SEデザインが実施したアンケート調査によると、導入事例を参考にする人の割合は64%にものぼります。サービスやツールの導入を検討する際には価格やサービス内容に次いで参考にされている情報であり、いかに重要なコンテンツかがお分かりいただけるでしょう。
SEデザインは、年間150件以上、累計2,500件以上もの導入事例を制作してきました。以前は製品の導入事例が多かったのですが、最近では課題解決(ソリューション)事例が増えています。こうした事例取材を重ねてきた中で身につけたことをお話しします。
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導入事例は効果的な販促ツール
導入事例は、効果的な販促ツールとしてよく用いられています。特に、ITソリューションには最適です。なぜならば、ITソリューションは、カタログに記載されている機能の紹介だけでは、実際の使い勝手などが把握しにくいからです。
また、導入を検討している潜在顧客にとって、実際に利用しているお客様の声は、何よりも説得性があり、「共感」を得るものとなります。
▼導入事例の取材や制作のポイントについては、以下の記事でも紹介しています。
導入事例の取材依頼で許可をもらうコツ
BtoB企業の導入事例を制作するために、取材依頼をしてスムーズに許可をもらうコツをまとめました。
取材先に導入事例取材を受けるメリットを伝える
まず、取材を依頼する際に、相手が取材に応じることで得られるメリットをしっかりと伝えることが不可欠です。取材を受ける企業側の具体的なメリットを示すことで、取材依頼に応じてもらいやすくなります。
取材を受けるメリットとしては、企業が業務効率を上げたことによる企業のブランド認知向上や、取材記事や導入事例が公開されることで、新たな顧客や取引先の関心を引き、ビジネスチャンスが広がるなどのマーケティング効果があります。
取材先の社内調整をきちんと行う
取材の許可を得るためには、取材先企業の社内調整が非常に重要です。
取材日程が確定したら、関係者に早めに伝えましょう。余裕を持ってスケジュールを共有することで、当日の準備や社内調整がスムーズに進みます。
関係部署や担当者には漏れなく取材の趣旨を説明しましょう。取材の目的や内容、記事の公開範囲をしっかり伝え、全員が協力体制を取れるようにするためです。
また、取材先の営業担当者の理解と協力を得ることも大切です。取材内容が企業イメージやビジネスに影響を与える可能性があるので、営業担当者の意見も聞きながら、取材内容に反映させましょう。
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スムーズな導入事例の取材依頼に必要な準備
導入事例をスムーズに制作するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、導入事例を初めて制作しようと考えている方や、制作にチャレンジしてみたものの、思い通りにいかなかった方を対象に、取材までにどのような準備が必要かまとめてみました。
導入事例は、営業部門の協力がなければ作ることができません。スムーズに事例を制作するために、5段階に分けて準備しましょう。
- 取材依頼対象とする企業の選定
- 取材対象者(キーマン)の選定
- 取材を依頼し許可を得る
- 取材時期と依頼するタイミング
- 制作会社とのオリエンテーション
次から、順番にご説明します。
1.取材依頼対象とする企業の選定
最初に取材を依頼する対象企業を選定します。1本目は、貴社が最も注力しているソリューションの事例を制作しましょう。
なぜならば、主力ソリューションであれば、アピールポイントが最も明確になっており、取材候補となるお客様の数が多いと思われるからです。営業部門とミーティングを行い、候補を絞り込みます。導入時に強固な信頼関係が構築できたお客様にお願いするのが鉄則です。
特に初めて事例を制作する場合は、過去に制作した導入事例を資料としてお客様に提供できないため、ご協力いただくにはこれまでの信頼関係の構築が重要なポイントとなります。
2.取材対象者(キーマン)の選定
次に、取材を依頼する対象者を選定します。取材対象者は、経営的な観点でお話しいただける上席の方、プロジェクトのリーダー、現場担当者にそれぞれの立場からお話を聞けるのが理想的です。
導入するソリューションによっては、導入・構築したシステム部門と、実際に利用するユーザー部門に登場いただくこともあります。
このように、立場の異なる方にコメントをいただくことによって、事例に奥行きが生まれます。ただし、2ページ~4ページまでの導入事例の場合、出席者が多すぎるとストーリーをまとめにくくなります。4名程度に抑えてことが無難です。
3.取材を依頼し許可を得る
事例制作準備において最も重要なことは、お客様の許諾を得ることです。
一般的な広告であれば予算があればすぐに制作できます。しかし、導入事例はお客様の協力がなければ、予算があっても制作することができません。しかも、お客様は忙しい方ばかりです。その方々に貴重な時間を割いて登場いただくには、手順を踏んで依頼する必要があります。初めての事例の場合は、ファーストユーザーであることをアピールして、協力をお願いすることも一つの手です。
よくある失敗例として、営業担当が口頭で現場担当に事例の取材を依頼したところ、快諾いただいたものの、上長に事例の件を伝えたあとに断られることがあります。最初に口頭で打診するのは問題ありませんが、取材依頼状を提出し、会社として正式な依頼を書面に残しておくことが必要です。
▼一般的な取材依頼状のテンプレートをご用意しました。 ▼ こちらからダウンロードしてご利用ください。 |
4.取材時期と依頼するタイミング
事例取材への協力を依頼するタイミングも重要です。これは、製品・サービスの種類により異なります。
導入効果が即効性のあるものであれば、導入直後の取材も有効ですが、ITソリューションの場合、効果(特に定量効果)が測定されるまでに時間を要することがあります。その場合は、あえて時間をおいて取材をする方が有効です。このような場合は、第一報として、「◯月ごろに取材をさせてください」と早期に依頼しましょう。
事例制作において重要なことは、「お客様が快く取材を受けてもらえるタイミングに取材する」ということです。
導入したソリューションに障害が発生している時に取材をしても、お客様からいいコメントをいただくことはできません。営業部門と情報連携を密にして、絶好のタイミングを見計らって取材するようにしましょう。
5.制作会社とのオリエンテーション
事例取材の目途が立ったら、制作会社とのオリエンテーションを行います。
オリエンテーションでは、事前に営業部門と打ち合わせたものをテキスト化しておくことが有効です。逆に、ホームページに記載されている一般的なお客様の情報は重要ではありません。特に、事例で強調したい箇所を中心に制作会社と情報の共有を図ります。
また、スタイルガイド(出版物などにおいて統一した言葉遣いを規定する手引き)や用語集を制作会社に支給し、事例の体裁を決定します。
並行して、スケジュールを立てます。取材から入稿までの期間を制作会社と打ち合わせます。
ここで注意するのは、お客様のレビュー期間です。導入事例の原稿レビューは取材対象者だけでなく、広報部門など複数に及ぶ場合が一般的なため、フィードバックまでの時間を要する場合があります。
失礼がないように余裕をもって原稿レビューをお願いしましょう。
商材の導入事例取材5選
ここでは、商材の導入事例を5つ紹介します。導入事例の取材をどのように行ったか想像しながら見ていきましょう。
TETORI
TETORIは、グルービーモバイル株式会社が提供するWeb接客ツールです。導入事例では、TETORIの機能を使って課題が解決できた各企業の事例を載せています。事例一覧ページと取材記事ページには、TETORIが解決できる課題をキーワード化してタグのように載せており、読者と同じ課題を解決をした取材記事がすぐ見つけられる工夫がされています。
取材記事ページですぐ目を引くのは、取材を引き受けてくださったインタビュイーのプロフィールです。ファーストビューの位置に写真入りプロフィールを配置することで、取材記事ならではのリアル感と、写真があることで親近感が湧いてきます。
取材記事は一問一答形式で構成しており、特に読んでほしいポイントは太字や色を変えるなどし、目立たせています。記事の最後にはCTAを配置し、問い合わせにスムーズにつなげる工夫をしています。
AWS
AWSはクラウドシェア世界No.1で、多くの大企業が信頼して導入しています。導入事例の紹介ページでは、AWSを利用している業界トップランナー企業のリーダーたちにインタビューをした「AWS Leaders' Voice」をメインコンテンツに据えています。
インタビューを受けているのは、大手企業で決裁権を持つ、幹部クラスの方ばかりです。そのような方のインタビューを載せることで、AWSが、業界を牽引するトップ企業に選ばれる、信頼がおけるクラウドサービスであることを示しています。
取材記事ページでは、ファーストビューにインタビュイーの写真と、その方が一番届けたい言葉が大きく載っており、その会社の展望について知りたくて読み進める、というきっかけ作りができています。取材記事の内容は、その会社の目指す方向性を知ることができる重要な話題が多いため、文字数は多めです。記事の最後には、AWSを活用している実例が載っています。
モレスキン
モレスキンは、高級ノートとして高いブランド力がある文具メーカーです。モレスキンは、他社のノベルティ制作も受注しており、その事例を紹介しています。
導入事例紹介ページでは、さまざまな企業やプロジェクトで制作したモレスキンのノートデザインが並んでいます。通常、その企業の担当者に焦点をあて、取材をして記事にしますが、モレスキンの導入事例では、ノベルティで制作したノートの表紙写真を並べています。
個別の事例紹介ページでは、どのような用途で制作したか、どういう想いでこのノベルティを作っているのかが、一人称で語られています。たとえばJALの事例では、空港でノートを使う様子や、モレスキンをフルカスタマイズした、見開きにコックピットの写真が載っているページなどを、解像度の高い画像で載せています。
事例記事は、文章量も画像の数も多くはないものの、丁寧に作られたコンテンツから、モレスキンというこだわりが詰まったノートブックをノベルティに選んだ企業やプロジェクトの想いが伝わります。
日立
日立は顧客のクラウドやDX推進を支援しています。導入事例ページは事例や相手先企業の担当者インタビューなどが一般的ですが、日立の導入事例は、それにとどまらず、自社の姿勢や思いを積極的に伝えています。
お客様の導入事例と、自社の社員によるDX解説や、関係者の座談会などを並べて掲載することで、サービスの導入例と自社の考えの両面からアプローチし、読者に多角的に伝わるように工夫されています。
キントーン
キントーンは自社のYouTubeチャンネルに導入事例紹介動画を掲載しています。動画は導入企業の担当者インタビューを中心にしつつ、導入されたサービスを紹介しています。
動画の構成のポイントは、ひとつの案件につき、複数の担当者をインタビューしている点です。複数のインタビュイーのコメントを載せることで、キントーンのサービスに対する社内の理解が得られており、信頼がおけるサービスという印象を与えています。
まとめ:取材依頼をスムーズに行うために依頼テンプレートを活用しよう
以上が取材までの基本的な準備です。もちろん、例外もあり、すべて上記にならう必要はありません。実績を積み重ねるとともに、アレンジを加えながら自社に最適な制作ノウハウを身につけましょう。
私たちSEデザインは、40年以上にわたり外資系大手IT企業のコンテンツマーケティング支援を行ってまいりました。特にIT業界の導入事例制作においては、豊富な実績と深い業界理解、そしてITに関する高度な知見を持ち合わせています。また、「お客様のお客様」と数多く接することで、顧客のペルソナを深く理解していることも私たちの大きな強みです。
導入事例制作でお悩みの際は、ぜひSEデザインにお任せください。貴社の魅力を最大限に引き出すお手伝いをさせていただきます。