画像生成AIに対する各ストックフォトサービスの対応

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画像生成AIに対する各ストックフォトサービスの対応

近年、本物のアーティストが描いた作品と見間違えるほどの高精度な画像を生成するAIツールが注目されています。しかし、著作権などの問題も絡んでおり、ストックフォトサービスの対応は各社で異なっているのが現状です。

本記事では、画像生成AIの概要や採用メリット・デメリット、各ストックフォトサービスの対応を解説します。AIについて関心があるマーケターの方はぜひ参考にしてください。

画像生成AIとは

画像生成AIとは

はじめに、画像生成AIの概要や進化の過程について解説します。

画像生成AIの概要

画像生成AIとは、作成したい画像のイメージをプロンプト(テキスト指示文)で伝えるだけで、AIが自動的に画像を生成するツールを指します。AIが生成する画像は水彩画や油絵、アニメ画など多岐にわたり、画風や色味なども指定することが可能です。

たとえば、テキストで「猫」や「森」などと入力すると、数秒~十数秒程度でAIが画像を生成して表示します。さらに細かく条件を指定することもでき、ユーザーが想像したものがそのまま画面に映し出されたような感覚を得られるでしょう。

画像生成AIは、膨大な画像素材や説明文、キーワードなどをもとにAIが最適な画像を出力する革新的なツールであるといえます。

Canvaの「Text to Image」機能の利用画面Canvaの「Text to Image」機能で「空を飛ぶパンダ」の画像を生成した結果

画像生成AIの目覚ましい進化

画像生成AIは、近年著しく進化している技術です。2014年に登場した、データから特徴を学習し、類似データを生成するGAN(Genera tive Adversarial Networks:敵対的生成ネットワーク)や自然言語処理技術の発展を背景に、画像生成AIは進化を続けてきました。

AIが生成する画像はクリエイターの作品と比べて遜色ないレベルにまで達しており、2022年8月に米コロラド州で開催された美術コンテストでは、AI生成画像がデジタルアート部門の最優秀作品に選出されたという事例もあります。

近年では、2022年4月に米Open AI社が「DALL・E(ダリ)2」を、2022年6月には米Midjourney社が「Midjourney」を公開、さらに2022年8月には英Stability AI社が「Stable Diffusion」を公開するなど、画像生成AIが急速に活発化しています。

▼Stable Diffusionについて詳しくは以下の記事で紹介しています。
Stable Diffusionとは?ツールや使い方や便利なプロンプトなどを解説

画像生成AIを採用するメリット

画像生成AIを採用するメリット

ここでは、画像生成AIを採用するメリットについて、以下の3つを解説します。

  • 画像制作の効率化
  • クリエイターの民主化・活性化
  • ユーザーの画像の選択肢増加

画像制作の効率化

画像生成AIによって、クリエイターの画像制作の作業が効率化されます。たとえば、画像のテンプレートをAIで生成するだけでも、作業時間の短縮を図れるでしょう。作業効率化を実現できれば、より多くの時間を創造的な思考や制作の時間に充てられます

また、画像生成AIでさまざまな画像を作成し、デザインを確認することで、クリエイターにとって創作活動のヒントになります。それにより、これまでよりもアイデアを即座に出しやすくなり、制作作業の効率化につながるでしょう。

クリエイターの民主化・活性化

創作スキル面に不安のあったクリエイター志望の方でも、画像生成AIを活用すれば一定水準の作品を生み出せるようになるため、クリエイターの民主化が見込めます。頭にあるイメージを具現化するために画像生成AIの活用は大いに役立つはずです。

加えて、画像生成AIによって色違いやフォント違いなどのバリエーションを豊富に作成でき、作品点数の増加などクリエイター活動の活性化が期待できます。クリエイター上級者も、一部の作業を画像生成AIに任せることで、自分ならではのビジョンや想像力を作品に込める創作活動に集中できるでしょう。

ユーザーの画像の選択肢増加

ストックフォトサービスを利用するユーザーにとっては、画像生成AIによって作品の総数が増えることで、画像の選択肢がこれまで以上に増えます

画像生成AIが作成するコンテンツの多くは静止画ですが、今後は動画や3Dデザインなどさまざまな種類のコンテンツに適用できる可能性があるため、さらにストックフォトサービスの利用価値向上につながるでしょう。

画像生成AIを採用するデメリット・注意点

画像生成AIを採用するデメリット・注意点

画像生成AIはメリットがある一方で、以下に挙げるようなデメリット・注意点も存在します。

  • 著作権侵害になる恐れがある
  • クリエイターの仕事を奪う恐れがある
  • フェイク画像が出回るリスクがある

著作権侵害になる恐れがある

画像生成AIで作成された画像に対しては、著作権がどのように適用されるのか定義が不明瞭です。画像生成AIに関わる画像自体やメタデータ、画像のなかに登場する人物など、著作権に関わる要素が複数存在しており、画像生成AIを利用することで著作権侵害になるリスクをはらんでいます

また、画像生成AIは、AIへのデータ蓄積やアルゴリズム学習、素材利用のためにWeb上のあらゆる画像を収集・蓄積しています。ここで問題となるのが、画像生成AIが自動的に収集する画像のなかには、ストックフォトサービスなどに登録されている画像が含まれている場合もあるということです。

基となる画像に対して新しい表現や意味を伴って変化させている変容的利用であれば、通常は著作権侵害にあたらないとされていますが、AIが生成した画像が著作物の変容的利用といえるかどうかについては判断が難しい現状です。

参考:生成AIと著作権について考える|エンジニアリングを進化させる品質メディア「Spripts」

クリエイターの仕事を奪う恐れがある

画像生成AIは便利である反面、一定水準の画像であればクリエイターのスキルにかかわらず生成できるため、クリエイターの仕事を奪うのではないかという意見もあります

独創的な作風でアイデンティティを保ってきたクリエイターにとっても、画像生成AIは脅威となり得ます。クリエイターの作風をAIが学習することで、本物そっくりの作品を生み出すことも可能となるため、クリエイターのオリジナリティが損なわれる恐れもあるのです。

画像生成AIが多くの画像を生み出すことで、クリエイターにとっては自身の作品が選ばれる機会が減少し、報酬が減るデメリットも考えられるでしょう。

フェイク画像が出回るリスクがある

画像生成AIが高精度の画像を作成できるようになると、画像の作成者がクリエイターなのかAIなのかの判別がつきにくくなります。

悪意のある利用者がいた場合、画像生成AIによってフェイク画像や社会的・倫理的に問題のある画像などが作成され、Web上に公開される危険性があります

たとえば、特定の人物そっくりのフェイク画像を悪意のある形で作成して誹謗中傷をしたり、誤った情報を含む画像で社会を混乱させたりすることもできてしまうでしょう。

画像生成AIに対する各ストックフォトサービスの対応

画像生成AIに対する各ストックフォトサービスの対応

本章では、画像生成AIに対する各ストックフォトサービスの対応を紹介します。

Adobe Stock

Adobe Stockは、ユーザーの創作活動の強化を支援するために、画像生成AIを前向きに活用していく方針です。画像生成AIで懸念されているクリエイターから仕事を奪う点については、AIはクリエイターの代替ではなく、クリエイターの創作活動を後押しするツールとして進化させていくことを表明しています。

画像生成AIを適切に活用していくために、Adobe Stockは2022年12月、画像生成AIを使った投稿に関する新たなガイドラインを制定しました。具体的には、以下のようなポイントがあります。

  • 画像生成AIを使って画像を投稿する際は、AIによる作成である旨を明示すること
  • AIが作成した画像にはすべてラベル付けを行い、AIが作成したことを明確に区別できるようにすること
  • 人物や場所などの第三者コンテンツに基づく画像に関しては、許可なく提出しないこと

ほかにも、AIが作成する画像に対して、通常の画像と同じポリシーを適用していく方針です。たとえば、以下のようなポリシーが適用されます。

  • 同じロイヤリティガイドラインに準拠して、クリエイターが通常通りロイヤリティを獲得できるようにする
  • モデレーション(作品の審査)やクレーム発生時の標準的な知財免責も同様のポリシーを適用し、画像生成AIの活用を支援していく

Shutterstock

ShutterstockもAdobe Stockと同様、画像生成AIを前向きに活用していく方針です。Shutterstockは、2022年10月に画像生成AIを使った新機能を追加する方針を発表しました。

また、クリエイターの報酬を損なわないよう、報酬にまつわる新たな制度も導入する予定です。たとえば、AIモデル開発に貢献したクリエイターの作品には追加報酬を提供する枠組みを用意したり、作成者の知的財産が使用された場合にはロイヤリティとして作成者にインセンティブを提供したりすることを目指しています。

Getty Images

Adobe StockやShutterstockとは対照的に、Getty Imagesは2022年9月に、画像生成AIを禁止していく方針を発表しています。おもな理由は、画像生成AIで作成した画像の著作権に関して、現在の著作権法では明確な定義がされていないためです。

Getty Imagesは、「DALL-E」や「Stable Diffusion」、「Midjourney」などAIツールによって作成された画像をサイトから排除するとともに、新規登録も禁止しています。また、英Stability AIに対して、Getty Imagesの画像をAIモデルの学習に許可なく利用したことに対し、知的財産権を侵害したとして法的措置を取っています。

Getty Imagesは今後、デジタルコンテンツの出どころや経緯を認証する技術規格開発に取り組む「C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)」と協力し、著作権侵害を防ぐためのフィルタリングシステムの開発など、取り締まりを強化していく方針です。

画像生成AIをどのように扱っていくべきか

画像生成AIをどのように扱っていくべきか

画像生成AIは、クリエイターにとっては作業効率化や創作活動の活性化などの大きなメリットがあります。ユーザーにとっても、これまで以上に豊富なラインナップから画像を選択できるため、画像生成におけるAIの活用は社会やビジネスの高度化に役立つといえるでしょう。

一方で、著作権やフェイク画像、クリエイターの市場価値低下などの懸念は無視できません。現在の大きな課題として、著作権法などの法制度が急速な技術進歩に追い付いていないことが考えられます。今後、画像生成AIを含む新技術に対応した新たな法整備が必要となるでしょう。

画像生成AIを利用する立場としては、AIリテラシーが求められます。たとえば、イメージに合致した画像などのコンテンツを得られるよう、AIに対して的確に指示文を入力することが重要です。また、フェイク画像や特定の人物・団体を誹謗中傷するコンテンツを作成しないなど、社会的倫理観に基づいた利用が不可欠です。

まとめ

画像生成AIは、クリエイターの作業効率化や創作活動支援などのメリットがある反面、著作権侵害やフェイク画像などの問題もあり、各ストックフォトサービスの対応も分かれているのが現状です。

社会的・法的な規範を守りながら、AIをビジネスに有効活用していくためには、技術進歩に対応した新しい法整備などが急務となるでしょう。

AI技術はこれからさらに発展していくと予測されているので、早い段階で基本的な活用方法を取り入れておくことが大切です。SEデザインでは、IT分野におけるBtoBマーケティング&セールス支援を行っており、30年以上の実績がございます。業務の効率化や顧客へのアプローチでお困りの際は、お気軽にSEデザインへご相談ください。

 

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