One to Oneマーケティングとは?必要性や実施方法を解説

更新日:2024-06-07 公開日:2023-06-12 by SEデザイン編集部

目次

182220521_m_normal_none-1マーケティングで成果を上げるために重要なのが「顧客体験」です。しかし、膨大な製品・サービスが溢れる昨今では、顧客体験価値を向上させるためには「One to Oneマーケティング」によるパーソナライズされたアプローチが必要です。

今回はOne to Oneマーケティングについて、BtoB企業のマーケティング担当者向けに必要な知識や実施方法を紹介します。

One to Oneマーケティングとは?

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One to Oneマーケティングとは、「顧客ひとりひとりに合わせた」マーケティング手法です。あらゆる顧客に対して画一的なアプローチを行うのではなく、顧客それぞれの興味関心に合わせて、最適化された訴求を行います。

Cookieの発達によりパーソナライズした情報発信が可能になった

One to Oneマーケティングは、IT技術の進歩により、現実的で有効な施策となりました。インターネットでは、ユーザーがWebサイトを閲覧している最中、常にデータとして情報を提供しています。その代表例が「Cookie(クッキー)」です。

Cookieとは、サイト閲覧時に使用するブラウザを経由してWebサイトに送られているデータ情報です。ユーザーがCookie機能を有効にしていれば、使用しているブラウザにサイトの閲覧履歴などが記録され、次回以降はCookie情報を基に、よりパーソナライズされたコンテンツが表示されます。

このように「顧客を知る→顧客の興味関心に応じたアプローチを採る」技術が発達したことにより、よりパーソナライズした情報を提供するOne to Oneマーケティングが実現しました。

顧客自身も「良質な体験」を求めるようになっている 

One to Oneマーケティングは、BtoB企業にとっても重要なアプローチです。企業と顧客の関係は、製品・サービスの「提供する側 × 受け取る側」ですが、顧客が企業に求めるものは、近年大きく様変わりしています。

顧客は、企業が提供するプロダクトだけでなく、企業とのコミュニケーションを通じて「特別な体験」を求めるようになったのです。


福田康隆氏の著書『THE MODEL(MarkeZine BOOKS)マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』(2019,翔泳社)では、以下のように述べられています。

顧客は、購買のプロセスを、自分が決めたタイミングで、自分が信じられる有益な情報を好みの方法で入手し、営業担当者に売り込まれることなく自分のペースで進めたい

これはつまり、自社都合で売り込むだけでは、顧客は満足しなくなったと言い換えられるでしょう。

そのため、従来型の画一的なマーケティング手法やセールスから脱却し、顧客ごとに最適なアプローチと最適なコミュニケーションを行い、顧客満足度を高めるOne to Oneマーケティングの重要性が増しているのです。

One to Oneマーケティングのメリット 

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One to Oneマーケティングを実施するメリットとしては、費用対効果が高いことや、顧客との関係性(リレーション)を深められることなどが挙げられます。

費用対効果が高い 

マスマーケティングのように不特定多数に対してアプローチする手法は、望んだ成果が確実に得られるとは限りません。ターゲット顧客ではない顧客も勘案した施策を行っているため、ある意味では非効率なのです。

一方、One to Oneマーケティングなら、画一的なアプローチより費用や時間はかかる可能性があるものの、高い確度で成果が期待できる費用対効果の高い施策を実施できます。

顧客との関係性(リレーション)を深められる 

One to Oneマーケティングでは、より商談化見込みのある顧客に絞ってフォローを行うことで、顧客とより深いリレーションを築けます。これは、商品やサービスが高単価で、顧客の検討サイクルも長くなりやすいBtoBにおいては重要なメリットです。

商談化見込みの少ない顧客や休眠顧客に対しても、パーソナライズした情報発信を続けておくことで、関係性を維持でき、失注につながるリスクを低減できるでしょう。

One to Oneマーケティングの実施方法 

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One to Oneマーケティングを実施する際には、以下のような施策が有効です。

  • レコメンデーション
  • リターゲティング広告
  • LPO(Landing Page Optimization)
  • メルマガ配信

次項より、各施策の概要を説明します。

レコメンデーション 

レコメンデーションとは、ネットショッピングサイトなどで「おすすめ商品」「この商品を買った方は、こちらもよく購入されています」などと表示される、いわゆる“おすすめ”のことです。

たとえば、自社でECサイトを運営している場合、ユーザーが過去に購入・閲覧した商品を記録しておき、それに類似した商品や関連商品などのプッシュ機能を実装しておくのが有効でしょう。

ユーザーがより関心を抱いている商品なら購買の期待値も高く、効率のいいアプローチ手段といえます。

リターゲティング広告 

リターゲティング広告は、自社サイトに訪れたユーザーをサイト離脱後も追跡し、他社サイトの広告枠に自社の広告を表示させる仕組みです。

レコメンデーションと同様、自社に一度興味を持った顧客ですので、その後のコンバージョンも多いに期待できます。

LPO(Landing Page Optimization) 

LPOとは、LP(ランディングページ)訪問者にCV(コンバージョン)させるために、パーソナライズされた訴求などでLPを最適化することです。

LPとは、デジタル広告や検索流入など外部から流入してきたユーザーが最初に閲覧するページを指します。これはユーザーと、企業間の重要な接点です。そのため「どのようなメッセージを盛り込むのか」「どのようなデザイン構成にするのか」は、自社売上や会員数などに大きく影響します。

LPOでは、デザインやテキストを変えたページを複数パターンを用意し、反応の違いを見るABテストを実施して最適解を導き出しましょう。

LPOの基礎

メルマガ配信  

メルマガ配信とは、顧客情報を収集したうえで、特定の層にニーズのある内容のメール配信を行うことです。

具体的には、顧客の行動を促すために、自社製品のキャンペーン情報や優待情報を直接届けたり、お役立ち情報の配信することです。

BtoBマーケティングでは、後述するMAツールも活用して、展示会に来た人のみに向けたクローズドのセミナー案内や、自社の閲覧履歴によってEメールや架電でのフォローなどアプローチがあります。

 

One to Oneマーケティングで使用頻度の高いツール

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One to Oneマーケティングを効率的に行ううえでは、「MA(マーケティングオートメーション)ツール」「Web接客ツール」などのデジタルツールの活用も欠かせません。以下より、これらのツールの活用方法を解説します。

MA

MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング施策を効率化させるためのさまざまな機能を備えたツールです。例えば「大量のメール配信」や「顧客分析」など、手作業では対応しきれない膨大な作業を、的確に処理してくれます。

One to Oneマーケティングに役立つMAのおすすめ機能は「自社サイトの閲覧状況の記録」です。「誰が、いつ、どのページを閲覧したか」を追跡し、データとして蓄積することで、よりパーソナライズされたコンテンツ作成や訴求が行えます。

このように、顧客ごとの情報を識別し、それぞれに適したアプローチにつなげてくれるのがMAであり、One to Oneマーケティング実現のためには欠かせないツールです。

ただし、MAは“オートメーション”とあるように「導入すれば、あらゆる作業を自動化できる」と思われがちですが、実際はそうではありません。MA導入で自動化を果たすためには、そこに至るまでのシナリオ設計が必須です。

そのため、自社でOne to Oneマーケティングの実現に必要な適切なシナリオ作成のナレッジが不足している場合は、外部専門家への依頼も検討しましょう。

さらにMAツールについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考に理解を深めていきましょう。

Web接客ツール 

Web接客ツールとは、自社サイトに訪問したユーザーに対して、チャットボットやポップアップ、プッシュ通知などを使って自動で接客するツールです。

訪問ユーザーの閲覧履歴をビッグデータとして蓄積・分析したうえで、シナリオを設計しておくことで、精度の高いOne to Oneオファーを行えます。前述のMAにも、Web接客ツールと似た機能が備わっているケースがあります。

しかし、Web接客に特化したツールは、閲覧履歴だけでなく、閲覧中のページも組み合わせて、最適なポップアップを表示するなど、リアルに近い接客体験を提供できるのが一般的です。自社のリソースや他ツールとの連携の有無なども鑑みて検討しましょう。

新規CTA

BtoB企業のOne to Oneマーケティングでは“全社的な”フォロー体制も重要

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顧客ごとに合わせたアプローチを実施することで、よりエンゲージメントの高い顧客体験を提供できるOne to Oneマーケティングは、時代に即しているといえます。

ただし、「One to One」という単語だけが社内で独り歩きして、最適なマーケティングができなくなる事態も懸念されます。

たとえば、企業が陥りがちな失敗としては、「マーケティング部門しかOne to One施策の重要性・意義について把握していない」といったものが挙げられるでしょう。BtoB企業のマーケティング戦略は、営業・インサイドセールスも含めた、各部門との連携により成り立ちます

自社がターゲットとする顧客情報を集めつつ、最終的に仮説立てた顧客インサイトに基づいた施策を打つのは大前提ですが、マーケティング部門が立案したOne to Oneの取り組みを“全社的に”フォローできる体制も必要なのです。

そのためには、マーケティング部門が中心となり、One to One施策の重要性に関する社内周知に努めるのが重要です。

One to Oneマーケティングを実施している企業事例 

以下より、BtoB企業が参考にできるOne to Oneマーケティングの成功事例を2社紹介します。

リンナイ株式会社

出典:リンナイ

給湯機器・厨房機器などの製造販売を行う「リンナイ株式会社」は、製品の販売だけでなく自社のオウンドメディアやECサイトも運営しています。

同社は、自社サイトの登録者の行動を分析・セグメンテーション(分類)し、反応が良かった顧客にのみメルマガで情報を届ける施策を実施しています。メルマガでは、登録者の行動に応じて誘導先を振り分けているとのことです。

リンナイでは、このようなOne to Oneマーケティングへの取り組みにより、購買率が大幅にアップしたとされています。

ソニーマーケティング株式会社 

「ソニーマーケティング株式会社」は、ソニーグループの会社で、家電製品のマーケティングを行っています。同社では、人口減による顧客数の低下を見据えて、よりロイヤリティの高い顧客層を増やすためにOne to Oneマーケティングに取り組んでいます。

そのためのアプローチ手段の一つが、ファン拡大を狙った「ロイヤリティループ」という独自フレームワークの運用です。

「どのようにして商品を購入してもらうか」だけでなく、「購入後にファンになってもらうにはどうすればいいか」までが図式化されたフレームワークを用いることにより、ファン層の増加を図っているようです。

まとめ

多くの人が「より良質な顧客体験」を求めるようになった現代では、One to Oneマーケティングは期待値の高いアプローチ手法です。特に、製品単価が高く、顧客との商談も長くなりがちなBtoB企業では積極的に取り入れたいマーケティング手段といえます。

パーソナライズされたアプローチは、単なる売上拡大にとどまらず、顧客のロイヤリティ醸成にもつながりますので、積極的に検討しましょう。

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