Webサイトの運用で成果を上げるためには、訪問したユーザーの利用状況を分析する「アクセス解析」が欠かせません。しかし、アクセス解析は専門用語やツールの種類が多く、難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、アクセス解析の目的や、指標となる専門用語、無料で使えるツールなど、基本的な知識について分かりやすく解説します。
アクセス解析とは?
アクセス解析とは、Webサイトを訪問したユーザーの属性や環境、サイト内での行動を分析することです。
たとえば、「属性」であればユーザーの性別、年齢、地域などが分かり、「環境」であれば使用デバイスやブラウザなどが分かります。「行動」では、サイトへの流入経路やページの閲覧数、離脱したページなどを分析できます。
属性 |
性別、年齢、地域、言語 |
環境 |
使用デバイス、OS、ブラウザ |
行動 |
新規/再訪問、流入チャネル、ランディングページ、直帰率、滞在時間 |
つまり、「どのような人が」「どのような方法で」「どのコンテンツをどのくらい見たか」を詳しく見ていくのがアクセス解析です。専門知識がないと難しいと思われるかもしれませんが、目的を明確にしてしっかり準備することで、初心者の方でもアクセス解析ができるようになります。
アクセス解析を行う3つの目的
オウンドメディアの運営では、資料請求や申し込みなどのコンバージョン数(CV)を増加させることが求められます。そのためには、Webサイトの問題点を見つけ、改善していかなければなりません。
アクセス解析を行う前に、まずは目的を明確にすることが大切です。アクセス解析の目的には、次の3点が挙げられます。
- Webサイトの現状を把握する
- 施策の効果を測定する
- ユーザーの行動を分析する
それぞれについて解説していきます。
Webサイトの現状を把握する
1つ目の目的は、サイトの現状を把握することです。現状が分からなければ改善点も分からないので、戦略を立てることができません。
アクセス解析により、サイトに訪れるユーザーの属性、アクセス数、来訪経路、閲覧デバイスなどを可視化することで、サイトの問題点が見えてきます。
問題点を把握できたら、それに基づいて次の施策を検討しましょう。たとえば、検索結果での順位が低い場合は記事のリライトで順位アップを狙う、1ページだけ閲覧して離脱する割合が多ければ記事の下におすすめ記事を表示する、などの施策が考えられます。
施策の効果を測定する
2つ目の目的は、施策の効果測定を行うことです。
企業のオウンドメディア運用では、改善を重ねて成果を出すことが求められます。どの施策が効果があったのか、効果がなかった施策の原因は何なのか、などをアクセス解析で検証します。たとえば、前述の「リライトで順位アップを狙う」という施策を実行した場合、その後の順位変動を確認します。
このように施策のPDCAを回してサイトを改善していくために、アクセス解析はとても重要なプロセスです。
ユーザーの行動を分析する
3つ目の目的は、ユーザーの行動を分析することです。アクセス解析でコンバージョンに至るまでのユーザーの行動を可視化し、コンテンツやコンバージョンまでの導線に問題がないかを確認します。
行動を可視化することで、ユーザーのニーズも把握できるでしょう。より効率的に成果を上げるために、ユーザーの行動を把握することは非常に大切です。
アクセス解析をする前に準備すること
準備のないままアクセス解析でさまざまなデータを集めても、時間がかかるだけで効果につなげることは難しいでしょう。集められるデータの種類が豊富であるがゆえに、結局どのデータを見て、次に何をすべきなのか分からなくなってしまうためです。
ここでは、効果につながるアクセス解析の準備のポイントを3つ紹介します。
- Webサイトのゴール(KGI)と中間目標(KPI)を設定する
- アクセス解析に必要なツールを導入する
- アクセス解析の指標を知る
Webサイトのゴール(KGI)と中間目標(KPI)を設定する
Webサイトで達成したいゴール(KGI*1)は、「認知度を向上させたい」「問い合わせを増やしたい」など企業によってさまざまです。まずは、そのKGIを明確にする必要があります。KGIが曖昧なままアクセス解析をしても、施策の方向性を間違ってしまうなどして求めていたゴールに辿り着けない可能性が高くなるでしょう。
自社サイトのKGIを明確にしたら、次に中間目標(KPI*2)を設定します。KPIは、アクセス解析の効果測定の指標となるマイルストーンのことです。
たとえば、KGIが「問い合わせ数」だとしたら、KPIは「問い合わせページの閲覧数」「サイトの訪問者数」などが考えられます。KGIもKPIも、効果測定ができるように具体的な数値で設定することがポイントです。
*1 KGI(Key Goal Indicator)…重要目標達成指標。最終目標がどのくらい達成できたかを測る指標のこと。
*2 KPI(Key Performance Indicator)…重要業績評価指標。KGIの達成に向けた中間目標のこと。
アクセス解析に必要なツールを導入する
アクセス解析でユーザーの属性や行動を知るためには、外部ツールを導入する必要があります。ツールによって入手できるデータが違うので、自社に必要な機能を備えたツールを検討しましょう。
さまざまなツールがありますが、まずは無料で使えるツールから始めてみるのがよいでしょう。おすすめの無料ツールについては次の章で紹介します。
アクセス解析の指標を知る
アクセス解析では専門用語が多く使用されます。実際にツールを導入する前に専門用語を把握していれば、スムーズにアクセス解析を行うことができます。ここでは、アクセス解析をする際に知っておきたい7つの指標を解説します。
ユニークユーザー数(UU)
ユニークユーザー数(UU)は、「Webサイトに訪問したユーザーの数」のことです。同一のユーザーが同じデバイスで複数回サイトに訪れた場合や、複数ページを閲覧した場合は「1」と計測され、別のデバイスで訪問した場合は「2」となります。
後述するページビュー数やセッション数と混同しやすいので注意しましょう。
ページビュー数(PV)
ページビュー数(PV)は、「ユーザーがページを閲覧した回数」を示します。ユーザーがページにアクセスするたびにカウントされるため、同一のユーザーが5ページ閲覧した場合は「5」となります。
PV数が多いほど、たくさんのユーザーが接触したことを意味しており、アクセス解析で指標にすることが多い数値です。
セッション数
セッション数は、「ユーザーがWebサイトを訪問した回数」を表す数値です。ユーザーがサイトに訪問してから離脱するまでを「1」とカウントします。そのため、何ページ閲覧したとしても1つのセッションです。
ただし、次の場合は同じユーザーだとしても新しいセッションとしてカウントされます。
- 30分以上の間隔を空けて訪問した場合
- 午前0時をまたいでサイトに滞在している場合
- キャンペーン切り替えのタイミングだった場合
コンバージョン数(CV)
コンバージョン数とは、商品購入や資料請求、お問い合わせ、会員登録など、目標としているアクションをユーザーが達成した数を指します。
コンバージョン率(CVR)は、「サイトを訪問したユーザーのうちのコンバージョン数」を表す数値です。CTRは、「コンバージョン数÷セッション数」で算出します。
直帰率
直帰率は、「サイトを訪問したユーザーが、1ページだけ閲覧してサイトから離脱した割合」を示す数値で、「直帰したセッション数÷セッション数」で算出できます。
直帰率は低い方が良いとされています。直帰率が高い場合はコンバージョンにつなげることが難しいため、サイトの改善を図る必要があるでしょう。
離脱率
離脱率は、「そのページでサイトの閲覧を終了した人の割合」のことです。「離脱したセッション数÷そのページの全PV数」で算出します。
ほかのページと比較して離脱率が高い場合は、そのページに何らかの原因があると考えられるため、改善を検討しましょう。
回遊率
回遊率は、「ユーザーが1回の訪問で何ページ閲覧したか」を示す数値です。「PV数÷セッション数」で求めることができます。Googleアナリティクスでは「ページ/セッション」と書かれている項目です。
回遊率が低い場合は、求める情報にすぐ辿り着けたというプラスの意味合いも考えられますが、ほかに魅力的な情報がない、ほかのページへの導線が分かりにくいといった問題が潜んでいる場合もあります。
アクセス解析におすすめの無料ツール
アクセス解析には、無料で使えるツールもいくつかあります。無料とはいえ、さまざまなデータを収集できますので、まずはこうしたツールを活用してみるのがおすすめです。
ここでは、5つの無料ツールについて、それぞれどのような解析ができるのかを紹介します。
1. Googleアナリティクス(UA・GA4)
Googleアナリティクス (UA・GA4)は、Googleが提供している無料のアクセス解析ツールです。現在はユニバーサルアナリティクス(UA)とGoogle Analytics 4(GA4)の2種類がありますが、UAは2023年7月1日に停止することが発表されています。
Googleアナリティクスでは、Webサイトを訪れたユーザーの属性やデバイスカテゴリ、流入経路、PV数など、さまざまなデータを収集できます。アクセス解析を始める際はまず導入したいツールです。
2. Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソール は、Googleアナリティクスと同様、Googleが提供する無料ツールです。サイトに訪問する前のユーザーの検索行動を把握することができます。
ユーザーが検索したキーワードや、検索結果への表示回数・クリック率などを確認できるため、SEO対策の効果検証に適しています。
たとえば、検索結果への表示回数が多いもののクリック率が低いコンテンツがあれば、タイトルやディスクリプションを改善してクリック率を上げるなどの改善策が考えられるでしょう。
以下の記事で使い方を解説していますので、併せてご覧ください。
【初心者向け】Googleサーチコンソールの基本的な使い方|設定と活用方法を解説
3. User Heat
User Heat は、株式会社ユーザーローカルが提供しているヒートマップツールで、ページ内のどの部分がユーザーに熟読されているかを色で可視化できるツールです。
ユーザーが熟読している箇所ほど色が濃く表示されます。あまり読まれていない箇所やクリックされていないボタンがあれば、原因を探ることでコンテンツの改善に役立てられます。
4. Similar Web
Similar Web は、イスラエルの企業が開発した、競合サイトの状況を把握できるツールです。
有料版に登録すると全ての機能を使用できますが、無料でもURLを入力するだけで月間訪問数、平均滞在時間、直帰率などのアクセス状況や、ユーザーの年齢、性別の分布などを確認することができます。
また、無料で使える拡張機能もあり、手軽にトラフィックデータを確認することも可能です。
5. FC2アクセス解析
FC2アクセス解析 は、アクセス数、検索エンジン、リンク元、訪問者の情報など、SEOに関する基本的なデータ分析機能を持つアクセス解析ツールです。登録すれば無料で使用できます。
アクセス状況をすぐに確認できる「リアルタイム解析」や人気検索キーワードが分かる「ソーシャル解析」、ページ内のどのリンクがクリックされたかを集計する「クリック解析」などの機能もあります。
まとめ
Webサイトの状態やユーザーの行動を可視化し、改善していくために、アクセス解析は欠かせません。自社サイトのゴールを明確にし、さまざまなデータをもとにPDCAを繰り返すことで、より成果につながるサイトを目指しましょう。
SEデザインでは、アクセス解析をはじめたいが社内にノウハウがなく難しい、データは収集しているがどのように成果につなげればいいのか分からないとお悩みの方に、戦略立案からの一貫したサポートを提供しています。ぜひお気軽にお問合せください。
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