近年はユーザーのニーズも多様化しており、企業が売り上げを最大化させるためには、さまざまな層に向けて最適なアプローチを行わなければなりません。「インタラクティブマーケティング」は、そのような時代背景も相まって注目されているマーケティング手法のひとつです。
本記事では、インタラクティブマーケティングの基本的な知識や実行の際に必要なポイントを解説します。自社のマーケティング手法をアップデートしたいとお考えの方は、ぜひお役立てください。
インタラクティブマーケティングとは?
インタラクティブマーケティングとは、ユーザーに対して「双方向」の情報交換を通じてパーソナライズされたアプローチを行うマーケティング手法です。インタラクティブ(interactive)は「相互に作用し合う」という意味があります。
従来型のマーケティングは「企業→ユーザー」という、一方向的な情報発信でしたが、インタラクティブマーケティングでは双方向のアプローチが可能です。ユーザーニーズに即したマーケティングを行う点で、従来のマーケティングとは異なっているといえるでしょう。
例えば、従来型のマーケティングの代表例としてはテレビCMやDM、Webメディアにおける記事コンテンツなどが挙げられます。対するインタラクティブマーケティングは、SNSやWeb接客ツール(チャットボットやポップアップ)、選択式のインタラクティブコンテンツなどです。
インタラクティブマーケティングは「企業とユーザー」のコミュニケーション
前述した代表例をみても明らかなように、インタラクティブマーケティングとは「企業とユーザーのコミュニケーション」を強化するためのマーケティング手法と定義できます。
つまり、インタラクティブマーケティングを行えば、ユーザーの行動や好みを起点にパーソナライズされた体験価値の提供ができ、エンゲージメントやコンバージョンの向上につながるでしょう。
たとえば、ユーザーの選択によって内容が分岐する「インタラクティブ動画コンテンツ」「診断コンテンツ」などは、ユーザーの答え次第で訴求内容が異なります。
このようなインタラクティブコンテンツは、ユーザーニーズごとに即したコンテンツを準備し、運用後も収集されるデータに応じてパフォーマンスを改善していかなければなりません。
ここ最近、取り組む企業が増えている「SNS運用」も、広義の意味でインタラクティブマーケティングといえるでしょう。ユーザーと相互にコミュニケーションを取れるSNSを活用すれば、ユーザーの反応を分析し、より最適化された情報発信を行うインタラクティブマーケティングを実施できます。
インタラクティブマーケティングが広まった背景
インタラクティブマーケティングが近年広がりつつある背景には、以下の3要素が影響しています。- インターネットの普及とデジタル技術の発展
- SNSの普及
- 投資対効果の最適化
ここからは、それぞれについて具体的に解説します。
インターネットの普及とデジタル技術の発展
インターネットが普及し、さらにデジタル技術が発展したことにより、ユーザーはより多様なチャネルで情報収集を行えるようになりました。
そのため、近年はユーザーニーズも多様化の傾向があり、各ユーザーは「自分のニーズを満たした提案をしてほしい」と感じていることがSNSなどを通じて明らかになっています。
大手コンサルファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニー の調査によると、調査対象の71%が「パーソナライズ体験を希望する」と回答したそうです。
「企業が発信したい情報」を一方的に届けるだけでは、興味関心を持ってもらうことは難しくなったことから、双方向のやり取りによるインタラクティブマーケティングの必要性が高まっています。
企業側は、ユーザー属性のニーズごとに発信する内容を柔軟に変更し、最適化された提案を行うインタラクティブマーケティングに取り組むことで、各ターゲットユーザーと深いリレーションを構築できます。
SNSの普及
SNSが普及したことも、インタラクティブマーケティングが行いやすくなった理由の一つとして挙げられます。前述のとおり、SNSは「企業⇆ユーザー」の双方向のコミュニケーションをとるための有用なツールです。
ユーザーから発信できるSNSのような場がなかった時代と比べると、現代ではユーザーの自社商材に対する「生の声」が非常に聞きやすくなりました。そのため、企業側も、よりインタラクティブマーケティングを実施しやすくなったといえるでしょう。
ただし、手軽にユーザーと企業が相互のやり取りを行えるようになったということは、炎上リスクやコンプライアンスの問題もはらんでいる点には留意が必要です。
投資対効果の最適化
マーケティング施策の効果を最大化させるためには、投資対効果を最適化させなければなりません。
従来のマーケティング手法では「ユーザーの反応」「施策の効果」を把握しにくいこともあったでしょう。しかし、インタラクティブマーケティングでは「ユーザーの反応」を起点にして、コンバージョン率や集客率を測定できるため、費用対効果だけでなく、長期的な視点から投資対効果を測定しやすくなっています。
「よりコストに見合ったマーケティング施策を打ちたい」と考える企業が、インタラクティブマーケティングを検討するのは自然な流れでしょう。
インタラクティブマーケティングを成功させるには何が必要?
「自社でもインタラクティブマーケティングを実施したい」と考えた際には、次の2点に留意しましょう。
- 「ユーザー起点」のコミュニケーションを意識する
- ユーザー接点の前後も設計する
以下より、それぞれについて解説します。
「ユーザー起点」のコミュニケーションを意識する
インタラクティブマーケティングでは、「ユーザーニーズ」を意識した提案がより重要です。「ユーザーが何を求めているのか」を可視化し、価値の等価交換を意識するようにしましょう。
Web上にはさまざまなコンテンツ・商品が溢れていて、そのなかから自社商材を選んでもらうためにはユーザーニーズを捉えた訴求が必須といえます。ただインタラクティブコンテンツを作るだけではなく、ニーズを捉えてユーザーが「自分ごと化」できるような成果物を目指しましょう。
ユーザー接点の前後も設計する
インタラクティブマーケティングでは、パーソナライズされたコンテンツを使って「どうコンバージョンにつなげるか」が注目されがちです。
しかし、売り上げを最大化させるためには、その「前後」の設計も最適化されていなければなりません。たとえば、「インタラクティブ動画広告を使ったCVRアップ」が成功したとしても、遷移先のLPがユーザーにとって魅力的なものでなければ、購買促進は果たせないでしょう。
このように、インタラクティブマーケティングはコンテンツだけでなく、ユーザーの「認知→検討→購買」に至るまでの各プロセスで、最適な体験価値を届けることが重要です。
インタラクティブマーケティングの活用事例
ここからは、インタラクティブマーケティングを活用した企業例について紹介していきます。
MAツール「HubSpot」を使った施策事例
MA(マーケティング・オートメーション)ツール「HubSpot」を提供する米HubSpotは、自社ツールを活用したインタラクティブマーケティングの事例を複数公開しています。
たとえば、同社は自社ホームページで独自の「会話型マーケティングソフトウェア(チャットシステム)」を使用することで、ユーザーに対しインタラクティブなアプローチを実施しています。
引用:HubSpot「 What is Interactive Marketing [+ 15 Inventive Examples] 」
HubSpotの活用しているチャットシステムは、Webサイトの訪問ユーザーに質問をし、いくつかの回答候補を提示する仕組みです。
これにより、ユーザーのエクスペリエンスがさらに向上するだけでなく、ユーザーにとって「より有益なコンテンツ」を提示できるようになったとされています。
キャストの対応やアトラクションにインタラクティブ性を持たせた「ディズニーリゾート」の事例
「東京ディズニーリゾート(以下:TDR)」でも、インタラクティブマーケティングが実施されています。TDRに訪れるユーザーは今やほとんどがリピーターといわれています。
その背景には、リピート率を維持する手段のひとつである「アトラクションのインタラクティブ性」があるといえるでしょう。
たとえば、2009年10月から東京ディズニーシー提供されているアトラクション「タートル・トーク」は、ゲストの受け答えによって、何パターンにも会話が変化するシステムが導入されています。反応次第で体験内容も変化する同アトラクションは、ユーザーの再訪率に貢献していると推察できるでしょう。
TDRでは毎日、来園したユーザーに対してアンケート調査を実施しており、自社サービスやアトラクションに対する感想・満足度を収集しています。さらには「手紙やメールで送られるゲストコメント」「時々実施するグループインタビュー」などからもユーザーの声を拾っているといわれています。
こういったTDRの取り組み内容は「ユーザーの反応に即した体験価値を届ける」「ユーザーニーズを収集に活かす」といった形で、自社でインタラクティブマーケティングを行う際にも参考にできるでしょう。
まとめ:顧客との関係性を大事にしよう
インタラクティブマーケティングは、ユーザーと「双方向のコミュニケーション」をとり、パーソナライズされた訴求を行うためのマーケティング手法です。ニーズが多様化する現代においては、インタラクティブコンテンツを活用したマーケティングの重要性が増しているため、あらゆる企業で検討できる施策といえます。
大前提、「ユーザーニーズを起点にした提案」はビジネスの原理原則といえます。インタラクティブマーケティングは「それを実現させるための効果的な手法」に過ぎません。
それを踏まえ、インタラクティブマーケティングを行わない場合でも、その基本的な考え方には学ぶべき点は多分にあるのではないでしょうか。
売上拡大にお悩みではありませんか?
SEデザインが提供できるベネフィット
- CRM(顧客関係管理)の導入で、顧客との良好な関係性を築くサポートを行います
- 差別化要素を洗い出し、貴社の強みを顧客に伝えるための戦略を構築します
- ペルソナと購買ステージを整理し、最適なコンテンツ設計を行います
- 高品質なコンテンツで有責な情報を発信することで、貴社の集客力を高めます
- 分かりやすい設計で、訪問ユーザーに貴社商品の魅力をしっかりと伝えます
多くの企業様のマーケティングを支援させていただいております。