マーケティング5.0とは?1.0から4.0までの進化と新時代のマーケティングの考え方を解説

公開日:2023-06-09 更新日:2024-04-18 by SEデザイン編集部

目次

185507496_m_normal_noneマーケティングの手法や根本的な考え方は、時代とともにアップデートされ続けています。とりわけ、デジタル技術が発展した現代では、コトラーによって提唱された「マーケティング5.0」が代表的です。

今回は、次世代の事業展開に向けて各社が知っておくべきマーケティング5.0の基礎知識について、これまでの変遷も含めて解説します。マーケティング5.0との向き合い方についても論考しますので、ぜひお役立てください。

マーケティング5.0とは? 

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米経営学者のフィリップ・コトラーによって提唱された「マーケティング5.0」は、「ビッグデータやAIなどの最新技術を使った新時代のマーケティング手法」として、2021年に発表(日本版は2022年4月)されました。

従来のマーケティング戦略は、活用できるテクノロジーの種類が限定的であるといった課題を抱えていました。しかし、AIやIoT、ロボティクスといった「ネクストテクノロジー」の発展を受け、顧客体験価値の向上やマーケティング活動の効率化を図るためのマーケティング5.0が提唱されたのです。

マーケティング5.0と「5A理論」 

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そもそもコトラーが提唱したマーケティング理論には「1.0〜4.0」のバージョンが存在します。それぞれの特徴を以下にまとめました。

マーケティング1.0

コストを下げる工夫をしながら、誰もが満足する機能を持つ製品を生産し、マス層に向けた訴求を行う「製品中心」のマーケティング手法

マーケティング2.0

「製品中心」から、消費者の志向を重視した「顧客中心」に変化した時代のマーケティング手法

マーケティング3.0

企業は製品やサービスを通じて、社会問題や環境問題への解決策を提示するなど、価値主導を起点とする「人間中心」のマーケティング手法

マーケティング4.0

デジタルデバイスとソーシャルメディアの普及により、デジタルメディア・チャネルが取り入れられるようになり「従来型からデジタルへ」シフトしたマーケティング手法

マーケティング5.0の前バージョンとなるマーケティング4.0では、「5A」理論が提唱されました。

5A理論とは、デジタルツールが発展してきた時代のカスタマージャーニーとして定義されたもので、以下の5つのステップから成り立っています。

  1.  認知(Aware):商品・サービスを知る
  2.  訴求(Appeal):商品を識別・記憶する
  3.  調査(Ask):評価や口コミを調査する
  4.  行動(Action):商品・サービスの購入・申し込み
  5.  奨励(Advocate):他者へ勧める

マーケティング5.0は、マーケティング4.0の基本的な考えである「デジタルを活用した人間志向」をさらに推し進めたものであり、人間を“模倣した”テクノロジーを使って、カスタマージャーニーの全工程での付加価値向上が目指されているのが特徴です。

マーケティング5.0が求められる背景 

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コトラーは、マーケティング5.0が登場した背景には以下の3つの課題があるとされています。

  • 世代間ギャップ
  • 富の二極化
  • デジタル・ディバイド

次項より、それぞれ個別に解説します。

世代間ギャップ

現代のビジネスシーンで「経営者」「マーケティングリーダー」を担うX世代・Y世代の人々も多いことでしょう。

すでに次の世代であるZ世代・α世代に向けたマーケティング活動の必要性は高まっています。しかし、誕生時からデジタルが身近に存在したこの世代は、それまでの世代とは異なる消費者行動や価値観を持っている点が、マーケティング活動における“ギャップ”を生み出してしまっているのです。

これはつまり、各世代のマーケターが「自分たちと価値観の異なる世代に、どう接していいかわからない」と感じている、とも言い換えられるでしょう。

多くの企業は「世代間ごとにニーズや消費傾向は異なる」という事実を感じてはいるものの、自社のマーケティング手法を最適化できておらず、対応が難しい状態に陥っています。

そのため、現在の売り上げを維持しつつも、未来に向けてポジショニングを築いていくために、マーケティング5.0へのアップデートが求められるのです。

富の二極化

テクノロジーの発展は、最上層の人々が繁栄し、最下層の人々は貧困に苦しむという「富の二極化」を生み出しています。経済的な格差がライフスタイルや雇用など、生活のあらゆる面での不均衡を生じさせているのです。

その状況を打開するために、企業にはより包摂的でサステナブルなマーケティング活動が求められます。その理由について、「富の再分配を実現させるためには、企業が目的をもって社会に投資し、テクノロジーを活用していかなければならないから」と、コトラーは提唱しています。

デジタル・ディバイド

デジタル・ディ バイドとは、情報技術を扱える人とそうでない人との間に発生する「情報格差」を指します。デジタル化はグローバル規模で進んでいますが、完全に普及しているとは言い切れません。

その根底には「AIが人間の仕事を奪ってしまう」「テクノロジーによって人と人の関わりで培われていた貴重な経験が失われる」といった“恐れ”が存在するといわれています。

人々の「デジタル化が社会的関係を破壊するかもしれない」という恐怖心を払拭するためにも、企業によるマーケティング5.0の取り組みが求められているのです。

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マーケティング5.0を構成する5つの要素 

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マーケティング5.0は以下の5つの構成要素から成り立つとコトラーは定義しています。

  •  規律1|データドリブン・マーケティング
  •  規律2|アジャイル・マーケティング
  •  アプリケーション1|予測マーケティング
  •  アプリケーション2|コンテクスチュアル・マーケティング
  •  アプリケーション3|拡張マーケティング

基本軸は3種類の「アプリケーション」ですが、それらに“ベース”となるのは2種類のマーケティング手法です。それぞれについては、以下より個別に解説します。

規律1|データドリブン・マーケティング

データドリブン・マーケティングとは、企業内外から収集されるさまざまな情報からビッグデータを分析したうえで、マーケティング活動を促進・最適化するためのデータエコシステムを構築する活動です。

規律2|アジャイル・マーケティング

アジャイル・マーケティングは分散型・部署横断型のチームを活用し、製品やマーケティングキャンペーンのコンセプト作りや設計、開発、検証を迅速に行うための取り組みを指します。

アプリケーション1|予測マーケティング

予測マーケティングは、機械学習が可能な予測分析ツールを活用して、マーケティング活動の結果を事前に予測する手法です。

アプリケーション2|コンテクスチュアル・マーケティング

コンテクスチュアル・マーケティングとは、自社顧客を識別し、プロファイリングしたうえで「物理的空間のセンサー」「デジタル・インターフェース」を活用して、顧客ごとに“パーソナライズされた”インタラクションを提供する活動意味します。

「顧客ごとに最適化されたアプローチを行う」という点では、近年注目を集めている「インタラクティブマーケティング」とも似ているでしょう。

「インタラクティブマーケティング」に関する記事

アプリケーション3|拡張マーケティング

拡張マーケティングは「チャットボット」「バーチャル店員」など、人間を模倣できる技術を応用して、顧客体験の向上を目指すマーケティング手法です。

コトラーは拡張マーケティングを実施することによって、デジタルを用いた「スピード」「利便性」に、人間ならではの「温かみ」をプラスできるとしています。

マーケティング5.0を企業はどう進めるべきか? 

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マーケティング5.0における「3つのアプリケーション」の取り組みの成否は、2つの規律にかかっています。つまり、マーケティング5.0を進めるうえでは、データドリブンが前提になるということです。

ただし、データを“活用”していくためには、市場の変化に機敏に対応するための「アジャイル(俊敏性)」を持った組織作りも求められます。

「モノからコトへ」と一般的にはいわれていますが、現場がモノ売りの発想からデジタルシフトを果たすのはそう簡単ではないでしょう。

データドリブン環境を構築し、データ分析から全体戦略を描けるマーケティング組織を構築するためには、デジタルテクノロジーの活用に対する全社的な腹落ち(=納得感)が必要です。

なぜなら、こういった取り組みは部門単位で実現できるものではなく、組織をあげた変革が必要だからに他なりません。マーケティング5.0に向けた取り組みでは、まずは「組織全体で進めるものである」との意識を持ちましょう。

テクノロジーを使った人間性との融合したデジタル活用を実現しつつ、データドリブンに基づく施策をマーケティング活動に組み込んでいくことが、マーケティング5.0への近道といえます。

まとめ

ユーザーニーズが多様化し、市場の変化も激しくなった現代においては、急速な変化スピードに対応していくために自社のマーケティング戦略をアップデートしなければなりません。デジタル技術による「マーケターの模倣」を目指すマーケティング5.0は、そのような時代に各社が取り組む意義のある方法論といえます。

マーケティング部門だけでなく、全社を巻き込んだ取り組みとして、自社戦略のマーケティング5.0への最適化を検討していきましょう。

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