効果的な導入事例の書き方|取材時のポイントや構成・ストーリー例

更新日:2025-02-03 公開日:2014-05-08 by Kana Akimoto

目次
効果的な導入事例の作成方法

日本市場では、導入事例はとても効果の高いマーケティングツールです。

SEデザインが実施したアンケート調査によると、導入事例を参考にする人の割合は64%にものぼります。サービスやツールの導入を検討する際には価格やサービス内容に次いで参考にされている情報であり、いかに重要なコンテンツかがお分かりいただけるでしょう。

製品やサービスを導入する場合、「使ってみてどうだったか」「費用対効果、TCOは?」は誰しも気になるもの。設備投資に対するコスト管理が厳しい現在、プロジェクトのGOサインを得るための裏付けとして、体験からくる「生の声」は、何よりも強力な説得材料となります。

SEデザインは、年間100件以上、累計2,500件以上もの導入事例を制作してまいりました。特にIT業界の知見や実績が豊富で、高い評価をいただいております。
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今回は、効果的な導入事例を作るために必要な「事例の取材・インタビュー時のポイント」および「導入事例の書き方」「事例の構成・ストーリー例」を紹介します。

導入事例の取材・インタビュー時のポイント

導入事例に関して取材・インタビューを行う際のポイントをまとめました。取材時の具体的な質問作成については、「インタビューを成功に導く質問」をご参考ください。」

キーパーソンにインタビューを依頼する

できれば経営的な観点でコメントいただける上席の方、プロジェクトのリーダー的存在、現場担当者にそれぞれの立場からお話を聞けるのが理想的です。キーパーソンを含めて3名くらいの方に立ち会っていただけると、適度に緊張感も和らぎ、よりよいコメントを引き出しやすくなるでしょう。

事例化するタイミングを図る

プロジェクト完了直後は導入事例としてホットな(生々しい?)内容が聞けるというメリットもある反面、肝心の「導入効果」がまだ出ていません。プロジェクトの数カ月後、または業務サイクルが一巡してからなら、より具体的な成果、感想を知ることができます。

まんべんなく話を聞き、取捨選択する

インタビューの時間は、「ここは書かなくてもいいんだけど…」といった話も聞けるくらいの余裕が欲しいものです。たっぷり内容を把握した上で整理したほうが、内容が充実します。臨場感あふれるエピソードを記載すると、読者をより惹きつけることができます。

また、充実した取材を行うためには、取材先との調整といった事前準備が欠かせません。取材依頼の準備に関する具体的なポイントは、「導入事例の取材依頼に必要な5つの準備」をご覧ください。

導入事例の書き方

導入事例に関して、書き方や構成のポイントをまとめました。

タイトルに数値を入れて効果を示す

導入事例のタイトルには、具体的な成果の数値を含めることが重要です。読者に説得力を与え、興味を引くことができます。たとえば、「売上30%増加」「業務時間を20%短縮」といった実績を数字で示すと、サービスを導入した効果が一目で伝わりやるくなるでしょう。

見出しで要点を簡潔に伝える

記事の構成において、見出しは要点を簡潔に伝える役割を果たします。見出しを読んだだけでおおまかな内容が把握できるのが理想です。

「導入前は○○が課題」「導入後は○○%改善」など、シンプルで明確な見出しを使い、段階ごとに要点が分わかるようにしましょう。読者はスムーズに事例の流れを理解でき、興味を持って読み進めることができます。

起承転結の構成で興味を引く

導入事例の構成にはいくつかのパターンがありますが、効果的に伝えるためには、起承転結の構成がおすすめです。起承転結の構成を用いることで、ストーリー性が高まり、読者は興味をもって読み進めやすくなります。

具体的なエピソードを盛り込み印象付ける

導入事例をよりリアリティを持って読んでもらうためには、記事の中に具体的なエピソードや数値を効果的に盛り込むことが大切です。

たとえば、「システム導入により作業時間が1日2時間短縮された」「クレーム件数が月10件から3件に減少した」などの実績を数字で示すと、読者に具体的な変化を伝えられます。また、社員の生の声を入れるなど、効果的な書き方も工夫しましょう。

マイナス要素も書く

導入事例がメリットだけで構成されていると、読者は情報が偏っている、あるいは広告的だと感じることがあります。

マイナス要素を提示したうえで、それにどう対処し、改善したかというストーリーを加えると、自社の柔軟性や課題解決能力をアピールできます。お客様は、何か課題が発生しても、適切なサポートが得られるという安心感を得ることができるでしょう。

導入事例を紹介する際に、マイナス要素を含めて説明することで、自社の誠実さを伝え、信頼性を高めることができるのです。

導入事例のストーリー5パターン

次に、導入事例のストーリーとして効果的な書き方を5つ紹介します。

  • 課題解決
  • 競合優位
  • 模範活用
  • 取り組み紹介
  • 業界変革

課題解決

課題解決型のストーリーは、企業が抱える具体的な問題を解決するプロセスに焦点を当てます。導入事例の書き方としてはもっとも一般的なものです。

たとえば、「業務効率が悪く、時間とコストがかかっていた」という課題があり、その解決策として新しいシステムを導入し、結果として業務が50%効率化された、という流れです。同様の問題を抱える読者に対して、効果的に問題の解決策を提示し、導入の検討度を高めます。

競合優位

競合優位のストーリーでは、他社との競争で優位に立つために導入したサービスや活用法を紹介します。たとえば、新しいマーケティングツールの導入により、競合他社を上回る売上や市場シェアを獲得したといった事例です。このストーリーは、他社との差別化や競争力強化を考えている顧客にとって参考となるでしょう。

模範活用

模範活用とは、導入した製品やサービスがいかに効果的に活用されたかを紹介するストーリーです。たとえば、どのくらいの規模の会社が、新しいシステムをどのように導入し、その結果、業務効率が何%向上したというように、サービス活用の模範として学べる事例を提供する書き方です。

取り組み紹介

取り組み紹介は、導入したサービスがどのように活用されたかを交えながら、企業の具体的な取り組みやプロジェクトを深堀りしていく書き方です。。単にサービスのメリットを伝えるだけでなく、その企業独自の取り組みを紹介することで、サービス活用の様子をより臨場感をもって効果的に伝えることができます。

業界変革

業界変革のストーリーは、企業がサービスを活用して、新しい技術やアプローチを開発し、業界全体に影響を与えた事例を描きます。このストーリーは、自社だけでなく業界全体にインパクトを与える可能性を示した書き方で、未来のビジネスモデルを考える効果的なヒントを提供します。

導入事例の各項目ごとのポイント

取材・インタビューの段取りと並行して行うのが、どのような構成で導入事例を組み立てればよいかの検討です。下記では課題解決型の導入事例を例に、自然な流れで効果的に説得力を持たせることのできる、項目ごとのポイントを紹介します。

【導入事例の項目】

  1. 経営的な観点から捉えた導入プロジェクトの位置づけ
  2. 企業/組織が抱えていた課題
  3. 製品やサービス、パートナーを選んだ理由
  4. 導入作業での工夫、直面した問題とその解決
  5. 導入後の効果(定量/定性)

1. 経営的な観点から捉えた導入プロジェクトの位置づけ

導入事例というと「A社がXXを導入した」という事実ありきのため、「2.企業/組織が抱えていた課題」から始まる事例もあります。しかし、いきなり細部に入るのではなく、その企業/組織にとって導入プロジェクトがどういう意味を持つものであったかを押さえておきましょう。

個々の課題の前に、「経営の『5カ年計画』の中の一環だった」「近年ビジネス環境が様変わりし、体質改善が必須だった」といった大局的な視点があると、プロジェクトの意義を強調することができます。

業界の動向や最近のトピック(規制の変化や新興国の台頭など)と絡めると、よりリアルなものとして読者に関心を持ってもらえるようになります。

2. 企業/組織が抱えていた課題

たとえば、企業/組織が抱えていた課題として下記のようなものが挙げられるでしょう。

  • 事業拡大や処理の増大で、これまでの環境では業務に支障をきたすようになった
  • 法律や規制が変わり、手作業で処理していては追いつかない
  • 組織再編(統合や分割)を機に、業務環境の見直しが必要
  • データを可視化して事業の意思決定にもっと活かしたい

こうした理由がほとんどですが、ここに導入した企業それぞれのビジネスの特長(海外の売上比率が高い、地域密着型サービス、在庫を抱えない方針、業界の規制が厳しい、など)を盛り込むことで、説得力がぐっと増します。

3. 製品やサービス、パートナーを選んだ理由

IT業界の場合は、導入する企業や自治体などがRFP(提案依頼書)を作成して、これに応じたシステムインテグレーターや製品ベンダーのプレゼンやデモを見て決定する、という流れが一般的です。

その他にも導入済みの企業を視察したり、あらゆる観点から比較検討が行われますが、親会社が使っているものに合わせる(データのやり取りを容易にする、コンプライアンス上使用するシステムを統一する)など、トップダウンで決まることもあります。

経緯がどうであっても、製品やサービスの特長が個々の業務要件にどれだけフィットしたか、サポートがどれだけ期待できるか、過去の実績、または将来的な利便性(システム連携や規制の変化)を踏まえた上での決定であったことをお客様視点で語っていただくようにします。

プロジェクトリーダーやメンバーといった「人」や「体制」への期待、信頼感に触れることもできます。ただし、すべてぶっちゃける必要はありません。「安かったから」という理由であったとしても「コスト要件に合致した」など、表現方法は原稿作成時に工夫することができます。

4. 導入作業での工夫、直面した問題とその解決

あらゆるプロジェクトに苦労はつきものですが、ここで肝心なのは「苦労話に終わらせない」ということです。取材時にはさまざまなエピソードを集めておいてよいのですが、重要なのはまとめ方です。

思ったよりも作業が増えたり、外部要因でプロジェクト中に状況が変わり対応を余儀なくされたなど、数々の困難にどう対処していったか、どのような工夫によって解決したのか、を前向きに説明します。

社内メンバーの尽力、パートナーが蓄積していたノウハウが活きたなど、良い点をピックアップしていくことで、「ここに頼んでみようかな」という信頼感につながります。

5. 導入後の効果(定量/定性)

効率やコストがBefore/Afterでどのくらい違うのか、数値情報を計測されている場合は、お客様の同意を得て公開させていただくのが一番です。

その他にも、人員や設備(リソース)に余裕が出て他の仕事ができるようになった、書類、帳票などを迅速に作成できるようになったなど、定性面からの効果も重要です。

特に業務の進め方が変わって、人の意識も変わってきたというところが書けると、非常に前向きな印象になります。個々のお客様ならではのエピソードを丁寧に拾いながら、効果的な書き方を工夫してみましょう。

まとめ

導入事例は、製品/サービスの良さをアピールするためのマーケティングツールですが、ターゲット読者が知りたいのは、それを売ろうとする側からのアピールではなく、導入したお客様の経験に基づく、率直な意見です。導入事例の効果について詳しくは、「導入事例7つの効果・メリット」をご参照ください。

お客様の率直なご意見からできるだけ良いコメントを引き出し、効果的に表現することで、未来の受注につなげましょう!

私たちSEデザインは、約40年にわたり外資系大手IT企業のコンテンツマーケティング支援を行ってまいりました。特にIT業界の導入事例制作においては、豊富な実績と深い業界理解、そしてITに関する高度な知見を持ち合わせています。また、「お客様のお客様」と数多く接することで、顧客のペルソナを深く理解していることも私たちの大きな強みです。

導入事例制作でお悩みの際は、ぜひSEデザインにお任せください。貴社の魅力を最大限に引き出すお手伝いをさせていただきます。

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監修者
SEデザイン編集部
BtoB企業、特にIT分野を中心にコンテンツマーケティング支援を行っており、導入事例やホワイトペーパー・eBook、SEO記事の制作、LP制作、オウンドメディア構築などの制作も行う。導入事例制作では、IT・テクノロジー分野の知見を活かし、外資系を含むIaaS、PaaS、SaaSの事例を中心に年間150件以上、累計2,500件以上制作しており、高い評価をいただいている。