情報誌の企画・制作、導入事例制作に携わっている。人の気持ちを動かすコンテンツ制作を行うことを心がけている。
KA
インタビュイー

株式会社SEデザイン コンテンツディレクター K・A

IT分野で、特に外資系クライアントのローカライズ/オリジナル両方の豊富な制作経験を持つ。実績に基づき、最新のテクノロジートレンドを押さえながら日本のお客様向けにアピールできる表現を提案している。