営業にも働き方改革を〜営業活動を効率化するSFAの導入メリットとワンランク上の活用法〜
更新日:2024-10-22 公開日:2020-03-02 by SEデザイン編集部
日本でも「働き方改革」とITの進化により屋内で行えるインサイド型の業務はテレワークなどの働き方に変化してきました。一方で、屋外での業務が中心となるフィールド型の営業活動においては、まだまだ改革する余地があります。
営業は企業の業務の中でも利益を得るための中心業務ですが、営業担当者個人の能力やマンパワーに頼りがちで、営業活動全体のパフォーマンスを標準化しにくいものです。しかし、業務のIT化が進んだおかげでかなりのレベルまで効率化できるようになってきました。これを実現するのがSFA(Sales Force Automation)です。
今回はSFAについて、何を効率化出来るのか、導入のメリット、各社から提供されているSFAツール、ワンランク上を行く活用法を紹介します。
SFA(Sales Force Automation)とは
SFAとは、営業担当個人が持つ顧客情報や案件の進捗状況、商談の成功例や失敗例など、営業活動で日常的に行われる業務の内容をデータ化し、個人にとどまりがちだった情報をチームや会社全体で共有することで、営業の生産性と効率を上げ、かつ、業務プロセスを自動化するためのツールを指します。
主な機能として以下のようなものがあります。
- ・顧客情報管理:住所、氏名、会社名など顧客情報をデータベース化し管理する機能
- ・案件管理:見込み客から受注までの案件情報を管理する機能
- ・商談管理:商談の進捗状況、問題点などを管理する機能
- ・営業活動管理:営業マンの客先訪問数やテレアポ数など営業プロセスを管理する機能
- ・売上の予想、予実の管理:営業担当、チームごとの売上予想、予実管理を行う機能
SFA(SalesForce Automation)導入のメリット
それでは、SFAを導入することによってどのようなメリットがあるのでしょうか。次に、SFA導入によるメリットを紹介します。
営業管理者のメリット
- SFAで共有された各種情報により、営業活動が視覚化されて把握しやすくなるため、受注可否の判断や営業担当へのアドバイスが行いやすくなります。また、営業担当の評価測定も適切に行うことができます。
- 案件進捗の遅滞や利益率が大幅に少ない案件といったイレギュラーな案件が早期に発見されやすく、原因の分析、改善などの処置を早期に行うことができます。それにより、利益や売上額などの影響を少なく済ませることが可能となります。
- 営業担当個々人からのヒアリングをせずとも、売上予想、予実の見込みをすぐに引き出せます。
営業担当個人のメリット
- SFAで共有された情報から、成功した行動パターンが確認できるため、商談成功率を上げることができます。
- アラート機能により、アポイントメントの忘れ、タスクの抜け漏れなどを減らすことが可能です。
- 時間がかかっていた手書きでの日報作成もツール上で行うことができるため、作業時間が短くなるだけでなく、報告漏れも減らせます。
経営者のメリット
- リアルタイムで売上予測の確認や予実の管理ができるため、会社の状況を常に把握できます。
- 先輩社員の商談内容や営業活動が確認できるため、新人や中途採用の社員に向けた教育・研修に役立ち、教育費の削減につながります。
おすすめのSFAツール
各社からあらゆる機能や特徴をもったSFAが提供されています。ここでは、その中からおすすめのSFAを紹介します。
HubSpot Sales Hub
(画像出典:HubSpot Sales Hubウェブページ)
HubSpot社が提供する「HubSpot Sales Hub」は、無料から利用が可能なオールインワンのセールス支援ツールです。利用できるユーザー数は無料版でも無制限のため、営業チームの規模を問わずに導入できます。顧客の属性に最適化されたメールやメッセージを自動配信、リードとのコンタクト情報、メールの開封を自動記録するなど、便利な機能と高度な自動化で営業活動を効率化を実現することができます。
同社が提供している無料の顧客管理システム「HubSpot CRM」を標準で連携しているため、マーケティングから顧客管理までの作業を効率化し、一元管理できます。
- 初期費用:0円
- 最低月額費用:0円~
- 無料トライアル:あり
eセールスマネージャー
(画像出典:eセールスマネージャー ウェブページ)
国産SFAのeセールスマネージャーには、5,000社以上の導入事例があり、日本の営業スタイルに合った作り込みと低価格で利用できることから顧客満足度が非常に高いSFAツールです。日本の外回り中心のフィールドセールスに合わせて作られており、営業マンが屋外から利用することを考慮して、活動報告はスマホから手軽に入力できるようになっている他、入力されたデータはクラウドを通じて全てのツールに反映されます。サポートも5,000社以上の導入実績から得たノウハウでチャットや電話を通じて徹底的にサポートしてくれます。
- 初期費用:0円
- 最低月額費用:6,000円/ユーザー~
- 無料トライアル:あり
cyzen(サイゼン)
(画像出典:cyzen(サイゼン)ウェブページ)
現場による現場のための営業支援ツールとして開発されたSFAであるcyzenには、1,300社の導入実績があります。スマートフォンでの利用に特化しており、GPSの位置情報から、顧客訪問の最適ルート、現場スタッフの状況等がわかる他、操作もスマホゲームアプリの感覚で、簡単に片手でデータ入力出来るなど、営業マンからの評価が高いSFAです。
- 初期費用:0円
- 最低月額費用:要問い合わせ
- 無料トライアル:あり
Senses(センシーズ)
(画像出典:Senses ウェブページ)
1,300社の導入実績があるSensesは、基本的な機能をカスタマイズなしで使えることに定評があります。ドラッグアンドドロップで直感的に操作出来るカード式の画面は、複数の案件の進捗状況もひと目でわかり、案件の更新頻度が下がるとカードの色が変わり、顧客への対応漏れや機会損失防止に役立ちます。また、Gmailやカレンダー、名刺管理、チャット、請求書などの外部サービスと連携することで、案件を一元管理することが可能となっています。。
- 初期費用:0円
- 最低月額費用:25,000円(5ユーザーまで)~
- 無料トライアル:あり
Salesforce Sales Cloud
(画像出典:Salesforce ウェブページ)
SFA/CRM世界シェアNo.1のSalesforceが提供するSFAのがSalesforce Sales Cloudです。主に大企業で運用されています。SFAに人工知能(AI)を導入し、案件に結びつきそうなリード(見込み客)を自動で評価し、適切な営業担当に振り分けてくれる機能があります。また、セキュリティ面でも定評があり、公共機関でも利用されています。
SalesforceのMA、CRMとの連携でマーケティングから顧客管理まで一貫したシステムとして利用も可能となっています。
- 初期費用:0円
- 最低月額費用:9,000円/ユーザー~
- 無料トライアル:あり
JUST.SFA
(画像出典:JUST.SFAウェブページ)
「一太郎シリーズ」やIMEソフトの「ATOK」でお馴染みのジャストシステムが提供するJUST.SFAは、ソフト開発の老舗が開発しただけあって、誰でも使え、定着できるシステムとなっています。特徴的なのは必要な情報を一画面に集約し、情報の並び順や追加情報を利用に合わせてカスタマイズをマウス操作のみで簡単に行えることです。
- 初期費用:0円
- 最低月額費用:要問い合わせ
- 無料トライアル:あり
Knowledge Suite
(画像出典:Knowledge Suiteウェブページ)
純国産のSFA、Knowledge Suiteはコストパフォマンスが優れたSFAです。SFAの利用料金は利用するユーザー数に応じて課金されるのが一般的ですが、Knowledge Suiteは、ユーザー数は無制限で、利用するデータ容量で課金されます(5GBまでは一律50,000円)。日本人向けに作られており、操作しやすいUIにも定評があります。
機能面ではSFA機能の他にグループウェア機能、名刺スキャン機能、メールフォーム作成機能、営業支援メール作成機能などがあります。
- 初期費用:0円
- 最低月額費用:50,000円~
- 無料トライアル:あり
SFAをワンランク上で活用するには
SFAは、一言でいえば「見込み客(リード)に対する営業活動業務を効率化するツール」ですので、見込み客がいてはじめて機能します。また、受注に至った既存顧客の管理の役割もありません。見込み客発掘のための効率化にはMA(Marketing Automation)、顧客管理を効率化するにはCRM(Customer Relationship Management)といった別のツールが必要となります。
企業のマーケティング・営業活動において、特にインバウンドマーケティングでは、MA→SFA→CRMと連携させることでITによる効率化を完結することができます。この連携により営業部門だけではなく、マーケティング部門や会社全体での情報共有を可能とし、さらなる効率化が図れることとなります。
最後に、このMA→SFA→CRMという一連の効率化システム構築に最も適したツール、HubSpot Sales Hubに関して、機能を中心に紹介しましょう。
HubSpot Sales Hubの主な機能(Starter版の機能)
■アウトリーチを合理化する機能
- ・Eメール追跡&通知:Eメールが開封確認、通知のリアルタイム表示。
- ・Eメールシーケンス:フォローアップメールやタスクを自動化。
- ・コール:VOIPを使用した通話。録音可能、自動的に記録
- ・Messengerとの連携:Facebook Messengerを活用して自動的にコンタクト情報を獲得。
■条件に従ってプロスペクト(見込み客)とつながる機能
- ・ウェブチャット:訪問者がサイト閲覧時にチャットを行う。
- ・チャットボット:ボットを利用してウェブチャットの拡大が図る。
- ・ミーティング設定:ミーティングの予約リンクを顧客と共有し日程調整を省力化。
- ・Eメールのスケジュール設定:プロスペクト個別のメールを作成、最適なタイミングで配信。
- ・Eメールテンプレート:効果的なEメールを保存し繰り返し利用。
- ・スニペット:プロスペクトからのよくある質問に対し繰り返し使用できる回答を作成。
- ・ドキュメント:プロスペクトと簡単に共有できる営業資料のライブラリを構築。
■営業プロセスを追跡、反復、改善する機能
- ・レポートダッシュボード:営業活動および業績に関する詳細な指標を確認。
- ・取引パイプライン:取引を追跡し、成約の確率に基づき将来の収益を予測。
- ・担当者の生産性パフォーマンス:各機能を利用する担当者の生産性を確認。
■HubSpot CRMの全機能
・HubSpot CRMの機能の詳細、導入方法はこちらの記事「無料のHubSpot CRM HubSpot CRMの機能と使い方を徹底解説」を参照下さい。
HubSpot Sales Hubの種類と利用料金
- ・Free
- セールス担当者1名が使用する場合に最適
- 月額利用料 0円
- ・Starter
- 小規模なセールスチームがセールスサイクルを短縮してクローズ率を改善するために不可欠なツール
- 月額利用料 6,000円(1ユーザー)~
- ・Professional
- 成長中のチームがセールスプロセスを自動化して規模拡大するための包括的なセールスソフトウェア
- 月額利用料60,000円(5ユーザー)~
- ・Enterprise
- 高度なチームが制御を強化して柔軟性を高めるための最も強力なセールスソフトウェア
- 月額利用料144,000円(10ユーザー)~
SFAの進化、企業への導入によりIT化がこれまで難しかった営業の効率化を実現し、働き方自体が大きく変わってきました。特に電話やEメールを使ったインフィールドセールスに関しては働き方改革が加速度的に進んでいます。外回り中心のフィールドセールスいおいても同様に効率化が図られ、少子高齢化社会を背景に大手企業を中心に準備が進んでいます。
また、中小の企業においても、より少ない人員で効率的に利益を上げなければなりません。昨今のSFAは専任者を置かなくとも誰でも使えるものが主流となり、導入や運用も簡素化されてきました。
すでに、SFAなどの効率化ツールが当たり前である時代です。世界のトレンドに乗り遅れず、事業を成功に導くためにも、ぜひSFAの導入を検討しましょう。