導入事例制作のメリット|取材を通じて得られる7つの効果を解説

更新日:2026-08-05 公開日:2017-10-04 by SEデザイン編集部

目次

 

導入事例制作のメリットは、公開後の集客効果だけではありません。取材の過程で顧客の本音や事業課題を聞けること自体が、提供する側にとって大きな効果になります。

SEデザインが2022年6月に、サービス導入の検討に関わる111人を対象として実施した調査では、64%が導入事例を「とても参考にしている」「やや参考にしている」と回答しました。導入事例が検討段階で読まれるコンテンツであることは、日本国内の別の調査でも確認できます。日経BPコンサルティングが2025年4月に公表した調査(有効回答2,687件、当該設問1,337件)では、製品・サービスの購入・契約時に導入事例を参考にする人は76.6%でした。

出典:SEデザイン「導入事例に関するアンケート調査報告書」日経BPコンサルティング「成功談から信頼の情報源へ」

SEデザインは、IT・BtoB領域を中心に累計2,500本以上の導入事例制作を支援してきました。数多くの取材を重ねるなかで、売り上げ以外の効果が多く存在することを実感しています。本記事では、導入事例を「つくる側」が得られる7つの効果を、制作現場の実例とともに解説します。

この記事の要点

・導入事例制作のメリットは、公開後の集客効果と、取材の過程そのものから得られる効果の2種類に分けられる

・取材では、通常の商談では聞きにくい評価・改善要望・今後の事業計画を聞ける場合がある

・普段会いにくい経営層をはじめ、複数の意思決定関与者と接点をつくる機会にもなる

・得られた情報は、次の提案、製品改善、セールスメッセージの見直し、社内共有に活かせる

・ただし、取材をすれば自動的に得られるわけではない。非公開の質問時間を設ける、同席者を検討するなど取材設計が前提になる

導入事例制作で得られる7つの効果・メリット

導入事例は、どのような企業が、どの課題に対して、どのように導入し、どのような結果を得たかを伝えるコンテンツです。ストーリー性があるために有効性が理解しやすく、読み手の頭に残りやすいという特徴があります。海外でも「Case Study」と呼ばれ、広く活用されています。

前述の日経BPコンサルティングの調査では、特に参考にされた情報として「具体的な導入効果」が59.1%、「事例企業の業種・規模・課題」が39.0%挙げられています。読み手は成功談そのものより、自社と比較できる具体的な情報を求めているといえます。

導入事例は、新規見込み顧客の獲得、検討中の見込み顧客の掘り起こし、見込み顧客との接触機会の増加など、複数の場面で活用できます。ただし、掲載するだけでこれらの効果が生じるわけではなく、事例企業の選定、取材設計、数値の根拠、公開後の活用方法によって成果は変わります。

そして、効果は「公開した事例が読み手に与えるもの」だけではありません。取材と制作のプロセス自体が生む副次的な効果があります。順に見ていきましょう。

1.お客様の認知や採用活動を支援でき、自社への信頼にもつながる

まず、導入事例に登場していただいたお客様にも大きなメリットがあることをお伝えしたいと思います。

すべての事例に当てはまるわけではありませんが、導入事例の中で新製品や新サービスをPRして、お客様の認知拡大につながった例があります。なかにはエンジニアの募集をかけたこともあります。導入事例では、導入企業の製品、サービス、取り組み、担当者の専門性なども紹介できるためです。

取材協力を一方的にお願いするのではなく、お客様にとっても価値のある企画として設計できるかが、依頼の通りやすさを左右します。導入事例を通してお客様に喜んでいただけることは、お客様とのつながりの強化にもつながります。

なお、掲載によってお客様の売り上げが増えたと主張する場合は、導入事例の公開との因果関係を確認する必要があります。確認できない場合は「認知拡大を支援する」「新たな接点を生む」といった表現にとどめましょう。

2.成果を一緒に振り返ることで、顧客との関係を深められる

取材の準備では、営業、カスタマーサクセス、導入担当者、そしてお客様が、導入前の課題から現在の成果までを共同で整理します

このプロセスは、お客様と自社がチームを組んでひとつの目標に向かって進んできたことを再確認する機会になります。成果に対する認識をそろえ、今後の課題を話し合うきっかけにもなるでしょう。特に、システムのリプレース時など競合と比較検討される時期に取材を行うと、関係を確かめ直す場になり得ます。

ただし、取材を実施しただけで契約の継続や競合に対する優位が保証されるわけではありません。取材で共有された課題をその後フォローし、具体的な支援につなげることが重要です。

3.通常の商談では聞けない評価や改善要望を集められる

普段、担当営業が聞きづらいことを、第三者である事例ライターが取材の場で確認できる場合があります。原稿にしないケースが多いものの、「クライアントが聞きづらいこともライターからなら聞ける」とお伝えすると、クライアントにも喜んでいただけます。

クライアントによっては、「お客様からのダメ出しや改善点を聞きたいから」と、エンジニアの方が取材に同行されることがあります。使い勝手や改善点を取材の中で聞き出せたときには、エンジニアの方からお礼を言われたこともありました。

ただし、外部の取材者を立てれば自動的に本音が出るわけではありません。インタビューには、相手が好ましい回答をしようとするバイアスが働きます。次のような設計が必要です。

  • 原稿に掲載しない質問の時間を設け、その旨を事前に伝える
  • 営業担当者が同席するかどうかを、聞きたい内容に応じて決める
  • 誘導にならない中立的な聞き方をする
  • 発言のどこまでを公開し、どこからを社内共有にとどめるかを先に合意する

4.経営層を含む複数の意思決定関与者に接点をつくれる

導入事例の取材では、意思決定者として経営層の方が出席されることがあります。普段の営業では会えない方の考え方や想いを直接伺える貴重な機会となり、次の提案のヒントを得られることもあります。

ただし、経営層が必ず出席されるわけではありません。事例の目的に応じて、誰に出ていただきたいかを明示して依頼することが必要です。

あわせて意識したいのが、BtoBの購買では利用部門だけでなく、経営、財務、法務、情報システム、セキュリティ、購買など複数の部門が判断に関わるという点です。取材で費用対効果、導入期間、運用体制、セキュリティ対応、移行時の課題まで聞いておくと、お客様が社内説明や稟議に使える資料になります。これは読み手にとっての価値であると同時に、自社が購買プロセス全体を理解する材料にもなります。

5.セミナー・動画・営業資料へ展開し、専門性を伝えられる

事例内容をもとにした成功例を、プライベートセミナーなどの基調講演のテーマとし、お客様に登壇していただける場合もあります。お客様自身が導入背景や運用の実態を語ることで、製品説明だけでは伝わりにくい具体性を補えます。

お客様からの評価が高い事例は、実際の利用者の評価として受け取られるため、読み手の信頼を得やすくなることが期待できます。ただし、導入事例は通常、提供する側が掲載する顧客を選ぶため、「都合のよい成功例が選ばれている」と受け取られる可能性がある点は意識しておきましょう。制約や苦労した点も含めて書くほうが、かえって信頼されることがあります。

取材内容は、記事のほかセミナー、動画、ホワイトペーパー、営業資料、SNSなどにも展開できます。ただし、会社名、ロゴ、写真、発言、数値を別の媒体で使う場合は、媒体、公開期間、翻訳、編集の範囲まで含めて許諾を確認してください。

6.顧客の事業課題を理解し、次の提案に活かせる

通常の営業ではなく取材という形になるため、お客様の発言が引き出しやすくなることもあります。取材冒頭で「今後の戦略なんて話せないよ」と言っていたお客様が、終盤には戦略までお話しくださったケースもありました。「原稿に書くのはNGだが、次の一手はこのようなことを考えている」とお話しいただけたこともあります。

取材では、製品の感想だけでなく、導入の背景となった事業課題、今後の計画、社内体制なども整理されます。公開原稿に含めない情報も、本人の同意を得た範囲で社内に還元すれば、カスタマーサクセスや次回提案の精度向上に役立ちます。

機密情報や将来計画については、公開の可否だけでなく社内で共有してよい範囲まで確認しておくことが必要です。

7.製品改善とセールスメッセージの見直しに活かせる

事例取材は、導入した製品の使い勝手を生の声で聞ける貴重な機会です。複数の事例取材を重ねると、利用者が高く評価している機能、導入を妨げている要因、自社が想定していなかった利用方法などが見えてきます。これらは、製品改良や次期製品の開発、オンボーディングの改善、セールスストーリーの再構築に活かせます。

また、顧客に提供できた価値が具体的に可視化されるため、営業、開発、サポートなど関わった社員が自分たちの仕事の意義を再確認する機会にもなります。「どのような課題に、何を提案し、どう活用され、どんな変化が起きたか」が整理された事例は、営業教育やオンボーディングに使える社内ナレッジにもなります。

ただし、一社の成功事例が市場全体を代表するデータになるわけではありません。問い合わせ内容、サポート履歴、解約理由、顧客満足度調査など、ほかの情報と組み合わせて判断してください。

7つの効果が活きたかを測る

メリットを挙げるだけでは、実際に効果があったのかを判断できません。取材で得たものが活きたかどうかは、公開後のページ指標とは別に確認します。

  • 取材後に実施した提案の件数
  • 取材で挙がった改善要望のうち、製品やサポートに反映できた件数
  • お客様に登壇いただいたセミナーの開催数・申込数
  • 営業担当者が商談で事例を利用した回数

目的ごとに指標を決め、継続的に確認することで、導入事例をマーケティング、営業、顧客支援、製品開発をつなぐ情報資産として運用できます。

導入事例制作のメリットに関するよくある質問

導入事例を作成するメリットは?

大きく2種類あります。ひとつは公開した事例が読み手に与える効果で、第三者である顧客の声によって信頼性が高まり、比較検討や社内の稟議を後押しします。もうひとつが本記事で解説した、取材と制作の過程で得られる効果です。顧客の率直な評価や事業課題を把握でき、関係強化、経営層との接点づくり、次の提案、製品改善、社内共有に活かせます。

取材をすれば必ず顧客の本音を聞けますか?

いいえ。インタビューには、相手が好ましい回答をしようとするバイアスが働きます。外部の取材者を立てるだけでは足りず、原稿に載せない質問時間を設ける、営業担当者の同席可否を聞きたい内容に応じて決める、誘導にならない中立的な聞き方をする、といった設計が必要です。

取材で聞いた非公開の情報は社内で共有してよいですか?

公開の可否と、社内共有の可否は別に確認してください。「原稿には載せないが、社内の改善検討には使わせていただきたい」という形で、範囲を明示して同意を得ておくと後の認識違いを防げます。機密情報や将来計画については特に慎重に扱います。

導入事例に協力してもらうと、お客様側にはどんなメリットがありますか?

導入事例では、導入企業の製品やサービス、取り組み、担当者の専門性も紹介できます。お客様にとっては認知拡大や採用広報の機会になり得ます。実際に、事例の中で新製品をPRしたり、エンジニアの募集につなげたりしたケースがあります。取材依頼の際は、お客様側の得るものも併せて提示すると相談が進めやすくなります。

導入事例の記事制作はSEデザインへ

導入事例は、見込み顧客の比較・検討を後押しするだけのコンテンツではありません。制作の過程で顧客の率直な評価や事業課題を把握でき、関係強化、経営層との接点づくり、専門性の発信、次の提案、製品・サービスの改善にも活用できます。ただし、いずれも取材を実施しただけで得られるものではなく、目的の設定と取材設計、そして取材後のフォローが前提になります。

SEデザインは1985年の創業以来、日系・外資を問わずテクノロジー企業のマーケティングを支援してきました。導入事例については累計2,500本以上の制作実績があり、取材設計、質問項目の作成、インタビュー、原稿作成、レビュー、PDF制作、Web公開支援まで一貫して対応しています。

「取材先から具体的な導入効果を引き出したい」「継続的に事例を制作する体制をつくりたい」「制作した事例を営業やナーチャリングにも活用したい」といった課題をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

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監修者
SEデザイン編集部
BtoB企業、特にIT分野を中心にコンテンツマーケティング支援を行っており、導入事例やホワイトペーパー・eBook、LLMO/SEO記事の制作、LP制作、オウンドメディア構築などの制作も行う。