PEST分析で戦略立案しよう!基本情報や必要な理由・事例を紹介

公開日:2021-06-04 更新日:2021-10-21 by SEデザイン編集部

目次

84399173_l経営戦略を立案するために具体的にどういった項目を分析すればよいのか」と悩む経営者の方は多いのではないでしょうか。経営戦略の立案に欠かせない基本的なフレームワークが「PEST分析」といわれる分析方法です。

本記事ではPEST分析の概要や分析項目、事例などを詳しく解説していきます。

PEST分析とは?

126512373_lPEST分析とはどういった分析手法なのでしょうか。ここではPEST分析の概要について紹介します。

マクロ環境の分析を行うフレームワーク

PEST分析」とは「ペスト分析」と読み、自社業界を取り巻く外部環境を4つの視点から調査・分析する手法の1つです。マーケティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラー氏が提唱し、自社のマクロ環境要因を網羅して洗い出せるフレームワークとして利用されています。

企業にPEST分析が必要な理由

固定電話から携帯電話、スマートフォンの普及というように、ビジネスは世の中の変化によって大きな影響を受けます。市場の変化に対応するためには、自社業界を取り巻くマクロ環境を把握、分析をして現在の市場の状態や今後の成り行きを知っておくことが大切です。

市場の状態を知ることができれば、まだ知られていない市場のチャンスや潜むリスクを発見することができます。これらを的確に予測し判断するためには、やみくもに情報収集を行っても手間がかかってしまい、分析がかみ合わないという状況になりかねません。そのような状況を避けるために必要なのが「PEST分析」なのです。

PEST分析における4つの分析項目  

161193523_l「PEST分析」は次の4つの項目をもとに行います。

  • P:政治(Politics)
  • E:経済(Economy)
  • S:社会(Society)
  • T:技術(Technology)


これらの情報を収集し分析することで、自社業界の取り巻く環境がどうなっているかを認識し、今後の予測を的確に立てることができます。

政治的な観点で分析する「Politics」

1つ目は政治的な観点から分析するPolitics」です。法律や条例、規制、助成金といった行政レベルの要因がこれにあたります。

政治的なルール変更は市場競争の根幹に関わる場合も多く、自社業界に関わるものであればしっかりと把握しておかなければなりません。例えば地球温暖化改善のため、日本政府が2030年にガソリン車販売禁止を発表しましたが、これは典型的な政治的な要因にあたります。

経済動向を分析する「Economy」

2つ目は経済動向を分析するEconomy」です。景気の変動や株価、金利、物価、為替など経済の動向を分析する項目を指します。

この項目では、国内だけでなく各国の経済状況も加味しながら長期的な分析や予測をしなければなりません。例えば金利が上がる可能性があれば消費活動が抑制されるため、新商品を販売しても売り上げが伸びない可能性があります。

一方、金利が下がる可能性がある場合は消費活動が活性化され、売り上げが伸びる可能性があるのです。このように経済面から分析することで、ビジネスチャンスが見えてくることがあります。

社会全般を分析する「Society」

3つ目は社会全般の分析をするSociety」です。人口密度や高齢化、少子化、事件、トレンドなどユーザーのライフスタイルや意識の変化などを分析する項目となります。

社会全般が分析項目となるため、前述の政治や経済といった項目と比べると調査対象が漠然としており幅広いです。現在でいえば、少子高齢化による労働者の減少、新型コロナウイルスの流行による巣ごもり需要の増加がこれにあたります。

新型コロナウイルスは予測不能なものではありましたが、社会環境の変化を素早く調査・分析し、いち早く対応することができればビジネスチャンスを掴むことが可能です。

新技術などの変化から分析する「Technology」

4つ目は技術変化から分析するTechnology」です。新技術の開発やビッグデータ、特許、イノベーションなど生産や商品開発、マーケティングといった技術的な変化がこの項目の分析対象となります。

例えばスマホの普及や4G、5GといったIT技術の進歩でHuluなどの月額動画配信サービスが台頭し、レンタルビデオ市場は縮小の一途を辿りました。IT技術の進歩は消費行動の変化と既存市場の競争力の低下、新規市場を生み出し、どの業界も無視できないものです。

また技術の進歩は市場変化だけでなく、AIによる人手不足の解消や人員削減など労働環境にも大きな変化を与えています。

PEST分析の4つのステップ

80820223_lPEST分析を効率よく行うためには、4つのステップを踏む必要があります。どのようなことを意識すべきなのかを見ていきましょう。

PEST分析の目的確認とゴール設定

PEST分析で最初にやるべきことは、何のために分析をするのか目的を確認しておくことです。目的がはっきりしていない状態で分析を行うと、調査内容が曖昧になり意味のある結果を生み出すことはできません。

PEST分析をする一番の目的は、自社業界の環境を分析することでチャンスとリスクを明確にし、市場変化を先読みすることです。そのため、PEST分析は3~5年の中長期的視点で取り組むべき戦略を構築するのに適した分析方法といえます。

PESTの要素ごとに情報収集する

目的とゴールを明確化したら、それを達成するために先ほど紹介した政治や経済、社会、技術の4つの観点から自社業界に必要な情報収集を行います。情報収集の方法は様々なものがありますが、おすすめなのは一次資料です。

一次資料とは、そのテーマに関しての大元となる資料です。主に公的機関や専門家、大学が公表している、正確な情報をまとめた資料を指します。情報の収集を行った後は、その情報がゴールに必要なPESTの情報であるかのチェックを行います。つまり情報の精査を行い、PEST分析に必要な情報のみを経営戦略に取り入れるということです。

収集結果を「事実」と「解釈」に分ける

情報収集が終了したら、収集結果を「事実」と「解釈」に分けます。なぜ2つに分けるのかというと「解釈」に基づいて戦略策定を行った場合は、自社の機会とリスクの裏付けがとれず、結果が伴わないからです。そのため、この振り分け作業は非常に重要となります。

例えば、あるアプリ開発者が「スマホの普及率が近年大きく伸びている」という情報を得たとしましょう。調査の結果、総務省が「スマホ普及率は80%以上を超えている」というデータを発表していることが判明しました。しかし、このデータからスマホ普及率が高いことはわかっても、近年大きく伸びているかどうかはわかりません。

5年前に比べて10%増えているなどの裏付けデータが合わせて取れれば、スマホ普及率の増加は「事実」であり、戦略に組み込める情報ということになります。

一方、これを裏付けるデータが無い状態ではあくまで「解釈」に過ぎず、解釈を戦略に組み込めば間違った方向へと進みかねません。あくまで事実とは実際に起きている、なおかつ普遍的な内容である必要があります。

事実のみを「機会」と「脅威」に分ける

「事実」に分けた情報をさらに「機会」と「脅威」に分けます。その情報は自社にとって「機会」なのか「脅威」なのかを明確にするのです。戦略とは「機会をとらえる」「脅威を避ける」のいずれかの達成のためにあるといえます。時には機会が脅威になり、脅威が機会となるため、多角的な視点を持つことが重要です。

PEST分析を実践した代表的な事例

41152896_l-1実際にPEST分析を行い、分析の結果を活用した事例は多数あります。ここではPEST分析の代表的な3つの事例を見ていきましょう。

同性パートナーに関する事例「ライフネット生命」

ライフネット生命は2015年に婚姻制度の多様化を受けて、同性パートナーを生命保険の受取人に指定できるようにしました。現在では同性愛者の方々への理解も進み、対応サービスも増えていますが、当時としては画期的な改定といえるでしょう。

これはPEST分析の政治的観点である「Politics」と社会の関心や多様化を求める声という社会観点である「Social」の変化を捉えて、先手を打った事例の1つです。

競合との関係性を意識する「ドイツ銀行」

PEST分析の事例の2つ目は、他の金融会社の動きとは敢えて逆の姿勢をみせるドイツ銀行の取り組みを紹介します。イギリスがEUから離脱した際、多くの企業で政治的観点である「Politics」が変化しましたが、その中でも金融機関への影響は大きいものでした。

イギリスで営業権を取得している場合はEU内の他国に拠点を移動して、免許を再取得しなければならないリスクがあったためです。多くの金融機関が拠点を他の地域へ移動する中で、ドイツ銀行は2023年に本部をイギリスに移転することを計画しています。

他の金融機関と敢えて逆の姿勢を見せることで、イギリスへ投資を行い、ロンドンとの関係を深くする目的があるのではないでしょうか。

SNSや動画を用いた事例「メタップス」

メタップスは2015年に中国で、インフルエンサーを動画などでPRする「バスキャスト」と呼ばれるサービスの提供を始めました。中国でサービスを始めたのにも、PEST分析が活用されています。

中国は日本人口よりネットユーザーが多く、若者のSNSの利用率やインフルエンサーの影響力が日本よりも大きいという経済的・社会的傾向があります。メタップスはその点を捉えて、日本ではなく中国でサービスの提供を始めたのです。

PEST分析が国外の市場にも通用する事例の1つといえるでしょう。

PEST分析は戦略立案の根幹となる

ここまでPEST分析の概要や分析項目、事例などを解説しました。マーケティングの準備段階の分析の中でも、目的やゴールの設定からはじまるPEST分析は最初に行うべき分析です。

政治・経済・社会・技術の4つの面から市場分析を行うことで、自社が目指すべき将来や戦略が見えてきます。しかしPEST分析をいきなり自社で行うことは容易なことではありません。

市場分析を戦略にまで落とし込み、実運用していきたい方はSEデザインに相談されてはいかがでしょうか。戦略の設計からプロジェクトゴールまでトータルサポートで経営を支えてくれます。

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