潜在顧客との接点を持つために、LP(ランディングページ)を作成することは有効な手段です。しかし、作成してそのままになっていることも多いのではないのでしょうか。
LPを最適化して、問い合せや申し込みなどのWeb上の最終的な成果であるCV(コンバージョン:商品購入や資料DLにつながるユーザーの行動)数を高める施策を行うことが、ビジネスの成長には欠かせません。
この記事では、LPO(ランディングページ最適化)の基本的な捉え方や実施の手順、具体的な事例などについて解説します。LPの効果を最大化させたい方は、ぜひご一読ください。
LPOとは?わかりやすく解説
LPOとは、日本語で「ランディングページ最適化」を意味します。CVR(サイト訪問者の内最終成果に至ったユーザーの割合)向上のために、ユーザーの興味や関心を把握し、LPの課題を洗い出したうえで、改善を行う一連の流れを指します。
LPOはインターネット広告の効果を最大化するための施策として欠かせません。この章で、LPOの概要を確認しましょう。
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LPOとは【ランディングページ最適化】
LPOとは「ランディングページ最適化」のことを指します。LPにアクセスする訪問者が途中で離脱するのを防ぎ、CV数の向上を図っていくことが目的です。
LPは広義と狭義の意味があり、広義ではWebサイトを訪問した人が最初に目にするページのことを意味します。狭義では、ページ単体でCV獲得を目的としたページのことを指します。Web広告の分野では後者を指すことがほとんどで、本記事で解説する「LPO」もそうです。
LPOが意識されるようになった経緯には、A/Bテストの普及やターゲティングに関する考え方が、マーケティングにおいて重視されるようになったことがあります。ユーザーの興味や行動から答えを導き出すのがマーケティングの基本的な考え方であるため、LPOにおいてもユーザーがLPに何を求めているのか、何が課題となって離脱につながっているのかを洗い出すことが重要です。
SEOやEFOとの違い
LPOとよく混同される、SEO・EFOのそれぞれの特徴と具体的な改善ポイントは、以下のとおりです。
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特徴 |
具体的な改善ポイント |
LPO (ランディングページ最適化) |
商品の購入や申し込みなど、 CVRの向上を目的とした施策 |
・ユーザーの興味や関心に合わせた コンテンツの作成 ・明確で魅力的なキャッチコピー ・ユーザーの行動を促すための キャッチコピー ・CTAボタンの最適化など |
SEO (検索エンジン最適化) |
検索エンジンの上位表示を狙い、 自然検索によるトラフィック増加を 目的とした施策 |
・キーワード選定の見直し ・内部リンク構造の最適化 ・質の高いオリジナルコンテンツの配信など |
EFO (入力ホーム 最適化) |
ユーザーの入力フォーム内の離脱を 防止し、フォーム完了率を高める施策 |
・入力項目の簡略化 ・入力エラーの明確な指示 ・マルチステップフォームの導入など |
LPO(ランディングページ最適化)はユーザーに商品やサービスの購入など、特定のアクションを促す施策です。ユーザーが途中で離脱しないよう、興味や関心に合わせたページ作りが求められます。
SEO(検索エンジン最適化)は、検索エンジンからの評価を高め、検索エンジンの上位に表示させるための施策です。自然検索によるトラフィック増加を目的として行います。
EFO(入力フォーム最適化)は、入力フォーム使用中のユーザーの離脱防止を図る施策です。ユーザーにとって使いやすい入力フォームを作成し、CV数の向上を目指します。
CVR向上のためには、サイト解析ツールなどを活用して、ユーザーの離脱原因について仮説を立ててみましょう。仮説に沿って、それぞれに適した改善策を講じることが重要です。
LPOの歴史
LPOはインターネットの普及に伴い進化しています。
1990年代後半、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの登場に伴い、SEOに注目が集まりました。その後、2000年代初頭にPPC広告が普及し始め、広告から特定のLPにユーザーを誘導する手法が一般化したことに伴い、LPOが普及し始めたと言われています。
2006年に、GoogleがLPOツール「Websites Optimizer」の提供を開始したことも、認知度が高まった理由のひとつです。
その後、ウェブ解析ツールの進化に伴い、A/Bテストの手法が広まりました。スマートフォンが普及した今では、モバイルフレンドリーなデザインやレスポンシブデザインも重要視されています。
LPOの具体的な事例
LPOを深く理解するためには、具体的な事例を通して学ぶことも大切です。都内にあるWeb制作およびLPOを行っている企業から提供してもらった事例から、以下の施策と効果が見られました。
施策 |
効果 |
FV(ファーストビュー)の画像を 一般人から著名人に変更 |
著名人を起用することで説得力が増して、 読了率が向上 |
FVの画像をGIF動画に変更
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動きのあるコンテンツでユーザーの目を引きつけて、離脱率が低下 |
サービス紹介と顧客事例の掲載順序の入れ替え
|
ユーザーが知りたい情報を先に提供することで、 CV数が向上 |
入力フォームに遷移する バナー画像の色と動きを変更 |
バナー画像に親しみを持ってもらえたため、 クリック率が向上 |
Webサイト全体のテキスト量を減らして 画像に変更 |
情報が分かりやすくなったため、 読了率とCV数が向上 |
LPにおいては、サイトへのアクセス数を増やすのはもちろん、最終的な成果に結びつけていくことが重要です。集客(インプレッション)と成約率(CVR)のアップを両面から捉えて、サイトを改善してみましょう。
LPOを行ううえで大切な9の検証項目
LPOの成果を最大化するために欠かせないのが、次の9つの検証です。
- CTA
- ファーストビュー
- ページ速度
- Web接客
- レイアウト
- A/Bテスト
- LPの長さ
- クチコミ・動画の活用
- フォーム埋め込み
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
検証1.CTA
CTAとは、Call To Actionの略で、ユーザーに対して具体的な行動を促すためのボタンやリンクです。たとえば、「今すぐ購入」「お問い合わせはこちら」などと表示し、ユーザーに次のアクションを促します。
CTAはCV(コンバージョン)に直結するため、シンプルで分かりやすく、ユーザーの行動に結びつきやすいデザインが求められます。配置場所やボタンのサイズ、色、文言などを変え、ユーザーの反応を繰り返しテストして、最適なものを見つけましょう。
検証2.ファーストビューの最適化
ファーストビューとは、Webページを開いた際に最初に表示される画面を指します。ユーザーがサイトを評価するうえで、重要な役割を果たします。
ファーストビューには、ユーザーの興味を引き付ける要素を盛り込むことが大切です。たとえば、視覚的な訴求力のある画像や動画、ユーザーが求める情報、魅力的なキャッチコピーや見出し、などが挙げられます。
ウェブ解析ツールを使ってヒートマップやスクロール解析などで検証し、ファーストビューの最適化を図りましょう。
検証3.ページ速度
ページ速度とは、ユーザーがサイトにアクセスしてWebページが完全に表示されるまでの時間を指します。速度が速いほど、離脱防止につながりユーザー体験の向上が期待できます。また、ページ速度はSEOにも影響を与えるため、テストや改善が欠かせません。
一般的に、ウェブ解析ツールを使ってページ速度を計測します。速度が遅いページがあれば、ロード時間に悪影響を与えている要素を特定して、改善を図りましょう。
検証4.Web接客
Web接客とは、オンライン上で訪問者に対してリアルタイムにコミュニケーションを取ることです。顧客の満足度向上や離脱防止、売り上げ向上を目的とし、ライブチャットやポップアップメッセージなどが代表的な手法です。
Web接客の効果を検証するには、顧客のWeb接客の有無でCVRや平均注文額、顧客満足度、離脱率などを比較・分析します。
検証5.レイアウト
レイアウトとはサイト内の画像、動画、コンテンツなどの視覚的な要素の配置を指します。レイアウトは、ユーザビリティーと視覚的魅力に大きな影響を与えるため、十分な検証が必要です。
商品ページやキャンペーンページを作成する際は、ターゲットユーザーにとって最も魅力的で使いやすいレイアウト設計が求められます。
A/Bテストなどを通じて、異なるレイアウトがユーザーの行動にどのような影響を及ぼすのかを検証し、最適なレイアウトを見つけましょう。
検証6.A/Bテスト
A/Bテストでは、複数のサイトのバリエーションを用意し、ランダムに割り当てたユーザーグループに提示します。どのサイトデザインが最も効果的であるかを検証し、離脱率の低下やCVR向上などを目指す手法です。
テストの対象は、デザインやコンテンツにとどまらず、ボタンの配置、見出しのテキスト、ナビゲーションの構造などあらゆる要素に及びます。ウェブ解析ツールを使ってそれぞれの結果を分析し、より高いパフォーマンスを示すバリエーションを導き出しましょう。
検証7.LPの長さ
LPの長さについても十分な検証が必要です。長すぎるとユーザーが離脱しやすくなりますが、短すぎると情報不足で信頼を得られない可能性が生じます。
商品やサービス、ターゲットユーザーの特性によって、最適な長さは異なるため注意が必要です。一般的に、若い世代は短いコンテンツを好み、シニア世代は詳細な情報を求める傾向が見られます。
ユーザーにとって適切な長さを把握するためには、LPの長さによるエンゲージメントやCVRの違いを検証します。ヒートマップ解析やスクロール行動分析、A/Bテストなどを行い、最適な長さを見極めましょう。
検証8.口コミ・動画の活用
口コミ・動画は、売り上げ促進につながる重要な要素です。第三者による口コミは信頼性の向上につながります。特にユーザーが知らないものに対して、強い興味を引き付ける効果が期待できるでしょう。
また、動画は視覚的訴求力が高く、ユーザーの感情に働きかける効果があります。商品やサービスの理解促進や購買意欲の向上が見込めます。
A/Bテストやユーザーアンケート、ヒートマップ解析、クリック追跡などを通じて、口コミや動画の活用効果を検証してみましょう。
検証9.フォーム埋め込み
フォームを埋め込むことは、ユーザー情報の収集やリードの獲得につながります。また、フォームを使ってユーザーに行動を喚起することで、購買意欲の向上も期待できるでしょう。
ただし、長すぎるフォームはユーザーの離脱につながる可能性があります。回収率向上のために、フォームはユーザーの目に留まりやすい場所に配置しましょう。
フォームの効果を検証するには、離脱率やフォーム完了率の確認、A/Bテスト、ユーザーアンケートなどが有効です。
LPOを実践する5つのステップ
LPOを具体的に実行していくためには、以下の基本的な手順を踏まえて進めていく必要があります。
- 目標・KPIを設定する
- 現状を把握する
- 解析ツールを使う
- テスト検証をして改善策を実行する
- PDCAを回す
それぞれ順番に確認しましょう。
ステップ1.目標・KPIを設定する
LPOの実践には、目標とKPIの設定が欠かせません。目標には、LPOを通じて達成したい具体的な成果を掲げましょう。たとえば、売り上げアップやリードの獲得数増加などです。
KPIは目標の達成度を測る指標です。「オンラインショップの売上額〇円」「リード獲得数〇件」など、目標を数値化し、具体的に設定することが必要です。
目標とKPIを明確にすることで、LPOの方向性が定まり、効果的な施策立案が可能になります。
ステップ2.現状を把握する
LPOをなぜ行うのかという目的や目標を明らかにするために、現状把握が必要です。
具体的には「LPで狙っているターゲット層やユーザーに求める行動は何か」「目標とするCV数がどの程度なのか」を洗い出してみてください。
ステップ3.解析ツールを使う
Googleアナリティクスやヒートマップ、Googleタグマネージャーなどの解析ツールを使って、アクセスログを分析してみましょう。このとき、PV数・直帰率・平均滞在時間・読了率・CV数・CVRなどに注目してください。
実際のデータを基に分析を行うことで問題点を速やかに発見でき、改善すべきポイントが見えてきます。複数のLPがある場合には、ページ同士を比較してみることで何か違いがあるのかを探ってみてください。
問題点が明らかになったら、どうしてそのような問題が生じているのかを考えます。改善策は問題点によって異なってくるので、丁寧に分析を行ってみましょう。
ステップ4.テスト検証をして改善策を実行する
具体的な問題点が明らかになったら、A/Bテストなどを行って実際に試してみることが大切です。ページの直帰率が高い、成約率が低いといった状態であればA/Bテストは非常に有効で、キャッチコピーやファーストビューをどのように変更すべきかの方向性を見定めやすくなります。
改善策を実行した後には、施策の効果を検証してさらに改善を繰り返していくことが重要です。また、LPの基本構成(画像・キャッチコピー・オファーなど)を守っているかという部分も見落としがちなので、丁寧にチェックしてみましょう。
ステップ5.PDCAを回す
LPOの効果は一度の改善では得られないことも少なくありません。また、ウェブや市場のトレンドは時間とともに変化するため、定期的な見直しが必要です。
PDCAを効果的に回すには、改善施策の優先順位付けや施策の効果検証、失敗事例の活用なども重要な要素です。目標に対する達成率を分析し、KPIに近づけることが大切です。
長期的視点に立ってPDCAサイクルを適切に回し、LPOの効果を継続的に高めていきましょう。
LPOツールを使うと効果的に検証ができる
LPO改善の成果を把握し、さらなる改善につなげるためにはツールによる検証を検討してみましょう。LPOツールを導入すると膨大な情報を、迅速に検証できます。
たとえば、次のようなツールがあります。
種類 |
特徴 |
ヒートマップ |
ユーザーの動きを可視化 |
A/Bテスト |
異なるデザインのLPを比較 |
ページ速度測定 |
Webページの表示速度の測定 |
フォーム解析ツール |
入力フォームの解析 |
クリック追跡 |
クリック情報の解析 |
アナリティクス |
トラフィック分析 ユーザー行動分析 CV分析 など |
LPOを適切に改善するためには、さまざまなデータを分析しなければなりません。手作業では非常に手間がかかります。
多くのデータを一度に検証できるLPOツールを導入すれば、膨大なデータを自動的に収集できるため、大幅な業務効率化が見込めます。
LPOツールの比較
LPOツールは、ランディングページを最適化するために役立つツールです。手動で行っていた分析を自動化することで、工数削減につなげられるでしょう。LPOツールをうまく活用すれば、訪問者のニーズや行動にマッチしたWebサイトを提供することができ、最終的にはCV数の向上につながるはずです。
結果的にLPの制作費や広告の運用費を節約することにもつながるため、さまざまなツールを試して自社に合ったものを選んでみましょう。
おすすめのLPOツールについて紹介します。
HubSpot(ハブスポット)
「HubSpot(ハブスポット)」には、HubSpot Marketing Hubというマーケティングプラットフォームがあり、CRMと連動しているのが特徴です。蓄積された顧客データを基に、コンテンツのパーソナライズ化が実現できます。
HubSpotについては以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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Visual Website Optimizer(ビジュアル ウェブ オプティマイザー)
LPOツールである「Visual Website Optimizer(ビジュアル ウェブ オプティマイザー)」は世界の6,000社以上で導入実績があります。
名前の通り、Webサイトの見た目に特化したCV数の向上に役立てられるツールであり、専任のコンサルタントがサポートしてくれます。
Gyro-n LPO(ジャイロン)
「Gyro-n LPO(ジャイロン)」はユニヴァ・ペイキャストが提供しているLPOツールで、ターゲティング機能が充実している特徴があります。
配信ルールや表示パターンを細かく設定でき、関連アイテム自動配信機能(検索キーワードに基づいたおすすめ商品をユーザーに自動配信)が人気です。
LPOツールはさまざまなものが提供されているため、LPO対策を行う上で必要とする機能や目的に合わせて、使いやすいものを選んでみましょう。
LPOツールを導入するときの3つのポイント
LPOツールを選定する際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- 必要な機能のチェック
- 費用対効果
- 運用体制の見直し
それぞれ詳しく解説します。
必要な機能のチェック
まず、自社のサイトに必要な機能があるか、自社で使えるかをチェックしましょう。
- 実施したい施策(ヒートマップやA/Bテストなど)を行う機能があるか
- 使いやすいか
- 日本語に対応しているか
- サポートは充実しているか
せっかく導入したLPOツールが自社のサイトに合わなければ意味がありません。あらかじめどのような機能がついているか、しっかり確認が必要です。
費用対効果
次に、費用対効果についてですが、LPOツールの料金体系の中には基本料金だけでなく、クリック数に応じて月額料金が決まる従量制のものがあります。
LPO対策による高い効果が見込める場合には固定制の料金プランが割安ですが、効果をあげられるかわからない場合には従量制の料金プランのほうが費用を抑えられる可能性がります。
運用体制の見直し
そして、新たにLPOツールの導入を検討するとき場合は、運用体制の見直しも必要となります。いくらLPOツールが優れたものであっても、現場の担当者がうまく使いこなせなければ効果は発揮されません。
必要とする機能やデータの活用方法など、導入前にきちんと話し合ってスムーズに移行できる体制を整えることが肝心です。
まとめ:LPOを実施してWebサイトの価値を最大化しよう
ユーザーがせっかくサイトを訪問しても、ユーザーのニーズにマッチしていなかったり、訴求力が弱いLPでは途中で離脱を招いてしまったりするなど、思うようなCV数が出ない場合があります。
LPをターゲットユーザーのニーズやアクションに合わせて最適化し、Webサイトの価値を最大化するのがLPOです。基本的な概念を理解した上で、必要な施策に取り組んでみましょう。キャッチコピーや画像の変更といったわずかな改善策でも、CV数が大きく改善するケースもあります。
データ解析を入念に行い、場合によってはLPOツールなども活用しながらCVの向上を目指しましょう。
SEデザインは、HubSpotの認定パートナーとしてHubSpot導入・活用支援を行っております。HubSpot無料版ではLP作成も可能ですので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。