「Claude(クロード)2」は、OpenAIの元研究者によって開発され、2023年7月11日にリリースされたAIチャットボットです。Claude2の利用を考えている方のなかには、「Claude2の特徴や使い方を理解したい」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、Claude2の概要や特徴、利点、ChatGPTとの違い、使い方、実際の活用例を解説します。
Claude(クロード)2とは?
Claude(クロード)2とは、アメリカのAIスタートアップ企業であるAnthropic(アンソロピック)が2023年7月11日にリリースしたAIチャットボットです。Anthropicは、OpenAIの元研究者が立ち上げたスタートアップ企業であり、2023年3月にClaude2の前身となるClaudeを開発しています。
Claude2は、現時点(2023年8月下旬時点)ではアメリカとイギリスでのみ一般公開されています。しかし、日本でも特定のWebブラウザやツールなどを介することで、無料で使用可能です。
Claude2は、正式にはまだ日本語対応していないものの、特定のツール上などでは日本語で使うこともできます。
Claude2の特徴・利点
Claude2の特徴・利点として、おもに以下の点が挙げられます。
- 一度に処理できるプロンプトの量が多い
- 出力される回答の安全性が高い
- コーディングスキルが高い
- データの学習期間が比較的新しい
- 複数のファイルを読み込める
- 完全無料で利用できる
一度に処理できるプロンプトの量が多い
Claude2では、一度に処理できるプロンプトの量が多い点が大きな特徴です。最大10万トークンにおよぶトークン数を処理でき、単語に換算するとおよそ7万5,000語となります。
Claude2を使えば、数百ページにわたる論文などの文章を一度に読み込ませ、内容の要約や翻訳などが可能です。
出力される回答の安全性が高い
Claude2は、出力される安全性の高さも特徴です。Anthropicの報告によると、前身であるClaudeと比べて、Claude2は回答の安全性が約2倍に高まっています。
AIチャットボットでは、回答の不正確性や有害性が指摘されるケースも少なくありません。Claude2においても精度や安全性が100%保証されているわけではありませんが、AIチャットボットのなかでは比較的安全性の高い回答を出力できるでしょう。
コーディングスキルが高い
Claude2では、高精度なコーディングを行える点も特徴です。Anthropicの報告によると、Claude2はPythonコーディングテストであるCodex HumanEvalにおいて71.2%のコストをマークしています。
同テストにおけるGPT-4(ChatGPT Plusの搭載モデル)のスコアが67%であることを踏まえると、Claude2はChatGPT Plus以上のコーディングスキルを有しているといえるでしょう。
データの学習期間が比較的新しい
Claude2は、2023年初頭までのデータを学習しており、データの学習期間が比較的新しい点も特徴です。たとえばChatGPTの場合、無料版では2021年9月までの学習データしか反映されておらず、2022年以降の社会情勢を反映した回答はできません。
Claude2は2023年7月11日にリリースされたため、ChatGPTなどほかのAIチャットボットと比べると後発の位置づけとなりますが、その分データの鮮度は新しいといえます。
複数のファイルを読み込める
Claude2では、複数のファイルを読み込める点も利点です。たとえば、2つの記事ファイルをClaude2に読み込ませて、両者の内容を比較することも可能です。
それにより、一つの記事を要約する場合よりも、さらに踏み込んだ内容の考察や分析ができるようになるでしょう。
完全無料で利用できる
Claude2は、現時点(2023年8月下旬時点)では完全無料で利用できます。前述したようなプロンプトの処理能力の高さやデータ学習期間の新しさ、ファイルアップロードの柔軟性などがありながら、課金の必要がありません。
たとえば、ほかの代表的なAIチャットボットであるChatGPTでは、最新データの反映やプラグイン追加による機能拡張を利用したい場合、基本的には月額20ドルの有料プラン(ChatGPT Plus)に加入する必要があります。
ほかのAIチャットボットでは有料で提供されているような機能やスペックを無料で利用できる点は、Claude2の大きなメリットといえるでしょう。
Claude2とChatGPTの違い
Claude2とChatGPTのおもな違いは下表のとおりです(2023年8月下旬時点)。
Claude2 | ChatGPT | |
料金 | 完全無料 | 無料または有料(月額20ドル) |
プロンプト処理量 | 最大10万トークン (約7万5,000語に相当) |
最大3万2,000トークン (約2万4,000語に相当) |
データの学習期間 | 2023年初頭までのデータを学習 | 2021年9月までのデータを学習 |
複数のファイルの読み取り | 可能 | 不可 |
処理速度 | 平均5秒程度 | 数秒~30秒程度 |
アクセス方法 | 特定のWebブラウザ・ツール経由 | インターネットアクセス |
プラグイン | なし | あり |
一般公開地域 | アメリカ・イギリス | 世界各国 |
なお、Claude2とChatGPTはどちらもAIチャットボットではありますが、方向性や利用シーンが異なります。Claude2は性能面と安全性を強化しており、たとえばコーディング作業に適しています。一方でChatGPTは使いやすさが特徴であり、一般的なタスク業務などで有効です。
以下では、それぞれの項目について簡単に解説します。
料金
Claude2は、現時点(2023年8月下旬時点)では有料プランがなく、完全無料で利用できます。一方、ChatGPTは無料プランと有料プラン(月額20ドル)が存在します。
プロンプト処理量
Claude2のプロンプト処理量は最大10万トークンであり、約7万5,000語に相当します。それに対しChatGPTは最大3万2,000トークンで約2万4,000語相当のため、Claude2のほうが一度に多くのプロンプト処理が可能です。
データの学習期間
Claude2は、2023年初頭までのデータを学習しています。無料版のChatGPTでは2021年9月までのデータ学習のため、Claude2のほうがより最新のニュースやイベントを踏まえた回答が可能です。
複数のファイルの読み取り
Claude2は、複数のファイル読み取りができる点が特徴の一つです。ChatGPTでは複数のファイルの読み取りはできないため、2つのファイル比較などを行いたい場合はClaude2の利用が適しています。
処理速度
Claude2の処理速度は、平均およそ5秒です。ChatGPTはおよそ数秒から30秒で、ピーク時間帯はタイムラグが発生します。
アクセス方法
Claude2は、日本からアクセスする場合、特定のWebブラウザやツールの使用、またはVPN接続が必要です。一方でChatGPTの場合は、通常のインターネットアクセスで利用できます。
プラグイン
Claude2は、現時点(2023年8月下旬時点)ではプラグインは存在しません。反対にChatGPTは、日常業務などに使えるさまざまなプラグインが開発されています。
一般公開地域
Claude2は、現時点(2023年8月下旬時点)ではアメリカとイギリスのみに一般公開されています。それに対しChatGPTは、すでに世界各国で展開されており、より多くの利用者や高い知名度を獲得しています。
Claude2を日本で使う方法
Claude2を日本で使うには、以下3つの方法があります。
- Poe AIを活用する
- VPN接続で利用する
- Slack連携を行う
本記事では、最も手軽に使えるPoe AIを活用した方法について解説します。
Poe AIの登録方法
まずはPoe AIの公式サイト(https://poe.com/login)にアクセスします。メールアドレス・電話番号を入力し、ユーザー登録を行ってください。GoogleアカウントまたはAppleアカウントを持っている場合は、それらのアカウントを使った登録も可能です。
登録後、Poe AIのトップページが表示されれば登録完了です。
Poe AIの使い方
Poe AIのトップページを開いたら、左側にあるメニューの「あなたのボット」から「Claude-2-100k」を選択します。Claude2の画面が表示されるので、あとはChatGPTなどと同様に、プロンプト欄に任意のプロンプトを入力して実行するだけで使用可能です。
Claude2との会話をリセットしたい場合は、プロンプト欄の左側にあるほうきマークをクリックします。「コンテキストを削除しました」と表示され、新たな会話を開始できます。
また、ファイルをアップロードしたい場合は、プロンプト欄の右側にあるクリップマークを選択すれば任意のファイルをアップロードすることが可能です。
Claude2の活用例
ここでは、Claude2の実際の活用例として、以下の活用例を紹介します。
- 最新情報についてチャットで質問する
- 長文のファイルをアップロードして要約する
- Pythonのコードを書いてもらう
最新情報についてチャットで質問する
Claude2が最新情報について回答できるかを確かめるために、現在の内閣総理大臣について質問してみます。質問した結果、以下のとおり正しい回答が返ってきました。
また、回答の下には関連した質問例がいくつか表示されているため、さらに情報を知りたい場合は選択肢から選んで会話を続けることも可能です。
長文のファイルをアップロードして要約する
続いての活用例は、長文ファイルのアップロードです。Claude2の処理能力を確かめるために、経済産業省が発表しているDXレポートのPDFをアップロードし、内容の要約を指示してみます。結果は以下のとおりです。
DXレポートは50ページ以上にわたる長文の資料ですが、Claude2によって要点を箇条書きで抽出できることが分かります。
Pythonのコードを書いてもらう
ここでは、Claude2のコーディング能力を確かめるために、Pythonのコードを書いてもらいます。Claude2に対して、「Pythonでじゃんけんをするプログラムを書いてください。」と質問した結果が下のとおりです。
上記のとおり、勝ち・負け・あいこの条件分岐など、じゃんけんをするためのPythonコードが出力されていることが分かります。出力されたPythonコードが正しいかどうかを確認するために、さらにClaude2に対して「上記のプログラムを実行してください。」と指示します。実行結果は以下のとおりです。
上記のとおり、実際にじゃんけんを始めてランダムに「グー」「チョキ」「パー」のいずれかを出し、プレイヤーとコンピューターの勝敗結果までを表示するプログラムが実行されました。
Claude2の将来性
Claude2は、高い機能性と回答の安全性を両立させた優れたAIチャットボットであるといえます。ChatGPTなどほかのツールと比べても、一度に解読できるプロンプトの処理能力やコーディングスキルなどは同等以上の性能を有しています。
機能性や安全性の観点では、Claude2の将来性は高いと考えられます。一方で、現時点(2023年8月下旬時点)では一般公開地域がアメリカ・イギリスのみであり、普及レベルで見るとChatGPTやBingのAIチャット、Google Bardなどに劣後している状況です。
Claude2の将来性については、地域拡大のスピードやプラグインなどの拡張機能の追加、有料プランを含めたプラン体系の充実化などにかかっているといえるでしょう。
Claude2は高い機能性と安全性を兼ね備えたAIチャットボット
Claude2は、OpenAIの元研究者が立ち上げたスタートアップ企業であるAnthropicがリリースしたAIチャットボットです。Claude2のおもな特徴は、完全無料で高いプロンプト処理能力やコーディング能力を利用できる点です。また、回答の安全性の高さも検証されています。
日本からClaude2を利用する際は、Poe AIを活用する方法が簡単です。Claude2は高い機能性と安全性を兼ね備えたAIチャットボットであり、長文の要約やプログラムコードの記述などの場面で広く活躍するでしょう。
AI技術はこれからさらに発展していくと予測されているので、早い段階で基本的な活用方法を取り入れておくことが大切です。SEデザインでは、IT分野におけるBtoBマーケティング&セールス支援を行っており、35年以上の実績がございます。業務の効率化や顧客へのアプローチでお困りの際は、お気軽にSEデザインへご相談ください。