インバウンドマーケティングとは?見込み顧客を引き寄せる手法と成功事例を解説
更新日:2025-02-06 公開日:2017-08-21 by SEデザイン編集部
インターネットの普及によって、情報の取得方法は大きく変わりました。スマートフォンやパソコンで、誰もが手軽に欲しい情報を入手できるようになったことで、消費者の購買行動も変化しています。人々の変化に、企業のマーケティング活動も追いつかなければなりません。
総務省情報通信政策研究所が発表した「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、仕事や調査で最も利用するメディアとして、78%以上が「インターネット」と回答しています。また、スマートフォンの利用率は全年代で97.1%となっており、平成 24 年の調査開始以降、一貫して増加しています。
インバウンドマーケティングは、従来の一方的な広告とは一線を画し、見込み顧客を引き寄せて寄り添うマーケティング手法として注目を集めています。本記事では、インバウンドマーケティングの概念から実践方法まで分かりやすく解説します。
インバウンドマーケティングとは?
インバウンドマーケティングとは、潜在顧客(製品やサービスの提供対象となる層)や見込み客の興味・関心を深め、課題解決に役立つ情報を提供し、それにつながる製品やサービスの購買を推奨する仕組みです。
つまり、「購買者の興味や課題に寄り添いながら関係を築く、顧客主導型のマーケティング手法」ともいえます。一方、従来型の「企業から顧客に対して積極的に商品やサービスを売り込む手法」のことをアウトバウンドマーケティングと言います。
それぞれの具体的な手法としておもなものを見ていきましょう。
インバウンドマーケティング |
アウトバウンドマーケティング |
● ブログ運営 ● メルマガ ● SNS ● ダウンロードコンテンツ(eBookなど) ● オンラインセミナー ● イベント・セミナー など |
● テレビCM ● 新聞・雑誌広告 ● ダイレクトメール ● 看板・ポスター(屋外広告) ● テレアポ ● ポスティング など |
アウトバウンドマーケティングは企業側から一方的に情報を発信し「働きかける」手法といえます。一方、インバウンドマーケティングは、顧客の興味や関心のある情報を提供し「引き寄せる」スタイルです。
インバウンドマーケティングはHubSpotの創業者が提唱
インバウンドマーケティングは、米国HubSpot社の創立者であるブライアン・ハリガンとダーメッシュ・シャアの両氏が提唱した概念です。インターネットが普及し消費者行動が変化する中で、それまで主流だった「アウトバウンドマーケティング」との対比から、購買者の興味・関心を軸にした「インバウンドマーケティング」という概念が生まれました。
HubSpot社は設立当初からインバウンドマーケティングの重要性を訴え、プラットフォームの提供やコンテンツの発信を実施している企業です。
SEデザインでは、HubSpot社の認定パートナーとしてHubSpotの導入・活用支援を実施しています。顧客対応の質が向上する、HubSpotの導入についてご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
インバウンドマーケティングの基本は「ペルソナ」
先ほどご紹介したように、インバウンドマーケティングは、購買者の興味や共感、関心を引き出すためのさまざまな情報提供を軸としています。ここで大切になるのが「誰」に向けて情報を提供するのかということです。
インバウンドマーケティングを始めるうえで、最初に取り組むべきことは「ペルソナ」の設定です。ペルソナとは、マーケティングにおける理想の顧客像を指し、ターゲットとなる人物の特徴を具体的に描写したものです。
ペルソナを設定する際は、以下の情報を組み込むことが推奨されています。
- 既存顧客のデータ、デモグラフィックデータ
- 推測も含めた顧客の個人的特性、経歴、課題、目標、行動パターン
顧客の課題を認識し、実際に商品を購入するまでの一連の流れをカスタマージャーニーと言います。見込み顧客との接点を洗い出し、フェーズごとのアプローチを考えるうえで、ペルソナのカスタマージャーニーを想定することは非常に有効です。
インバウンドマーケティングとよく混同される言葉
インバウンドマーケティングとよく混同される言葉に、「コンテンツマーケティング」や「アカウントベースドマーケティング」があります。
それぞれの言葉の違いについて解説します。
コンテンツマーケティングとの違い
コンテンツマーケティングは、マーケティングの課題に対する認知拡大、興味喚起、見込み顧客の育成、リピートの獲得など「コンテンツの提供」を軸に解決を図るマーケティング手法です。コンテンツマーケティングの目的は、ブランド認知度の向上、信頼の構築、顧客エンゲージメントの向上などとなります。
一方、インバウンドマーケティングは、顧客・企業との交流を通じて商品やサービスに興味・関心を引きつけるプロセスに注目したマーケティング手法です。先述したコンテンツマーケティングだけでなく、SEO対策、SNS、メールマーケティング、ランディングページの最適化などさまざまです。
つまり、インバウンドマーケティングは、コンテンツマーケティングを包括する概念といえます。
アカウントベースドマーケティング(ABM)との違い
アカウントベースドマーケティング(ABM)は、BtoBマーケティングの手法の一つです。
インバウンドマーケティングは個人(リード)を対象としており、ABMでは企業(アカウント)全体をターゲットとしている点が大きく異なります。
インバウンドマーケティングでは、不特定多数の個人に対して、ブログ記事やホワイトペーパーなどのコンテンツを提供し、関心を持つ見込み顧客を引きつけます。一方、ABMは、特定の企業に焦点を当て、パーソナライズされたアプローチを行う手法です。
ABMはインバウンドマーケティングのように幅広く実施するのではなく、大きな売り上げが見込める企業に対してのみ実施します。重要な企業に対して集中的に高いリソースを投入できる点がメリットです。ターゲットを絞り込み、最適なアプローチを行うため高い成約率が期待できます。効率的に売り上げを拡大できるため、BtoBマーケティングの手法として高い注目を集めています。
なぜインバウンドマーケティングが必要なのか?
近年、多くの企業がインバウンドマーケティングを取り入れ、大きな成果を上げています。しかし、成果が出るまでに時間がかかることも多いため、「本当に自社に必要なのか」と悩んでいる担当者の方もいるでしょう。
ここでは、インバウンドマーケティングが必要な3つの理由を解説します。
企業のアウトバウンドマーケティングに限界が見えた
企業のマーケティング活動において、テレビCMや新聞広告などに代表されるアウトバウンドマーケティングの限界が指摘されるようになりました。アウトバウンドマーケティングの効果の低下は、企業の売り上げや利益に直結する深刻な問題です。
背景にはインターネットの普及により、消費者の情報収集方法が大きく変化したことが挙げられます。消費者は商品やサービスの購入前に、自ら能動的に情報を収集するようになりました。商品購入前にSNSや口コミサイトなどで、専門家のレビューや利用者の感想を確認する人は珍しくありません。
加えて、最近では、動画配信やインターネットを閲覧する際に「広告は邪魔だ」と感じるユーザーも多く見られます。
このような消費者の行動や意識の変化によって、アウトバウンドマーケティングは限界に直面しています。インバウンドマーケティングは消費者の変化に対応し、新たな関係を構築するための手法です。
情報過剰による顧客の行動が変化した
1999年に10億回であった世界のGoogle検索の回数は、2016年には2兆回にのぼったと言われ 、17年で2,000倍に伸びています。インターネットの普及によって世の中に発信される情報量が増えたことで、顧客の行動は大きく変化しました。
総務省情報通信政策研究所が発表した「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2)によると、日本では、仕事や調べもので最も利用するメディアとして78%以上が「インターネット」と回答しています。また、スマートフォンの利用率は、全年代で97.1%となっており、平成 24 年の調査開始以降、一貫して増加しています。
誰もが知りたいことを自力で調べられる環境になった一方、自ら情報収集できるからこそ、必要のない情報は非表示やミュートにすることもできるようになりました。その結果、プッシュ型のアウトバウンドマーケティングでは、顧客に情報が届きにくくなったといえます。
この状況下で注目を集めているのが、インバウンドマーケティングです。企業はブログやSNSなどで継続的に情報を発信します。見込み顧客は課題や悩みを解決する有益な情報を求めて、企業のWebサイトにたどり着きます。情報が見込み顧客の希望を満たすものであれば、自然な形で興味や関心を引きつけることができるでしょう。
デジタル広告よりも口コミの信頼度が上昇
誰もが口コミサイトやSNSなどで気軽に情報を入手し、比較検討できるようになりました。そのため、口コミの影響力が増しています。企業からの一方的な情報提供ではなく、利用者のリアルな声や、それらを集めたCGMのほうが、企業広告よりも信頼がおけると感じる人も多いでしょう。
BtoBマーケティングにおいても、DMやデジタル広告などの一方的な情報から購買に結び付くケースは減少しています。欲しい製品やサービスを検索し自分で情報を集め、比較・検討した後に問い合わせを行い、製品を購入している企業も多いでしょう。消費者の意識が変化した今、アウトバウンドマーケティングだけでは、潜在顧客に製品やサービスを見つけてもらうことは困難です。
一方、インバウンドマーケティングでは、商品の宣伝を全面的に押し出さず、潜在顧客が抱える課題や悩みを解決する有益なコンテンツを提供できます。情報の一方的な押し付けではなく、自然に顧客の興味や関心を引くことができるのです。
インバウンドマーケティングの5つのメリット
インバウンドマーケティングのメリットとして、次の5つが挙げられます。
- 確度の高い顧客に興味を持ってもらえる
- 費用対効果が高く、会社の資産として蓄積できる
- 顧客データを蓄え、分析・活用できる
- SNSによる拡散がされやすい
- 営業活動の成果に貢献できる
詳しく掘り下げていきましょう。
1.確度の高い顧客に興味を持ってもらえる
現在の見込み顧客は、自らが能動的に情報を探しています。そのため、見込み顧客が、企業が提供した情報に関心や興味を持った場合、確度の高い顧客になることが見込めます。
企業が提供する専門性の高い情報を読んだ見込み顧客は、その企業に対して信頼感を抱くでしょう。見込み顧客が抱える課題や悩みを的確に捉え、解決につながる情報を提供することで、共感を得やすくなります。
インバウンドマーケティングは、見込み顧客のペースで徐々に関係を深めていけるのも特徴です。アウトバウンドマーケティングのような、一方的な売り込みではなく、顧客の求める情報を提供し続けるため、自然な形で長い信頼関係を維持できるでしょう。
このように、インバウンドマーケティングでは、見込み顧客の能動的な情報収集、課題解決への寄り添い、専門性の高い情報提供ができるため、確度の高い顧客の興味を引きつけることができる点がメリットです。
2.費用対効果が高く、会社の資産として蓄積できる
アウトバウンドマーケティングでは、マス広告やデジタル広告への出稿などに膨大な予算が必要になることも少なくありません。一方、インバウンドマーケティングでは顧客側から自社サイトなどに情報を探しに来てくれるため、低予算での運用が可能です。
広告やイベントは期限が決められており一過性ですが、コンテンツは一度制作すればWeb上に残るため、マーケティング資産として積み上げることができます。オウンドメディア運用のノウハウも社内に蓄積することができるため、貴重な財産となります。
つまり、インバウンドマーケティングは制作や効果が現れるまでに時間がかかるものの、広告と比較して低予算で作成できるうえに長期的な財産となるため、費用対効果は高いといえるでしょう。
3.顧客データを蓄え、分析・活用できる
インバウンドマーケティングでは、自社製品やサービスに興味を持った顧客がWebサイトやSNSに来訪します。データ解析ツールを用いれば、来訪してきた顧客のWeb上での行動分析が可能です。
新聞などのマス広告や、DMなどの従来型の手法では、顧客が広告を見た後にどのような行動を取ったのか把握することができませんでした。一方、インバウンドマーケティングに使用するWebサイトやSNSなどのチャネルでは、訪れた顧客がどのページを閲覧し、どんな行動を取ったのかがデータとして蓄積されます。
こうしたデータを分析すれば、ニーズがある顧客の特徴をつかむことができ、より効果的なマーケティングを行うことにも役立ちます。
4.SNSによる拡散がされやすい
インバウンドマーケティングの利点の一つは、SNSによって拡散されやすい点です。企業が提供する情報が、見込み顧客にとって価値が高く、興味深いものであれば、SNSを通じて自然と拡散されることも多く見られます。
SNSによる拡散は追加費用がかからないため、費用効果が高いのがメリットです。加えて、情報拡散によって、当初のターゲットを超えた幅広い層に情報が届きます。これにより、新たな見込み顧客の獲得が期待できます。
頻繁に情報を拡散してもらうためには、高品質な情報を定期的に提供し続けることが大切です。SNSを用いたインバウンドマーケティングでは、見込み顧客のニーズや興味、トレンドなどを深く理解し、それらを反映した情報を提供しなければなりません。
5.営業活動の成果に貢献できる
インバウンドマーケティングでは、価値ある情報提供により潜在顧客を引きつけるため、質の高いリードを獲得できます。質の高いリードは購買意欲が高く、営業活動の効率化や成約率の向上が期待できるのです。
加えて、見込み顧客に有益な情報を継続的に提供することで、信頼関係が構築できます。営業活動に入る前から信頼関係を築き、見込み顧客のニーズを深く理解したアプローチが取れるため、スムーズな営業活動を始めることが可能になります。
インバウンドマーケティングで獲得した顧客は、企業との信頼関係が構築できているため、長期的な取引につながる可能性が高まり、継続的な収益の確保が見込める点がメリットです。
インバウンドマーケティングのデメリット
インバウンドマーケティングのデメリットは、主に以下の2つがあります。
- 見込み客に認知されるまで効果が出にくい
- コンテンツ制作にはリソースが必要になる
それぞれのデメリットを詳しく掘り下げていきましょう。
見込み客に認知されるまで効果が出にくい
インバウンドマーケティングのデメリットの一つは、見込み客に認知されるまで効果がでにくい点です。検索流入での集客を中心に考える場合、作成した記事やページが検索結果の上位に表示されなければ、流入は見込めません。
検索流入でトラフィックを増やしたい場合、検索結果の上位にページが表示されるまでには時間を要します。そのため、トラフィックを集められるようになるまでには、最低でも3〜6ヶ月程度かかるといわれています。継続して発信し続けることも重要で、成果が上がらないなかでも、根気よく続ける必要があります。
コンテンツ制作にはリソースが必要になる
インバウンドマーケティングの成果を上げるには、質の高いコンテンツを継続的に発信することが必要です。
コンテンツの代表的なものは、記事コンテンツです。サイトに定期的に新しい記事コンテンツを追加することで、検索エンジンに更新性が高いサイトと判断してもらえます。
ターゲットによってはSNSマーケティングが有効ですが、SNSでの発信も、継続性が求められます。SNSでは、企業の情報を伝えるだけではなく、InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなど、SNSごとに利用ユーザーやSNSの特徴に合わせた情報を定期的に発信することが重要です。たとばInstagramでは、見栄え良く撮影・加工した画像が数枚必要ですし、Xでは、思わず目を止めてしまうような画像や一言が必要です。
記事もSNSコンテンツも、それぞれに適切なコンテンツを作る必要がありますが、コンテンツ制作には、人手や時間といったリソースが必要です。特に、内製で対応する場合は、他業務との兼ね合いが原因で、リソース不足で更新が滞ることも少なくありません。定期的な発信が難しくなると、マーケティング全体の効果が十分に発揮されなくなる可能性があります。
リソース不足の対策としては、外部リソースの活用や業務フローの見直しが有効です。
インバウンドマーケティングの手法
インバウンドマーケティングの手法は、大きく分けて4つのステージに分かれています。
下記の図はインバウンドマーケティングのステージと実施する施策を示したものです。「ATTRACT(興味を喚起する)」「CONVERT(リード化する)」「CLOSE(顧客化する)」「DELIGHT(ファンを増やす)」という4つのステージごとに施策を実施していきます。
【インバウンドマーケティングの4つのステージ】
順にご紹介しましょう。
1. ATTRACT(興味を喚起する)
ATTRACTステージの目的は、多くの潜在顧客(策定したペルソナの層)にサイトを訪問してもらうことです。この時点での顧客は、ニーズが顕在化しておらず、商品やサービスの概要を知らない状態です。
そのために、ペルソナの興味・関心、課題を掘り下げ、有益となる適切な情報を、適切な場所(チャネル)に、適切なタイミングで提供する必要があります。
一般的には検索エンジンからキーワード検索などで、ペルソナの興味・関心のあるテーマの解説や課題解決のヒントとなる情報を提示し、ブログなどの自社サイトを見つけてもらいます。同様にペルソナが利用しているソーシャルメディアにも投稿し、ソーシャルメディアからのサイト訪問も見込みます。
このステージで実施する施策は下記をご覧ください。
[ATTRACTステージで実施する施策]
- SEO
- SNS(Twitter、Facebook、Instagramなど)
- ブログ
- Webサイト(製品やサービスを紹介するサイトなど)
2. CONVERT(リード化する)
CONVERTステージのユーザーは、ニーズが少し顕在化し、サービスに関して顧客自ら情報を集めている状態です。このステージの目的は、訪問者から氏名、会社名、メールアドレスなどの情報を提供してもらい、見込み顧客に転換すること(リードジェネレーション)です。
訪問した潜在顧客を見込み顧客へ移行させるため、eBookやホワイトペーパーのような、ATTRACTステージで提供したものより深く、価値の高い情報をオファーコンテンツとします。
これらのコンテンツをダウンロードいただく前提として、メールアドレスをはじめとする個人情報の送信や会員登録を求め、見込み顧客への転換をはかります。
[CONVERTステージで実施する施策]
- ホワイトペーパー・eBook
- ランディングページ(資料ダウンロード用のWebサイト)
- Webフォーム
3. CLOSE(顧客化する)
CLOSEステージの目的は、見込み顧客の情報・行動を分析して、実際の顧客へと移行させることです。
Webサイトの閲覧・行動履歴などを参考に、Eメールやほかのコミュニケーション手段で見込み顧客の購買意欲を高めます(こうした活動は、リードナーチャリングと呼ばれます)。
一連のコミュニケーションから有望と判断した見込み顧客は、営業部門に引継ぎ、顧客化を目指します。製品・サービスのカスタマイズツールや見積りシミュレーションのようなツールを用意するなど、購買に向けたアプローチをここで行うのも有効です。
[CLOSEステージで実施する施策]
- Eメール
- セールスツール
- マーケティングオートメーション
4. DELIGHT(ファンを増やす)
DELIGHTステージのユーザーは、すでに自社の顧客となっている状態です。このステージの目的は、継続的なサポートを行って顧客満足度の向上を図り、顧客がSNSなどを通じてほかの潜在顧客に広め、あらたな訪問者の獲得を図ることにあります。
まず顧客の購入・行動履歴を分析し、それらの情報をもとにWebサイトやEメールなどのコンテンツを最適化して提示できるようにします。こうした個人にパーソナライズしたコンテンツを「スマートコンテンツ」と呼んでおり、スマートコンテンツの活用が、顧客との関係性を深めることにつながると考えています。
このステージで実施する施策は下記をご覧ください。
[DELIGHTステージで実施する施策]
- スマートコンテンツ
- SNS(Twitter、Facebook、Instagramなど)
インバウンドマーケティングの成功ポイント
インバウンドマーケティングを成功させるためには、次の5つのポイントを押さえましょう。
- 目標設定やペルソナといった戦略をしっかり立てる
- 部門間連携ができる体制を整える
- 施策だけでなくコンテンツ作りに注力する
- CVに近い部分から修正する
- 見込み客になりやすい層から獲得する
目標設定やペルソナといった戦略をしっかり立てる
インバウンドマーケティングを成功させるためには、目標を明確にすることが大切です。マーケティングの成功度合いを測り、PDCAを回すためにも、リード数やコンバージョン率など、達成すべき目標を数値で設定しましょう。
見込み顧客の関心事を理解するためには、「ペルソナ」と呼ばれるターゲット顧客像を詳細に定義することが不可欠です。年齢、性別、職業、行動特性、課題、目標などを具体的に設定します。ペルソナ像を基に、顧客の関心を引くコンテンツを制作し、最適なチャネルで情報を発信しましょう。
インバウンドマーケティングでは、見込み顧客を引きつけ、育成し最終的に顧客として商品を購入してもらうことが重要です。手順を把握したうえで、各フェーズに適した施策を立案し、実行計画を策定することが成功のポイントです。
部門間連携ができる体制を整える
インバウンドマーケティングの成功には、マーケティング、営業、カスタマーサクセスなど関連部門間の緊密な連携が不可欠です。各部門の役割と責任を明確にし、一貫性のある顧客体験を提供する体制を整えましょう。
部門間連携を深めるためには、定期的な会議や情報共有の場を設け、施策の進捗や課題を共有することが大切です。顧客データの一元管理やコミュニケーションツールを活用すると、部門間のスムーズな情報共有が可能になります。
施策だけでなくコンテンツ作りに注力する
インバウンドマーケティングを成功させるには、魅力的なコンテンツの作成に注力することが重要です。顧客の関心を引き、課題解決に役立つ価値あるコンテンツを継続的に制作・発信することが、ブランドへの信頼構築やリード獲得につながります。
コンテンツの形式は、ブログ、ホワイトペーパー、ウェビナー、動画など多岐にわたります。ターゲットとなる顧客の関心や嗜好に合わせて、最適なコンテンツを提供しましょう。SEOを意識したコンテンツを作成し、検索エンジンからの流入を増やすことも重要です。
質の高いコンテンツを制作し、多くの潜在顧客にリーチすることを意識してみましょう。SNSなどで数多くシェアされれば、新たなリードの獲得が期待できます。
戦略的な施策と価値あるコンテンツの継続的な制作・発信が、持続的な成果につながります。
CVに近い部分から修正する
インバウンドマーケティングで成功するためには、LPOやEFOなどに取り組み、CV(コンバージョン)に近い部分から修正を進めることが重要です。
多くの企業は、集客段階の問題を優先的に解決しようとします。しかし、CVの手前にあるLP(ランディングページ)や問い合わせフォームなど、実際にユーザーが行動を起こす箇所を改善するほうが、短期間で成果が得られやすいのです。
たとえば、フォームが複雑で離脱が多い場合、フォームを簡略化するだけでコンバージョン率が大幅に向上するといった取り組みも有効です。
このように、最終的な成果につながる箇所から順に修正を進めることで、効果的に改善できます。
見込み客になりやすい層から獲得する
インバウンドマーケティングで成功するためには、見込み客になりやすい層から優先的に獲得しましょう。
ターゲット全体に一律でアプローチするのではなく、ニーズが顕在化している層や、自社の製品やサービスに関心を示している層に焦点を当てると、高いコンバージョン率が期待できます。
たとえば、無料セミナーや資料ダウンロードに積極的に参加するユーザーは、購買意欲が高いと考えられるため、優先的にフォローすべきです。また、顕在層からのフィードバックを活用することで、他のターゲットへのアプローチも効率化できます。
見込み客を効率よく獲得すると、マーケティング全体の成果を上げることが可能です。
インバウンドマーケティングで成功した会社の事例
インバウンドマーケティングを具体的に知るには、成功事例を知るのが一番良いでしょう。インバウンドマーケティングで成功した企業事例を2つ紹介します。
- HR NOTE(株式会社ネオキャリア)
- LISKUL(メディアエンジン株式会社
HR NOTE(株式会社ネオキャリア)
株式会社ネオキャリアは、人材派遣サービスで知られる企業です。
ネオキャリアが運営する「HR NOTE」は、人事クラウドサービスに関する情報を提供するメディアとして多くの人事担当者に利用されています。
通常、人材派遣サービスの顧客獲得方法としてはテレアポが一般的です。テレアポも有効な手段ではあるのですが、成果がでるかどうかは、アポインターの力量によるところも大きく、属人化になりがちな手法です。
ネオキャリアでは、インバウンドマーケティングを導入し、年間数万件もの顧客獲得成果を上げています。インバウンドマーケティングには、属人化の懸念が無いうえ、従来の手法に比べ、効率的に見込み客の獲得ができます。
LISKUL(メディアエンジン株式会社)
LISKULは、メディアエンジン株式会社が運営するWebマーケティングに特化したメディアです。主に、Webマーケティングやデジタルマーケティングに関する情報を発信しており、資料ダウンロードから見込み客を獲得し、コンバージョンにつなげています。
また、SEOでの集客を軸に運営しており、メインユーザーは、検索エンジン経由でサイトに訪れています。
このように、SEOを活用した安定的な集客と、コンテンツを活用した見込み客の育の成が、LISKULの強みと言えるでしょう。
インバウンドマーケティングに適している企業と適していな企業
インバウンドマーケティングに適している企業と適していない企業にはどんな特徴があるのでしょうか?それぞれ解説します。
インバウンドマーケティングに適している企業
インバウンドマーケティングに適している企業の特徴は、以下の2つです。
- 購入に至るまでの検討期間が長く、すぐに決断が難しい製品やサービスを扱う企業
- 独自の製品やサービスを扱っている企業
インバウンドマーケティングは、コンテンツから入ってきたユーザーに対して教育を行い、顧客化するマーケティング手法です。そのため、教育が必要な高額製品やサービス、独自の製品やサービスを持っている企業に向いています。
インバウンドマーケティングに適していない企業
インバウンドマーケティングに適していない企業の特徴は、以下の2つです。
- 手頃な価格帯の製品やサービスを扱う企業
- 印象に残りにくい製品やサービスを扱う企業
インバウンドマーケティングに適している企業とは違い、手頃な価格で購入でき、印象に残りにくい製品やサービスには、インバウンドマーケティングは適しません。
手頃な価格で製品やサービスが購入できると、検討する期間も短くなり、コンテンツでの教育が必要ないのです。
インバウンドマーケティングに適したツール「HubSpot」
インバウンドマーケティングはHubSpot社の創設者が提唱したことは上述の通りです。つまり、HubSpotは、インバウンドマーケティングを効果的に実践するために作られたオールインワンマーケティングソフトウェアです。
潜在顧客に自社を見つけてもらうための魅力的なコンテンツを作成するための機能や、サイトへの訪問者をリード化するための機能、また、Eメールやマーケティングオートメーションといった、リードを顧客化するための機能までを網羅しています。
顧客情報をエクセルなどで管理していたり、部門ごとに別のツールを使っていたりする場合は、HubSpotを導入することで、部門間の連携がスムーズになるでしょう。
また、実施した施策の効果を一元的に把握できるため、マーケティング活動の成果を余さず可視化でき、明確な指標をもとにしたROI(投資利益率)の向上に貢献します。
まとめ:インバウンドマーケティング成功のカギは、有益なコンテンツを作り続けること
本記事では、インバウンドマーケティングの手法についてご紹介しました。
潜在顧客の興味喚起、見込み顧客へのコンテンツ提供、顧客への適切なサポートと、ステップごとに必要なコンテンツは多岐にわたります。 提供するコンテンツが個々の状況にマッチしていなければ、高い効果は望めません。
持続的に見込み顧客を創出するには、設定したペルソナに対して有益なコンテンツを継続的に提供し、顧客への転換を図っていくことが重要です。つまり、「ペルソナ設計」と「有益なコンテンツを作り続ける力」が、インバウンドマーケティングの成功のカギといえます。
SEデザインは、ペルソナ設計から伴走支援させていただき、各種コンテンツ制作も行います。また、先ほど紹介したHubSpotの導入・活用支援も行っており、リードの獲得や育成のサポートも可能です。ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。