昨今、多くの企業がWebマーケティングに注力し、集客やリード獲得のための施策を行っていることと思います。しかし、どれだけ流入を増やせても、CV(コンバージョン)に至らなければビジネス成果にはつながりません。
そこで、2025年1月に開催した株式会社アピリッツとの共催ウェビナー「CVRを最大化するコンテンツ制作のポイントとサイト運用の秘訣」では、コンテンツ制作とサイト運用の両面から、CVRを最大化するためのポイントに焦点を当ててお話しました。
ウェビナーは2部構成とし、第1部では当社SEデザインの大嶺より「どのようなコンテンツを作ればCVRを高められるのか」という考え方を解説し、第2部では株式会社アピリッツの斉藤氏が「サイト運用でCVRを改善するための視点や手法」を紹介しました。
今回の記事では、ウェビナーの内容をダイジェストでお伝えします。
「コンテンツを増やしているのに、CVが思うように伸びない」
「作ったコンテンツをどのように検証・改善すべきか分からない」
「運用に力を入れたいが、何から始めるべきか迷っている」
こうした悩みをお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。
なお、本ウェビナーでは、CVを“フォーム送信”と定義し、CVRは“フォーム設置ページの訪問者数に対するフォーム送信数の割合”として話を進めています。各社それぞれのゴール設定はあると思いますが、一つの指標例として捉えていただければ幸いです。
第1部:CVRを最大化するコンテンツ制作の秘訣
ここからは、「どんなコンテンツならCVRを高められるのか」について紹介します。ユーザーの期待と自社の強みを掛け合わせ、いかに「ダウンロードしたくなる」「読んでみたくなる」情報を設計できるかがポイントです。
コンテンツマーケティングはCVにつなげやすい手法
BtoB領域でコンテンツマーケティングが注目されている背景として、「“売り込む”のではなく、顧客に“見つけてもらう”ことで信頼を高めるインバウンドマーケティングが主流になりつつある」ことが挙げられます。
広告のような、こちらから売り込む従来のマーケティングでは、せっかく良いサービスを持っていても、きちんと理解してもらう前に離脱されてしまいやすい状況でした。一方、顧客に有益な情報を提供するコンテンツマーケティングは、顧客主導で自社サイトに触れてもらえるため、結果的にCVにつながりやすくなります。
当社で行った「コンテンツマーケティング実施状況に関する調査」では、コンテンツマーケティングに取り組んでいる企業のうち「75%が何らかの成果を感じている」という結果となりました。ただし、そこからさらにKGI(最終目標)を達成できている企業は3割ほどにとどまります。
つまり、コンテンツを“ただ作る”だけではうまくいかず、「誰にどんな価値を提供するのか」を明確に設計することが大切だといえます。
資料ダウンロードのハードルは上がっている
資料ダウンロードもリードを獲得する方法の一つですが、“期待とのギャップ”が大きな課題となっていると感じます。たとえば「ノウハウ資料だと思ったのに実際はサービスの宣伝ばかりだった」「中身が薄くてがっかりした」というものです。「すぐに営業電話がかかってきそう」とダウンロードをためらう人も増えており、資料ダウンロードの心理的ハードルは以前よりも上がっているように思います。
お客さまが「本当に欲しい情報が得られるのか」「そこまでしてダウンロードする意味があるのか」を厳しく見極めるようになった今だからこそ、期待値とのギャップをいかに埋めるかが大切だと感じています。
CVRを高めるコンテンツに必要な2つのポイント
では、どのようなコンテンツであれば、ダウンロードまで踏み切ってもらえるのでしょうか。 それは、以下の2つのポイントが大きな鍵になると考えています。
ここでしか手に入らない価値ある情報
たとえば、自社独自のノウハウやフレームワーク、導入事例、他には出回っていない独自の調査データなどです。貴重かつ有益な情報であれば、ダウンロードしたいと思ってもらいやすくなります。
いくらあっても困らない汎用的な情報
一方で、調査レポートやテンプレート、チェックリストなど、複数あっても困らない情報も人気です。「まずは情報収集したい」「さまざまな資料を集めて比較検討したい」と考えるユーザーは多いため、汎用的なコンテンツは、ダウンロードしてもらいやすい傾向にあります。
これら2つの視点を押さえておけば、CVRは大きく変わってくるはずです。
おすすめしたい3つのコンテンツタイプ
さきほどの2つの視点を踏まえ、特におすすめしたいのが「ガイド型/テンプレート型/導入事例」の3種類です。
コンテンツタイプ |
対象フェーズ |
メリット |
|
ガイド型 |
認知段階 |
メリット |
網羅的に情報を掲載できるため、初心者から中級者まで、基礎の習得・確認を目的とした潜在顧客に訴求できる |
デメリット |
特定の領域に対する専門性が持たせにくく、先鋭化されたニーズに応えにくい |
||
テンプレート型 |
情報収集段階 |
メリット |
「まずはやってみたい」層に対して効果的なアプローチが可能で、さらなる効率化などのニーズを喚起できる |
デメリット |
自社独自のテンプレートを制作する必要がある |
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導入事例 |
比較検討段階 |
メリット |
サービスに関するリアルな声を伝えることができ、他社サービスとの差分を明確にできる |
デメリット |
顧客との調整が必要であるため、制作ペースが安定しない 大きな工数がかかる |
この3タイプのコンテンツを、自社のターゲットやユーザーの検討フェーズに合わせて用意していくと、CVRを高めることができるはずです。
特に導入事例は、非常に有益なコンテンツです。検討している製品・サービスの効果や成果を知りたい見込み客に対して効果的なのが、顧客のリアルな声を伝える導入事例です。
当社が行った「導入事例の活用状況に関するアンケート調査」でも、導入事例を「参考にする」と回答した人は64%にのぼり、多くのユーザーが意思決定時に導入事例を読んでいることが分かります。制作に手間がかかる点は課題ですが、それでも当社は重要なコンテンツとして積極的に活用すべきだと考えています。
SEデザインは約40年にわたり、外資系IT企業様を中心としたコンテンツマーケティング支援を行ってまいりました。特に導入事例においては、クラウドやセキュリティ分野をはじめ、年間150件以上、累計2,500件以上もの実績があり、ITに関する知見も豊富です。導入事例などのコンテンツ制作やCVR向上を目的としたコンテンツマーケティング戦略などについてご相談があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
第2部:CVRを改善するサイト運用とその事例
どれだけ魅力的なコンテンツを作っても、“作りっぱなし”になっていては、思うように成果を伸ばすことはできません。効果的な運用のためには、「PDCAを回して検証・改善を続ける体制」が不可欠です。ここからは、サイト運用でCVRを改善するための視点や手法をお伝えします。
CVを増やすにはCVRの改善を図ること
広告運用や記事制作、導入事例制作、メルマガ配信など、CVを増やすための施策は多くの企業が取り組んでいることと思います。
では、それと同じくらい「CVRを改善する施策」にも注力しているでしょうか。
たとえば、コンテンツを作って効果検証をしないままだと、「コンテンツが古くなっている」「バナーの設置場所が悪い」などの改善ポイントに気づけない可能性があります。そこで重要になるのが、サイト運用でPDCAサイクルを回し、細かい箇所を少しずつ改善していくプロセスです。
多くのケースでは「やっているつもり」でも、なかなかうまくいっていない現状があるように感じています。特にBtoBのサイトでは、効果検証をしたくてもサイト流入数やCVそのものが少ない、何を優先すればいいか分からない、あるいは何から手をつければいいのか分からない、といった悩みをよく聞きます。次の章からは、それぞれの悩みにたいする具体的な解決策をお伝えしていきます。
CVや流入数が少ない場合:KPIを設計
まずは、「CVや流入数が少なく、そもそも施策の評価が難しい」というお悩みです。KPIを細かく設計し、データを正しく計測できる環境を整えましょう。
たとえば最終的なCVが契約だったとしても、そこに行きつくまでの、問い合わせ数やリード数、商談数などをKPIに加えると、施策の効果を可視化しやすくなります。
斉藤氏の資料を基にSEデザインで作成
また、計測ツール(GoogleアナリティクスやGoogleタグマネージャーなど)の設定を見直し、社内アクセスを除外する、二重計測を防ぐなど、可能な限りノイズを排除することも重要です。
何をすればいいか分からない場合:複数人で課題をリストアップ
次の悩みが、「CVRを上げたいと思っているが、何をすればいいか分からない」というケースです。サイト内のどこに問題があるのか、自分の目だけでは発見しきれないことも多いかと思います。
そこで、複数人の視点を集めて課題や仮説をリストアップし、ファネル図やバブルチャートで可視化することをおすすめしています。
たとえば、トップページ→サービス詳細ページ→フォーム→CVという流れのどの段階で離脱が多いのかをファネル図で可視化すれば、ボトルネックがある地点を発見しやすくなります。
斉藤氏の資料を基にSEデザインで作成
さらに、ページごとのセッション数やCVRをバブルチャートで表示すると、「このページはアクセスは多いのにCVが低い」「このディレクトリはあまり見られていないけれどCVRは高い」というような特徴が見えてきます。
斉藤氏の資料を基にSEデザインで作成
また、エンジニアやインターン生など、普段あまりサイトを見ていないメンバーにも協力してもらい、サイトを一通り見てもらうのも効果的です。1人では気づけなかったユーザー目線や、実装・運用上の課題が見えてくることがあります。そうして課題や仮説をリスト化しておけば、「まずどこから手をつけるか?」を決める指針として活用できます。
何から始めればいいか分からない場合:CVに近い箇所を優先
最後に、「どれから手をつければいいか迷う」というお悩みに対するアプローチです。時間やリソースは限られていますから、CVに近い箇所(フォームなど)や、接触頻度が高い箇所(トップページなど)から着手するとよいと思います。
優先度を決めるための観点を以下にまとめましたので参考にしてみてください。
接触頻度 |
・ユーザーの接触が多いか(トップページ、フォーム、CTAなど) ・セッション数が多いページか |
変化量 |
・見た目や挙動が大きく変わるか(既存会員への影響はあるか) ・要素の追加・削除による変化が大きいか |
重要度 |
・修正しないと大きな機会損失につながるか(CVに直結するか) |
難易度 |
・動的変更が必要か(エンジニア対応が必要か) ・システム改修が発生するか ・クリエイティブ作成が必要か |
ここまでいろいろお伝えしてきましたが、まずは着手しやすいところからでよいので、改善に取り組むことが大切です。
A/Bテストツールなどを活用すれば、エンジニアやデザイナーに毎回依頼しなくても、文言変更やボタン配置の入れ替えなどを手軽に試せます。小さな変更を素早く検証して結果を見極めるスピード感こそが、CVR向上の大きな原動力になると感じています。ぜひ、着手しやすい箇所から始めてみてください。
まとめ
ここまで、コンテンツ制作からサイト運用まで、CV向上のポイントをお伝えしてきました。最後に、特に重要な2つのポイントを改めて整理します。
ターゲットを明確にし、価値のあるコンテンツを提供する
誰に向けた情報なのかが曖昧だと、結局「読んでもらえない」「ダウンロードしてもらえない」結果に終わりがちです。特に導入事例は、実際の成果や具体的な活用方法を示すことで「自社でもうまくいくかもしれない」と読み手に想像させることのできる、強力なコンテンツです。ターゲットを明確にしつつ、「ここでしか得られない」「いくらあっても困らない」情報を意識しながら、ガイド型・テンプレート型・導入事例などを適切に活用していきましょう。
PDCAを回してサイトの改善を続ける
どれだけ良質なコンテンツを用意しても、“やりっぱなし”では成果が伸び悩むことがあります。定期的にデータを計測し、仮説を立てて施策を試し、結果を評価して次の改善につなげる――このサイクルを継続することで、コンテンツの効果を最大化しながらサイト全体のCVRを少しずつでも確実に高めていくことができるはずです。
SEデザインでは、さまざまなコンテンツマーケティングの支援を行っております。コンテンツマーケティング戦略やコンテンツ制作に関するお悩みがございましたら、SEデザインまでお気軽にご相談ください。貴社に最適な施策やプランをご提案させていただきます。