自社の製品やサービスの魅力を伝え、新たな顧客を開拓する営業活動やマーケティング活動において、導入事例は非常に重要な役割を果たします。しかし、多くの競合企業がひしめき合う市場環境の中で、見込み客に響く導入事例を制作するには、市場のニーズを深く理解し、事例の価値を効果的に訴求するスキルとノウハウが求められます。
年間で150件以上の導入事例制作を手がけ、累計で約2,500件の制作実績を持つSEデザインは、長年培ってきたノウハウとクライアントとの強固な信頼関係を基盤に、制作ディレクターが中心となって高品質なサービスを提供しています。本記事では、クライアントとともに現場を取り仕切る制作ディレクターの役割をご紹介します。
導入事例を取り巻く環境の変化
導入事例のテーマは時代とともに変化しています。ここでは、SEデザインのクライアントの多くの占めるIT業界を例に、導入事例を取り巻く環境変化について見ていきます。
IT業界におけるエコシステムの概念
IT業界の導入事例で登場するステークホルダーといえば、かつては製品やサービスを提供するIT企業、そのユーザー企業、そして製品の導入を支援するパートナー企業(SIer)の3者が一般的でした。それぞれの強みを活かした協業を通じて、事業の成長を目指すこうした関係は「エコシステム」と呼ばれ、IT業界では長く受け継がれてきました。
ただし、一昔前の導入事例で取り上げられるテーマは、ITを活用した業務の効率化、自動化、コスト削減といった、どちらかというと内向きの業務課題が多く、ベンダーロックインという言葉からもわかるように、他のIT企業がプロジェクトに参画しにくい状況もあり、現在と比べると閉鎖的なエコシステムだった面が否定できません。
多様化するIT業界のエコシステム
しかし現在、IT業界のエコシステムを取り巻く環境は大きく変化しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)が叫ばれるようになり、どのようなIT投資、プロジェクトを進めるうえでも、社会の一員、地球市民の一員としての視点が欠かせなくなっています。自社の利益や成長を最優先する考え方だけでは、企業は評価されない時代になったということです。
それに伴い、導入事例で登場するステークホルダーも多様化しています。顧客に提供されるソリューションは複数のIT企業の製品で構成されることが当たり前になり、そのほかにもAIなど新技術のスタートアップやエネルギー企業などの非IT企業、地方公共団体まで、DX、GXを支えるさまざまなステークホルダーが関係してくることも珍しくなくなっています。
制作ディレクターの重要性は一層増している
こうした導入事例の制作について、IT企業はさまざまな課題を抱えています。異なる顧客、異なる製品、異なるテーマの導入事例を制作し、継続的に市場に発信していくには、顧客との調整も含めて大きな労力が発生します。また、ITに精通した制作ベンダーの選定やコンテンツの品質維持も大きな課題です。
ここにエコシステムの多様化、新たなステークホルダーの参画、新たなテクノロジーの登場といった環境変化が加われば、その難易度がさらに高まることは言うまでもありません。ここで重要な役割を担うのが、事例制作の豊富な経験を備えた制作ディレクターです。
SEデザインの制作ディレクターの役割
SEデザインの制作ディレクターの役割は、単なる進行管理にとどまりません。クライアントのビジネス課題やマーケティング課題を理解し、最適な制作プロセスを構築することで、常に高品質なサービスを提供しています。
ここからは、制作ディレクターが重要な役割を担う導入事例のプロセスをハイライトでご紹介します。
事前ブリーフィング
導入事例の制作は、クライアントから事例の概要や訴求ポイントをヒアリングする事前ブリーフィングからスタートします。その場をリードするのは制作ディレクターであり、決してライター任せにはしません。
事前ブリーフィングの後は、取材で使用する質問シートを作成します。この質問シートは、いわば「記事の骨子」です。クライアントから丁寧にヒアリングをして顧客の課題や成果などの解像度を高めておくことで、その後の取材や原稿作成をスムーズに進めることができます。
SEデザインでは「制作ディレクターの理解度は、サービスの品質に直結する」という認識で導入事例制作に臨んでおり、常に制作ディレクター自身が事例のテーマや顧客の状況を深く理解するように努めています。
取材・インタビュー
導入事例制作における取材対象は「クライアントの顧客、お客様」です。しかも、取材の機会は一度だけでやり直しはできません。そのため、現場ではクライアントにも取材先にも不安を感じさせないよう、スムーズな進行を心がけています。取材の趣旨やプロセスに関する説明、ライターやカメラマンへの指示出しなど、制作ディレクターが中心となって現場の進行を管理します。
インタビューは基本的にライターが進行しますが、制作ディレクターは質問シートの流れを追いながら、抜け漏れがないかをチェックします。たとえば、クライアントの製品やサービスの導入が具体的な成果につながっているかなど、重要なポイントが巻き取れているかを注意深く確認し、必要に応じて追加質問も行います。
原稿の作成・リライト
ライターから上がってきた原稿は、制作ディレクターが責任を持って内容を確認します。ここでもSEデザインは「初稿から完璧な原稿はない」という考えのもと、編集ディレクション、リライトを「最終的なアウトプットの品質に直結する重要なプロセス」として位置づけています。
「課題→解決」のストーリーがうまく組み立てられているか、顧客の生の声が効果的に盛り込まれているか、記事自体が読みやすいかなど、多角的な視点から原稿をチェックします。
特にIT業界の導入事例は専門用語が多く、難易度も高いため、外部の校正者を入れた場合でも、最終的な確認は必ず制作ディレクターが行います。クライアントのことを最も理解しているのは制作ディレクターです。これまで培ってきたスキルやノウハウを活かし、責任を持って原稿の品質を担保しています。
SEデザインの強みと今後の取り組み
SEデザインには、外資系IT企業を中心に幅広いクライアントの導入事例制作に携わってきた豊富な実績があります。そのなかで数多くの「クライアントのお客様」にお会いしてきた経験をもとに、取材前の対応から原稿レビュー時のフォローまで、いかにクライアントに満足してもらえるかを最優先に考え、きめ細かな対応を徹底しています。
導入事例制作は、キックオフから納品まで半年以上の時間を要する場合もあり、決して効率的な仕事とは言えません。しかし、こうした丁寧な対応を続けることでクライアントとの信頼関係を構築し、IT業界の新規クライアントからのご依頼につながっていることは、SEデザインの大きな強みです。
SEデザインでは、クライアントとの信頼関係構築を担う制作ディレクターを経営資産と捉え、若手ディレクターの育成に注力しています。今後も高品質な導入事例制作を通じて、クライアントのマーケティング活動に貢献していきたいと考えています。