自社のビジネスを支えるITソリューションを選定する際の意思決定において、「導入事例」は大きな影響力を持っています。ユーザーの生の声によって製品の価値を示す導入事例は、特にBtoBビジネスの分野で見込み客の関心を引き、検討を後押しする判断材料となります。
この導入事例の信頼性と拡散力を高める手法の1つとしてSEデザインがクライアントに推奨しているのが、「製品を提供するメーカーと導入を支援するパートナー企業による合同取材」です。
メーカーが単独で制作する導入事例では伝えられない“メーカーとパートナーの協業によって生まれる付加価値”や“各社の強み、専門性”を発信できるこのアプローチは、パートナーとのアライアンスの強化においても大きなメリットとなります。
SEデザインでは、これまでに年間150件以上、累計2,500件を超える導入事例を制作してきました。特に最新のテクノロジーをテーマとした外資系IT企業の事例制作に強みを持ち、合同取材においてもメーカー、パートナー双方の立場を理解したうえでの取材・ライティングに定評があります。
本記事では、メーカーのパートナーアライアンス、パートナーマーケティングのご担当者に向けて、「合同取材による導入事例制作」のメリットや進め方のポイントについてご紹介します。導入事例制作を通じてパートナーとのアライアンスを強化し、エコシステムの中でビジネスをさらに加速させたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
合同取材とはどのようなものか
導入事例制作における「合同取材」とは、メーカーとパートナーが取材の場に同席し、双方の視点を踏まえたインタビューによって記事を制作する手法です。一度の取材でメーカーとパートナーそれぞれの事例を制作できる効率性に加えて、ユーザー企業から異なる視点での評価を引き出すことで、より説得力のある情報発信が可能になります。
合同取材による事例制作では、あらかじめ導入プロジェクトに参画したメーカー、パートナー各社の役割を整理し、それぞれの強みや貢献を掘り下げながら記事化していくことが重要です。SEデザインでは、こうした合同取材による事例制作も多数手がけており、一度の取材で2種類、3種類の成果物を納品することも珍しくありません。
メーカー側にとっての合同取材のメリット
合同取材は単なる制作業務の効率化にとどまらず、パートナーアライアンス戦略やマーケティング活動全体にも波及効果をもたらします。以下では、まずメーカーにとっての3つのメリットについてご紹介します。
1. パートナーとの信頼関係の強化・モチベーションの向上
合同取材におけるパートナー企業の役割は、単なる取材参加だけではありません。導入プロジェクトに伴走したパートナーに対する評価をユーザー企業から引き出して記事化し、成果物にロゴを掲載してマーケティングで共同利用することで、パートナー企業との信頼関係をさらに強化するきっかけとなります。
さらに、他のプロジェクトでも同様の協業がしやすくなるなど、パートナーのモチベーションや提案意欲の向上につながる副次的効果も期待できます。
2. 導入事例の信頼性、拡散力の向上
合同取材の内容は、メーカーとパートナーそれぞれの貢献を踏まえた複数の成果物としてまとめることができます。そのため、両社が自社のWebサイトや営業資料などで活用することで、導入事例の露出機会が大きく広がります。
実際、メーカーの多くは自社製品の価値訴求として、またパートナーは導入を支援したSIerの立場での支援実績として、それぞれ異なるチャネルや顧客接点で導入事例を活用します。一度の合同取材で制作された導入事例が、異なる経路で発信されることで拡散力が高まるのです。
さらに、読み手は異なる視点で1つの導入事例の理解を深めることができ、記事の信頼感の醸成にもつながります。
3. 制作プロセスの効率化、コストの削減
従来は別々に実施していたメーカー事例とパートナー事例の制作を一度の合同取材で完結できるため、取材日程の調整も含めた関係者の負担を大幅に軽減できます。また、これにより人的コストや制作コストも抑制することができます。
こうして “負担を抑えながら、成果を最大化できる”点は合同取材の大きなメリットです。合同取材は単なる制作手法を超えて、パートナーエンゲージメントとマーケティングの成果を両立する実践的な施策として活用できるということです。
パートナー側にも伝えたい価値
同様に、合同取材はパートナー企業にも大きな価値をもたらします。メーカーからパートナーへ協力を求める以上、その意義やメリットをパートナー側にしっかりと伝えていくことが成功のカギとなります。
1. メーカーとユーザーからの「推薦状」として、自社の実績をアピール
パートナーにとって、メーカー側が主導する導入事例に登場することは、メーカーとユーザー企業からの事実上の「推薦状」を意味します。メーカーから「このパートナーとの伴走支援で大きな成果を生み出した」というオフィシャルな発信がなされることは、自社の信頼性を裏付ける強力な営業資産となります。
パートナーの視点で制作された導入事例は、見込み客にとって独自の提案力や技術力、導入のノウハウを示すリアルな判断材料となり、顧客基盤の拡大に向けた貴重なコンテンツとなります。
2. 少ない手間とコストで価値あるコンテンツが手に入る
取材自体はメーカーとの合同で行われるため、日程調整や準備の手間は最小限に抑えられます。さらに、制作コストをメーカーと折半できれば、少ないコストで高品質な成果物を得られる点でも、パートナーにとって導入しやすい施策です。
こうした価値を伝えることで、単なる取材協力の依頼ではなく、双方にとって意味のある“共創プロジェクト”としての位置づけが可能になります。アライアンス担当者として、パートナーのメリットもしっかり伝えていくことが合同取材の成功の第一歩です。
導入事例の見せ方はどう異なるのか?
合同取材によって制作される導入事例は、同じプロジェクトがテーマでも「誰の貢献で生まれた、どのような成果を伝えるか」によって見せ方が異なります。以下では、SEデザインが実際に制作してきた事例をもとに、メーカーの事例とパートナーの事例でどのような違いがあるのかについてご紹介します。この見せ方の違いを理解しておくことは、合同取材を成功させる上でも重要です。
メーカー側の導入事例
業務上の課題/導入を検討するきっかけ
なぜこの製品だったのか/他社製品との比較
導入のしやすさ、柔軟な連携性・拡張性など
経営層・現場のユーザーの評価、定量的・定性的な効果など
短期的・長期的な活用計画、他部署への横展開など
パートナー側の導入事例
ユーザー企業のニーズをどのように捉え、提案を行ったか
要件定義や開発・実装における独自のノウハウ、業種特有の要件への対応など
IT投資の価値を継続的に高めていくためのサポート、改善に向けた提案
業種を超えた他のプロジェクトへの応用や、自社のソリューションと組み合わせた価値提供
メーカー側の導入事例:製品の価値訴求を中心に記事化
メーカー側の事例では、製品・サービスそのものの魅力や、導入によって得られた成果を中心に構成することが一般的です。読者にとっては「なぜこの製品が選ばれ、どのような成果をもたらしたのか?」を理解するための材料となるため、以下のような要素が多く含まれます。
- 導入前の課題と背景:業務上の課題/導入を検討するきっかけ
- 製品選定の決め手(差別化ポイント):なぜこの製品だったのか/他社製品との比較
- 導入プロセス:導入のしやすさ、柔軟な連携性・拡張性など
- 導入後の成果:経営層・現場のユーザーの評価、定量的・定性的な効果など
- 今後の展望:短期的・長期的な活用計画、他部署への横展開など
導入の前後でどのような変化があったかを、ユーザーの生の声を交えて“製品軸”のストーリーで構成することが多く、読者に対して「この製品を導入することでこんな成果が生まれて、業務が変わる、ビジネスが成長する」という未来像を示します。
パートナー側の導入事例:導入プロジェクトの実行力と支援のノウハウを伝える
一方、パートナー側の事例では、提案から設計・開発・導入・運用サポートまでの具体的な支援内容や、プロジェクトの現場でのユーザー企業とのコミュニケーションなどのエピソードが中心になります。以下のような要素を掘り下げることで、独自の技術力や手厚い支援体制などをアピールすることができます。
- 課題の把握と解決策の提案:ユーザー企業のニーズをどのように捉え、提案を行ったか
- 設計・開発・実装における技術的な工夫:要件定義や開発・実装における独自のノウハウ、業種特有の要件への対応など
- 導入後のサポート、継続的な改善提案:IT投資の価値を継続的に高めていくためのサポート、改善に向けた提案
- 他のプロジェクトへの横展開:業種を超えた他のプロジェクトへの応用や、自社のソリューションと組み合わせた価値提供
製品ありきではなく、独自の技術力、サポート力で「ユーザーの課題をどのように解決したか」にフォーカスすることで、提案力や導入・サポートにおける信頼感を訴求することができます。
導入事例を“協業の成果”として活用しませんか?
導入事例は単なる製品やサービスの実績紹介にとどまらず、パートナーとの協業から生まれる独自の付加価値を伝えることができる説得力のあるコンテンツです。その手法としての「メーカーとパートナーによる合同取材」は有益なマーケティング施策の1つです。
本記事でご紹介したように、合同取材には
- パートナーとの信頼関係の構築
- 複数チャネルでの露出による拡散効果
- 異なる視点での記事化による事例の説得力の向上
- 取材・制作の効率化による費用対効果
など、両社にとって多くのメリットがあります。
ただし、合同取材から高品質な成果物を生み出すためには、しっかりとした事前準備、ユーザーから両社の貢献を引き出す取材力、編集スキルが欠かせません。
SEデザインは、これまでに年間150件以上、累計2,500件超の導入事例を制作してきました。特に外資系IT企業からの受託実績は豊富で、合同取材も数多く手がけています。
「パートナーとの信頼関係を強化したい」「せっかく制作した導入事例をより広く知ってもらいたい」とお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。過去の実績を踏まえて、SEデザインのサービスについて詳しくご説明させていただきます。