クラウド、AI、セキュリティの3軸を統合的に支援――韓国発のAWSパートナー、MEGAZONEの取り組み

更新日:2025-07-29 公開日:2025-07-29 by SEデザイン編集部

目次

本記事では、AWSパートナーを検討している方に向けて、「AWSパートナーの選び方とおすすめ企業一覧」でご紹介した企業の実際の取り組みを、個別にご紹介していきます。今回は、MEGAZONE株式会社についてお伝えします。

多くの企業でクラウドの導入・移行は進んでいますが、現在はさらにその先、生成AIの活用、セキュリティの強化、グローバル展開といった多様で高度なニーズへの対応が求められています。そうした複雑化・高度化するニーズに対し、クラウドインテグレーターとして柔軟に対応しているのが、韓国発のグローバル企業であるMEGAZONEです。

AWS プレミアティア サービスパートナーとしての高い技術力に加え、独自のAI支援ブランド「Megazone AIR」、ゼロトラストやAIセキュリティに対応する「Megazone HALO」、さらには自社ツールを活用したコスト最適化支援など、提供価値は多岐にわたります。本記事では、MEGAZONEの支援体制や技術的強み、具体的な導入事例を通じて、同社がどのように企業のクラウド活用を支えているのかを紐解いていきます。

※こちらの記事は、2025年7月に実施した、MEGAZONE株式会社のご担当者様へのヒアリングをもとに作成しております。

 

クラウドインテグレーターとしての全体像と、AI・セキュリティへの注力

MEGAZONE株式会社は、韓国に本社を構えるMegazoneCloudの日本法人として、2019年に設立されました。また、2022年にMEGAZONEとCTC(伊藤忠テクノソリューションズ)は資本業務提携を締結し、日本国内のAWS事業で協業を実施しています。韓国ではAWSのパートナー事業をいち早く開始し、韓国屈指のAWSプレミアティアサービスパートナーとしての地位を築いています。日本法人も多様な業種のDXやAX(AIトランスフォーメーション)を支援しています。

特にMEGAZONEは、研究機関・教育機関・スタートアップといった領域での支援に強みを持っています。たとえば、オンプレミスが主流だった研究分野では、AWS上に高速かつセキュアな環境を構築し、より多くの研究者が活用できる体制づくりをサポート。スタートアップに対しては、スピード感のあるクラウド環境の構築や、成長段階に応じた運用設計、さらにグローバル展開に向けた韓国市場進出の支援など、スタートアップの成長に伴走する支援を行っています。

多様なニーズに応えるサービス群と自社開発ツール

MEGAZONEは、AWSに関する幅広い支援をワンストップで提供しています。請求代行や設計・構築、移行、運用・監視といった基本的なクラウドインテグレーションはもちろん、DevOps/IaC環境の構築、AI導入支援、コスト最適化、セキュリティ対策まで、企業のあらゆるフェーズ・課題に対応する体制を整えています。

中でも注目すべきは、自社開発ツールの存在です。汎用性の高いツールを揃え、導入企業の運用効率・コスト最適化・可視化を強力にサポートしています。

Hyper Billing:AWSの運用効率を改善しコストを最適化

Hyper Billingは、AWSの利用状況とコストを多角的に可視化し、最適化を支援するコスト管理プラットフォームです。AWS請求代行サービスの利用企業には無償で提供しています。プロジェクトやサービス単位での利用料分析、前月比の変動チェック、不要リソースの検出などが可能で、複数アカウントを運用する大規模組織にも対応。BIツールのようなインターフェースで使いやすい設計となっています。

このツールは、MEGAZONEの支援先だけでなく、CTC経由でも提供されており、企業規模を問わず導入実績を伸ばしています。

MEGAZONE_HB3.0

出典:MEGAZONE

⇒Hyper Billingの詳細はこちら

SPACE SaasOps:SaaSを統合管理し可視性を確保

 SPACE SaaSOps は、AWSをはじめとする複数クラウド環境と、企業が利用する多様なSaaSを一元管理できるプラットフォームです。どのSaaSをどのくらい使用しているのか、退職者が出た場合やプロジェクト終了後などに不要なSaaSアカウントが残っていないか、などを把握できます。また、複数のSaaSにシングルサインオンを利用できる点も特徴です。

MEGAZONE02_PoPs

出典:MEGAZONE

⇒MEGAZONE PoPsの詳細はこちら

SPACE CloudOps:マルチクラウド統合管理プラットフォーム

SPACE CloudOpsは、オンプレミス環境や複数のクラウドを一つの画面で管理できるプラットフォームで、複数のクラウドを利用することで発生するID管理やリソース管理の課題を解決します。AWSだけではなくMicrosoft AzureやGoogle Cloudなどマルチクラウドのポータルとして、複数あるクラウドIDの統合や利用料の把握、リソースの確認などが可能です。

MEGAZONE03_SpaceOne

出典:MEGAZONE

⇒SPACE CloudOpsの詳細はこちら


 MEGAZONEはこのように、自社の技術力をベースとして、単なる受託開発や構築にとどまらず、サービスとして活用できる運用基盤・可視化ツールを提供している点が大きな特長です。企業がクラウドを使いこなすうえでの“次の一手”を、実行可能な形で提供しています。

研究機関やスタートアップに強みを持つMEGAZONEの支援事例

MEGAZONEでは、大学・研究機関、スタートアップなどの領域において多数の支援実績を持っています。ここでは、特に注目すべき3つの事例を通じて、MEGAZONEの強みがどのように活かされているのかをご紹介します。

理化学研究所の事例:バーチャル富岳提供に向けたAWS環境の技術支援

理化学研究所 計算科学研究センターでは、スーパーコンピューター「富岳」を社会基盤として広く活用するため、その環境をクラウド上で再現する「バーチャル富岳」プロジェクトを進めています。AWS上での初版提供に続き、今後はソフトウェアの拡充や環境のコンテナ化を通じ、さらに多くの研究者が利用可能となる計画です。

MEGAZONEは、このバーチャル富岳の提供に際して、Gravitonによる性能検証、ParallelClusterやFSx for Lustreなどを活用したAWS運用環境の構築、SINET接続の技術支援を実施しました。

さらに、リソースの想定外利用や費用超過を防ぐために、自社開発の「HyperBilling」を活用し、クラウドコストの可視化と管理も支援。先進的な研究活動を下支えするクラウドインフラの整備を担っています。

⇒理化学研究所の支援事例の詳細はこちら

AVITAの事例:プロジェクトごとのコスト管理と韓国展開を支援し、ビジネス拡大を加速

大阪大学発のスタートアップであるAVITAは、アバターと生成AIを活用したリモート接客サービスを展開しています。複数プロジェクトが進行する中で、AWSの利用状況やコストをプロジェクト単位で把握することが課題となっていました。

そこでMEGAZONEは、自社開発のコスト可視化ツール「HyperBilling」を導入。プロジェクトごとに利用状況を細かく把握できるようになり、クラウド利用の最適化と請求処理の効率化を実現しました。

さらにAVITAは韓国市場への進出も計画しており、MEGAZONEはその展開支援もサポート。韓国での展示会出展のサポートや現地ネットワークの提供を通じて、ビジネスのグローバル展開を後押ししました。

日韓双方の市場に精通し、技術とビジネス支援の両面をカバーできる体制だからこそ実現できた事例です。

⇒AVITAの支援事例の詳細はこちら

クアドリティクスの事例:大学発の医療AIスタートアップのIaC導入と環境改善を支援

クアドリティクスは、京都大学・名古屋大学・熊本大学発の研究成果をもとに設立された医療AIスタートアップです。てんかん発作の兆候を検知し、発作の予防を目指す医療機器アプリの開発に取り組んでおり、膨大なデータの処理と管理が必要とされていました。

MEGAZONEは、インフラ構築の効率化と品質担保を目的に、IaC(Infrastructure as Code)による環境のコード化と運用設計を支援。加えて、単なるIaC導入にとどまらず、既存環境の改善提案も行い、より安定的かつ再現性のある構成を実現しました。

同社からは、「想像以上に手厚いサポートだった」「技術力の高さを感じた」といった声も寄せられており、スタートアップの技術基盤を支える頼れるパートナーとしての評価がうかがえます。

⇒クアドリティクスの支援事例の詳細はこちら


これらの事例に共通するのは、単なる技術提供にとどまらず、課題に深く入り込み、その先のビジネスの発展や、研究・技術の実装までを見据えた支援であることです。クラウド環境の最適化、AI技術の導入支援、グローバル展開の後押しなど、多様なテーマに対して、MEGAZONEは柔軟で確実なアプローチで対応しています。

MEGAZONEが選ばれる理由:3軸支援とグローバル展開支援

MEGAZONEが多様な企業から選ばれている背景には、単なるクラウドベンダーにとどまらない“支援の広さと深さ”があります。特に、「クラウド」「AI」「セキュリティ」の3軸を統合的に支援できる体制は、数あるAWSパートナーの中でも際立った強みです。

クラウド活用の“その先”まで支える3軸体制

多くの企業にとって、クラウドは単なるインフラ基盤ではなく、DXや業務改革、あるいは新規サービス開発の起点となる存在です。MEGAZONEは、AWSの設計・構築・移行・運用といったクラウドインテグレーションに加え、生成AIの導入、ゼロトラストなどを前提としたセキュリティ支援まで、一貫して対応可能な体制を構築しています。

日韓をつなぐグローバル展開支援「Go-Global」

もうひとつの特長が、韓国市場への進出支援に代表される“Go-Global”のノウハウです。韓国に本社を持つMEGAZONEは、現地の市場動向・文化・商習慣に精通しており、日系スタートアップ企業の韓国進出において、技術支援とあわせてグローバル展開の支援も可能です。

今後の展望:ディープテック支援とAX(AIトランスフォーメーション)の深化

今後、MEGAZONEがさらに注力していく分野として挙げているのが、ディープテック領域の支援と、生成AIを軸としたAIトランスフォーメーション(AX)の本格展開です。

まず、ディープテックとは、AIやバイオテクノロジー、量子コンピュータなど、深い科学的理解と技術革新を必要とする分野を指します。MEGAZONEでは、研究機関や大学といったパブリックセクターと、先端技術を担うスタートアップの支援に数多く取り組んでおり、両者が交わる“ディープテック領域”の支援に、今後さらに注力していく方針です。

特に研究機関や大学では、高度な計算環境が求められるにもかかわらず、依然としてオンプレミスが主流であり、柔軟性や拡張性に課題を抱えているケースも少なくありません。MEGAZONEは、AWSの「ITリソースが必要なときにすぐ構築でき、不要になればすぐ削除できる」メリットを活かし、研究者がインフラに煩わされず、本来の研究に集中できる環境づくりを支援しています。こうした取り組みをより多くの現場に広げていきたいと考えています。

一方で、AX(AIトランスフォーメーション)分野でも、MEGAZONEはさらなる本格展開を目指しています。生成AIへの関心が高まる一方で、多くの企業ではPoC(概念実証)止まりになっているのが現状です。MEGAZONEでは、試して終わりではなく、実装・本番運用に至るまでの道のりを共に設計・支援することを目指しています。

まとめ

MEGAZONE株式会社は、クラウドインテグレーターとしての確かな技術力を土台に、クラウド・AI・セキュリティという3つの領域を統合的に支援するAWSパートナーです。

クラウド導入だけでなく、生成AIの実装やゼロトラスト時代のセキュリティ対応、さらには韓国市場への進出支援まで、幅広いニーズに応える柔軟な体制を備えています。大学・研究機関やスタートアップといった、高度かつ専門的な支援が求められる現場で実績を重ねている点も、大きな信頼の証といえるでしょう。

AWSの活用フェーズが「構築」から「活用」「展開」へと進む中で、MEGAZONEはその“次の一手”を共に考え、かたちにしてくれるパートナーです。ビジネス変革や、先端技術の実装を通じた次世代の価値創出を目指す企業にとって、心強い選択肢となるはずです。

 

会社概要

会社名

MEGAZONE株式会社

代表者

代表取締役社長 ヨム ドンフン

所在地

東京都港区南青山3-3-3 リビエラ南青山A 403

設立

2019425

資本金

9900万円

従業員数

20

事業内容

クラウド・ホスティングサービスの提供

 

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