事業会社のノウハウを活かして寄り添うシステムパートナー——再春館システムが提供する一気通貫のAWS支援
更新日:2025-06-24 公開日:2025-06-24 by SEデザイン編集部
本記事では、AWSパートナーを検討されている方に向けて、「AWSパートナーの選び方とおすすめ企業一覧」でご紹介した企業の実際の取り組みを、個別にご紹介していきます。今回は、再春館システム株式会社についてお伝えします。
再春館システム株式会社は、再春館製薬所の情報システム部門をルーツに持つシステム開発会社です。事業会社の情シス部門として現場で培ってきた知見と実践経験を強みに、「使う側の視点」からシステム開発やインフラ構築、運用支援まで一気通貫で提供しています。AWSパートナーとしての活動も、そうした総合的な取り組みの一環として位置づけられています。
本記事では、再春館システムの強みやサービスの特徴、支援事例を通じて、AWSを活用したIT支援にとどまらない「総合力」と「寄り添う姿勢」をお伝えします。企業のITパートナーを探している皆さまにとって、選択肢の一つとして参考になれば幸いです。
※こちらの記事は、2025年6月に実施した、再春館システム株式会社のご担当者様へのヒアリングをもとに作成しております。
再春館製薬所の情報システム部門としてのルーツ
同社の成り立ちは、再春館製薬所の情報システム部門と東京のシステム開発会社が一体となったことに始まります。現在も再春館製薬所のIT基盤の運用保守を担当しており、実際の業務現場に密着したIT支援を長年にわたって継続しています。
事業会社の一員として現場で得た知見は、ほかのお客様への支援でも大きな武器となっています。単にシステムを構築するだけでなく、「業務の成果につながるIT活用とは何か」を常に意識し、お客様の業務全体を理解したうえで現実的かつ使いやすいシステムを提案しています。
事業会社のIT基盤で培ったシステム開発力
再春館システムは、再春館製薬所のIT基盤を支える中で、幅広い業務領域のシステムを手がけてきました。
たとえば、コンタクトセンター、ECサイト、CRMシステム、バックエンドの基幹業務システムといった顧客接点から業務の裏側までをカバーする多様なシステムの企画・設計から開発、運用保守までを担ってきた経験は、ほかのお客様への提案・支援にも大きく活かされています。
再春館システムでは、システム開発からインフラ構築、さらに運用保守まで一貫して支援する体制を整えています。お客様の課題や業務環境に応じて、最適な技術やサービスを組み合わせ、全体として価値のあるソリューションを提供している点が大きな特長です。
もともと再春館システムでは、オンプレミス環境の構築などは社内で対応してきた一方で、AWSに関してはパートナー企業と協力して案件を進めていました。しかし、対応スピードやコスト面に課題があり、より柔軟かつ迅速なサービス提供のため、社内にAWS対応の体制を整えることを決断しました。
AWSの技術習得は、インフラ技術に長けた社内メンバーの存在もあり、比較的スムーズに進みました。AWSを自社内で構築できるようになったことは、社内のインフラ対応力全体の強化にもつながっています。その結果、システム提案の初期段階からインフラ要件までを一貫して自社で対応できる体制が整い、より最適な提案を行えるようになっています。
▼AWS導入・運用サービスイメージ
出典:再春館システム
また、再春館システムでは、お客様の状況や業務要件に応じて、クラウドとオンプレミスのいずれが適しているかを見極めたうえで提案を行っています。現在、クラウドではAWSの活用が中心となっていますが、オンプレミス環境のほうが望ましい場合には、その選択肢も積極的に提示しています。こうした柔軟な提案姿勢は、お客様からの信頼につながっています。
特に中堅・中小企業のお客様の多くは、情報システム部門の人数が限られている場合が多く、システム全体のアーキテクチャ設計やインフラ選定を自社だけで進めるのは難しい状況にあります。こうしたケースでは、再春館システムが初期の要件整理段階から密に関わり、業務要件や予算、運用体制を踏まえた現実的な提案を行っています。そのうえで、設計・構築から運用保守まで一貫して伴走する体制が、お客様から高く評価されています。
大企業には難しい、小回りのきく柔軟な支援
再春館システムのもう一つの強みは、お客様の要望に応じた柔軟な支援を行っていることです。決まったサービスメニューに固執せず、お客様の状況に合わせて最適な形でサポートする姿勢が、多くの企業から信頼を集めています。
最近では、システムの一部を自社で内製化しつつ、特定の領域だけは外部の専門家の支援を受けたいというニーズが増えています。たとえば、アプリケーション開発は自社で進めているが、インフラ部分やセキュリティ対策の経験が不足しているケースや、クラウドサービスの構成に関してアドバイスが欲しいという相談を受けることがあります。
再春館システムでは、そうした要望に対して設計書のレビューや社内ミーティングへの参加、具体的な画面共有を通じた作業支援など、非常に柔軟な対応を行っています。標準化されたメニューに収まりきらない相談にも対応し、必要な範囲で、必要なだけ支援するスタンスをとっていることが特徴です。
特に情報システム部門が一人情シスや少人数体制で運用されている企業にとって、こうした支援は大きな価値をもたらします。システム導入や運用を進める際に、「どこに相談すればよいかわからない」「自社内だけでは不安がある」といった悩みを抱える担当者は少なくありません。再春館システムは、そうした現場の悩みに寄り添い、伴走型で支援を提供することで、お客様から高く評価されています。
支援事例:自治体の水産物トレーサビリティシステム構築
再春館システムが提供する価値の一つに、企画・要件定義からインフラ構築、アプリケーション開発、運用保守までを一貫して支援できる総合力があります。
この章では、そうした総合力が活きた支援事例として、デンソーとともに取り組んだ水産物トレーサビリティシステム構築プロジェクトをご紹介します。要件整理段階から現場の業務課題を細かく理解し、システム全体像の設計から開発・運用まで一貫して支援したプロジェクトです。
このプロジェクトは、海産物の産地偽装問題を受け、QRコードを活用したトレーサビリティシステムを構築し、流通の透明性を担保することを目的としたものでした。再春館システムは、デンソーからの依頼を受け、要件定義から保守・運用まで全工程を一貫して支援しました。
プロジェクト初期段階では、現場ヒアリングを通じて、漁協・工場・販売現場など各工程の業務特性や作業環境を細かく把握していきました。
特にアナログ作業が多く、手袋着用や水場作業などUXへの配慮が不可欠であることが明らかになり、それを踏まえてシステム設計に反映しました。具体的には、QRコード活用により入力作業を極力削減し、ボタンや入力項目を大きく表示するなど、現場ユーザーの負荷を軽減する工夫を重ねました。
システムインフラには、AWSのLambda、API Gateway、DynamoDBを用いたサーバーレス構成を採用しています。これによりインフラ管理の手間を抑え、アプリケーション開発に集中できる体制を整えました。
開発は、設計・結合テストを日本法人が担当し、プログラム開発・単体テストを再春館システムのベトナム法人が担当する体制で行いました。国内外のチーム連携により短納期かつ高品質な開発を実現し、システム導入後は「操作が簡単で作業負荷が低い」との現場評価も得ています。
出典:再春館システム
導入後も継続的な改善・追加対応が進められており、まさに総合力を活かして長期的に伴走する事例となっています。
再春館グループに根付く「寄り添う姿勢」
再春館グループでは「寄り添う姿勢」を大切な価値観として共有しています。この文化は、グループ全体の事業活動やお客様対応の場面に自然と浸透しており、再春館システムでも日常的な営業活動やプロジェクト進行のなかで体現されています。
そのスタンスは、顧客接点の入り口である展示会の場面でも強く表れています。再春館システムでは展示会経由でのお問い合わせが非常に多く、その際に大切にしているのが「課題の言語化をお手伝いすること」です。情報システム部門の体制が限られている企業では、「何を聞いたらよいかわからない」「まずは情報収集したい」という段階でブースを訪れる方も多くいます。そうした方々の背景や状況を丁寧に聞き取り、一緒に課題を整理していくプロセスを重視しています。
この姿勢が評価される背景には、画一的な営業スタイルではなく、一社一社に合わせた柔軟な対応ができる体制があることも挙げられます。再春館システムは少数精鋭のチームだからこそ、担当者一人ひとりがしっかりと話を聞き、必要な提案を持ち帰ることを徹底しています。特に、「どうしたらいいかわからないけれど、何かしなければいけない」という段階のお客様にとって、この寄り添うアプローチは大きな安心感につながっています。
まとめ
再春館システムは、再春館製薬所の情報システム部門をルーツに、長年にわたり実践的なIT支援を行ってきました。その経験から培われた「使う側の視点」を活かし、システム開発、インフラ構築、運用保守まで一気通貫で対応できる総合力を強みとしています。
AWSパートナーとしての取り組みも、こうした総合的な支援の一環として位置づけられています。クラウドサービスの導入やインフラ整備は、業務改善や事業成長を支えるための重要な手段であり、お客様の状況に応じて柔軟に最適な提案を行う姿勢は今後も変わりません。
また、再春館システムが大切にしているのは、寄り添う姿勢です。お客様が抱える「何をどう相談してよいかわからない」という段階から一緒に課題を整理し、導入後も継続的に伴走することで、安心して長く付き合えるパートナーであり続けたいと考えています。
一ベンダーにとどまらず、情報システム部門の視点も併せ持つ再春館システムならではの強みは、多くの企業にとって心強いITパートナー像のひとつといえるでしょう。
会社概要
会社名 |
再春館システム株式会社 |
本社住所 |
東京都港区高輪4-10-58 |
設立 |
1985年(昭和60年)2月26日 |
代表者 |
代表取締役 西川 正明 取締役COO 有馬 健一 |
資本金 |
4,800万円 |
従業員数 |
140名(2024年4月時点) |
売上高 |
25億2千万円(2024年3月期) |
グループ会社 |
株式会社再春館製薬所 株式会社再春館「安心・安全」研究所 株式会社ヒューマンリレーション 再春館システムベトナム有限会社 |
業務内容 |
システムインテグレーション インフラ・セキュリティソリューション オフショア開発 ビジネスアウトソーシング |