「トラックバック」は、被リンクを獲得する方法の一つとして紹介されることがあります。しかし、現在はトラックバック機能が不要だという意見も聞かれます。
今回は、トラックバックの意味やその機能やメリット・デメリットを説明したうえで、トラックバックの必要性やピンバックとの違いを分かりやすく解説します。
トラックバックとは
「トラックバック(TB)」は、おもにブログサイトで活用される機能です。記事を引用した際に、その引用元ページのサーバーへ通知(トラックバックPing)が送られる仕組みを意味します。ここでは、トラックバックの機能とメリット・デメリットを解説します。
トラックバックの機能
「トラックバック」は、ほかのサイトやブログの内容を引用・参照した際に、他者に通知するシステムです。
トラックバックが登場する前は、参照・引用元のURLを記事内に記述した後で「あなたの記事を引用したのでリンクを貼りました」という連絡をメールなどで行い、引用元からリンクを獲得していました。トラックバックは、この一連の流れを自動化することに成功したものです。
具体的な作業としては、引用・参照した記事のURLを掲載し、トラックバックURLを入力することで完了します。トラックバック機能により参照・引用元へ自動的に通知が行き、承認されれば相互リンクを構築できます。メールなどでのやり取りが不要なため効率が良く、短期間で大量の被リンク獲得も可能です。
トラックバックのメリット
トラックバックのメリットとして、以下の3点が挙げられます。
アクセス数の増加
参照・引用元の記事に自分の記事へのリンクが表示されることで、アクセス数が増加する可能性が高まります。しかし、アクセス数の増加を目的とするトラックバックの活用は、スパム行為になるため注意しなければなりません。
コミュニケーションコストの軽減
直接的なやり取りをせずに相互リンクが構築できるため、コミュニケーションにかける労力を減らせます。ただし、通知を承認をする、あるいは承認を待つといった手間は必要です。
SEOへの好影響
相互リンクが形成されるため、検索エンジンのクローラーの巡回頻度が高まり、間接的なSEO効果が期待できます。現在はリンクの質も考慮されることから、無差別なトラックバックは逆効果となる点は知っておきましょう。
トラックバックのデメリット
トラックバックのデメリットは以下の3つです。
設定・送信の作業が必要
参照元記事内に設置されたトラックバックURLを探し、手動で送信する必要があります。また、トラックバックURLが見つからなければ送れません。
相手の承認が必要
参照元のブログ運営者にトラックバックを承認してもらえない場合、リンクが獲得できません。通知を拒否または放置されると、それまでの送信作業が徒労となってしまうため、トラックバックの扱いについて注意書きを確認しましょう。
リンクスパムの被害
トラックバックを受け付けることで、リンクスパムが殺到する可能性があります。ブログの信頼性に悪影響が出るだけでなく、検索順位が下落するリスクもあります。トラックバックを承認制にするか、WordPressなどのCMSでは対策プラグインの導入が必要です。
トラックバックを悪用したスパム行為
過去にトラックバック記事一覧を自動的に表示するブログでは、サイトリンクを自由に掲載できました。一方で、その機能が悪用される「トラックバックスパム(TBスパム)」も同時に増加しました。
具体的には、アフィリエイト商品の宣伝やSEOを目的に、記事の内容とは無関係なトラックバック通知を、無差別に送信するスパム行為です。これにより大量のトラックバック通知が発生し、受信側のブロガーに膨大な承認可否作業を強要する流れになりました。そして、多くのブロガーが実害を訴えるようになり、トラックバック機能を忌避する傾向が強まっていきました。
2012年4月には、スパム被リンクを排除するGoogleコアアップデート(ペンギンアップデート)がリリースされ、それ以降トラックバックは減少しています。
当時は低品質のコンテンツでも、被リンク数の多さだけで検索上位を獲得できました。しかし、このペンギンアップデートによってSEOスパムと低品質な被リンクに頼ったWebサイトはほぼ駆逐されたといえるでしょう。
トラックバックの必要性
今となってはトラックバックを活用する必要性はないでしょう。
トラックバックは、2000年代初頭のブログブーム時には非常に人気があり、ほとんどのブロガーにとって必須ともいえました。しかし、先述したようにスパム行為が多発したため、トラックバックを無効化または廃止するプラットフォームが急増しました。
引用元:総務省「インターネットの登場・普及とコミュニケーションの変化」
また、2000年代後半からFacebookやX(旧Twitter)、InstagramといったSNSが登場し、ブログの勢いが弱まったこともトラックバック衰退の一因といえるでしょう。
現状ではソーシャルメディアやコメントシステムによるコミュニケーションが主流で、トラックバックを活用して被リンクを獲得しようとするサイトは少ない状況です。
トラックバックとピンバックの違い
「ピンバック」とは、引用URLに対して自動的にトラックバックpingを送信するWordPressの機能です。WordPressで作成したブログ同士であれば、相手の投稿へのリンクを貼るだけでピンバックが作成できます。
当初はトラックバックが手動送信であったことから、自動送信のピンバックは区別されていました。引用・参照した際の通知機能という点で、トラックバックと同じ仕組みであり、現状はトラックバックも自動化されたため、ピンバックとトラックバックは実質、同じ機能と捉えられるでしょう。
トラックバックの設定方法
トラックバック機能を使う場合は、想定外の挙動を起こさないように正しく設定しておく必要があります。トラックバックの設定や送信・返信の方法は以下の通りです。
- ブログまたはホームページの記事に引用元のリンクを貼り、トラックバックの送信URLを獲得します。
- 「HTTPPOSTリクエスト」で以下の内容を送信しましょう。
・title
・excerpt
・url
・blog_name
※上記の中で、urlは必須項目です。その他は任意となります。 - 送信に成功した場合、相手のトラックバックシステムが機能していればXML形式でレスポンスが返ってきます。
引用元が拒否設定を行っている場合は、引用元の記事に自サイト(引用先)の記事URLは表示されません。また、承認制にしている場合は、承認されるまで待つ必要があります。
トラックバックの受信設定や受信対応
多くのブログプラットフォームでは、すでにトラックバック機能が廃止されています。
楽天ブログや忍者ブログ、アメブロ、ライブドアブログなどでは、利用者の減少やスパム行為の多発を理由に、2011年頃からトラックバックの送受信機能、もしくは受付機能が使えなくなりました。
WordPressでは、「設定」>「ディスカッション」内の「新しい投稿に対し他のブログからの通知(ピンバック・トラックバック)を受け付ける」で、受信可否を選択可能です。
受信許可をしている場合にトラックバック(ピンバック)を受け取ると、WordPressから「モデレートしてください」という通知メールが届きます。
WordPressにログインして「ダッシュボード」>「コメント」へと移動し、承認または拒否します。承認すれば相手のサイトにもリンクが設定され、相互リンクが構築されるという仕組みです。
トラックバックを使用する場合の注意点
現在はトラックバックを活用しているサイト・ブログが少なくなりました。一般的にはトラックバックの使用は推奨されておらず、必要も特にありません。しかし、何らかの理由でトラックバックを使用する際には、以下の点に注意しましょう。
スパム行為にならないよう配慮する
トラックバックが敬遠された最大の理由は、スパムが横行したことです。Googleやブログサービス各社では、スパム行為には厳しい措置がとられます。
トラックバックスパムと判定されないためにも、関連性のある記事にのみトラックバックを使用しましょう。関連性のない記事にトラックバックを行うと、被リンク目的のスパム行為、あるいは自サイトへの誘導目的と検索エンジンから判断されます。
また、トラックバックを受け付ける場合にも、承認制にして不適切なトラックバックを拒否するようにしましょう。
SNSの活用も検討する
トラックバックはブロガー同士、読者とのつながりを形成できる点が魅力です。
以前から固定されたメンバーとトラックバックを通じたコミュニケーションを取っている場合、引き続き使用しても特に問題はありません。
しかし、新しく仲間を見つけてネットワークを広げたい場合には、トラックバックよりもSNSを推奨します。XやFacebook、Instagramは機能が豊富で利便性が高く、拡散力も大きいためです。
最近では、SEOだけでなくSNSからの流入を増やす戦略にシフトする個人ブロガーも増えてきました。企業のSNS活用事例では、オウンドメディアとの連携で訪問者数を急増させたケースも多くなっています。
SNS戦略について知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
SNSマーケティングに関する記事
まとめ
トラックバックは被リンクの獲得や訪問者数の増加につながる機能であり、ブログの全盛期には頻繁に活用されていました。しかし、スパム行為が横行したことで、現在では、ほぼ使われなくなっています。特にメリットもないため、トラックバック機能をわざわざ設定する必要はないでしょう。
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