事業戦略をクラウドに実装する技術力──シンプレクスのプロフェッショナルが業務理解×AWSで幅広い業界のDXを推進

更新日:2025-11-25 公開日:2025-11-25 by SEデザイン編集部

目次

 本記事では、AWSパートナーの選定をお考えの方に向けて、「AWSパートナーの選び方とおすすめ企業一覧」で取り上げた企業の実際の取り組みを個別にご紹介します。今回は、シンプレクス株式会社についてお伝えします。 

「クラウドを導入したものの、期待したほどの業務改善に繋がらない」
「開発は完了したが、その後の運用や改善が続かない」

クラウド活用のプロジェクトにおいて、このような壁に突き当たる企業は少なくありません。その原因の多くは、パートナーの選定時に「インフラ構築」のみに焦点が向き、その先にあるべき「ビジネスの成果」までを見据えた設計がなされていないことにあります。

シンプレクス株式会社は、上流のコンサルティングから開発、運用・保守、改善提案までを自社で一気通貫で支援します。

金融分野では大規模な基幹システムの設計・開発・導入から、クラウド移行や運用支援、SaaS型サービスの提供まで幅広く手がけています。また金融にとどまらず、公共分野や建設、流通小売、メディア、エンタメにも注力しています。

AWSを中心としつつ、Microsoft AzureGoogle Cloudなどにも幅広く対応しています。また、UI/UXデザインや、生成AIを活用した内製化支援にも力を入れ、システム基盤の構築から活用まで、一貫して価値を生み出しています。

※本記事は、2025年10月に実施した、シンプレクス株式会社のご担当者様へのヒアリングをもとに作成しております。

 

「アプリケーションのレベルまで」踏み込む、シンプレクスのAWS支援サービス

シンプレクスのAWS支援は、もともと自社で運用していたFXディーリング分析基盤の刷新を検討したことから本格化したといいます。オンプレミスでは実現できない柔軟なリソースを求め、自らPoC(概念実証)を繰り返した結果、AWSが最適だと確信。この自社課題の解決を通じて得た「実践知」こそが、同社のサービスの原点となっています。

単にインフラをクラウドに移すだけでなく、業務ドメインを理解したエンジニアが、アプリケーション設計や業務の進め方まで踏み込んで見直してこそ、成果につながるという考えに基づき、同社は「生成 AI クラウドソリューション」「データ基盤・分析ソリューション」「クラウドマイグレーション・モダナイゼーション」3領域において、戦略から運用まで一気通貫で支援します。

生成AIクラウドソリューション 

 このサービスでは、単にAIツールを導入するだけではありません。コンプライアンスやガバナンスを整備し、「安全に使える」土台を固めた上で、顧客の業務に特化したエージェントの実装まで伴走します。 

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 出典:Simplex.inc 

データ基盤・分析ソリューション 

AWS 上で拡張自在なデータ基盤と分析支援を提供。スモールスタートから全社展開まで、攻めと守り(ガバナンス)を両立させ、迅速に価値を創出します。

simplex_image02 出典:Simplex.inc 

クラウドマイグレーション・モダナイゼーション

既存のオンプレミス/レガシー環境から AWS への移行を、インフラとアプリケーション(業務ロジック)をセットで実行。多くのインテグレーターがインフラ移行に留まる中、同社は業務ドメイン知識を持つエンジニアがアプリケーション層まで責任を持ちます。これにより、単なるシステム移行にとどまらず、企業の業務価値を高めるクラウド移行を実現しています。

これらのAWS支援は、AWSから公式に認められた高い技術力によって支えられています。
金融領域向けの「Financial Services Technology Competency」を取得していることや、2020年に「APN Competency Partner of the Year - Financial Service -」を受賞したことは、その証といえるでしょう。

シンプレクスが持つAWS認定資格は累計500超。2割超を占めるProfessionalSpecialtyといった上位資格、そしてAWS AmbassadorsJapan AWS Top Engineersといったエキスパートの存在が、同社のソリューションを支えています。

シンプレクスの強み

クラウド活用を「導入」で終わらせず、運用と改善まで成果に結びつけるには、技術力と業務知識の両輪が要ります。シンプレクスは、案件ごとに最適解を設計し、基盤からアプリケーション、運用まで一気通貫で伴走します。ここからは、同社が成果を出すために重視している体制と進め方を要点で示します。

プロジェクトを成果に導く「ワンチーム」としての関係性

シンプレクスは、CCoE(Cloud Center of Excellence)、デリバリーチーム、24時間365日の運用・セキュリティチームという三層の体制で、顧客のプロジェクトを支えます。しかし、同社がそれら以上に大切にしているのは、「ワンチーム」としての関係性です。

同社では、発注する側と受注する側という従来の枠組みにとらわれず、課題も成果も共に分かち合う協働体制を重視しています。顧客から「一つのチームとして協力して創り上げられたことが、成功の要因でした」といった評価をいただくことが、同社にとって何よりも価値のある言葉だといいます。この支援姿勢があるからこそ、伴走だけでなく顧客企業内での技術内製化の促進まで、真に顧客の成果につながる支援が可能になっているのです。

Simplex Library×アジャイル開発で、短期立ち上げと品質を両立

「伴走」という言葉は、時にスピード感に欠ける印象を与えるかもしれませんが、シンプレクスは品質とスピードを両立させるための確立された「仕組み」で、それを実現しています。

シンプレクスは、ノウハウが集約された自社ライブラリの活用により、プロジェクトの立ち上げを迅速化します。同社が磨き上げてきた標準アーキテクチャやCI/CDの雛形を用いることで、初期の環境構築にかかる時間を大幅に短縮するのです。
次に、アジャイルな開発プロセスの中で、品質を徹底的に作り込みます。自動化されたテストや品質ゲートを組み込み、安全かつ迅速なリリースを繰り返すことで、ビジネスの要求に素早く応えます。

エンタープライズ要件を満たす技術力と統制設計

金融領域で培った知見を基盤に、企業の基幹システムに求められる優れた性能と安定性を実現する技術力を備えています。

具体的には、システムが止まらないよう複数の拠点でバックアップサイトを構築し、障害時には自動で切り替わる仕組みを整備。また、大量のアクセスにも耐えられる可用性・拡張性設計や、サービスを適切にモニタリングし素早く異常を検知して復旧させる仕組みとSRE 体制を組み合わせることで、安定したクラウド環境を構築します。単に「動く」だけでなく、「止まらない」「すぐに回復する」システムを実現するための設計思想が、同社の技術の根幹にあるのです。

加えて、エンタープライズ企業が重視する内部統制への対応も同社の強みです。
権限分離、監査証跡、変更管理、データ保護といったガバナンス要件を初期段階から設計に織り込み、規制や社内基準を満たす運用基盤を提供します。これにより、セキュリティと利便性を両立させた、長期的に信頼できるクラウド環境の構築が可能になっています。

シンプレクス株式会社の多彩なAWS支援事例

 ここでは、金融とソフトウェアの2事例を取り上げます。同社の発注側とのワンチーム体制と、ライブラリの活用を組み合わせてスピーディに価値を出している点がわかります。 

金融業界 金融の常識を一変するweb3を活用した取引システムの構築支援

金融革命の基盤として期待されるステーブルコインの取引システムの構築では、 法務・業務要件に不確定要素が多い初期段階からお客様とワンチームで伴走し、PoCで主要リスクを先に可視化して合意形成を進め、約半年で公開可能な水準に到達しました。

また技術面においては、信頼性の高いAWSの標準機能をベースにセキュリティを構築。また、開発作業を自動化することで、作業のスピードと正確性を高めています。これにより、金融業界の厳しいルールを守りながら、安全なシステムを素早く立ち上げることが可能に。さらに、将来ビジネスが拡大した際にも対応できる仕組みにし、最終的にはお客様ご自身のチームで運用できるようサポートすることで、事業が自立して成長し続けられる基盤を整えました。

支援事例詳細はこちら

ソフトウェア業界ワークフローシステム事業のAWSクラウド機能拡張・新サービス構築支援

法改正など大きな市場変化への対応が求められる中、既存システムの複雑化、老朽化が足かせとなっていました。そこで拡張性やセキュリティの限界を前提に、常駐の伴走体制で要件整理から設計・実装・運用まで一気通貫で支援。SREチームに加わり、将来の内製運用を見据えてドキュメントと運用手順を整備しました。

技術面では、まずシステムの土台作りを自動化する仕組みを導入しました。その際、社員が習得しやすく、これまでの資産もいかせる方法を選んでいます。セキュリティに関しては、世界的に認められた高度な設計指針を取り入れることで、組織全体で高い安全性を保つ仕組みを構築しました。

また、システムの土台から上で動くアプリケーションまで全体を効率化し、万一の際に備えてシステムの動作記録を分析する基盤も、国際的な情報セキュリティ基準に合わせて整備しています。

この支援では、信頼性の高い既存の仕組みを活用しつつ、新しい機能を少しずつ導入してはその効果を確かめながら改善を進めました。その結果、利用者が急に増えても安定して動き続ける力と、ビジネスの変化に合わせて新しい機能を素早く追加できる柔軟性の両方を実現することができました。

支援事例詳細はこちら

今後の展望 ― 「伴走するコンシェルジュ」を目指す

お客様の「ジャストインニーズ」を最優先に、金融で培った業務知見とクラウド技術を横展開し、伴走型で価値創出を加速します。重点は次の3領域です。

コンシェルジュ型コンサルティング 領域の拡大

 少数精鋭の伴走チームで、AWSに限らずAzureGoogle Cloud、生成AIIoT・ブロックチェーン・高度分析を組み合わせて最適解を設計します。短期PoCから実装、運用までを標準パッケージ化し、業界別ユースケースでズレを抑え、公共・建設・流通・メディアへ展開します。 

 生成AIの内製化支援とデータ駆動型サービスの強化 

 データ基盤整備からモデル選定、MLOps運用までを一貫支援します。データレディネス診断とセキュアな運用基盤、説明性・ガバナンスを担保した導入テンプレートで、PoCから本番化までを短縮し、運用可能なAIの内製化を実現します。 

業界テンプレート/SaaS共同利用型サービスの拡充 

 金融業界で培った成功事例をテンプレート化し、標準的なシステム構成やセキュリティ設定、運用方法、および共通ライブラリを用意します。これにより、導入コストと期間を大幅に削減でき、中小企業から大企業まで柔軟に対応できるソリューションを提供します。 

まとめ

パートナー選定は、要件定義から運用までを一体設計し、PoCで不確実性を抑えつつ、Simplex Libraryとアジャイル開発で継続改善できるパートナーを選ぶことが、成果への近道です。
シンプレクスは、業務やアプリケーションにも踏み込んで設計し、セキュリティやガバナンスも初期段階から柔軟に組み込み、内製化を見据えた知識移転まで一貫して支援します。

シンプレクスの強みは、システム基盤だけでなく、業務アプリケーションやデータ活用、生成AIの運用まで包括的に取り組めることです。
ワンチームでKPIを共有し、専門組織(CoE)や再利用可能な資産を活用することで、迅速な意思決定を実現します。システム移行や機能拡張、データ分析、生成AI導入といったさまざまな領域で、実際に使える仕組みを素早く構築し、その後の運用改善も継続して支援します。
その結果、コストの透明性や変更への柔軟な対応、将来の拡張性も同時に実現できるのです。

新規事業やDXを構想段階から事業化まで進めたい企業、規制や信頼性要件を満たしつつスピードも外せない企業にとって、シンプレクスは心強い選択肢になります。
もし、単なる“業者”ではなく、ビジネスの未来を共に創る“パートナー”をお探しであれば、同社は有力な選択肢の一つとなるでしょう。 

 

会社概要

会社名

 シンプレクス株式会社(Simplex Inc.) 

設立

 2016年913日(2016121日に事業再編により合併)

※創業:1997916 

代表者

 金子 英樹 

所在地

 本店(登記)東京都港区虎ノ門一丁目231号 

 資本金 

 4,750百万円(2025331日時点) 

 連結売上収益

 473億円(20253月期) 

 従業員数(連結) 

 1,792名(202541日時点) 

事業内容

 コンサルティングサービス、システム開発、運用保守 

 

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