近年、ユーザーの情報収集・購買行動のデジタル化が進んでおり、デジタル接点への投資も拡大しています。実際、2025年の国内インターネット広告費は前年比10.8%増となり、国内総広告費に占める割合が50.2%と初めて過半数に達しました。そのなかで用いられる施策の一つがコンテンツマーケティングです。
今回は、2026年9月時点で公表されている2025年実績・2026年予測をもとに、コンテンツマーケティングの市場規模を解説します。
先に結論を述べると、国内には「コンテンツマーケティング」だけを同じ定義で継続的に測定した公的統計がありません。そのため本記事では、隣接する市場(インターネット広告、SNSマーケティングなど)の数値を参考指標として示します。これらは調査対象も集計方法も異なり、一部は費用が重複しているため、合算して「コンテンツマーケティング市場規模」とすることはできません。
日本のコンテンツマーケティングの市場規模
日本のコンテンツマーケティングの市場規模といっても、厳密に言い切れるものではありません。明確にその市場規模を示す数字が一つにまとめられているわけではないからです。
「コンテンツマーケティング」とは、マーケティングの手法の一つで、オウンドメディアや動画などを用いて、質の高い情報を見込み顧客へ提供し、主にリード獲得を目指すものです。
そこで、コンテンツマーケティングに関連する分野の市場動向を参考指標として整理しました。2026年9月時点で公表されている最新値は以下のとおりです。
- インターネット広告費(2025年推定実績):4兆459億円(うち媒体費3兆3,093億円)
- ソーシャル広告費(2025年推定実績):1兆3,067億円(インターネット広告媒体費の内数)
- ソーシャルメディアマーケティング市場:2024年見通し1兆2,038億円/2029年予測2兆1,313億円
- 国内SEO市場:信頼できる最新の市場規模統計は確認できない
- コンテンツ制作アウトソーシング市場:独立した最新統計は確認できない
ソーシャル広告費はインターネット広告媒体費の内数なので、合算すると二重計上になります。いずれも日本の広告主全体を対象とした統計で、BtoB企業に限った数字ではありません。
次項より、それぞれの規模感について詳しく見ていきましょう。
国内SEO市場の規模はどこまで分かるか
SEO(Search Engine Optimization)対策とは、自社コンテンツが検索エンジンでの検索結果の上位に表示されるように最適化する手法です。
ただし、国内のSEO市場に絞った信頼できる市場規模統計は、2026年9月時点で確認できません。SEO事業者であるFaber Companyも、2026年5月時点の決算説明資料で「SEO関連に特定した国内の市場規模調査は無い」と説明しています。
なお、以前は「2016年の430億円が年8%で成長して2024年に800億円程度」という試算が引用されることがありましたが、これは2016年の予測値に一定の成長率を当てはめた外挿であり、調査結果ではありません。
加えて、検索市場そのものの前提が変わっています。Googleは2024年8月に「AIによる概要」を日本で開始し、2025年9月には「AIモード」の日本語提供を始めました。「検索市場は毎年一定率で伸びる」という前提は置きにくくなっています。
コンテンツ制作支援市場の規模
コンテンツ制作アウトソーシングとは、Webサイトやメディアのコンテンツ制作を外部の専門業者やライターに依頼することです。オウンドメディアの普及に伴い、専門知識やリソースの不足を補う目的で多くの企業が採用しています。
ただし、この領域にも独立した最新の市場統計は確認できません。矢野経済研究所の「IT系BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)」が引用されることがありますが、IT系BPOはシステム運用管理の代行であり、コンテンツ制作ではありません。参考までに同社の最新調査では、2024年度実績はIT系BPOだけで3兆1,220億円、BPO全体で5兆786億5,000万円と、桁が大きく異なります。
制作支援市場の規模を語る資料としては、事業者が自社推計を公表している例がありますが、算出方法が公開されていないため主要な根拠には向きません。この領域は「金額」ではなく、依頼範囲(企画・取材・執筆・編集・公開後の改善)で比較するのが実務的です。
インターネット広告費の推移
インターネット広告とは、Webサイトやアプリ、SNSなどのオンラインメディア上で展開される広告です。バナー広告、動画広告、アフィリエイト広告などがあります。
電通ほか5社が共同で発表した「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、2025年のインターネット広告費は推定実績4兆459億円(前年比10.8%増)で、国内総広告費に占める割合は50.2%と初めて過半数に達しました。このうちインターネット広告媒体費は3兆3,093億円、2026年の媒体費予測は3兆5,840億円です。
内訳では動画広告が前年比21.8%増の1兆275億円と伸びており、記事だけでなく動画を組み合わせる前提が一般的になっています。
ただし広告費は、コンテンツを届ける手段にかかった費用です。コンテンツマーケティングの費用そのものではなく、市場の拡大傾向を示す参考指標として見てください。
SNSマーケティング市場の推計
SNSマーケティングとは、SNSを活用してブランドの認知拡大や顧客との関係構築、商品・サービスの宣伝などを行うマーケティング活動です。
サイバー・バズとデジタルインファクトの共同調査によると、国内ソーシャルメディアマーケティング市場は2024年見通しで1兆2,038億円、2029年には2兆1,313億円に達すると予測されています。内訳の89.1%はソーシャルメディア広告です。
また、前掲の電通ほかの調査では、2025年のソーシャル広告費は推定実績1兆3,067億円でした。
こちらも前掲のインターネット広告媒体費の内数にあたるため、足し合わせることはできません。
アメリカのコンテンツマーケティングの市場規模
米国の市場規模についても、対象範囲が統一された公的統計はなく、調査会社によって金額が大きく異なります。制作会社の売上だけを集計するのか、企業の内製費、ソフトウェア、広告配信、イベントまで含めるのかで「市場規模」の意味が変わるためです。
代表的な調査として、PQ Mediaは2016年の米国市場を120億ドル超と推計しています。同社の同年の世界市場推計は、コンテンツマーケティング事業者の収益だけなら281億ドル、企業の内製費や関連媒体を含む広い定義では2,121億ドルと、集計範囲によって約7.5倍の差がありました。金額を比べるときは、必ず集計範囲を確認してください。
現在の動向を示す周辺指標としては、米国のデジタル広告収益が2025年に2,946億ドルに達しています(IAB/PwC)。ただしこれもコンテンツマーケティング市場と同義ではありません。
BtoB分野では生成AIの利用が急速に広がっています。2025年に実施された主に北米のBtoBマーケター向け調査では、95%がAI搭載アプリケーションを利用し、28%がAIエージェントを試行していました。一方でコンテンツの成果改善を実感した割合は39%にとどまります。制作量の増加と事業成果は分けて評価する必要があります。
なお日米を同じ条件(同じ調査会社・定義・年)で比較できる公開データは無いため、どちらの市場が大きいかを金額で比べることはできません。
コンテンツマーケティングの市場規模の成長背景とは?
以上のようにコンテンツマーケティングの市場規模は拡大傾向にありますが、その背景の要因として考えられるものとしては、次の理由です。
- ユーザーの情報収集手段の変化
- プッシュ型広告の需要低下
以下より、それぞれ個別に解説します。
ユーザーの情報収集手段の変化
インターネットが一般ユーザーに広まる2000年代初頭までは、マーケティングのアプローチはオフラインが中心で、新聞の折り込みチラシやDMの郵送、店舗での販促活動が主流でした。
しかし、インターネットやスマートフォンの普及、特に2020年以降の新型コロナウイルス感染症の影響で、ユーザーの情報収集はオンラインが中心となっています。結果として、多くの企業がオンラインを通じた顧客獲得策として、コンテンツマーケティングに目を向けるようになっています。
プッシュ型広告の需要低下
従来は、広告は商品やサービスの認知を広める手段として多岐にわたる媒体で活用されてきました。しかし、従来の広告手法に対してネガティブな感情を持つ消費者も少なくありません。
一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が公開している「2026年インターネット広告に関するユーザー意識調査(定量)」によると、インターネット広告を「信頼できる」と回答した人は18.3%で、前年(2025年)の21.6%から低下しました。テレビCMなど4マスメディアの広告と比べても低い水準が続いており、接触機会の多さが必ずしも信頼につながっていないことがうかがえます(調査期間2026年2月16日〜19日、有効回収3,591)。
引用:JIAA「2026年インターネット広告に関するユーザー意識調査(定量)」(図表10 広告への信頼度の推移)
対照的に、コンテンツマーケティングはユーザー自らが求める情報を提供するプル型のアプローチを取り入れており、この手法は現代の消費者のニーズとマッチしているといえます。
従来のプッシュ型広告が押し付ける形で情報を伝えるのに対し、コンテンツマーケティングはユーザーの関心を引きつけ、自らの意志で情報を求めてやってくる「プル型」のため、時代背景にマッチしているでしょう。
日本のコンテンツマーケティング市場は今後どうなる?
日本のコンテンツマーケティングは、コンテンツの量よりも独自性と事業成果を重視する段階へ移りつつあります。
ただし前述のとおり、コンテンツマーケティング単体を継続的に集計した公的統計は確認できないため、MA市場やインターネット広告市場の数字をそのまま市場規模として扱うことはできません。近接指標では、2025年の国内インターネット広告費が4兆459億円(前年比10.8%増)、インターネット広告制作費が4,922億円(同4.0%増)でした。
一方、国内実務者を対象とした小規模調査(BtoB回答者36人)では、2026年度上期のコンテンツマーケティング予算について75.0%が「変化なし」、11.1%が「増えそう」と回答しています。市場全体が一様に拡大するというより、成果を説明できる施策に予算が集まると読むのが妥当でしょう。
今後注目したい3つの変化
| 変化 | 2026年時点の状況 | 求められる対応 |
|---|---|---|
| AI検索の普及 | 「AIによる概要」は2024年8月に日本へ拡大、AIモードは2025年9月に日本語対応。複雑な質問や画像・音声での検索にも対応 | 通常のSEOを続けつつ、AIの回答内で引用・参照されることも管理対象にする |
| 独自情報の重要性 | Googleは公式ガイドで、既存情報の要約ではなく独自の視点・実体験・一次情報を含むコンテンツを推奨。価値を加えない大量生成はスパムポリシーに抵触する可能性がある | 顧客調査、導入事例、比較検証、担当者への取材など他社が再現しにくい情報を蓄積する |
| 計測範囲の拡大 | Google Search Consoleでは2026年8月末までに、AIによる概要・AIモードでの表示回数を確認できる生成AIパフォーマンスレポートが全サイトへ展開された | PVや検索順位に加え、AI検索上の露出・指名検索・商談への寄与まで測る |
重要なのは「あくまでも、ユーザーニーズを起点にして施策を考えること」です。世間一般で有効と言われている施策が、必ずしも自社に貢献するとは限りません。トレンドを追うのではなく、自社事業と市場ニーズにマッチした施策を選ぶことが大切です。
ニーズにマッチした施策でアプローチを続けよう
現在、コンテンツマーケティングの市場規模は拡大傾向にあります。
SEO対策やインターネット広告など、各市場を細分化した際の規模感の広がりからもそれは明らかです。このように拡大し続けているコンテンツマーケティングは、まさに時代のニーズにマッチした施策であるといえます。
しかし、有効な施策は時代に応じて変わっていくため、常に「今求められているアプローチ方法は何か」と考え続けていくことが有効な策といえるでしょう。
SEデザインは1985年の創業以来、外資系IT企業のブランドローカライズをはじめ、日系・外資を問わず多くのテクノロジー企業のマーケティングを支援してきました。オウンドメディア構築、LP制作、ホワイトペーパー・eBook制作、SEO記事制作、導入事例制作などに対応しています。コンテンツマーケティングにお悩みがございましたら、お気軽にご連絡ください。