これまで以上にオンライン化が進む昨今、社内のアンケートや顧客調査などにおすすめなのが、Googleフォームです。
この記事では、Googleフォームのサービスの概要と利用の手順を解説し、すぐに活用できるよう利用例も紹介します。実際にどのように使えるか具体的に想像しながら読み進めてください。
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Googleフォームとは
Googleフォームとは、Google社が提供しているサービスの一つで、フォームの作成と収集したデータの集計ができるツールです。ここでいう「フォーム」とは、相手が入力したり送信したりしやすくする書式、またはフォーマットに近いものといえます。
紙媒体のアンケートの場合、紙や印刷の手配のほか、配布や記入、集計に手間がかかります。また、集計の際に一部のデータを見落とすなどミスを起こしやすく、調査にかかるプロセスも煩雑になりがちです。
一方Googleフォームの場合、作成したフォームをメールなどですぐに共有できます。回答はスマートフォンやタブレット、パソコンなどの多様なデバイスから可能で、回答に至るまでの時間を短縮したり、回答率を上げたりする効果が期待できるでしょう。さらに、回答データは自動的に収集、集計されるので、回答率や未回答者もひと目でわかります。
Googleフォームを使えば、フォームの作成や送付、回答、集計にかかる時間や手間を大幅に減らすことができるのです。
Googleフォームのメリット・デメリットと注意点
ここではGoogleフォームのメリットとデメリットを、紙やFAXをベースとしたデータ収集・集計と比較しながら解説します。
Googleフォームを利用する際の注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
Googleフォームのメリット
Googleフォームの大きなメリットは、とにかく簡単に素早くフォームを作成できることです。インターネットと端末があればいつでもどこでも作成でき、回答データはリアルタイムに自動で集計されます。
また、テンプレートが豊富なので、フォームのイメージを好みの雰囲気にすることも容易です。ヘッダー画像として用意されているイラストだけでも、200種類以上あり、手持ちの画像やイラストも取り込めるので、質問内容に適したフォームを作成できるでしょう。
さらに、全機能無料で使えるので、サブスクリプションのような手続きの手間やコストがかからないのもメリットといえます。
Googleフォームのデメリット
一方、Googleフォームのおもなデメリットとしては、フォームがシンプルな点、回答に対して個別に返信するなどの高度な自動対応ができない点が挙げられます。
Googleフォームで選べるヘッダー画像や背景の色は実に多彩ですが、フォーム自体はどれも回答を選択肢の中から選んだり、コメントを書き込んだりというシンプルな作りで、自らデザインを変更することはできません。そのため、凝ったデザインでフォームを作成したい場合はデメリットといえるでしょう。
また、Googleフォームは回答を自動で集計しますが、回答に対して受け付けたお知らせを送信したり、サンクスメールを自動返信したりするしくみはありません。そのため、顧客や取引先といった社外からの問い合わせ対応として使用する場合は、注意が必要です。
Googleドライブの容量にも注意が必要
Googleフォームでは、ファイルをアップロードする形式を含んだ回答も選ぶことができますが、その場合に注意したいのが、回答ファイルの容量です。
Googleフォームの回答データはGoogleドライブに保存されますが、無料プランの容量は15GBです。たとえば、1人150MBの回答データを100人から回収すると容量を使い果たしてしまいます。
容量を超えると自動的にフォームが停止してしまうため、アップロード形式を利用する場合はGoogleドライブに必要な容量を確保し、場合によっては有料プランに加入することが必要です。
Googleフォームの利用の手順
ここからは、実際にGoogleフォームをどのように作成、利用するのか具体的な手順を見ていきます。操作自体はごく簡単ですが、うまく活用するには回答データの性質とそれをどう集計するかが重要です。
ポイントは、質問と回答形式、および集計の方法の選び方です。思うような活用ができるよう、よく考えて設定する必要があります。
フォームを作成する
Googleフォームは、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントといったほかのGoogleアプリと同様、ブラウザでGoogleのメインページ右上のメニューからアイコンを選択して立ち上げます。
Googleフォームから新しいフォームを作成
アプリを立ち上げたら、次は画面右下の4色の十字アイコン(新しいフォームを作成)をクリックします。すると、フォーム名「無題のフォーム」としてデフォルトのフォームの編集画面が表示されます。
フォームのタイトルとヘッダーの変更方法は、次の通りです。
タイトルの変更
「無題のフォーム」をクリックして編集する。
ヘッダーの変更
- 画面右上にあるメニューの「パレットアイコン」をクリック
- 現れたテーマオプションメニューの「ヘッダー」下にあるボックスをクリック
- 現れた画像の中から適したものを選んだ後、右下の「挿入」をクリック
ヘッダーを変更すると、合わせて背景色も変更される場合があります。
別の色に変えたい場合は、同じテーマオプションメニューの「テーマの色」や「背景色」を変更しましょう。
質問を入力し回答方法を選ぶ
この段階でフォームには、タイトル下に「質問」ボックスが1つ表示されていますが、ここでは質問を入力し、回答方法を選んで設定することができます。
回答形式は以下の通り多種用意されているので、欲しいデータに適した形式を選びましょう。
● チェックボックス:選択肢の中から複数を選べる
● プルダウン:プルダウン式にあらわれた選択肢の中から1つを選ぶ
● 均等目盛:2〜10の選択肢が一列に並び、どれか1つを選ぶ
● 選択式:複数の行(質問)を作ることができ、1行ごとに1つを選ぶ
● チェックボックス:複数の行(質問)を作ることができ、1行で複数を選べる
● 日付・時刻の入力:日付・時刻といった形式で回答を入力する
● ファイルのアップロード:回答としてファイルをアップロードする
たとえば、質問を「今日は昼食を取りましたか?」にして、回答方法を「はい」「いいえ」のどちらかをチェックする形式にしたいときの手順は、次の通りです。
- 質問欄:表示したい質問を入力する。
→「今日は昼食を取りましたか?」と入力 - 回答形式:質問欄の右にあるプルダウンメニューから希望の回答形式を選ぶ。
→回答方式「ラジオボタン」を選択し、選択肢にそれぞれ「はい」と「いいえ」と入力
これで質問のためのフォーム作成が完成しました。
フォームを回答できる状態にする
フォームができたら、次はフォームを回答してもらう人全員が回答できる状態にしましょう。これには2つの方法があり、回答者を定めない場合と定める場合によって使い分けます。
フォームを回答者と共有する
回答する人を定めない場合は、WebサイトやSNS、メールマガジンなどに、作成したフォームのリンクを貼り付けるとよいでしょう。
たとえば、ユーザー登録できない自社商品の顧客を対象としたアンケートや、商品のイメージについての意見を広く一般から募る場合は、この方法が適しています。
Googleフォームのリンクを取得する手順は、次の通りです。
- フォーム右上の「送信」ボタンをクリック
- 「フォームを送信」メニューの「送信方法」のうち、メールアイコンの右にある「リンクアイコン」をクリック
- 表示されたリンクをコピーして、WebサイトやSNSなど必要なところに貼り付ける
フォームのリンクを共有する手順は、Google社が提供するスプレッドシートアプリやドキュメントアプリと同じです。リンクを知っていれば誰でもフォームに入力できます。
また、「フォームを送信」メニューを使えば、メールで送信したり、FacebookやTwitter、Webサイトのランディングページにリンクを埋め込んだりして回答を求めることも可能です。
フォームへのリンクを個別に送信する
Googleフォームのリンクを、メールや登録ユーザーだけが閲覧できるWebサイトなどに掲載すれば、限られた相手だけから回答を得ることができます。
リンクの取得方法も使い方も同じですが「知らせる相手を限定する」点がポイントです。
社内のアンケートなどなら、名簿を使って社員に割り当てられるメールアドレス宛に送るとよいでしょう。
ただし、送り漏れには注意が必要です。くれぐれもフォームの送信については、よく確認して回答を要するメンバー全員に必ず送るようにしましょう。
回答データを確認する
回答期限になったら、フォームの編集画面で「回答」タブをクリックし、「回答ボックス」の右下にある「回答を受付中」スイッチをオフにすれば受付を終了できます。
回答データは、同じ「回答」タブの画面で確認できます。選択肢ごとの回答数を、グラフで視覚的に表示してくれるうえ、データをGoogleスプレッドシートにエクスポートすれば、データの集計も加工も自由に可能です。
また、Googleフォームの回答データは、作成者以外の共同編集者も閲覧・編集できるように設定できます。
- フォーム右上のメニュー(点が縦に3つ並んでいるアイコン)をクリック
- メニューの「共同編集者を追加」をクリック
- 追加したいGoogleアカウント(Gmailアドレス)を入力して「完了」をクリック
Googleフォームの活用例
ここからはGoogleフォームの活用例をさらに具体的に紹介します。
Googleフォームはデータ収集と集計のみならず、使い方を工夫すればさまざまな用途に活用できます。
活用できそうな事例を中心に、実際にどのように使えるのかを詳しく見ていきましょう。
イベントの出欠やテストでは自動集計が便利
Googleフォームは、フォームの作成や送信、共有も簡単にできるため、シンプルな質問・回答の集計に特に便利です。たとえば、イベントなどの出欠の確認や学校のミニテストなどにも有効です。
具体的には、イベントの出欠確認の場合、一般的に「はい」「いいえ」の2択と「日付」のプルダウンメニューの簡単なフォームで対応できます。学校のテストも比較的簡単なものなら、ラジオボタンやチェックボックスだけでも十分対応可能です。
イベントの出欠確認やミニテストのように回答者がほぼ定まっている場合は、フォームの送信にメールアドレスを使うとよいでしょう。特に、テストは回答者別にデータを見ることができるので、スプレッドシートを併用すれば点数の集計も簡単です。
キャンペーンなどの申込者データベースに
自社商品の販促のためのキャンペーンにおいても、Googleフォームを使うことで申込者データを自動的に蓄積することが可能です。
たとえば、商品購入後にユーザー登録した人に対する返信メールにフォームのリンクを付けます。ハガキや書類の場合とは異なり、回答の回収や書類管理などの手間が不要で、回答データは自動的にデータベースに蓄積されていきます。紙ベースでデータを収集するより効率が良いだけでなく、漏れなどのミスも軽減できるでしょう。
顧客アンケートの定期的な収集が可能
一般的に、顧客の生の声や意見を聞くことができる機会は少ないため、定期的にアンケートなどを実施しながら改善点を見つけていくことが肝要です。しかし、Googleフォームを使って手軽に回答できる機会を設ければ、貴重な意見を寄せてもらえるかもしれません。
たとえば、Googleフォームでお客様アンケートを作成し、リンクをQRコードとしてレシートやチラシ、メールマガジンなどに掲載して、ユーザーがいつでも回答できるようにしておくとよいでしょう。
特に期限を設けず月毎に集計すれば、回答データの推移と業績の関係や店舗の様子の変化を数値として計ることも可能です。
Googleフォームでデータ収集を効率化しよう
これまで、調査を行う際は専用の書類やFAXといった紙媒体が中心で、手作業による面倒な集計が不可欠でした。今回紹介したGoogleフォームで何ができるのか、どのように集計することができるのかを知ることで、そのメリットの大きさに驚かれた人も少なくないでしょう。
Googleフォームは、インターネットを使ってフォームの作成と回答ができるしくみです。1人ずつフォームを配布し、回答を回収するなどの手間を大幅に省くことができるだけでなく、回収したデータも自動的に蓄積されるので正確に集計できます。
Googleフォームのデザインは基本的にシンプルなものですが、質問や回答の性質によってさまざまにカスタマイズできます。また、ブラウザとインターネット環境さえあれば簡単に作成可能な点も魅力です。
まずは、ちょっとした集計や回答が必要な場面でGoogleフォームを使ってみることで、データ収集作業の効率化を実感してみましょう。