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インターネットの利用拡大に伴い、オウンドメディアの立ち上げを考えている企業も多いのではないでしょうか。オウンドメディアを活用しながら収益を上げるためには、早期からおさえておくべきポイントがあります。
今回は、オウンドメディアを立ち上げる流れや成功の秘訣を紹介します。自社のオウンドメディア立ち上げを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
オウンドメディアとは
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オウンドメディアとは、インターネット上に開設する自社のWebサイト(またはブログ)の総称です。企業側がユーザーに向けて情報を発信するため、使用する媒体全般を含めて「オウンドメディア」と呼びます。
オウンドメディアではユーザーのニーズをくみ取った情報を発信していく傾向があり、従来型の広告とは運用が大きく異なる点を理解しておくことが必要です。以下、オウンドメディアに関して、運用するメリットや果たす役割について解説します。
オウンドメディアを運用するメリット
オウンドメディアを運用することには、おもに以下のようなメリットがあります。- 広告費を削減できる
- ユーザーの情報を得やすい
- 発信する内容をコントロールできる
- ブランディングがしやすい
また、サイト内で会員登録をおこなってもらうことで、より詳細なユーザー情報を獲得できます。発信する情報をコントロールできることも、同業他社との差別化に有効です。
同様に、ブランディングもおこないやすいため、自社が目指すブランドイメージを構築しやすいこともオウンドメディアを活用するメリットといえます。
オウンドメディアが果たす役割
オウンドメディアには、検索エンジンやSNSを経由してユーザーが流入します。有益な情報を提供しながら、自社のブランディングや認知拡大、リード獲得など、さまざまな企業課題にアプローチする手段として活用されます。
顧客のニーズに応えるコンテンツを用意して、企業とユーザーの信頼関係を深めることがオウンドメディアの重要な役割です。オウンドメディアによって見込み顧客の獲得や既存顧客のファン化に成功すれば、長期的な顧客エンゲージメントも期待できます。
オウンドメディア立ち上げの5つのステップ
オウンドメディアの立ち上げは、以下の5ステップで進めます。
- 目的や戦略の策定
- コンテンツの決定
- サイト構築
- コンテンツの作成
- 運用
オウンドメディアを成功させるには、一つひとつのステップを計画的に進めていくことが重要です。ここでは、各ステップのポイントを分かりやすく解説します。
ステップ1.目的や戦略の策定
オウンドメディアの目的は、以下のように多岐にわたります。
- 見込み顧客の獲得
- 認知度の上昇
- 採用活動の強化
目的を設定したら、その実現のために具体的な戦略を策定します。オウンドメディアの集客方法やCVポイント、KPI、ペルソナを設定し、コンテンツ作成の方針を固めましょう。
ターゲットとなるペルソナの設定は特に重要です。アンケートやSNS、アクセス解析、競合分析を通じて、年齢や性別、職業、家族構成といった詳細情報まで定めた理想の顧客像を描いておきます。
ステップ2.コンテンツの内容決定
オウンドメディアの目的と戦略、ペルソナ設定に基づき、コンテンツをどのように展開するかを検討します。その際には、ペルソナのニーズを広くカバーできるような「コンテンツマップ」を作成することが必要です。
コンテンツマップとは、オウンドメディアに掲載する多数の記事を階層構造で表したものです。カテゴリごとに記事を分類・整理することで、コンテンツの作成と管理に役立ちます。ユーザーが読みたい記事にアクセスしやすくなるため、メディアのユーザビリティーも高めます。
ステップ3.サイト構築
サイト構築では「内製(自社作成)」と「外注」のどちらかを選択します。予算や時間、コンテンツを考慮して最適な方法を選びましょう。内製はメディア担当者を配置する必要がありますが、小回りの効くサイト構築やコンテンツ作成が可能です。
外注はコスト高になりやすいですが、専門知識を持ったプロに任せられます。外注で希望に沿ったサイト構築をしてもらいたい場合は、ヒアリング能力や提案力を重視して制作会社を決定することが望ましいです。
ステップ4.コンテンツの作成
サイトが完成したら、コンテンツである記事を作成していきましょう。記事を作成する際は以下3つのルールを策定し、重要な4つのポイントをおさえておきましょう。
【記事制作する際に決めておくべき3つのルール】
- 編集体制の構築
- ライティングルール作成
- CVの設定
【記事を作成する際の重要な4つのポイント】
- 狙うキーワードを決定する
- 検索意図を想定する
- 記事の構成を練る
- キーワードと検索意図を組んだライティングをおこなう
上位表示を狙うためには、まずはGoogle上でどのようなキーワードが検索されているのかを調べ、記事化するべきキーワードを絞っていきます。自社が提供する商品やサービスと関連したキーワードを狙いましょう。
次に、キーワードを検索するユーザーの意図を考えます。どのような疑問や悩みがあって検索しているのか、その人がインターネットで検索するに至った背景を想像しましょう。
そして、ここまでの内容を踏まえた記事構成を考え、ライティングを行います。狙うキーワードや想定した検索意図とズレが生じてしまわないよう、注意してください。
ステップ5.運用
オウンドメディアの運用フェーズでは、サイトデータから実際のユーザー行動を分析し、戦略設計とコンテンツの展開方法を振り返ります。良い反応が得られたコンテンツを評価する一方で、サイトの改善点も冷静に判断し、必要であれば戦略設計を微調整しながら次のマーケティング施策・コンテンツ制作へとつなげていきます。オウンドメディアの運用では、こうした一連の流れを安定的に実施できる体制づくりが不可欠です。
また、運用の成果を社内の誰もが理解できるように、記事制作数や問い合わせ数、PV数、CV数などのデータを可視化することが重要です。これらのデータを適切にダッシュボード化し、KPIと合わせて把握できる環境を整えることで、より効果的なオウンドメディア運用が可能になります。
オウンドメディア立ち上げにかかる費用は?
オウンドメディアを立ち上げる際の費用は、サイト規模や内製・外注によって大きく異なります。
【オウンドメディア立ち上げの費用感】
サイト規模 |
構築費用(内製) |
構築費用(外注) |
運用費用 |
小規模サイト |
無料~20万円 |
20万~300万円 |
無料~1万円 |
中規模サイト |
20万~100万円 |
1万~20万円 |
|
大規模サイト |
300万円以上 |
300万~1000万円 |
10万~30万円 |
外部にコンサルティングを依頼する場合は、月額で30万〜100万円ほどの費用が別途かかります。
CMSを使ったオウンドメディア
オウンドメディアを外注で立ち上げる方法として、最もコストを抑えられるのは、制作会社にWordPressなどのCMSを活用した形式で委託する方法です。
CMSで10ページ前後のオウンドメディアを立ち上げる際の費用相場は、最低でも20万円以上とされています。サイト規模や制作する記事の質と量によっては、CMS構築でも100万円を超えるケースがあります。
記事や画像を自社で用意し、デザインにもこだわらないのであれば、外注でも費用を抑えることは可能です。ただし、フリー画像や無料テンプレートを利用すると、他社との差別化は難しくなります。
オリジナルのオウンドメディア
一からコーディングされたオリジナルのオウンドメディアの立ち上げ費用は、設計や機能によって異なりますが、小・中規模サイトで100万〜300万円、大規模サイトであれば1,000万円前後になる場合もあります。
費用の内訳には、サイトの企画やオリジナルデザインの制作、初期コンテンツの制作などが含まれます。コンテンツ制作費用は、SEO記事で1本あたり1万〜10万円、インタビュー記事では2万〜15万円が一般的です。オリジナルのオウンドメディアは、他社との差別化を図りたい場合に適した選択といえます。
なぜオウンドメディアが注目されるのか?
オウンドメディアは、現代のマーケティング戦略において注目が高まっています。その背景には以下のような理由があります。
- 会社としての資産・ブランディングになる
- コンテンツの重要性が高まった
- コンテンツをSNSなどで発信できる
一つ一つ詳しくみていきましょう。
会社としての資産・ブランディングになる
オウンドメディアは、企業のブランディングに直結する重要なツールです。専門的な情報を発信することで顧客から信頼や支持を得ることができ、企業イメージの強化やブランド価値の醸成につながります。
もし検索結果の上位表示を達成できれば、それだけで多くのユーザーに認知してもらうことが可能です。長期的には、オウンドメディアが企業の知名度を高め、他社にない魅力をアピールできる貴重な資産となるでしょう。
コンテンツの重要性が増した
現代では価値観が多様化し、ニーズをつかんだコンテンツの重要性が一層高まってきています。そのため、ターゲットに合わせた専門性の高い情報提供はマーケティング戦略においても重要です。
一般消費者向けのBtoCオウンドメディアでは、商品・サービスに関連する情報だけでなく、読み物として楽しめるコラムや社員のインタビュー記事なども人気があります。
一方、企業を顧客とするBtoBオウンドメディアにおいては、課題解決につながる記事のほか、ホワイトペーパーやカタログ、解説動画などがキラーコンテンツとして有効です。
コンテンツをSNSなどで発信できる
オウンドメディアのコンテンツは検索エンジンだけでなく、SNSなどの各種プラットフォームでも発信できます。扱っている商品やサービスによっては、ホワイトペーパーを作成するよりもSNSでの発信が有効に働くケースがあります。
オウンドメディアを着地点とし、異なる顧客層に最適な媒体を選択してマーケティング戦略を展開することで、より広範囲なターゲットへのアプローチが可能です。
オウンドメディアの3つの成功ポイント

- 運用の目的・目標を定める
- 長期的な運用が前提となることを意識する
- フェーズに分けて戦略を変える
以下、それぞれ詳しく解説します。
運用の目的・目標を定める
オウンドメディアを成功させるためには、KPIやKGIを明確に設定し、その達成に向けて運用していくことが非常に重要です。たとえば、リードの増加やCV率の向上を目的にしているのであれば、単にPV数が増えただけでは目標達成とはなりません。
自社で設定した数値目標を随時確認しながら、戦略の見直しや新しい施策の計画・実行が求められます。
長期的な運用が前提となることを意識する
オウンドメディアの運用ノウハウがあっても、成果が現れるまでにはある程度の期間が必要です。検索エンジンでの上位表示を目指す場合、継続的なコンテンツの更新とSEO対策が必須となります。
キーワード流入数などのデータ計測や施策の効果検証、運用体制の見直しを定期的に行いつつ、長期的視点で取り組まなければなりません。
フェーズに分けて戦略を変える
オウンドメディア運用の各フェーズで、細かく戦略を立てていくことが重要です。たとえば、PVを増やすフェーズでは、どのキーワードやコンテンツで検索結果の上位表示が可能かを分析し、戦略を調整します。
SNSや広告を利用するなど、SEO以外のアプローチ方法に変更することも有効です。CV率をアップさせたいなら、CTAやマイクロコピーの調整、導線設計の見直し、キラーコンテンツの充実といった施策を検討します。
【BtoC】オウンドメディアの3つの活用事例
オウンドメディア立ち上げ時に掲げていた目標をいち早く達成するために、成功事例から学ぶことも重要です。
ここでは、BtoCオウンドメディアの運用が成功した例を3つ紹介します。自社のサイトに活かせる点があれば、積極的に取り入れてみましょう。
LISKUL
ソウルドアウト株式会社が運営する「LISKUL」は、月間平均PV数50万を誇るオウンドメディアです。Webマーケティングに役立つノウハウを発信し、ユーザーにとって有益な情報を提供し続けています。
その結果、オウンドメディアを開始した当初は月3件ほどであった問い合わせが、現在では月200件以上となりました。
自社独自の情報やノウハウをあえて公開することで、ユーザーの興味・関心をひきつけています。
北欧、暮らしの道具店
株式会社クラシコムジャーナルが運営する「北欧、暮らしの道具店」のオウンドメディアも成功例の一つです。
もともとECサイトを運営していた同社ですが、オウンドメディアと融合させることで、情報に触れて興味を持ったユーザーがスムーズに商品を購入できるようになりました。
商品の活用方法を配信するなど、購入後の使い方をイメージしやすいよう工夫している点も人気の理由といえるでしょう。
LINE
LINE株式会社が運用する「OnLINE」は、人材採用を目的に、社内情報を発信するオウンドメディアです。
社内での取り組みや職場完了などを発信することで、会社の雰囲気をストレートに伝えています。事前に職場の雰囲気を伝えることで、企業と応募者の間に生じやすい「認識のズレ」の軽減にもつながっているようです。
まさに、一石二鳥のオウンドメディアといえるでしょう。
【BtoB】オウンドメディアの2つの活用事例
BtoB企業でもオウンドメディアを活用して成果を上げた事例が多くあります。ここでは、「テレアポ職人の秘伝の技」と「経営ハッカー」を取り上げ、解説します。
テレアポ職人の秘伝の技
株式会社インターパークが運用している「テレアポ職人の秘伝の技」は、テレアポの専門ノウハウを提供するオウンドメディアです。定期的な記事更新は行われていないものの、テレアポに関するノウハウが詳細かつ大量にまとめられているため、業界内で高い評価を得ています。
市場のニーズに応えた独自のコンテンツ提供により、テレマーケティングを行う企業から多くの流入があり、自社商品(テレアポ専用リスト管理システム)のリードを効果的に集めています。
経営ハッカー
「経営ハッカー」は、freee株式会社が運営するオウンドメディアです。おもに中小企業の経営者へ向けて、会計や登記といった経営全般にわたる情報を提供しています。
経営テクニックから最新のビジネストレンドまで幅広いコンテンツが掲載されているため、新規経営者にとっては大きな助けとなるでしょう。経営者のノウハウを提供することで、顧客の育成にも役立っています。
※関連コンテンツ:BtoB業界向けオウンドメディア成功事例10選
まとめ:効果的なオウンドメディアを立ち上げよう!
オウンドメディアの立ち上げを検討する方へ向けて、概要やメリット、サイト運用までのステップ、成功のコツ、成功事例などを解説しました。
オウンドメディアは、人材と同様です。分析と改善の繰り返しによって、徐々に成長していきます。短期間での効果を求めず、長いスパンでオウンドメディアを育てていきましょう。
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