マーケティング施策を考える上で、ぜひ用意しておきたいのが「ペルソナ」です。本記事では、ペルソナとは何か、どんなメリットや活用方法があるのかを、顧客主導型のマーケティング手法「インバウンドマーケティング」の視点から解説します。
ペルソナとは
ペルソナとは、日本語に訳すと「人格・登場人物」といった意味があります。もともとは、ソフトウェア開発において、ユーザー像を具体化し、必要な機能やユーザーにマッチしたUIを設計するために活用されるようになりました。
マーケティングにおけるペルソナは、既存顧客の情報、人口統計データ、推測も含む顧客の個人的特性などから作り上げる理想的な一人の顧客像を具体化したもので、以下のような人物のバックグラウンドを含めて策定していきます。
- ・年齢、性別
・職業、役職
・行動パターン
・抱えている課題や悩み
・仕事上でのゴール
・情報収集活動
・趣味 など
ペルソナの作成にあたっては、すでに顧客となっている人物にアンケートやヒアリングを行って、典型的なパターンを導き出して作成したり、統計データを元に作成したりします。
ペルソナの作成方法はこちら
インバウンドマーケティングは顧客中心のマーケティング手法ですから、ペルソナがどんな目標を達成したいのか、どんな課題を解決したいのかを理解することで、より適切な施策を実施できるようになります。
なお、インバウンドマーケティングでは、特に自社の製品やサービスの購入を検討する人、購入を決定する人を対象とするため「ペルソナ」を「バイヤーペルソナ」と呼んでいます。
「ペルソナ」と「ターゲット」の違い
よく混同されるのが「ペルソナ」と「ターゲット」です。
ターゲットは、「20代−30代の一人暮らしの独身女性」「高齢の親を持つ50代以上の男性」など、カテゴリでまとめられた「層」です。一方、ペルソナは、層やカテゴリだけでなく、ライフスタイルを含む詳細な情報を持った仮想の人物です。「実在する特定の誰か」ではないことに注意しましょう。
ペルソナがなぜ重要なのか
さて、なぜペルソナがインバウンドマーケティングにおいて重要なのでしょうか。以下に3つの理由を挙げてご説明します。
1. より多くの見込み顧客を惹きつけ、結果的にマーケティングの成果を向上できるため
はじめに、マーケティング施策の検討や設計において、そのペルソナを中心におくことで、より見込み顧客を惹きつけるようなアイデアや手法を考えられ、結果としてマーケティングの成果を向上させられるから、ということが挙げられます。
例えば、ペルソナの職種や課題を設定しておくことで、
・どういったコンテンツを用意すればよいのか
・ペルソナはどういったキーワードで検索するのか
・キーワードの難易度はどのくらいが適切なのか
・コンテンツ閲覧後どういうオファー(ダウンロード資料、セミナー、無料体験など)があれば喜ぶのか
といったことを考えやすくなります。
【ケーススタディ】 この会社が想定するペルソナは、「建築資材を販売しているBtoB企業のWebマーケティング新人担当者で、Webサイトでの問い合わせ件数を高めたい」という課題を持っていたとします。 このペルソナの課題を解決するためには ・広告を出稿してサイト訪問者を増やすといった、集客施策の強化 といった様々な手法が考えられますが、この会社はエントリーフォーム最適化(EFO)のツールを販売しているので、お問い合わせフォームまでやってきた人の離脱率を下げる、という視点でペルソナにアプローチし、最終的に自社のEFOツールを導入してもらうまでをストーリーとして描きます。 インバウンドマーケティングの考え方では、ペルソナへのアプローチは、検索エンジンからブログ記事などのコンテンツを見つけてもらい、自身の課題を発見してもらうことから始まります。順を追って施策をみてみましょう。 (1)ペルソナの興味を喚起し、課題を発見するフェーズ (2)ペルソナをリード化するフェーズ (3)ペルソナを顧客化するフェーズ |
このように、ペルソナが決まることで、アプローチ、コンテンツ、オファーなどが考えやすくなるのです。 他にも、ペルソナのソーシャルメディアの接触頻度を想定していれば、SNSを積極的に活用するべきか、それとも施策としての優先度は下げるのかというように、活用するマーケティングチャンネルの選定にも使うことができます。
2. マーケティング施策における共通認識を持てるため
ペルソナのもう一つのメリットが、メンバー間での意識のズレがなくなることです。
ペルソナがないと、マーケティング施策を考えるにあたって、ある人はかなり役職が上の人をイメージして、別の人は若手の社員をイメージして施策を検討してしまうということがあります。結果、お互いに納得がいかない施策を実施してしまい、成果も上がらないということになりがちです。
ペルソナを決めておくことで、例えば「A社のイベントに出展するよりも、B社のイベントのほうが有効」、「初心者向けではないので、中級者、上級者が知りたい情報を発信するべき」というように、施策の方向性が明確になります。 つまり、あらゆる施策を考える時に、全員の共通認識である「ペルソナ」が判断の材料になるのです。
注意事項としては、ペルソナの周知をはからないと、チームで活用しきれないという点です。作った人だけがそのペルソナを知っているのでは意味がなく、関係する人全員がペルソナを意識できるようにします。
例えば、コンテンツの制作を外部のライターに依頼するなら、A4用紙1枚程度にまとめたペルソナのプロフィールを共有し、執筆にあたっての判断の拠り所になるようにしましょう。
3. 顧客とのコミュニケーションでもペルソナが重要になるため
ペルソナが重要なのは、マーケティング施策やコンテンツ選定だけではありません。
インバウンドマーケティングでリードを獲得した後のメールや電話での直接のコミュニケーションにおいても、判断の基準となります。 季節や決算などでどういう変化があるのか、1日のうちどのタイミングがコミュニケーションしやすいのか、メールはどういう状況で閲覧するのか、というように、顧客が置かれている環境をペルソナから想定することで、より適切なコミュニケーションがしやすくなるのです。
なお、1:1のコミュニケーションが可能になったら、ペルソナから離れてその人個人の情報を元に適切なコミュニケーションを継続するというフェーズになります。
まとめ
今回はマーケティングにおけるペルソナの役割と重要性について解説しました。理想的な顧客像であるペルソナを意識して施策を検討することで、より適切で効果的なアクションが可能になることがお分かりいただけたと思います。
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