Webマーケティングにおける「CV(コンバージョン)」とは、商品購入や資料DLなど、最終的に売り上げ拡大につながるユーザーの行動全般を指します。多くのCVを獲得すれば、それだけ自社に利益をもたらすことになります。
しかし、CVはやみくもに設定すればいいわけではなく、施策に応じて適切なものを定義しなければなりません。また、CVを改善するための具体的な取り組み手法を知ることも大切です。
本記事では、WebマーケティングにおけるCVの基礎的な考え方やCVの種類、CVの測定方法、最大化のためのポイントを紹介します。 CVについてより理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
CV(コンバージョン)とは?
CVは「conversion」の略で「転換」「変化」を意味する言葉です。Webマーケティングにおいても重要な指標の一つです。
この章では、CVの定義や関連する用語について解説します。
CVの定義
Webマーケティング視点でCVという用語を説明すると、各企業が必要であると定義した「Webサイトなどにおけるユーザーのアクション」といえます。そのため、CVの内容は企業の方針や施策次第で異なります。
企業組織がオウンドメディアやSNS運用などの施策を行う目的は、「売上拡大」が最終ゴールであるケースがほとんどでしょう。CVはそういった施策の効果を検証し、費用対効果を測ったり、ブラッシュアップしたりするために用いる、重要度の高い指標です。
CVの関連用語
CVにはさまざまな関連用語があります。おもなものを6つ紹介します。
用語 |
正式名称 |
意味 |
訪問数 |
― |
サイトに訪れたユーザー数、アクセス数とも言う |
PV |
ページビュー |
サイト内のページ閲覧数の合計 |
CVR |
コンバージョン率 |
訪問数に対するコンバージョン率 (コンバージョン数 ÷ 訪問数) × 100 |
CTR |
クリック率 |
表示回数に対するクリック率 (クリック数 ÷ 表示回数) × 100 |
CTA |
コール・トゥ・アクション |
商品購入や資料請求など、ユーザーに特定の行動を促す文言 |
CRO |
コンバージョン率最適化 |
CVRの向上を目的として行うさまざまな施策 |
CVについて理解するためには、これらの用語の意味を正しく理解しておくことが重要です。
WebマーケティングにおけるCVの例
Webマーケティングの施策内容によって異なるCVが定義されると解説しましたが、いくつか例示すると以下のようなものがあります。
<WebマーケティングにおけるCVの例>
項目 |
事例 |
コーポレートサイト(BtoB) |
サービス成約、問い合わせ、メルマガ登録、セミナー申し込み、ホワイトペーパーダウンロード |
コーポレートサイト(BtoC) |
商品購入、資料請求、会員登録、LINE公式追加 |
採用サイト |
採用エントリー |
会員サイト |
会員登録、メルマガ登録 |
ECサイト |
商品購入、会員登録 |
以上のとおり、CVは「売上に直結するもの」と「そうでないもの」に分かれます。しかし、自社で運用するメディアの利益率を高めるためには「短期的には売上につながらない指標」についても見ていかなければなりません。
CVの種類
前述の「施策ごとのCVの定義」とは別に、Webマーケティングでは「CVに至るまでにユーザーが通った経路」「CVのカウント方法」などによる分類を行います。主流な分類方法としては、以下のとおりです。
- 直接コンバージョン
- 間接コンバージョン
- 総コンバージョン
- ユニーク・コンバージョン
- クリックスルー・コンバージョン
- ビュースルー・コンバージョン
それぞれ確認していきましょう。
直接コンバージョン
「直接コンバージョン」は、自社サイトを訪問したユーザーが「商品購入」「資料DL」といったアクションを、サイトを離脱することなく行うCV行動を指します。
直接コンバージョンに至るユーザーは、自社プロダクトに対する関心度が高いといえます。そういったユーザーは、比較的短い検討サイクルでのクロージングが期待できるでしょう。
間接コンバージョン
「間接コンバージョン」とは、自社サイトの訪問ユーザーが一度サイトを離脱し、その後改めて再訪したうえで行ったCV行動です。アシストコンバージョンとも言われています。
「商品のことを再度思い出した」「他者製品と比較するため」「ほかの人から口コミを聞いた」「SNSやテレビで広告を見かけた」など、再訪問のきっかけはさまざまです。
直接コンバージョンとは異なり、間接コンバージョンを行うユーザーはプロダクトに対する関心が顕在化しきっていない「潜在層」であるため、最終的なクロージングにつなげるためにはある程度のナーチャリング(育成)も想定しておかなければなりません。
必然的に、CVに至るまでのプロセスも長期化するため、行動履歴やニーズに関する分析もより複雑化します。
総コンバージョン
自社で設定した各コンバージョンが発生した“総数”を指すのが「総コンバージョン」です。たとえば「商品購入」の総コンバージョンについてカウントする場合、ユーザー1人が5回同じ商品を購入したとすると、当該ユーザーの総コンバージョン数は「5」です。
つまり、ユーザー単位ではなく“CV単位”で考えるのが総コンバージョンといえます。
ユニーク・コンバージョン
総コンバージョンに対し、“ユーザーの単位”でカウントする数値が「ユニーク・コンバージョン」です。ユニーク・コンバージョンは、同一のユーザーであれば何度CV行動を取ったとしても、「1」とカウントされます。
たとえば「Aさんがサイトで5回商品を購入した場合」、総コンバージョン数は「5」とカウントされますが、ユニーク・コンバージョンは「1」となります。
ユニーク・コンバージョンは自社サイトが「何人のユニークユーザーを獲得しているのか」について知るための数値であり、他データも踏まえつつマーケティング戦略の策定に活用します。
クリックスルー・コンバージョン
「クリックスルー・コンバージョン」とは、デジタル広告経由で自社サイトを訪れたユーザーがCVした回数です。ユニーク・コンバージョンと同様にユーザー単位でカウントされ、同一ユーザーが何度CVに至ったとしても、変わらず「1」と計測されます。
ユニーク・コンバージョンが自社サイトで獲得しているUU(ユニーク・ユーザー)数を知るのに役立つ指標であるのに対し、クリックスルー・コンバージョンは広告施策の効果測定の際に活用できます。
ビュースルー・コンバージョン
「ビュースルー・コンバージョン」とは、広告を見た(=view:ビュー)ユーザーがそのままCVには至らず、その後、別ルートでサイトに訪れてCVに至ったケースでカウントされる数値です。
広告経由で自社サイトに訪れたとしても、ユーザーが検討段階にある場合はCVに至らず、離脱するケースは珍しくありません。
そういったユーザーに再度アプローチするために、これまではリターゲティング広告が用いられてきました。しかし、Cookie規制の影響により今後はそれも難しくなります。そのため、ビュースルーしたユーザーに対するアプローチ方法については、再定義が求められているのが現状です。
ビュースルー・コンバージョンを上げるためには、ふとしたきっかけで思い出したユーザーが、後で検索エンジンからLPや広告に辿り着けるような工夫が求められます。具体的には、広告内にユーザーの記憶に残りやすく、印象的で覚えやすいキャッチコピーを入れておくことが効果的です。
Cookie規制についてより詳しく知りたい場合は、以下の記事もご参照ください。
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CVの設定が大切な理由
Webマーケティングにおいて、CVの設定が大切な理由を3つ紹介します。
- CVを設定することでユーザーに求めるアクションやサイトの目的が明確になるため
- CV設定を行うとデータ分析が可能になるため
- CVを設定すると、マーケティング施策やキャンペーンの効果を正確に測定できるため
1つ目は、CVを設定することでユーザーに求めるアクションやサイトの目的が明確になるためです。ペルソナや目的を明確にすることで、コンテンツの作成方針や導線の設計に一貫性を持つことができます。
2つ目は、CV設定を行うとデータ分析が可能になるためです。具体的なデータを活用することで、客観的指標に基づく戦略的な意思決定が可能になります。明確な目標値に向けて仮説を立て、PDCAを回しながらサイト改善に取り組めます。
3つ目は、CVを設定すると、マーケティング施策やキャンペーンの効果を正確に測定できるためです。投資に対する正確なリターンを把握することで効率的な予算配分が可能になり、投資対効果(ROI)最適化が見込めます。
これらの理由から、適切なCVを設定していくことはWebマーケティングにおいて重要です。
Webマーケティングで重要指標となるCVR(コンバージョン率)とは?
Webマーケティングを実施する際には「CV数の最大化」を目指して施策に取り組みます。その際に重要な指標となるのが「CVR(コンバージョン率:Conversion Rate)」です。
CVRとは、自社サイトに訪れたユーザーのうち「どのくらいの割合がCVに至っているのか」を示す数値であり、施策の効果測定をするうえで非常に重要な指標とされています。
CVRの調査方法
CVRは「CV数/セッション数」で算出されるため、Googleアナリティクスのようなツールを用いて各数値を計測する必要があります。なお、ツール次第では「Webサイト全体」「流入元別」「LP(ランディングページ)別」でのCVR計測も可能です。
マーケティングにおけるCVRの目安はどのくらい?
獲得を目指すべきCVRの目標数値は、サイトのゴール設計やCVによって異なります。たとえば、情報提供を目的としているオウンドメディアで「問い合わせ」「資料DL」などをCVとしていた場合、CVRは平均1%を目指すのが一般的です。
効果的な施策につなげるためには、CVRの目標数値はサイト運用の「KGI(=最終ゴール)」を踏まえた「KPI(=中間目標) 」に応じて設定しなければなりません。
オウンドメディアにおけるKPIの設定方法については以下の記事で解説していますので、あわせてご活用ください。
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CVを測定する方法
CVを測定する方法には、さまざまな方法があります。ここでは、Googleが提供しているGoogleアナリティクス(GA4)とGoogle広告を利用する、2つの手法について紹介します。
Googleアナリティクス(GA4)を活用する方法
Googleアナリティクス(GA4)は、滞在時間やPV数などサイト訪問者のさまざまな行動を測定できる無料の分析ツールです。
GA4でCVを測定するには、予めトラッキングコードの設置が必要です。サイト内に必要なトラッキングコードを埋め込み、GA4上で「イベント」としてCVを設定します。
イベントの設定方法は以下の通りです。
- 「管理」>「イベント」を選択
- 「イベントを作成」をクリック
- イベント名に測定したいイベントを入力し検索(例:「purchase」(購入)、「form_submit」(フォーム送信)など)
- パラメーターや演算子、値など必要な情報を入力して「作成」をクリック
- GA4のレポート画面でCVデータを確認する
イベント設定後はデータ確認まで時間がかかるため、早めに設定することをおすすめします。また、カスタムイベントの場合は追加のコード実装が必要となることがあります。
複数の目標を設定することも可能です。目標ごとの結果を確認し改善につなげましょう。
Google広告のコンバージョンタグを設置する方法
Google広告を使用している場合は、Google広告のコンバージョンタグを活用しましょう。活用方法は次の通りです。
- Google広告のアカウントにアクセス
- 「コンバージョンアクション」を作成
- コンバージョントラッキングタグを作成
- 作成したタグをWebサイトの該当ページ、headタグの間に貼り付ける
- Google広告の管理画面で目標アイコンをクリック
- セクションメニューの「コンバージョン」プルダウンをクリック
- 「概要」>「コンバージョンアクション」>「トラッキングステータス」を確認
コンバージョンタグには、サイトを訪れたユーザーやユーザーがクリックした広告の情報が分かる「グローバルサイトタグ」とユーザーがCVに至った経路が分かる「イベントスニペット」の2種類があります。
なお、自サイトでなく、Googleタグマネージャー(GTM)に設置することも可能です。
CVを最大化するための8つの方法
WebマーケティングにおいてCVが思ったように稼げなかった場合、早急に対策を行わなければなりません。改善策として、以下8つについて詳しく見ていきましょう。
- 明確なターゲット設定
- 自社方針に合わせたCVの設定
- ファーストビューの改善
- CVまでの動線設計
- CTAの改善
- EFO(入力フォームの最適化)の実施
- マイクロコンバージョンの設定
- ロジックツリーの活用
1.明確なターゲット設定
CV改善を行う際は、ターゲットを明確に設定することが大切です。年齢や性別など、サイト訪問者とターゲット層が合致しているかどうか確認し、想定読者と大幅な差異がある場合にはサイトの見直しを検討しましょう。
「30代の働く女性」や「中小企業の経営者」など、明確なターゲットを定めると、ニーズや問題点が明確になります。そのうえで、ターゲットに寄り添い、悩みや課題解決につながるコンテンツ作りを意識することが大切です。
2.自社方針に合わせたCVの設定
CVは1つに限定する必要はありません。必要に応じて、「資料請求」「無料デモの申し込み」「商品購入」など複数のCVを設定することも可能です。
顧客獲得が目的の場合は「新規会員登録」、育成すべき見込み客を得たい場合は「資料請求」など、自社の方針に合わせて適切なCVを設定しましょう。
自社の認知度や顧客のニーズに応じて適切なCVは変化します。「認知→興味→検討→購買」という一般的なカスタマージャーニーをふまえたうえで、定期的にCV設定を見直してみると良いでしょう。
3.ファーストビューの改善
ファーストビューは、ユーザーがサイトを訪問した時に一番最初に目にとめる場所を指します。ユーザーの心をつかむには、ファーストビューで離脱されないような内容やデザインにすることが大切です。
そのため「魅力的な見出し」「分かりやすいナビゲーション」「適切な画像やビジュアルの使用」などの施策を行いましょう。
なお、ファーストビューはデバイスによって異なります。レスポンシブデザインの適用など、どのデバイスから見ても満足のいくファーストビューを提供できるよう改善してみましょう。CTAボタンの見直しやA/Bテストの実施も効果的です。
4.CVまでの動線設計
サイト上に無駄なリンクやボタンが溢れていたり、CVまでの経路が複雑であったりすると、ユーザーの行動が定まらず、結果的にCVを獲得しづらくなってしまいます。
それを改善するためには、ヘッダーやフッター、サイドカラムなどの見やすい場所にCVへの導線を設けます。あるいは、ページ内の不要な情報をなるべく排除するなどして、ユーザーがスムーズにCVのポイントまでたどり着けるようにする必要があります。
5.CTAの改善
CTAとは「Call To Action」の略で、リンクやボタン、バナーなどのCVに至るまでの経路上にある通過点全般を指します。CTAがユーザーにとって分かりづらいものだとクリック率が下がり、結果としてCVの獲得数にも悪影響を与えるため注意しましょう。
CTAの改善は、特に広告やCVバナーのクリック率が低い場合に効果を発揮します。
「CTA の視認性を上げる」「クリックしたら何が起きるのか、わかりやすくする」などの対策により、ユーザーのクリック率上昇が見込めます。CTAについては、前段の「CVまでのスムーズな動線設計」も念頭に置きつつ、適切な数を設置しましょう。
6.EFO(入力フォームの最適化)の実施
「商品購入」「資料DL」などのCVを設定していた場合、同時にユーザーの個人情報などを入力するためのフォームを設けているケースが多く存在します。このフォームがユーザーにとって使い勝手の悪いものだと、そのまま離脱してしまいかねません。たとえば「エラー表示が頻発する」「一度ページが切り替わると入力内容が全て消える」などの問題を抱えるフォームです。
そのため、より多くのCVを獲得するうえでは、フォームの最適化を図る「EFO(Entry Form Optimization)」ことが重要となります。EFOの施策例としては、下記のようなものがあります。
- エラー表示機能の実装
- 必須項目をわかりやすくする
- 住所などには入力アシスト機能をつける
EFOの詳細な実施方法やCVR改善に繋げるためのポイントについては、以下の記事で紹介しています。CVの最大化のため、EFOについてもしっかりと把握しておきましょう。
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7.マイクロコンバージョンの設定
CVを改善するには、マイクロコンバージョンの設定も効果的です。マイクロコンバージョンとは、最終的なCVに至る過程で起きる小さな成果を指します。
たとえば、最終的に商品販売をCVとした場合、次のようなマイクロコンバージョンが考えられます。
- メルマガ登録
- 資料のDL
- 商品詳細ページの閲覧
- 動画コンテンツ視聴
- SNSでの投稿やいいね
- 問い合わせフォームの閲覧
- サイト内検索の利用
- カートへの商品追加
- FAQページの閲覧
これらのマイクロコンバージョンを測定することで、改善すべきポイントがどこにあるのかより明確になります。
8.ロジックツリーの活用
ロジックツリーを活用し、CVに至るまでの顧客の行動を可視化するのも効果的です。ロジックツリーとは、最終目標を達成するために必要な手段や手法、目的などを書き込んだマインドマップのような図です。
最終目的を設定し、そこまでの過程を順を追って書き出していきましょう。 たとえば、「問い合わせフォームの送信」を最終目的とした場合、計測すべき数値は次の通りです。
- サイトへのアクセス(セッション数)
- 各ページへの遷移(PV)
- 問い合わせページの滞在時間
- フォームの入力の完了率
- フォーム送信の完了率
それぞれのデータを測定・分析して、ユーザーの離脱ポイントが把握し、具体的な改善策につなげましょう。
まとめ:施策の目的と整合性のとれたCVを設定し、売上拡大を目指そう
WebマーケティングにおけるCVの定義には、「商品購入」といった直接売上に繋がるものだけでなく、「問い合わせ」「資料DL」など、長期目線で捉える必要があるものも含まれます。
そのため、「どういったCVを設定するべきか」について考える際には、サイト運用などの施策のゴール(=KGI)を適切に設定する必要があります。そのうえで、ゴールに至るまでの中間目標(=KPI)を定義化し、CVを決定していきましょう。
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