BingのAIチャットとは?ChatGPTとの違いや仕組み、使い方を解説

公開日:2023-04-28 更新日:2024-02-26 by SEデザイン編集部

目次

BingのAIチャットとは?ChatGPTとの違いや仕組み、使い方を解説

2023年2月、Microsoft社が提供している検索エンジン「Bing」にAIチャット機能が搭載されました。リリースされて間もない新しい機能であるため、「BingのAIチャットについて詳しく知りたい」「ChatGPTとの違いが分からない」という方も多いのではないでしょうか。

本記事では、BingのAIチャットの仕組みやChatGPTとの違い、使用方法などを解説します。

 

BingのAIチャットとは?

BingのAIチャットとは?

はじめに、BingのAIチャットの概要や仕組みについて解説します。

BingのAIチャットの概要

BingのAIチャットは、Microsoft社が開発した対話型のAIチャットツールであり、2023年2月にリリースされました。ユーザーからの質問に対して、AI技術を活用してさまざまな情報を収集・抽出し、チャットで適切な回答を行うことが可能です。

そもそもBingとは、Microsoft社が提供している検索エンジンであり、BingのAIチャットはBing検索エンジンに対してAIチャット機能を実装したツールです。「BingChat」や「BingAI」などと呼ばれていますが、公式サイトでは「新しいBing」とされています。

BingのAIチャットは現在無料で使用でき、日本語での質問や回答にも対応しています。

BingのAIチャットの仕組み

BingのAIチャットは、ChatGPTを開発したアメリカの非営利団体であるOpenAIが持つ「GPT-4」という技術を採用しています。Microsoft社はOpenAIに多額の出資をしており、OpenAIとパートナー関係にあるため、OpenAIが持つ技術を利用できるのです。

そもそも「GPT」とは、「Generative Pretrained Transformer」の略であり、異なる文章間の類似度や含意関係を高精度に推測できる自然言語技術処理モデルです。GPT-4は、GPTの最新バージョンであり、膨大なテキストデータだけでなく画像や動画、音楽といったさまざまな形式のデータも学習しています。

BingのAIチャットは、Bing検索とGPT-4の技術を組み合わせたツールであり、Microsoft社は組み合わせたこれらの技術を「Microsoft Prometheus(マイクロソフトプロメテウス)モデル」と称しています。

BingのAIチャットとChatGPTの違い

BingのAIチャットとChatGPTの違い

ここでは、2023年4月時点での、BingのAIチャットとChatGPTとの違いについて、以下の観点からそれぞれ解説します。

  • 回答のバリエーション
  • データの参照期間
  • 利用料金
  • 文字数や回答数の制約
  • 出典の確認

回答のバリエーション

BingのAIチャットでは、会話のスタイルを選択することで、同じ質問への回答でも表現やニュアンスを変更できます。

たとえば、斬新なアイデアが欲しいときは「独創性」、詳細な回答が欲しいときは「厳密」のように会話スタイルを設定することで、より期待に近い回答を引き出せるようになるでしょう。一方のChatGPTには、回答方法を選択する機能はなく、ユーザー自身がプロンプト(指示文)を工夫しなければなりません。

データの参照期間

BingのAIチャットは、Bing検索技術を用いているため、最新情報を含めたチャット回答が可能です。ChatGPTの無料版では現状2021年までのデータしか学習しておらず、最新情報を含めた回答はできません。

利用料金

BingのAIチャットでは、最新のGPT-4を搭載したAIチャットを無料で使用できます。

対するChatGPTは、無料プランと有料プランに分かれており、GPT-4機能は月額20ドルの有料プランでなければ使用できません。

文字数や回答数の制約

BingのAIチャットでは、文字数上限(1回あたり2,000文字まで)とチャット回数上限(1スレッドあたり20回まで)が設定されています。

ChatGPTでは、文字数や回答数の制約はありません。そのため、長文の要約や同じテーマの深掘りなどにおいては、ChatGPTのほうが使いやすいといえるでしょう。

出典の確認

BingのAIチャットでは、生成された回答の各所に番号が振られており、各番号やメッセージ下部のURLを選択することで出典情報を確認できます。

ChatGPTが出力する回答文章では、出典情報を確認することができません。

BingのAIチャットの始め方と使い方

BingのAIチャットの始め方と使い方

続いて、BingのAIチャットの始め方と使い方について解説します。

BingのAIチャットの始め方

まずはMicrosoft Bingの公式ページにアクセスしましょう。Microsoftアカウントが必要になるので、Microsoftアカウントを保有している方はログインを行います。Microsoftアカウントを保有していない方は、新規作成を行ってください。

次に「新しいBingの紹介」ページに行き、「今すぐチャット」をクリックします。

「新しいBingの紹介」ページ

新しいBingのTOPページに遷移したら、AIチャットの開始準備が完了です。

BingのAIチャット開始画面

なお、Microsoft Bingの公式ページにアクセスする時期やタイミングによっては、「今すぐチャット」ではなく「順番待ちリストに参加」となっている可能性があります。その場合は、順番が回ってきて使用できるようになるまで待つ必要があります。

ちなみに2023年4月初旬時点でアクセスした際は、順番待ちはなく、すぐにチャットを開始することができました。

BingのAIチャットの使い方

新しいBingのTOPページに遷移したら、あとはチャット欄に任意の質問を入力するだけで使用可能です。言語は日本語・英語いずれにも対応しています。

たとえば、チャット欄に「AIの将来性について予想してください。」と入力し、実行すると以下のような回答が返ってきました。

「AIの将来性」に対するBingチャットの回答

上記のようにBingのAIチャットでは、指定したテーマに対して対話形式で回答を得ることができます。

BingのAIチャットでできること

BingのAIチャットでは、以下のようなことができます。

  • 対話形式でチャットができる
  • 回答スタイルを選択できる
  • 最新情報を検索できる
  • 出典を確認できる
  • ストーリー形式にも対応している

対話形式でチャットができる

BingのAIチャットは、対話型のチャットを想定して開発された「GPT」技術を採用しているため、人間に質問をしているような形でのやり取りが可能です。チャットが1回の往復で終わらない場合でも、直前までの会話を読み取ったうえで回答を作成するため、自然な対話を続けられます。

たとえば、以下のようにBingのAIチャットに「おすすめのビジネス書を3つ紹介してください。」と質問をしました。その結果、質問に意図通りに3つのおすすめ書籍が回答として返ってきました。

「おすすめのビジネス書」に対するBingチャットの回答

そのあと、続けて「1番目について、200文字で要約してください。」と入力すると、以下の回答結果となりました。

前回までの会話内容を認識したBingチャットの回答

上記のように、前回までの会話内容を認識できるため、「1番目」と指定しただけで対話形式のチャットを続けることが可能です。

回答スタイルを選択できる

BingのAIチャットでは、回答スタイルを選択することもできます。同じ内容でも、たとえば「厳密」スタイルにするか「独創性」スタイルにするかで、回答の表現が変わってくるのです。

たとえば、以下のようにBingのAIチャットに「厳密」スタイルで「次世代のテクノロジーについて短文で記載してください。」と質問をしました。結果は以下のとおりです。

厳密スタイルでのBingチャットの回答

上記では、日経BPなどにも触れながら、次世代のテクノロジーについて端的に回答しています。

次に、「独創性」スタイルに変えて同じ質問をしたところ、以下の結果となりました。

独創性スタイルでのBingチャットの回答

回答内容は同じようなものですが、最初に挨拶から始まっている点や回答文章のなかに絵文字が含まれている点などが違いとして見受けられます。

最新情報を検索できる

前述の通り、BingのAIチャットでは、最新情報を検索して回答に含めることが可能です。たとえばChatGPTの無料版では、現状2021年までのデータしか反映されておらず、最新ニュースなどを調べることはできません。

一方で、BingのAIチャットは回答作成時にBing検索を行うため、質問時点でWeb上にある最新情報を参照できます。

出典を確認できる

BingのAIチャットでは、生成された回答の出典も確認することが可能です。ChatGPTでは回答された内容の出典までは確認できませんが、BingのAIチャットでは出典も確認できるため事実確認などに便利です。

たとえば以下の出力結果例では、文章の後に番号が振られており、それぞれの番号もしくは下部に表示される「詳細情報」をクリックすることで出典元のページへ遷移できます。

参照URLの記載部分

ストーリー形式にも対応している

BingのAIチャットでは、情報提供だけでなく、オリジナルストーリーの作成なども可能です。これまでのAIでは、指定したパターンに沿った機械的な回答が主流でしたが、BingのAIチャットではストーリー形式の文章出力にも対応しています。

たとえば、「AI」と「旅」をテーマにした短編小説の冒頭の作成をBingのAIチャットにお願いした結果、以下のようになりました。

ストーリーの冒頭を考えたBingチャットの回答

上記より、指定したテーマに基づいたストーリー形式の回答もできることがわかるでしょう。

BingのAIチャットを使用するメリット

BingのAIチャットを使用するメリット

BingのAIチャットを使用するメリットとしては、おもに以下の3点が考えられます。

  • 文章作成を効率化できる
  • 情報検索の手間が省ける
  • 新しいアイデアをもらえることがある

文章作成を効率化できる

BingのAIチャットに文章を作成してもらうことで、コラム記事やブログ記事などのベースにできるため、文章作成を効率化できます。

たとえば、新しいトレンドに関するコラム記事を執筆する場合に、キーワードなどをBingのAIチャットに入力して質問をすることで、記事のたたき台をすぐに作成してもらうことが可能です。

そしてBingのAIチャットが作成した文章に対して加筆や修正を加えることで、自分で0から文章を作成する場合よりも短時間で記事を完成させることができます。

情報検索の手間が省ける

BingのAIチャットを使用することで、複数の出典を基にした質問への回答文章を作成することが可能です。

従来では、あるテーマやトピックに対して情報を整理したい場合、自分で複数のWebページを検索して情報を探す必要がありました。加えて、複数のWebページの文章を読み解き、情報をまとめる作業は手間がかかる作業です。

しかし、BingのAIチャットではこれらの情報検索や情報整理を数十秒で自動的に実施してくれるため、情報を探す手間が省けます。さらに出典まで掲載してくれるため、事実確認などもしやすく便利です。

新しいアイデアをもらえることがある

BingのAIチャットは、クリエイターにとっても役立つツールであるといえます。BingのAIチャットは、情報提供だけでなくアイデア出しにも対応しているため、担当者の発想だけでは思いつかない視点で着想を得られる可能性もあります。

アイデアが浮かばずにストーリー台本の作成などが滞ってしまう場合でも、BingのAIチャットを活用することでクリエイターの活動支援につながるでしょう。

BingのAIチャットの注意点

BingのAIチャットの注意点

BingのAIチャットは便利である一方、以下の点に注意することが必要です。

  • 必ずしも回答結果が正確な情報とは限らない
  • 回答が表示されるまでに時間がかかる場合がある
  • やり取りできる文字数や回数に上限がある
  • ブラウザはMicrosoft Edgeにしか対応していない

必ずしも回答結果が正確な情報とは限らない

BingのAIチャットは、Bing検索を通じてインターネット上のさまざまな種類のデータを解析したうえで質問に対する回答を生成する仕組みです。ただし、必ずしも正確な情報が返ってくるとは限りません。

入力した質問に対して、期待する文脈とは異なる回答が返ってくるケースも考えられます。また、期待する文脈に合っていたとしても、そもそも出典元の情報が誤っている可能性もあります。

したがって、BingのAIチャットの回答はあくまで参考程度に留めつつ、回答内容を記事などに使う際は人間の目による文章確認や事実確認が不可欠です。

回答が表示されるまでに時間がかかる場合がある

BingのAIチャットは、Bing検索も経由したうえで質問に対する回答を作成するため、回答までに数十秒程度の時間がかかることもあります。

そのため、迅速なレスポンスを期待しているユーザーにとっては、回答までのタイムラグがストレスとなる可能性も考えられます。

実際に、BingのAIチャットとChatGPTそれぞれに対し、「江戸幕府の八代将軍を1文で教えてください。」と質問をしてみました。その結果、ChatGPTでは約5秒で回答が出力されたのに対し、BingのAIチャットでは回答出力までに約15秒かかりました。参考までに、それぞれの出力結果を以下に示します。

【ChatGPT】

8代将軍についてのChatGPTの回答

【BingのAIチャット】

8代将軍についてのBingチャットの回答

やり取りできる文字数や回数に上限がある

BingのAIチャットは、チャットでやり取りできる文字数や回数に上限があります(2023年4月初旬時点)。文字数に関しては、1回の質問で2,000文字までしか入力することができません。一般的な質問をする際などはあまり問題にはなりませんが、記事の要約などには不便な場面も出てくるでしょう。

また、やり取りできる回数は一度の同じ質問テーマで20回までとなっています。そのため、質問への回答を掘り下げて確認していきたい場合、注意が必要です。質問を終わらせて、新しいスレッドを立てて新たな質問をすれば質問制限はリセットされます。

なお、回数上限が以前より緩和されていることから、今後も文字数や回数の上限はさらに緩和されていく可能性も考えられます。

ブラウザはMicrosoft Edgeにしか対応していない

BingのAIチャットを利用できるのは、WebブラウザではMicrosoft Edgeのみです。WebブラウザのトップシェアであるGoogle Chromeには対応しておらず、Bingチャットを利用したい場合は、Google Chromeとは別ウィンドウでBingチャットを表示しなければなりません。

普段Google Chromeを使っているユーザーにとっては、作業上の不便さを感じる可能性があります。

BingのAIチャットの将来性

BingのAIチャットの将来性

BingのAIチャットは、2023年4月初旬時点では無料で利用でき、Bing検索を通じて最新情報にもアクセスできることから、これからますます活用されていくことが想定されます。

さらに、Microsoft社がExcelやPowerPointなどのソフトウェアにBingチャットの機能を組み込む「Microsoft 365 Copilot」などを発表していることから、今後も高い発展性が見込めるでしょう。

一方で、ChatGPTなど他のAIチャットツールとの今後のすみ分けについては、注視が必要であるといえます。

BingのAIチャットは今後の業務効率化などを支援する

BingのAIチャットは、2023年2月にリリースされたMicrosoft社の対話型AIチャットツールです。ChatGPTと比べると、最新のGPT-4を搭載した機能を無料で利用できる点や会話のスタイルを選択可能な点、Bing検索によって最新情報を収集できる点などが特徴です。

一方、文字数やチャット回数の上限が設定されている点やMicrosoft Edgeブラウザにしか対応していない点には注意が必要です(2023年4月初旬時点)。

BingのAIチャットもChatGPTと同様、必ずしも回答結果が正確な情報とは限らないため、利便性を享受しつつ、出力結果は必ず人間の目で確認するようにしましょう。


AI技術はこれからさらに発展していくと予測されているので、早い段階で基本的な活用方法を取り入れておくことが大切です。SEデザインでは、IT分野におけるBtoBマーケティング&セールス支援を行っており、30年以上の実績がございます。業務の効率化や顧客へのアプローチでお困りの際は、お気軽にSEデザインへご相談ください。

 

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