導入事例動画とは、製品やサービスを導入した顧客が、導入前の課題や選定理由、導入後の変化を自ら語るBtoB向けの事例コンテンツです。提供する企業側の説明ではなく、実際に使っている顧客の言葉で語られるため、検討中の企業が自社に置き換えて考えるための材料になります。
SEデザインが2022年6月に実施したアンケート調査(回答者111人)では、サービスやツールの導入検討時に導入事例を参考にする人の割合は64.0%でした。利用価格(81.1%)、サービス内容(78.4%)、サポート体制(67.6%)に次ぐ4番目に多く挙げられており、検討段階で確認される情報のひとつであることがわかります。
本記事では、導入事例動画を制作するメリット、費用が何で決まるのか、そして企画から公開までの6ステップを解説します。出演いただく顧客企業からの許諾など、発注する側が押さえておきたい実務も併せて紹介します。
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この記事の要点 ・導入事例動画とは、製品を導入した顧客が課題・選定理由・導入後の変化を自ら語るBtoB向けの事例コンテンツ ・メリットは「顧客本人の言葉で信頼を得やすい」「利用場面を短時間で示せる」「SNSや営業活動に二次利用できる」の3点 ・費用は決まった相場があるわけではなく、撮影日数・拠点数・完成尺・カメラ台数・字幕・修正回数などの条件で決まる ・進め方は「目的設定→構成→撮影準備→許諾と申請→編集と確認→公開と効果測定」の6ステップ ・出演者本人の同意と顧客企業の掲載承認は必須。掲載媒体・利用期間・二次利用の範囲まで事前に取り決める |
導入事例動画とは?いま求められている理由
導入事例動画は、製品やソリューションを実際に利用した顧客の言葉を通じて、導入の背景、選定理由、活用方法や成果を伝えるコンテンツです。企業側の説明だけでは伝えにくい具体的な利用状況を示せるため、検討中の顧客が自社での活用をイメージする材料になります。
動画を活用する環境も広がっています。2025年の国内ビデオ広告費は1兆275億円となり、前年比121.8%で伸長しました。特にSNS上の縦型動画やコネクテッドTVなど、視聴される場所と画面の多様化が進んでいます。ただしこの数値は広告媒体費の統計であり、導入事例動画そのものの市場規模を示すものではない点には注意が必要です。
出典:電通「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
こうした環境の変化を踏まえると、1本の長尺動画をサイトに置くだけの設計では、活用の幅が限られます。自社サイトやYouTubeで公開する本編に加えて、SNS向けの短尺版、営業担当者が商談で使う要約版などへ展開する前提で企画すると、1回の撮影から得られる成果物を増やせます。
動画だけに寄せず、記事や資料と組み合わせる
前述のSEデザインの調査では、導入事例を参考にする際に見る媒体として、Webサイト上の記事が69.4%、ホワイトペーパーが68.5%だったのに対し、Webサイト上の動画は58.6%でした。動画がテキストの代わりになるわけではありません。
動画に加えて、要約記事、成果の数値、書き起こしテキスト、関連資料を用意しておくと、視聴環境や検討段階が異なる相手にも情報を届けやすくなります。移動中で音声を出せない、社内で共有するために文章が必要、といった事情は実際の検討現場でよく起こります。
字幕とテキスト情報が、見つけてもらうための前提になる
動画内の映像や音声だけに情報を置くと、検索エンジンはその内容を読み取れません。インタビューで語られた課題、導入範囲、成果、前提条件は、ページ上のテキストとしても提示しておく必要があります。
また、収録済みの音声を含む動画への字幕提供は、ウェブアクセシビリティの国際的な達成基準(WCAG 2.2の達成基準1.2.2)でレベルAに位置付けられています。自動字幕は利用できますが、固有名詞や製品名の誤認識が起こるため、公開前に人が確認する工程を組み込みましょう。
導入事例動画を制作するメリット
導入事例を動画で制作することには、テキストの事例記事とは異なるメリットがあります。ただし、動画にすれば自動的に信頼や成果が得られるわけではありません。視聴者が自社との共通点を判断できる情報を含めることが前提になります。
顧客本人の言葉で、信頼と共感を得やすい
導入事例動画の中心的なメリットは、実際に商品やサービスを利用している企業の声を伝えることで、強い説得力を与えられる点です。提供企業が自社で語る説明とは異なり、第三者である顧客の経験として受け止められます。
担当者の表情や話し方、現場の様子まで伝わるため、視聴者は自分自身を重ね合わせやすくなります。視聴者と業種、企業規模、担当業務が近ければ、自社で導入した場合をイメージする材料にもなるでしょう。言葉による説明ではわかりにくいソフトウェアの操作画面や導入前後の業務フローも、映像であれば具体的に示せます。
信頼性を高めるには、抽象的な称賛だけでなく「どの業務で」「どのくらいの期間利用し」「何が変化したか」を具体的に語ってもらうことが重要です。数値を紹介する場合は、対象期間、集計範囲、比較条件も併せて示しましょう。なお、個別の体験談は、すべての企業で同じ効果が得られることを保証するものではありません。
利用場面や導入後の変化を短時間で示しやすい
動画は視覚と音声の両方を使うため、短時間で多くの情報を効率的に伝えることができます。インタビューに操作画面、業務風景、図解などを組み合わせられるため、文章や静止画では把握しにくい商材の操作性や導入後の変化を、直感的に示すことが可能です。
一方で、映像・ナレーション・字幕にそれぞれ別の情報を詰め込みすぎると、かえって理解を妨げます。課題、選定理由、活用方法、成果などに要点を絞り、詳しい仕様や補足情報は事例記事や製品ページで確認できる構成にするとよいでしょう。
SNSや営業活動で二次利用しやすい
完成した動画から要点ごとの短尺クリップや静止画、引用文を作成すれば、SNS、自社サイト、メール、ウェビナー、営業商談など複数の接点で活用できます。1回の撮影を複数のコンテンツに展開できる点は、導入事例動画の実務上の利点です。
SNS上でシェアされる機会を作りやすいのも特徴ですが、共感が必ず拡散につながるわけではなく、表示される範囲も内容の関連性や品質、利用者の反応に左右されます。広告を出稿しなくても接点が広がる可能性はありますが、商談や問い合わせへの貢献は別途計測する前提で考えましょう。
SNSで配信する際は、音声が出せない環境でも内容が伝わるよう日本語字幕を付け、冒頭で「誰の、どのような課題を扱う事例か」を示すことが効果的です。
導入事例動画の費用は何で決まるか
導入事例動画の制作にあたって、最初に気になるのは費用でしょう。ただし、「導入事例動画は1本いくら」と一律に決まる相場は存在しません。公開されている相場情報も出典によって幅があり、そのまま予算の根拠にするのは危険です。金額そのものより、何によって見積もりが動くのかを理解しておくほうが実務では役に立ちます。
見積書に並ぶ主な費目
導入事例動画の制作を依頼した際、見積もりで提示される主な項目は次のとおりです。
- 企画構成費
- シナリオ・コンテ制作費
- 撮影費(スタッフ人数・使用機材)
- 編集費(スタジオ利用時間・編集スタッフ人数)
- 素材購入費
- ナレーション費
- BGM費(制作・購入費)
- エンコード費
役者を起用したり、CGやアニメーションを使ったりする場合は、さらに項目が追加されます。
見積もりを動かす条件
同じ「導入事例動画1本」でも、次の条件によって金額は大きく変わります。見積もりを依頼する際は、これらをそろえてから複数社に出すと比較できるようになります。
- 撮影日数と撮影拠点の数(複数拠点でのロケは移動・宿泊費も発生する)
- 完成尺と納品本数(本編のみか、短尺版・縦型版も作るか)
- カメラ台数と、音声・照明の専任スタッフを置くか
- インタビュー以外の映像(Bロール)の有無(現場や操作画面の撮影が必要か)
- 字幕・翻訳の範囲(日本語字幕のみか、多言語対応まで行うか)
- 画面比率別の書き出し(16:9のほかに9:16や1:1も必要か)
- 修正回数の上限(何回まで無償か、超過分の単価はいくらか)
- 撮影素材データの引き渡しの有無と保管期間
見積書を比較するときは、金額の総額だけを見ないことが大切です。安く見える見積もりが、修正1回のみ・Bロールなし・字幕別料金という条件だったというのはよくあることです。
予算が限られている場合に優先すること
費用を増やせば撮影や演出の選択肢は広がりますが、完成した動画の品質が費用に比例して上がるわけではありません。企画の切り口、伝えるメッセージの絞り込み、音声の聞き取りやすさ、出演者の話しやすさ、事実確認の精度も品質を大きく左右します。
予算が限られている場合は、視聴者の理解に直結する次の項目を優先しましょう。
- 音声が明瞭に録れていること(マイクの用意は演出よりも優先度が高い)
- 訴求する内容を1本につき1つに絞ること
- 語られた数値や固有名詞の事実確認を行うこと
- 日本語字幕を付けること
また、撮影場所を自社や顧客企業の会議室にする、ロゴや過去の写真素材を事前に支給するなど、発注側で準備できる部分を引き受けることでも費用は抑えられます。
制作にかかる期間と進行の考え方
導入事例動画の制作期間は、案件の条件によって変わります。「何週間で完成する」と固定的に見積もるより、期間を左右する要因から逆算するほうが現実的です。
期間に影響するのは主に次の要素です。
- 出演者と撮影場所の日程調整(顧客企業の繁忙期に重なると数週間ずれることがある)
- 顧客企業側の承認者の数と承認ルート(広報・法務の確認が入る場合は日数を多めに見る)
- 字幕や翻訳の有無
- 修正回数と、その都度の確認にかかる往復
- 複数フォーマットへの展開の有無
特に見落とされやすいのが、顧客企業の確認期間です。自社側の制作日数だけでスケジュールを引くと、公開希望日に間に合わなくなります。撮影の日程を押さえる段階で、確認にどれくらいの時間をいただけるかも先に相談しておきましょう。
また、ナレーションを収録した後は構成の変更が難しくなります。顧客企業への確認は、ナレーションが入る前の段階で行うのが基本です。
導入事例動画の作り方6ステップ
導入事例動画は、企画、取材、撮影、編集、確認、公開の順に進めます。撮影してから掲載方法を考えるのではなく、目的、ターゲット、配信先、必要な動画形式、承認方法を企画段階で整理しておくことが重要です。全体像は次のとおりです。
| 工程 | 主に決めること | 主な成果物・確認事項 |
|---|---|---|
| 1. 目的・ターゲット・KPI | 目的、ターゲット、訴求内容、出演者、評価指標 | 企画書、対象顧客像、成果指標 |
| 2. 構成・掲載先・尺 | ストーリー、質問項目、配信先、尺、画面比率 | 構成案、質問票、成果物一覧 |
| 3. 撮影対象と出演者 | 出演者、撮影対象、補助映像、機密情報の確認 | ショットリスト、撮影スケジュール |
| 4. 許諾・申請 | 出演同意、企業承認、権利確認、撮影場所の申請 | 同意書、掲載条件の取り決め |
| 5. 編集・確認 | 発言内容の確認、字幕、テロップ、最終承認 | 粗編集版、プレビュー版、最終データ |
| 6. 公開・効果測定 | 掲載先、書き起こしの掲載、測定指標 | 視聴ページ、字幕、測定レポート |
1. 目的・ターゲット・KPIを決める
最初に、「誰の、どのような課題に向けた動画か」「視聴後にどのような行動を期待するか」を決めます。ここが曖昧なまま撮影に進むと、後工程のすべての判断がぶれます。
BtoBの場合、ターゲットは年齢や性別ではなく、次の観点で整理します。
- 業種と企業規模
- 職種と役職
- 購買プロセス上の役割(決裁者か、選定担当者か、現場の利用者か)
- 検討段階(情報収集の段階か、比較検討の段階か)
役割によって関心は異なります。決裁者は投資効果やリスクを、現場担当者は使いやすさや運用負荷を知りたいと考えます。1本の動画ですべてに応えようとせず、対象を絞るほうが伝わります。
訴求内容も、コスト、使いやすさ、導入の容易さ、性能、他にはない特長などから絞り込みます。そのうえで、導入を決定した人、運用の責任者、現場の利用者などから、伝えたい内容に合う出演者を選びます。
あわせて、認知獲得、営業支援、問い合わせ獲得といった目的と、視聴完了率、CTAのクリック、商談での利用件数などの評価指標もこの段階で設定しておきます。
2. 構成と掲載先・尺を決める
導入事例動画の構成は、チャネルにかかわらず次の要素で組み立てます。検討中の企業が知りたい順に並べるのが基本です。
- 顧客企業と担当者の紹介(業種、規模、担当業務)
- 導入前の課題(どのような業務上の問題を抱えていたか)
- 選定の決め手(数ある選択肢からなぜ選んだのか、何と比較したのか)
- 導入のプロセス(導入時に不安だった点と、その解決方法)
- 導入後の効果(時間削減や売上向上など、定量・定性の変化)
- 今後の展望
このうち「選定の決め手」と「導入後の効果」は、比較検討中の企業が最も知りたい部分です。ここが抽象的だと、動画全体の説得力が落ちます。成果の数値を紹介する場合は、測定期間、比較対象、算出条件、根拠資料を事前に確認し、数値だけが独り歩きしないようにしましょう。
インタビューでは、完成した原稿を丸暗記してもらうより、質問票と回答の要点だけを事前に共有するほうが、自然な発言を引き出しやすくなります。
あわせて、掲載先と成果物の種類もこの段階で決めます。現場や設備そのものが価値を示す商材であれば、インタビューに加えて業務風景の撮影が必要になります。
- 自社サイトの事例ページ:本編。16:9で、じっくり見てもらう前提
- 営業資料・商談:要点に絞った短い版。商談の時間内で見せられる長さに
- イベント・展示会:音声が聞き取りにくい環境を想定し、字幕を大きく
- SNS:短尺版。9:16や1:1など、掲載面に合わせた画面比率を用意する
尺は掲載面から逆算します。制作会社各社が公開している情報では、本編は2〜5分程度、SNS向けの短尺版は30〜60秒程度が一つの目安として示されています。ただし、これは決まりではありません。伝えるべき内容が短く収まるなら短いほうが視聴されます。
3. 撮影対象と出演者を決める
動画コンテンツは、当然ながらすべてを映像として用意する必要があります。そのため、どれだけ「素材」としての映像を撮影できるのか、既存の素材がどれだけ使えるのかが重要になります。
インタビュー映像に加えて、次のような補助映像(Bロール)をショットリストにまとめておきます。
- 製品の利用場面、操作画面
- オフィスや現場の様子
- 資料やパンフレットなどの実物
導入事例は顧客企業にご協力いただくため、撮影したいものや人が顧客企業側に存在することがほとんどです。事前に「訴求したいもの」が撮影可能か、「語ってもらいたい人」に協力してもらえるかを必ず確認しましょう。
あわせて、画面や資料に個人情報、顧客情報、未公開製品、パスワードなどが映り込まないかも事前に確認します。撮影当日に発覚すると、撮り直しか編集での処理が必要になります。
出演予定者が参加できない場合や、撮影できない対象がある場合は、既存素材、図解、アニメーションなどの代替方法を検討します。撮影体制の人数や機材の量は案件ごとに決まるもので、決まった最小構成があるわけではありません。インタビュー1本を1名で撮影する場合もあれば、撮影・音声・照明を分業する場合もあります。
4. 許諾と申請を済ませる
撮影するものや人が決まったら、許諾と申請を進めます。ここが導入事例動画で最もトラブルになりやすい工程です。撮影場所への入館許可だけでは足りません。
次の項目を、撮影前に取り決めておきます。
- 顧客企業による取材・掲載の承認
- 出演者本人の撮影・公開への同意
- 氏名、所属、肩書、企業ロゴの表記方法
- 掲載媒体の範囲(自社サイト、YouTube、SNS、営業資料、展示会など)
- 広告利用やSNS切り抜きの可否
- 利用地域・利用期間、公開後の修正や掲載終了の扱い
- 映り込む資料、画面、写真、音楽などの権利
- 機密情報、個人情報、セキュリティ区域の扱い
- AIによる文字起こしや翻訳、映像加工を行う場合の素材の取扱い
個人を識別できる顔画像や映像・音声は個人情報にあたり得ます。また、動画を構成する写真、音楽、脚本、演技などの利用には、関係する権利者の了解が必要です。口頭の確認だけで済ませず、合意した利用条件を書面で記録しておくと、公開後の認識違いを防げます。
撮影場所については、次の点を確認しておくと当日がスムーズです。
- 撮影機材を搬入する許可・申請の有無と、搬入方法
- 撮影スタッフが撮影先で移動する際の許可・申請の有無
- 撮影場所とは別に、機材を置くための場所の確保
- 撮影するものや人がいる場所が、撮影に向いているかの確認
- 立ち入りの許可・申請と、時間的な制限の有無
撮影に適した場所かどうかは、できれば事前に「ロケハン」として撮影スタッフに直接確認してもらうとよいでしょう。撮影方法の事前確認ができ、当日の進行も速くなります。
5. 編集し、顧客企業に確認してもらう
撮影した素材とそれ以外の素材を組み合わせて編集し、関係者に確認してもらいます。編集は一般に次の流れで進みます。
- 音声の書き起こし
撮影した中から使用する部分をテキスト化し、使用できない発言を確認する - 粗編集版の制作
演出を入れず、音声や要素だけをつないで構成と長さを確認する - ナレーション原稿の作成
粗編集版で確定した構成と長さに合わせて原稿を作る - プレビュー版の制作
構成、長さ、音声、画面表示する肩書やテロップを確認する - ナレーション収録/MA
語句のイントネーションやBGMを確認する - 最終版の制作
ナレーションを含めた画面と音声の最終確認を行う
自動文字起こしや、書き起こしテキストを使った編集も実用的になっていますが、固有名詞、製品名、数値、肩書は人が確認します。自動処理の誤認識をそのまま公開すると、顧客企業に迷惑がかかります。
顧客企業には、発言の意味が変わっていないか、数値や画面に誤りがないか、機密情報が映っていないかを確認してもらいます。確認のタイミングは顧客との関係によりますが、ナレーション収録や複数フォーマットへの展開に入る前に構成を承認してもらうと、大きな手戻りを抑えられます。最終調整の段階で大幅な修正が入ると、手間もコストも余分にかかります。
6. 公開して効果を測る
公開時には、動画本体だけでなく、字幕または書き起こしテキストも用意します。前述のとおり、動画内だけにある情報は検索エンジンが読み取れないためです。
自社サイトに掲載する場合は、動画を主コンテンツとした視聴ページを作り、固有のタイトルと説明文、サムネイル、インタビュー内容の要約を併せて掲載します。動画を記事の途中に埋め込むだけでは、動画として発見されにくくなります。
効果測定では、再生回数だけを見ないことが重要です。目的に応じて次のような指標を設定します。
- 視聴完了率・視聴者維持率(どこで離脱したか)
- 事例ページから製品ページへの遷移
- CTAのクリック、問い合わせ・資料請求
- 営業担当者が商談で利用した回数
導入事例動画は、公開して終わりではなく、営業やナーチャリングで繰り返し使われることで投資対効果が出るコンテンツです。どこで使われたかを追える状態にしておきましょう。
導入事例コンテンツの活用事例4選
導入事例の見せ方は、顧客へのインタビューだけでなく、利用現場の映像、図解、文章によるケーススタディなどさまざまです。ここでは、動画を含む導入事例コンテンツを展開している4社を、形式と参考になるポイントに分けて紹介します。
| 企業・サービス | 確認できる形式 | 参考になるポイント |
|---|---|---|
| kintone | YouTubeの導入事例動画に加え、企業別のWeb記事やユーザーイベントの事例 | 導入前の課題や利用用途が異なる事例を多数用意し、読者が自社に近いケースを探せる構成 |
| トヨタL&F | 顧客の物流現場を映した動画と、導入効果を整理した事例ページ | 設備が稼働する様子を見せ、文章では伝わりにくい規模や動線を可視化している |
| NTT西日本 | テーマ型の「ICT活用事例動画」と、企業・自治体別の「法人サービス導入事例」 | 認知を得るための動画と、比較検討に使う企業別情報を役割分担させている |
| Firework | 顧客担当者への文章インタビューを中心に、縦型動画やライブ配信の活用方法と成果を紹介 | ケーススタディ内で導入背景、運用体制、成果を補足している |
kintone
kintoneは、AIとノーコードで業務アプリを作成できる業務改善プラットフォームです。公式の導入事例ページでは、製造、医療・福祉、自治体、教育など幅広い事例を掲載しており、YouTubeの導入事例動画も公開しています。
動画とWeb記事を併用しているため、動画を入口にしつつ、詳しい背景を別コンテンツで補う構成の参考になります。業種の幅が広く、自社と近いケースを探しやすい点も特徴です。
トヨタL&F
トヨタL&Fの導入事例動画では、物流センターや工場で設備が稼働する様子を確認できます。フォークリフトやラックだけでなく、AGV、自動倉庫、ソーターなどを組み合わせた工程を見せることで、導入後の動線や作業の変化を具体的に伝えています。
設備や空間そのものが価値を示す商材では、利用者のコメントと現場映像を組み合わせる方法が参考になります。インタビューだけでは規模感が伝わらない商材を扱う場合のヒントになるでしょう。
NTT西日本
NTT西日本は、ICT活用事例動画と、企業・自治体別の法人サービス導入事例を別々に展開しています。前者では教育DXやまちづくり、スポーツDXなどのテーマを映像で紹介し、後者では導入サービスや効果を業種・従業員数・導入サービスから絞り込めるようにしています。
課題テーマで関心を集めるコンテンツと、具体的な比較検討に使う事例を分ける設計といえます。動画と事例ページの役割を分けたい場合の参考になります。
Firework
Fireworkの導入事例ページでは、顧客担当者へのQ&Aを通じて、動画活用前の課題、導入理由、運用体制、成果を紹介しています。顧客が制作した縦型動画やライブ配信の活用例が多い一方、導入事例そのものは文章中心のケーススタディも含まれます。
短尺動画を自社サイトやSNSで展開し、詳しい背景を記事で補う方法が参考になります。なお、同社の事例ページには成果指標が掲げられていますが、測定期間や比較条件が明示されていないものもあるため、自社の資料に引用する際は出典を明記しましょう。
導入事例動画のよくある質問
導入事例動画は1本いくらかかりますか?
一律の相場はありません。公開されている相場情報も出典によって幅があり、そのまま自社の予算根拠にするのは適切ではありません。金額は、撮影日数、撮影拠点の数、完成尺と納品本数、カメラ台数、音声・照明の体制、字幕や翻訳の範囲、修正回数の上限などの条件で決まります。複数社に見積もりを依頼する際は、これらの条件をそろえてから比較してください。
動画の長さはどれくらいが適切ですか?
掲載する場所から逆算します。自社サイトの事例ページに置く本編と、SNSや商談で使う短尺版では適切な長さが異なります。制作会社各社が公開している情報では、本編は2〜5分程度、SNS向けの短尺版は30〜60秒程度が目安として示されていますが、決まりではありません。伝えるべき内容が短く収まるなら、短いほうが最後まで視聴されます。
制作期間はどれくらいかかりますか?
案件の条件によって変わるため、固定の日数では見積もれません。期間を左右するのは、出演者と撮影場所の日程調整、顧客企業側の承認者の数と承認ルート、字幕や翻訳の有無、修正回数です。特に顧客企業の確認期間は見落とされやすいため、撮影日程を押さえる段階で先に相談しておきましょう。
出演企業の許可はどこまで必要ですか?
撮影場所への入館許可だけでは足りません。顧客企業による取材・掲載の承認と、出演者本人の撮影・公開への同意の両方が必要です。あわせて、氏名や肩書の表記、掲載媒体の範囲、広告利用やSNS切り抜きの可否、利用期間、公開後の掲載終了の扱いまで、書面で取り決めておきます。顔画像や音声は個人情報にあたり得るため、口頭確認だけで進めないようにしましょう。
撮影は自社で行っても問題ありませんか?
目的によっては可能です。撮影体制の人数や機材の量に決まった最小構成はなく、簡易なインタビューであれば少人数でも成立します。ただし、音声が聞き取りにくい動画は最後まで視聴されにくいため、マイクの用意だけは優先してください。現場の映像を含める場合や、複数拠点での撮影が必要な場合は、外部に依頼するほうが結果的に効率的です。
導入事例の記事・動画制作はSEデザインへ
SEデザインは1985年の創業以来、外資系IT企業のブランドローカライズをはじめ、日系・外資を問わずテクノロジー企業のマーケティングを支援してきました。クラウド、AI、SaaS、ERP、セキュリティなど、専門性の高いIT・BtoB領域における導入事例制作は、累計2,500本以上の実績があります。
導入事例の目的や活用場面に合わせて、取材設計、質問項目の作成、インタビュー、撮影、編集、レビューまでをご支援します。動画事例のほか、Web記事やPDF、営業資料などへの展開についてもご相談いただけます。数多くの取材を通じて「お客様のお客様」と接してきた経験から、見込み顧客が知りたい情報を踏まえた構成をご提案できます。
「専門的なサービスの価値をわかりやすく伝えたい」「取材先から具体的な導入効果を引き出したい」「制作した事例を営業やナーチャリングにも活用したい」といった課題をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。