パートナーのAWSビジネスに、技術という付加価値を——ネットワールドの後方支援力

更新日:2025-07-22 公開日:2025-07-22 by SEデザイン編集部

目次

本記事では、AWSパートナーを検討されている方に向けて、「AWSパートナーの選び方とおすすめ企業一覧」でご紹介した企業の実際の取り組みを、個別にご紹介していきます。今回は、株式会社ネットワールドについてお伝えします。

ネットワールドは、AWSサービスパートナーとしては少し異なる立ち位置にあります。エンドユーザーを直接支援するのではなく、AWSを取り扱う他のパートナー企業の技術支援や提案活動をサポートする、“後方支援型”のパートナーです。

ディストリビューターとして長年培ってきた技術力とサポート体制を活かし、AWSの導入や提案を行うパートナー企業を、技術面と業務面の両面から着実に支えています。エンドユーザーからは見えにくいかもしれませんが、クラウド導入やインフラ提案の現場において、ネットワールドは確かな存在感を発揮しています。

本記事では、そんなネットワールドの“陰の立役者”としての役割と、その支援力の実態に迫ります。

※こちらの記事は、2025年6月に実施した、株式会社ネットワールドのご担当者様へのヒアリングをもとに作成しております。

 

インフラに強みを持つネットワールドの技術力

ネットワールドは、もともとITインフラ領域に強みを持つディストリビューターです。なかでも特筆すべきは、仮想化技術に対する豊富な知見と先行実績です。たとえば、同社はVMware製品を日本法人が設立される前から取り扱い、日本市場への普及を先導してきました。

仮想化を起点に、長年にわたり広範なインフラ領域の技術支援を提供してきた同社は、サーバーやストレージ、バックアップ、セキュリティなど、インフラまわりの幅広い領域にも強みを持っています。これらの知見と経験は、現在のAWS支援の大きな土台となっています。

AWS支援事業では「オンプレミスからクラウドへの移行支援」を主軸とし、企業のクラウド導入を後押ししています。クラウド専任の技術チームに加えて、ストレージやセキュリティといった各分野のエンジニアもAWS認定資格を取得しています。特定領域に限定しない技術者が揃っているからこそ、複合的な課題に対して柔軟な提案とサポートが可能です。

このようにネットワールドは、インフラに強いバックグラウンドと広範な技術知見をもとに、AWSビジネスにおいても現場に即した支援を実現しています。

“後方支援型”で関わる、パートナー企業との協業スタイル

ネットワールドのAWS支援は、エンドユーザーの直接支援ではなく、AWSを扱うパートナー企業を支えることに主眼を置いています。

支援内容は、提案に向けた構成検討や技術的なアドバイス、PoCの実施サポート、要件整理への同行など多岐にわたります。いずれも、エンドユーザーと向き合うパートナー企業が、その役割をよりスムーズに果たせるよう、“後方”から支える形です。

ネットワールドのエンジニアが現場に入り込んで対応することも少なくありません。実際に、提案活動やPoCに同行し、要件整理や構成検討を技術面から支援しています。こうした支援により、パートナー企業は自社だけでは対応が難しかった領域にも踏み込めるようになり、提案の幅を広げています。

エンドユーザーの提案現場にも関わりながら、パートナー企業を支える。それが、ネットワールドが担う“後方支援型”の役割です。

ディストリビューターとサービスパートナー、2つの立場で支えるAWSビジネス

ネットワールドは、AWSパートナープログラムにおいて「ディストリビューションパス」と「サービスパス」の両方を取得している数少ない存在です。ディストリビューターとしての販売・流通支援と、サービスパートナーとしての技術・育成支援。その両軸を活かし、AWSビジネスを支える多面的なサポートを提供しています。

ディストリビューターとしての支援──AWS Marketplace活用支援/リセールパートナー支援

ネットワールドは、ディストリビューターとしての立場から、AWS Marketplaceにおけるプライベートオファーの提供支援を行っています。AWS Marketplaceとは、さまざまな独立系ソフトウェアベンダー(ISV)が提供するソフトウェアやデータ、サービスを検索・購入できるデジタルストアです。これによりエンドユーザーは、Marketplace上に出品された製品を、柔軟な価格で調達することが可能になります。

AWS Marketplaceを活用した支援では、サードパーティ製品(ISV製品やSaaS)の導入も推進しています。
ネットワールドはCPPOプログラムにも対応しており、Marketplace上の製品をパートナー企業ごとに最適化された価格・契約条件での製品提供が可能です。

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出典:ネットワールド

さらに同社は、AWS Marketplaceの「Designated Seller of Record (DSOR)」に、ディストリビューターとして日本で初めて認定されました。DSORは、ISV製品をAWS Marketplace上に代理出品し、再販パートナーを通じて提供できる仕組みです。販売やサポートも行うことで、ISVとの協業にも貢献します。

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出典:ネットワールド

また、AWSリセールパートナーの育成にも力を入れており、「AWSビジネスブーストプログラム」を通じて、ティアアップや認定資格の取得を目指した包括的な支援を提供しています。AWSポータル操作や案件登録、AWSビジネス向けリソースの活用方法までをトレーニングするパッケージ型の支援プログラムとして、パートナーのクラウドビジネスの立ち上げを支援しています。

ネットワールドでは、AWSアカウントのリセールを軸に、パートナー企業のAWS導入を支援しています。中堅・中小企業をターゲットとしたこのモデルでは、アカウントの発行に加えて、運用や請求に関する業務の負荷軽減をサポート。必要に応じて技術支援も組み合わせることで、スモールスタートから始めやすい柔軟な販売モデルを提供しています。

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出典:ネットワールド資料より

サービスパートナーとしての支援──CloudPath Services

サービスパートナーとしては、CloudPath Services(通称クラパス)を通じて、構成設計やPoC支援、複数ベンダー製品との連携検証などを実施。AWSだけでなく、ネットワールドが長年扱ってきたインフラ製品群への知見も活かし、現場に即した技術支援を提供しています。こうした支援を担うのは、AWSの認定資格を持つ100名以上の技術者です。提案から構築、運用に至るまで、パートナー企業の多様な課題に応じて対応しています。

CloudPath Servicesは、パートナー企業が直面するクラウド導入や提案の現場で、実践的な技術支援メニューとして整備されており、高く評価されています。ワークショップ形式のハンズオン支援から、設計・構築・設定、さらにはアフターサポートまで、幅広いフェーズをカバーしています。
また、オンプレミスからAWSやAzureへの移行をはじめとする多様な課題に対応できる、約120の技術メニューを用意しています。クラウド導入に慣れていないパートナー企業でも、安心して提案や構築を進められる支援体制が整っています。

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出典:ネットワールド

このように、ネットワールドは「販売支援」と「技術支援」の両輪で、AWSビジネスに取り組む企業を支えています。

ネットワールドの実績とパートナーからの信頼

ネットワールドは、AWSサービスパートナーとしての取り組みを開始してからわずか1年足らずでアドバンストティアを取得するなど、短期間で多くの実績を積み重ねてきました。その背景には、パートナー企業に寄り添い、技術・業務両面から支援を行う姿勢があります。

ネットワールドはこれまで、さまざまなソリューションに関する支援実績を重ねており、AWSプレミアティアのパートナー企業から技術支援の依頼を受けることもあります。製品特有の設計や構成のノウハウが必要となる場面で、ネットワールドの知見が活かされています。

たとえば、あるプロジェクトでは、NetAppのストレージ製品「Cloud Volumes ONTAP」の導入において、AWS基本設計やファイルサーバー構成はパートナー企業が担当し、ネットワールドがCloud Volumes ONTAPの詳細設計を支援しました。NetAppのストレージは、オンプレミスとAWSを組み合わせたハイブリッドクラウド構成において採用されることが多く、同製品に精通した支援が必要とされる場面が少なくありません。

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出典:ネットワールド

ネットワールドは、AWSのパートナーとなる以前からNetApp製品を取り扱っており、そうした知見を活かして製品特有の要件にも柔軟に対応しています。このプロジェクトでも、パートナー企業がカバーしきれなかった設計・設定面を補完し、構成の実現性と技術的な安心感を提供しました。

⇒支援事例の詳細はこちら

また、ネットワールドはパートナー育成や営業支援にも注力しており、ハンズオントレーニングなどで提案活動に直結するスキルの習得を支援しています。たとえば「見積もりツールの使い方が分からない」といった相談があれば、技術者が現地に出向いてレクチャーを行うなど、柔軟に対応しています。

こうした取り組みは、「どう提案すれば導入につながるか」「どうやって販売を継続していくか」といったパートナー企業の実務課題を解決する支援として高く評価されています。ネットワールドは、パートナー企業のビジネスを支える“実践的な後方支援者”としての役割を担っています。

“単体”では終わらない、横断型の支援体制

ネットワールドの技術支援の強みのひとつは、特定のチームに依存しない、分野横断型の技術体制にあります。クラウド領域を担当する専門チームはもちろん、ストレージ・バックアップ・セキュリティなど、各ソリューション領域の技術者もAWS認定資格を取得しており、複合的な課題に柔軟に対応できる構成となっています。

ネットワールドでは、状況に応じて製品単体での提案・販売支援を行うこともありますが、クラウド導入には「セキュリティ要件」「バックアップ設計」「既存システムとの整合性」など、さまざまな技術的要素が絡むケースが少なくありません。そうした場面では、それぞれの製品や構成にまたがる技術的な理解が求められるため、AWSだけでなく周辺領域にも精通した技術者の存在が重要になります。

実際に、ネットワールドにはそうした複合的な技術力を備えた技術者が多く在籍しています。たとえば「セキュリティを考慮したクラウド構成を検討したい」「既存のバックアップ環境と連携したい」といった課題に対しても、AWSと他製品を組み合わせた現実的な構成提案が可能です。パートナー企業の状況や課題に応じて、必要な支援を柔軟に提供できる体制を整えています。

また、案件ごとに最適な技術者をアサインできる点も、ネットワールドならではの強みです。CloudPath Servicesなどの技術支援では、構成提案からPoC、設定支援に至るまで、内容に応じて適切な領域のエンジニアが関わります。これにより、支援を受けるパートナー企業側でも「最初から最後まで一貫して安心して任せられる」との声が多く寄せられています。

このように、製品単体ではなく“課題全体”を見据えた支援を可能にする技術体制こそが、ネットワールドの後方支援力を支える土台となっています。

広がる支援メニュー、多様化する“後方支援”のかたち

ネットワールドは、ディストリビューターとして培ってきた技術力と製品知識、そしてサービスパートナーとしての柔軟な支援体制を活かし、パートナー企業に向けた“後方支援型”のAWS支援を展開しています。企画段階での技術支援から、実装後のフォローまで、パートナー企業の活動を陰から支える存在です。

AWS Marketplaceを活用した販売支援、CloudPath Servicesによる技術支援、ビジネスブーストプログラムを通じた育成支援など、AWSパートナーとしての活動は着実に広がりを見せています。VMwareをはじめとした仮想環境からのクラウド移行支援にも注力しており、今後もニーズが増える領域への対応を強化していく方針です。

AWS Marketplace上でのプライベートオファー対応製品のさらなる拡充や、VMwareからAWSへの移行支援強化、AWSビジネスブーストプログラムを通じたパートナー企業の成長支援など、支援の広がりと深まりの両面で、さらなる取り組みが予定されています。

ネットワールドは、製品単体ではなく「課題全体を見据えた支援」を軸に、AWSビジネスを展開するパートナー企業にとって、これからも信頼される後方支援パートナーとしての存在感を高めていくことでしょう。

 

会社概要

会社名

株式会社ネットワールド

設立

199081

資本金

585百万円

代表者

芹澤 朋斉

本店所在地

東京都千代田区神田神保町2-11-15 住友商事神保町ビル

売上高

1,434億円(202412月度)

従業員数

578名(202412月末現在)

事業内容

パソコン及びその周辺機器・ソフトウェア、クラウド・サービス、モバイル関連サービスの販売

IT関連製品の製造・流通・販売、IT関連サービスの提供

 

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