【BtoB向け】これから始めるSEO対策・5つの基本ステップ

公開日:2017-11-14 更新日:2022-06-09 by 鈴木 令子

目次
【BtoB向け】これから始めるSEO対策・8つの基本ステップ

はじめに

米国Third Door Media社のメディア「Serch Engine Land」によれば、Googleを利用した検索件数が1年間に2兆件に達するといいます。課題を抱える多くの人が、日々検索によって自身の問題を解決しようとしています。

これはBtoBビジネスにおいても同様です。TRIBECKブランド戦略研究所の調査によれば、BtoBユーザーの50%が仕事上の情報源として企業のWebサイトを利用していると回答しています。営業担当者が顧客を訪問して新製品の情報を提供する従来型の営業手法は徐々に廃れ、顧客自身の検索行動をトリガーとしてビジネスニーズが生まれる、新たな流れが確立しつつあるのです。

このような購買行動の変化を背景に、Webサイトやブログなどのコンテンツの重要性は益々高まるばかりです。これからのBtoBのマーケターは顧客の課題を理解し、課題解決のためのコンテンツをWebサイト上に整備するなどして、顧客の側から「見つけてもらう」ための取り組みに力を入れていく必要があります。

SEOとは?

ところで、せっかく素晴らしいコンテンツを作成してWebサイトにアップしても、ターゲットの目に触れなければ意味がありません。そこで重要になってくるのが、今回お話しする「SEO対策」です。

SEOは「Search Engine Optimization」の頭文字を並べたもので、日本語には「検索エンジン最適化」と訳されます。GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおいて、狙ったキーワードで自社のサイトがより多く、かつ上位表示されるようにWebサイトをチューニングする一連の取り組みをSEOと呼んでいます。

検索エンジンの検索結果一覧ページには、リスティング広告による表示と自然検索(オーガニック検索)による表示が混在していますが、SEOは自然検索の結果のみにアプローチする施策です<図1>。

<図1>検索結果一覧ページ

SEO対策には手間も時間もかかりますが、正しく機能すれば検索エンジン経由でコンスタントに見込顧客を集客することが可能となるため、本腰を入れて取り組む価値は十分にあります。

以下では、これからSEO対策に取り組むBtoBマーケターに向けて、SEOの基本的なステップをご紹介します。

SEOの基本ステップ1:ペルソナの課題を探る

これはSEOに限ったことではありませんが、マーケティング施策を展開する上で真っ先にすべきなのは「ターゲット顧客を知る」ことです

そこで、まずは自社の製品のターゲット顧客は誰なのかを明確にし、可能であればペルソナを作成するなどして関係者間でターゲット顧客像を共有しましょう。その上で、作成したペルソナがどのような課題を抱えているのかを明らかにしていきます。ここで洗い出した「ペルソナの課題」が、自社で整備すべきコンテンツのテーマとなります

ペルソナと課題が明確になったら、ペルソナがどのようにして課題を解決し、製品・サービスの購入に至るかのルートを検討して「カスタマージャーニーマップ(バイヤージャーニーマップ)」を作成します。以降の作業は、ここで作成したペルソナとカスタマージャーニーマップを土台として進めることになります。

なお、BtoBマーケティングの難しい点として、情報収集から契約までに複数の人が関わる事、BtoCに比べて検討期間が長期に渡ることなどが挙げられます。ペルソナを作成する際には、この点を念頭において検討する必要があります

たとえば、情報収集を担当するAさんと契約に際して決裁を下すB部長とでは、抱えている課題や関心のあるトピックが異なるはずです。また、検討の初期段階と製品選定の時期とでは、求められる情報の粒度も違うでしょう。こうした点を考慮した上でペルソナを設定していくことが大切です。

▼ ペルソナとカスタマージャーニーについて詳しくお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。
マーケティングにおけるペルソナとは?ーその役割、重要性を解説
ペルソナの作り方【サンプル付き】〜インバウンドマーケティングの視点から解説
カスタマージャーニーとは?その基本と作り方【サンプル付き】

SEOの基本ステップ2:課題からSEOのキーワードを選定する

ペルソナの課題が明確になったら、これをもとにSEOで対策するキーワードを選定します。

SEOで対策すべきキーワードは、ペルソナが情報収集を行う際に検索エンジンに入力するであろうキーワードです。せっかく対策を行って検索エンジンで上位表示させることができたとしても、選んだキーワードがペルソナの行動からずれていては意味がありません。ペルソナがどのように思考し、どんなルートで情報収集を行うのかを明確にした上で、キーワードを洗い出していくことになります。

なお、キーワード選定の際には、以下のようなポイントに注意しましょう。

ビッグキーワードではなく、ロングテールキーワードを狙う

ご存じのように検索エンジンでは、「マーケティング」のように一語だけのキーワードを入力して検索することもできますし、「マーケティング」「BtoB」のように二語以上のキーワードを指定することも可能です。

一語のみのキーワードをビッグワード(ビッグキーワード)と呼びますが、初めからビッグワードでSEO対策をして結果を出すのは至難の業と言えます。このため、まずはペルソナの課題などから洗い出したいくつかのキーワードを組み合わせて対策を行いましょう。

たとえば医療資材を販売するサイトなら、「医療資材」のようなカテゴリーを表すキーワードで対策するのではなく、製品名や用途、利用シーンなどから想起されるキーワードを組み合わせて用いるのです。

なお、何らかの課題を抱えて検索をする時、「答え」となる製品やサービスの名前を直接指定することはあまりありません。このため、先に作成したカスタマージャーニーマップなどを参考に、ペルソナが検索時に指定しそうなキーワードの組み合わせを洗い出してみると良いキーワードが見つかります。

このように、一つのテーマからすそ野を広げて様々なキーワードに対して対策する手法を「ロングテールSEO」と呼びます

ロングテールSEOで重要なのは、ペルソナの行動に沿ってキーワードを組み立てるという点です。むやみに複数の言葉を組み合わせるのではなく、「このペルソナならこの場面でこんなキーワードを使うだろう」という予測の元にキーワードを選定し、対策することが大切です。

キーワードの幅を広げる

基本となるキーワードに「価格」「メリット」「比較」「事例」といったよく使われるキーワードを組み合わせると、対策するキーワードの幅を広げることができます。

  • <例>
    医療資材 価格
    医療資材 比較
    医療資材 事例 など

こうした組み合わせキーワードは他にも色々と考えられますので、想像力を働かせてピックアップし、キーワードを膨らませてみましょう。

検索キーワードの検索ボリュームと難易度を把握する

ある程度キーワードが洗い出せたら、それぞれのキーワードの検索ボリュームと対策難易度を調査しておきます。

キーワードの検索ボリュームとは、そのキーワードで月間何回くらい検索されるかを示すもので、一般には回数が多いほど市場が大きいと判断されます。対策難易度は文字通りSEO対策の難易度で、同じキーワードで対策している競合サイトが多ければ多いほど難易度は高くなります。

キーワードの検索ボリュームと難易度を調べておくと、対策の優先度付けなどに役立ちます。洗い出したすべてのキーワードに対して均等に対策できればベストですが、リソースの都合でそうもいかないことも多いでしょう。そのような場合、検索ボリュームが多く、かつ難易度の低いところから着手していくようにすると効率が良いはずです。

なお、キーワードの検索ボリュームと難易度は、Google Adwordsのキーワードプランナー<図2>やHubSpotのキーワードツール<図3>など、キーワドリサーチツールを使って調べることができます。 

<図2>
Google Adwordsのキーワードプランナー

<図3>
HubSpotのキーワードツール

SEOの基本ステップ3:キーワードをコンテンツに最適な形で反映する

キーワードを選定したら、Webサイトやブログなどのコンテンツに対策するキーワードを最適な形で反映していきます

かつてはSEOの名のもとに、大量のキーワードを無意味に埋め込むようなブラックな手法が用いられていたこともありましたが、検索エンジンは日々進化し、現在は「検索ユーザーが真に求めるコンテンツ」を高度なアルゴリズムで選出するような仕組みになってきています。このため、単にテクニカルな対策に終始するのではなく、以下のようなポイントに留意しつつ総合的な対策を行うことが大切です。

コンテンツのタイプを決め、内容を検討する

Webコンテンツにも様々な提供方法があります。いわゆるコーポレートサイトの中に1コンテンツとして組み込むこともできますし、ブログ記事として提供することも可能です。

対策しようとしているキーワードの背景にあるペルソナの課題と行動シナリオから、どんな形で提供するのがもっとも適しているのかを検討しましょう。

キーワードを自然な形で反映する

Webコンテンツのタイトル、ディスクリプション、URL、altタグ、見出し、本文に自然な形でキーワードを反映します

contents_seo.png

検索エンジンの裏をかくようなテクニカルな対策ばかりに終始するSEOは無意味ですが、検索エンジンというシステムを理解し、検索エンジンに理解してもらいやすい形にコンテンツを整えることは大切です。上記の項目に対策キーワードを設定することで、検索エンジンに「このキーワードに関連のあるコンテンツなのだ」と理解させることができます。

なお、一般的にタイトルは30文字前後ディスクリプションは120文字以下が望ましいと言われています。こうした情報は検索エンジンのアルゴリズム変更により変化する場合もありますが、参考として頭に入れておきましょう。

サイト内の相互リンク、外部リンクを対策する

これも検索エンジンのアルゴリズムにより変動する要素ではありますが、現在のところ、完全に孤立したコンテンツより、内部・外部の別のコンテンツと相互にリンクされているコンテンツの方が高く評価される傾向があります

そこで、自社サイト内で相互にページをリンクさせあう、関連のある外部サイトから相互リンクを貼ってもらうなどの対策を行いましょう

ただし、無関係なページからむやみにリンクを貼りすぎると、スパム扱いされて順位の低下や非表示などのペナルティを受ける場合もあり得ます。常識の範囲で妥当と思われるページからのみリンクを貼るようにしてください。

SEOの基本ステップ4:モバイルデバイスに最適化、https対応、高速化対応する

近年になってiPhoneなどのスマホを持つ人が格段に増え、スマホによるWeb検索の件数も増加しています。これをうけてGoogleは、「モバイルファーストインデックス」の導入をアナウンスし、モバイルフレンドリーなサイトであることを検索エンジンの評価のポイントとして重視していく姿勢を明らかにしました。

BtoBの場合、現状ではまだまだWebサイトの閲覧にPCやタブレットが用いられるケースが多いのですが、営業担当者が出先から情報収集をする場合など、徐々にモバイルの利用も進んでいます。このため、モバイル対応もSEO対策の一環として腰を据えて取り組んでいくことが推奨されます。

たとえば、Webサイトを構築する際にはレスポンシブ対応のデザインを導入してPC、モバイルのどちらからも閲覧可能とするといった対策が必要となります。

また、2014年にGoogleが常時SSL化を評価基準に加えるとアナウンスしたことも、近年では大きな話題となりました。現時点では常時SSL化の有無が検索結果にシビアに反映されているわけではないものの、今後の傾向として注意しておきたいポイントではあります。

もう一点、SEO対策ポイントの一つとしてしばしば取り上げられるものに「ページの読み込み速度」の問題があります。Webページに大量の画像や動画などが貼られている、Webサーバの速度が遅いなどの理由でページの読み込みに時間がかかると、検索エンジンの評価が下がるというものです。

これについては諸説あり、必ずしも読み込み速度が検索順位に影響するとは断言できませんが、訪問者の視点で考えれば、迅速にページが読み込めるに越したことはありません。余裕があれば、可能な範囲対策しておくと良いでしょう。

SEOの基本ステップ5:チューニングする

以上、SEO対策の基本的なステップをご紹介してきましたが、最後にもっとも重要な「チューニング」のステップについて説明します。

これはどんなマーケティング施策にも言えることですが、マーケティングでは仮説を立て、実践し、検証してチューニングする、というPDCAを繰り返して精度を高めていくことが何よりも大切です。

SEO対策も同様で、実施した施策の結果をWebサイトのアクセスログなどをもとに評価し、チューニングを重ねて結果を出していく必要があります。基本的には、対策したキーワードで正しく集客できているか、訪問したユーザーが望むアクション(資料請求など)を起こしてくれているかといったことを確認し、伸ばすところは伸ばし、正すところは正していく、といった流れで作業していくことになるでしょう。

実施結果の確認や分析・評価には、Googleが提供する無料ツール「Google サーチコンソール」やHubSpotに付属のレポートツールなどを利用すると便利です。

SEO対策は広告費のように目に見えるコストがかからない反面、こうした地道な作業を繰り返し、長い時間をかけて行う必要があります。すぐに結果が出ずに焦る場面もあるかもしれませんが、じっくりと腰を据えて取り組んでいきたいですね。

コンテンツ制作サービス

インバウンドマーケティングにおけるSEO

SEO対策は、インバウンドマーケティングの第一ステップである「興味喚起(ATTRACT)」に不可欠な施策です。

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「SEOとインバウンドマーケティングは別の施策」と切り離して考えるのではなく、インバウンドマーケティングの効果を上げるための一つのプロセスと捉え、両者を有機的に組み合わせて取り組んでいきましょう。

今回ご紹介したペルソナの作成やキーワードの選定、コンテンツの最適化やモバイル対応といった施策は、すべてインバウンドマーケティングのプラットフォームであるHubSpot上で行うことができます。インバウンドマーケティングの設計から実施までをトータルで行えるHubSpotの魅力をご紹介したガイドブックは、下記より無料でダウンロードいただけます。お気軽にお申し込みください。

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