インバウンドマーケティングの施策を考えるにあたり、ペルソナは中心となる役割を果たします。今回はペルソナの作り方をステップごとに解説し、サンプルをご紹介します。
ペルソナは、以下のようなステップで作成していきます。順にご説明していきましょう。
- ステップ1:ペルソナを特定するための質問を考える
- ステップ2:ペルソナの調査方法を考える
- ステップ3:調査結果をもとにペルソナを作成する
- ステップ4:ペルソナをもとにしたストーリーをつくる
ステップ1:ペルソナを特定するための質問を考える
ステップ2の「ペルソナの調査」で使用する質問を考えます。この質問の答えを元にペルソナを作成していくので、どのような要素が必要なのかを網羅的に考えておきましょう。
ご参考までに、質問のリストをまとめました。
- プロフィールに関する質問
ー名前、性別、年齢、学歴、家族構成、収入、住む地域、休日の過ごし方 など - 仕事に関する情報
ー業界、役職、会社の規模(年商や従業員数)、仕事の内容や役割、典型的な1日の過ごし方、求められるスキル、業務で利用しているツールやサービス など - 目標や課題
ー達成すべき目標、現状の課題や悩み など - 情報収集の手段
ーよく使う情報収集の手段(業務/プライベート)
検索、Webサイト、ブログ、SNS、雑誌、業界紙、イベント、セミナー、テレビ など
ーPC、モバイルなど利用端末の種類、利用する時間 - 購買に至るまでの情報収集や検討手段
ー購買相談をするチャネル
オンライン、店頭、代理店、営業担当からの購入、家族、知人 など
ー購買決定までのフロー、期間
※BtoBの場合は上申する立場なのか、決定する立場なのかで変わる
商材や業種、BtoBなのかBtoCなのかで、質問内容は変わります。上記をご参考に、自社にマッチした質問を追加したりアレンジしながら考えてみて下さい。
BtoBの場合は仕事に関する情報、購買に至るまでの情報収集や検討手段などについて詳細に押さえましょう。一方でBtoCの場合は、プライベートでの過ごし方やライフスタイルなどに重点を置くとよいでしょう。
ステップ2:ペルソナの調査方法を考える
ペルソナを作成するための情報収集にあたっては、以下のような手法を使います。
顧客へインタビューする
顧客へのインタビューは、特定の場所で1:1で話を聞く手法、複数人を集めて話を聞く手法、家庭や利用現場を訪問する手法、実際に利用しているシーンを観察する手法など、様々な方法があります。
1:1で聞く場合や訪問調査では、詳しく話を聞けますし、観察手法では本人も意識しない習慣などを発見することができます。複数人でのインタビューは、話しにくいと感じる人がいる一方で、他の人の意見を聞いて思い出す自分の習慣などを発掘できる場合もあります。
顧客(または顧客に近いターゲット)にアンケート調査をする
アンケート調査は、顧客に対して実施してもいいですし、母数が少ない場合は、リサーチ会社に依頼してターゲットを指定して調査してもよいでしょう。新規事業などで、顧客がいない場合は、ターゲットユーザーへのアンケート調査が有効です。
なお、インタビューや調査にあたっては、外部の専門企業に依頼する場合と、自社で行う場合があります。費用がかかるので、自社内で調査できるのであれば、自社内で行いましょう。インタビューは自社内で行ったほうが、顧客の言葉を直接聞ける分、より深いインサイトを得られる場合があります。
営業担当、販売員など顧客との直接の接点がある社内のスタッフにヒアリングする
顧客との接点がある社員がいれば、その人達に顧客像の詳細を聞き出します。インタビューやアンケート調査ができない場合でも、顧客を知る人から話を聞くだけでも十分なデータが得られます。
統計データを活用する
統計データについては、官公庁などが公開している統計データなど、なるべく偏りのないデータを活用するようにしましょう。
情報の信頼度は、上記の手法に比べて下がりますが、オンラインやSNS上の情報を収集してユーザーの特性をつかむ方法の他、SNS上でアンケートを実施するといった手法も考えられます。
ステップ3:調査結果をもとにペルソナを作成する
調査が完了したら、データをまとめていきます。プロフィール、仕事に関する情報、目標や課題、情報収集の手段、購買に至るまでの目的や手段といったそれぞれの質問の回答の中で似た傾向をまとめて、ペルソナの要素として設定していきます。ポストイットなどで書き出して傾向を分類して、特性を整理していくのもおすすめです。
それぞれの傾向が見つかったら、それを一人の具体的な人物の情報として書いていきましょう。「特定の誰か」の情報をそのまま書くのではなく、典型的なパターンを見つけ、それを仮想の人物として表現していくことが重要です。また、常に行動の背景にある「動機」を考えながら設定していきましょう。
人物の情報では、頭の中で具体的なイメージ像を持てるように、ストックフォトなどから人物写真を選び設定します。
複数のペルソナができた場合は、ペルソナの優先順位をつけてください。例えば、部長職のペルソナを1つ、一般社員のペルソナを1つ用意したときに、基本的に一般社員のペルソナを主要ペルソナとして扱い、戦略や施策によってセカンドペルソナである部長のペルソナを参照するといった具合です。
ステップ4:ペルソナをもとにしたストーリーをつくる
ここまでで、ペルソナの特徴を整理できました。最後に、作成したペルソナの特徴をもとに、そのペルソナのストーリーを仕立て、シートにまとめましょう。以下のような観点で具体的に考えてみましょう。
- 仕事や属性データなどの情報
- 典型的な1日の過ごし方
- 課題や目標は何か
- 情報の収集はどのように行うのか
- 購買行動にあたっての判断や傾向
ペルソナのサンプル
ペルソナのサンプルを作ってみました。
これは、『マーケティングにおける「ペルソナ」とは?意味や役割、重要性について解説』でご紹介したペルソナの一例です。こちらの記事で強調したように、作成したペルソナは必ず関係者で共有しましょう。
また、ペルソナは作ったら終わりではないことに注意してください。社会状況や景気、トレンドの変化などによって、ペルソナの行動も変わってきます。「現実にそぐわなくなった」と感じたら、内容を更新していくことも重要です。
※関連コンテンツ:ペルソナ作成を簡単に!カスタマージャーニー・戦略まで見える化するテンプレート
まとめ
インバウンドマーケティングにおいては、ペルソナを中心に施策を立案していきます。今回ご紹介したように、ペルソナは簡単に作れるものではありません。「こうであったらいいな」という都合のよい顧客像を想像で作成したり、「実在する特定の誰か」をペルソナにしてしまうと、施策がずれてしまう場合があります。必ずデータを収集し、典型的な特性を導き、ペルソナとして明文化しましょう。
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