SaaSカオスマップで分析するSaaS業界の勢力図と未来

更新日:2025-04-10 公開日:2025-04-10 by SEデザイン編集部

目次

近年、新しいSaaSが開発・提供されており、自社にとってどのSaaSを選択すべきか判断しにくく、選定に時間を要するケースも増加しています。

また、SaaS領域に進出したいと考える企業のなかには、複雑化するSaaS業界の全体像を把握しにくいという課題を抱える企業も多いでしょう。そこで、SaaS業界の全体像やトレンドを知るのに役立つのがカオスマップです。

本記事では、クラウドやSaaS業界のコンテンツマーケティング支援を数多く行ってきたSEデザインが、企業担当者に向けて基本的知識や最新の傾向、活用方法を詳しく解説します。基本知識や最新の傾向、活用方法などを解説しますので、市場構造やトレンド把握にぜひご活用ください。

SaaSカオスマップの概要

Saasのカオスマップについて解説する前に、カオスマップの基礎的な知識をみていきましょう。また、SaaSカオスマップが重要である背景やSaasカオスマップを理解するうえで重要となるバーティカルSaaSとホリゾンタルSaasの違いについても紹介します。

カオスマップとは

カオスマップとは「業界地図」とも呼ばれ、特定業界のサービスや企業を分類し、カテゴリー別に整理して一覧化した図です。ロゴを配置・区分することで、市場全体の構造やトレンドを一目で把握できるように可視化されており、競合状況の把握やサービス選定の効率化に役立ちます。

なぜSaaS市場を知るのにカオスマップが重要なのか

SaaS市場は、急速に発展しつづけており、サービスも多様化しているため、全体像を把握するのが困難な市場です。SaaSカオスマップを活用することで市場の全体像を把握しやすくなり、競合分析やサービス選定、新規ビジネス機会の発見などに役立てられます。

カオスマップは、市場の構造やトレンドを俯瞰的に把握するうえで重宝する重要なツールなのです。

バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSの違い

バーティカルSaaSは特定の業界に特化し、業界固有のニーズに対応した機能を提供するソフトウェアを指します。一方で、ホリゾンタルSaaSは、業界を問わず広く使える汎用的なソフトウェアを指します。SaaSのカオスマップを理解するうえで両者の違いを把握しておくことは重要です。

詳しくは関連記事「SaaSの種類を解説!ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの違い」で紹介していますので、併せてご覧ください。

カオスマップの利用方法・作成方法

カオスマップの活用には、既存マップの利用と新規マップの作成という2つのアプローチがあります。既存マップは、市場参入の初期検討や競合状況の把握、投資判断の予備調査などに効果的です。

とくに新規事業の立ち上げ前の市場理解やベンチマーク企業の特定に役立ちます。既存のカオスマップを提供する代表的なサービスには、One Capital、ITreview、AI Smileyなどがあります。

新規マップの作成は、特定の市場を深く分析したい場合や、自社視点での市場再定義が必要な際に有効です。たとえば、新規事業戦略の策定や、独自の競争優位性を見出したい場合に活用できます。作成手順としては以下の流れで進めます。

  1. 主要企業の選定
  2. 市場区分の軸設定
  3. 関連企業の洗い出し
  4. 企業のマッピング

バーティカルSaaSのカオスマップ

まず、バーティカルSaaSのカオスマップを業種別に説明します。また、自社で新規にマッピングする場合のアンカー候補となる企業やサービスや既存のカオスマップの事例も紹介します。

建設

建設業向けSaaSカオスマップは、企画・設計、施工、管理、運用・保守といった業務プロセスによって分類されています。たとえば、企画・設計段階ではBIM/CIMやCAD、施工段階では施工管理や現場管理、管理段階ではプロジェクト管理や文書管理、運用・保守段階では建物管理や設備管理といったSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名

SPIDERPLUS

(スパイダープラス株式会社)

建設業向けの図面・現場管理SaaS

Greenfile.work
(シェルフィー株式会社)

建設業の契約・文書管理クラウド

ANDPAD

(株式会社アンドパッド)

施工管理を効率化する建設SaaS

AnyONE

(エニワン株式会社)

工程や業務管理のできるあらゆる建設業務の業務効率化ができるSaaS

クラフタ

(株式会社グローバ)

メッセージ機能などを持つ無料で導入できる施工管理アプリ

 

建設のSaaSカオスマップの一例

建設業のカオスマップ

出典:建設現場の知恵袋

建設業のDXツールカオスマップを分類すると以下のようになります。

  • 業務全般:導入によってあらゆる工事に関わる業務を効率化できる
  • 現場管理・施工管理:工事現場における作業や品質など管理できる
  • 接客・相談・契約:シミュレーションや契約の効率化ができる
  • 設計・提案:デジタルツインを用いたイメージ共有、構造計算を効率化できる集客・探客:サイト制作や特定ツールを使った集客や営業botを活用できる
  • 顧客管理・アフターサービス・リフォーム支援:チャットや通話機能によって顧客管理ができる。施主と事業者のコミュニケーションができる

製造業

製造業向けSaaSカオスマップは設計や生産管理、品質管理、サプライチェーンといった製造プロセスに沿って分類されています。たとえば、設計段階ではCAD/CAM、生産管理段階ではMES、品質管理段階では品質管理システム、サプライチェーン段階ではSCMといったSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名

tobii
(トビー・テクノロジー)

製造業向けのアイ・トラッキング技術や伝承支援サービスを提供

macnica

(株式会社マクニカ)

製造業向けのアプリケーションの設定不備によるインシデント予防サービスを提供する

SKYDISC

(株式会社スカイディスク)

クラウド型の生産計画DXサービスの提供

omron

(オムロン株式会社)

機器の状態監視を効率的に確認できるSaaS

GRID

(株式会社グリッド)

サプライチェーン最適化や多品種少量生産に対応した生産計画最適化サービス

 

製造業のSaaSカオスマップの一例

製造業のAI導入事例をまとめたカオスマップ

出典:AI Smiley

製造業のSaaSカオスマップの種類は以下のように分かれています。

  • 生産計画・予測/生産プロセスの最適化:需要に基づいた生産体制を構築し、リソースを最適に配分。無駄を削減しながら、品質と生産効率を高める
  • 設備の故障予知・検知:センサーやIoTデバイスを用いて設備の稼働データをリアルタイムで収集・分析する。その後、異常の兆候を早期に察知することで、故障が発生する前に対策を練れる
  • 技能伝承・AI教育:熟練技術者のノウハウや技術体系をデジタル化し、AIを活用して効率的かつ個別最適な形で次世代に継承する
  • 外観化検査・良品・不良品の判定・異物検知:カメラやセンサーを用いて製品の表面や内部をリアルタイムで検査する。傷や汚れ、寸法不良、異物混入などを自動的に検出して、良品と不良品を判別する

不動産

不動産向けSaaSカオスマップは、賃貸管理、売買仲介、物件管理、投資といった不動産領域に沿って分類されています。各領域には、入居者管理や家賃管理、顧客管理や物件情報管理、建物管理や修繕履歴管理、投資分析やポートフォリオ管理などのSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名の候補

GMO賃貸DX

(GMO ReTech株式会社)

SaaSオーナー向けアプリ・顧客向けアプリ・CRMを用いて、管理業務を効率化するSaaSを提供する

マンションナビ

(マンションリサーチ株式会社)

AI査定もできる、住宅・賃貸価格が把握できる

カイクラ

(株式会社シンカ)

固定電話着信時に、顧客情報や対応履歴を表示できるデータ管理サービス

STAY JAPAN
(株式会社百戦錬磨)

公認民泊の全形態を網羅している宿泊予約プラットフォーム

Houzz Pro

(Houzz Japan 株式会社)

オールインワンのビジネス管理SaaS。マーケティングや顧客管理(CRM)、見積・提案作成、タスク管理ができる

 

不動産のSaaSカオスマップの一例

不動産テックのカオスマップ

出典:不動産テック協会

不動産のカオスマップの種類は、以下のとおりです。

  • 不動産データベース:不動産物件情報を一元管理する。物件の検索や登録、更新などが可能
  • 業務支援集客:不動産業者が顧客を獲得するためのマーケティングツールや広告支援ができる
  • 業務支援 顧客対応:問い合わせ対応や顧客管理(CRM)など、顧客とのコミュニケーションを円滑にする
  • 業務支援 契約・決済:賃貸や売買契約の電子化、オンラインでの契約締結、決済手続きを効率する
  • 業務支援 設計・施工:設計・施工プロセスをデジタル化し、進捗管理やコスト管理を支援する
  • 業務支援 管理・アフター:物件の維持管理や入居者対応、アフターサービスを効率化する
  • ローン・保証:住宅ローンや賃貸保証など、取引を円滑かつ安全に進められる
  • スペースシェアリング:空き部屋や駐車場など、未使用スペースをシェアリングする
  • マッチング:不動産会社と顧客、売主と買主、オーナーと入居希望者を繋ぐプラットフォームを提供する
  • 価格可視化・査定:不動産の市場価格をデータに基づいて可視化し、売買・賃貸価格を査定する
  • IoT:スマートロックやセンサーなど、不動産管理や居住者の利便性を向上させる仕組みを提供する
  • VR・AR:物件のバーチャル内覧や設計シミュレーションを可能にする
  • 生成AI:契約書作成や顧客対応、物件広告などを自動化し、業務効率を向上させる

物流

物流向けSaaSのカオスマップは倉庫管理や輸送管理、配送管理、在庫管理といった物流プロセスに沿って分類されています。たとえば、倉庫管理ではWMS、輸送管理ではTMS、配送管理では配送ルート最適化システム、在庫管理では在庫管理システムといったSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名の候補

shippio

(株式会社Shippio)

貿易業務の可視化・効率化を支援する

ニナウ

(株式会社KITOHA)

配送業務の状況をリアルタイムに把握し、荷主とのコミュニケーション向上や業務効率化を図れる

LOGILESS
(株式会社ロジレス)

受注管理システムと倉庫管理システムが一体となったシステムによる業務効率化につながる

Hakobot

(株式会社Hakobot)

自動配送ロボット。クラウドベースの管理プラットフォームを通じて運行状況のモニタリング、ルート設定、障害対応などを遠隔で制御できる

ロジクラ

(株式会社ロジクラ)

クラウド型の在庫管理システム。入荷から在庫管理、受注データの自動取組みなどが可能

 

物流のSaaSカオスマップの一例

物流スタートアップのカオスマップ

出典:suoco

物流スタートアップのカオスマップの具体的な分類は以下のとおりです。

  • フルフィルメント:受注から商品配送までの一連の業務プロセスを指し、保管やピッキング、梱包などを含む
  • ドローン:無人航空機によって、配送や倉庫管理、災害時の物資輸送などに活用する
  • AI:人工的によって需要予測、在庫最適化、配送ルート最適化などに利用される
  • ウェアラブル:身に着ける電子機器で、作業者の動きの記録、健康管理ができる
  • ロボット:倉庫内でのピッキングや梱包、仕分け作業などを自動化できる
  • 自動運転:配送車両や倉庫内の搬送ロボットで活用できる
  • プロセス管理:業務の各工程を可視化し、最適化や効率化を図る
  • マッピング・トラッキング:配送ルートや商品の位置情報をリアルタイムで追跡・管理する
  • 在庫管理:商品の在庫数や保管場所、入出庫状況を管理する。欠品や過剰在庫を防ぐ
  • 海外輸送:海外輸送における書類作成や位置情報取得などの業務効率化サポート
  • ラストワンマイル:商品を最終消費者に届ける最終区間の配送工程を可視化できる
  • デジタルフォーダー:貨物輸送の手配をオンラインで行える
  • ブロックチェーン:サプライチェーンの透明性とトレーサビリティを向上させる

医療

医療向けSaaSカオスマップは、電子カルテや診療予約、医事会計、薬剤管理、患者管理といった5つの領域に沿って分類されています。各領域には、電子カルテシステムや診療情報管理システム、オンライン予約システムや予約管理システム、会計システムや診療報酬請求システム、薬剤管理システムや医薬品情報データベース、患者管理システムや問診システムなどのSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名の候補

クロンスマートパス

(株式会社MICIN)

事前処方せん連携、質問票連携など医療機関で使用できる診療効率化サービス

FIT-A

(株式会社USEN-ALMEX)

クリニック向けの自動精算機

medical-force

(株式会社メディカルフォース)

クリニックに必要な予約・カルテ・会計・CRMが統合されているプラットフォーム

アポクル

(caloo株式会社)

医療機関向けの予約システム

MRN

(株式会社EMシステムズ)

電子カルテサービス。過去データの呼び出しや診療カード機能によって残日数も把握できる

医療のSaaSカオスマップの一例

医療DX業界のカオスマップ

出典:メディカルリンク

医療DXのカオスマップの分類を詳しく解説すると以下のようになります。

  • 電子カルテ:患者の診療記録をデジタル化し、医療機関内で共有・管理する
  • 診療効率化:診療業務をスムーズに行うための業務改善ができる
  • 自動精算機:会計業務の省力化を実現する
  • 勤怠管理:医療従事者の出退勤や労働時間を記録・管理する
  • 予約システム:診療の予約をオンラインで管理し、待ち時間短縮とスケジュール調整を行う
  • Web集患:インターネットを活用して医療機関への新規患者を獲得する

介護

介護向けSaaSのカオスマップは、以下のような介護領域に沿って分類されています。

  • 記録・報告
  • 請求・事務
  • 人材管理
  • 施設運営
  • 家族連携

記録・報告では介護記録システム、請求・事務では介護請求ソフト、人材管理では勤怠管理システム、施設運営では入居者管理システム、家族連携では情報共有システムといったSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名の候補

MedicalCare Station

(エンプレース株式会社)

SaaSコミュニケーションツール。多職種連携、治療・ケア情報をリアルタイムで共有できる

楽くすり

(株式会社コア、

株式会社レゾナ、登録商標は東進電機工業株式会社)

高齢者向けの薬剤チェック機能のあるクラウドサービス。処方管理やオンライン処方見直しも可能

MINET

(株式会社パシフィックメディカル)

医療及び介護の情報を統合できる、地域包括支援ケアソリューション。医療機関が違ったとしても情報を統合できる

みまもりコール

(株式会社レラシオンジャパン)

会話型見守りサービス。コミュニケーターがコミュニケーションを代行し、健康状態を把握できる

milmoplan
(株式会社ウェルモ)

AIを活用してケアプランを作成できるSaaSサービス。医療情報の検索や地域ごとの介護サービス事業所の情報提供も可能

 

介護のSaaSカオスマップの一例

介護業界のカオスマップ

出典:アイミツ

介護のSaaSカオスマップにおける分野について詳しく解説します。

  • 介護・請求記録システム:介護サービス提供記録と介護報酬請求を効率的に管理する
  • 勤怠・シフト・スケジュール管理:介護職員の出退勤やシフト、日々の業務予定を一元管理する
  • 人事労務:介護施設における職員の採用、労務管理、給与計算などの業務を管理する
  • 契約管理:介護サービス利用者との契約内容をデジタルで一元管理する
  • 入退所管理:介護施設への入退所手続きや利用者情報を管理する
  • 会計・財務:介護施設の経費管理、収支報告、予算計画などを一括管理する
  • 介護業務サポート:日常の介護記録、服薬管理、バイタル測定などを効率化する
  • ケアプラン作成:介護支援専門員(ケアマネジャー)が利用者のニーズに基づいてケア計画を作成する
  • 給食管理:利用者の健康状態や嗜好に合わせた食事計画や配膳を管理する
  • 総合ITソリューション:介護事業所の業務全般を効率化する複数のITシステムを統合したサービスなど
  • 社内コミュニケーション:介護職員同士が情報共有や連絡を円滑に行うためのチャットや掲示板などの機能
  • ご家族とのコミュニケーション:介護施設と利用者の家族が、介護状況や健康状態をリアルタイムで共有できる
  • 研修・e-ラーニング:介護職員のスキル向上を目的にして、オンラインで研修や教育を実施する

ホリゾンタルSaaSのカオスマップ

ここでは、ホリゾンタルSaaSのカオスマップとして業務の領域別にSaaSカオスマップについて説明します。また、自社で新規にマッピングする際の掲載候補となる企業やサービスや既存のカオスマップの事例も紹介します。

マーケティング

マーケティングのSaaSカオスマップでは集客や顧客育成、販売促進、顧客管理、分析といったマーケティングプロセスに沿って分類されています。たとえば、集客ではSEOツールや広告管理システム、顧客育成ではMAツール、販売促進ではキャンペーン管理システム、顧客管理ではCRM、分析ではアクセス解析ツールといったSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名の候補

Keywordmap

(株式会社CINC)

競合サイトの調査・分析ができるSEO・コンテンツマーケティングツール

CVX

(株式会社ポストスケイプ)

LPの制作や分析を効率化できる製作支援ツール

KARTE

(株式会社プレイド)

カスタマーデータから、ユーザー分析やカスタマージャーニー設計などができるエンゲージメント向上ツール

cyzen

(レッドフォックス株式会社)

外回り業務を行うワーカー用の業務支援アプリ。スマートフォンを活用し、地図上での顧客管理、位置情報の共有ができる

notta

(Notta株式会社)

自動文字起こしアプリ

マーケティングのSaaSカオスマップの一例

マーケティングツールのカオスマップ

出典:ムビサク

マーケティングツールのカオスマップは、次のような分野に分けられています。

  • SEO:Webサイトを検索エンジンで上位表示させるための施策で、集客力向上を図る
  • イベント:商品やサービスを訴求するためのセミナー、展示会、キャンペーンなどの企画・運営を効率化する
  • メッセージ配信:メールやSNSを活用して顧客や従業員に情報を一斉送信する
  • 営業支援:営業活動を効率化するためのツールやデータ提供、戦略立案をサポートする
  • 顧客管理:顧客情報や商談履歴を一元管理し、関係強化や営業活動の最適化を図る
  • 生成AI:テキストや画像、動画などを自動生成する。業務効率化やクリエイティブ製作ができる

営業

営業のSaaSカオスマップはリード獲得や商談管理、提案・見積、契約・顧客管理といった営業プロセスに沿って分類されています。たとえば、プロセスごとに分けると以下のような分類も可能です。

  • リード獲得ではインバウンドマーケティングツールやSFA
  • 商談管理ではCRM
  • 提案・見積ではCPQ
  • 契約では電子契約システム
  • 顧客管理では顧客管理システム

主要サービス・企業名

Salesforce

(Salesforce, Inc.)

営業支援に強みを持つ大手SaaSプラットフォーム

HubSpot Sales Hub

(HubSpot, Inc)

営業支援・プロセス管理SaaS大手プラットフォーム

Repro

(Repro株式会社)

分析から改善を一貫して行えるWeb接客ツール

List Finder

(株式会社Innovation X Solutions)

名刺データ化代行、スコアリングもできるMAツール

Marketo

(Adobe Inc.)

クラウド型のMAツール。ランディングページやフォームの作成、顧客分析が可能

 

営業のSaaSカオスマップの一例

営業支援AIのカオスマップ

出典:AI Smiley

営業のSaaSカオスマップの分類は以下のとおりです。

  • 汎用:幅広い業務や業界で活用できる
  • リスト作成:見込み客や顧客情報を自動で収集・管理する
  • LINE連携:LINEを通じて顧客とのコミュニケーションを管理・自動化する
  • メルマガ配信:ターゲットに応じたメールを一斉送信し、効果測定も可能
  • 顧客スコアリング・育成:見込み度合いや行動履歴を基に顧客を評価し、適切なフォローを行う
  • ECサイト:オンラインショップを構築・運営し、商品管理や決済まで行う
  • 不動産・保険:不動産や保険業界向けに特化した顧客管理や契約管理ができる
  • 商談管理・活動評価:営業活動や商談の進捗を一元管理し、成果を分析する
  • スケジュール管理:チームや個人の予定を可視化し、タスク管理も行える
  • インサイドセールス:オンラインや電話を活用して見込み客を育成し、商談化を促進する
  • カスタマーセンター:顧客からの問い合わせを一元管理し、対応履歴を記録する
  • キャラクターボット:AIを活用したチャットボットで、顧客対応や情報提供を自動化する

CRM(顧客管理)

CRM(顧客管理)のSaaSカオスマップは、顧客情報管理、顧客とのコミュニケーション管理、営業活動管理、顧客分析といった顧客管理プロセスに沿って分類されています。たとえば、顧客情報管理では顧客データベース、コミュニケーション管理ではメール配信システムやチャットボット、営業活動管理ではSFA、顧客分析ではBIツールといったSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名

Salesforce

(Salesforce, Inc.)

顧客管理にも強みを持つSaaSプラットフォーム

カイクラ

(株式会社シンカ)

電話やメール、SMSといったコミュニケーションを一元管理できるプラットフォーム

CRMstage

(アドバンリンク株式会)

顧客データを統合・管理できる多機能CRMツールSaaS

Oracle Marketing Cloud

(Oracle Corporation)

マーケティング活動を自動化するクラウド型MA

CS cloud

(スタークス株式会社)

1対1のLINE@を管理・共有できるクラウド型のカスタマーサービス

CRMのSaaSカオスマップの一例

CRMサービスのカオスマップ

出典:ECClab

CRMのSaaSカオスマップの分類は以下のようになっています。

  • 大手向け:大規模企業向けの高機能・高カスタマイズがある
  • 中堅・大手向け:成長企業向けの柔軟性と拡張性を備え
  • 中小向け:小規模事業者でも手軽に導入できる
  • メール:メールを活用した顧客コミュニケーション
  • メール・SMS:メールとSMSで顧客と即時連絡可能
  • マーケティング:顧客獲得と育成を支援するマーケティング機能がある
  • カスタマーサポート:顧客対応を効率化するサポート特化
  • ポイント管理:顧客ロイヤルティ向上につながるポイント制度管理
  • 顧客分析:データを基に顧客行動を可視化・分析する

HR(人事)

HR(人事)のSaaSカオスマップは採用や労務管理、人材育成、評価、組織管理といった人事プロセスに沿って分類されています。たとえば、採用では採用管理システムやATS、労務管理では給与計算システムや勤怠管理システム、人材育成ではLMS、評価では人事評価システム、組織管理では組織図作成ツールといったSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名

リクナビHRTech

(株式会社リクルート)

人材採用から採用管理・人事評価までできるSaaS

カオナビ

(株式会社カオナビ)

人材管理・評価支援SaaS

あしたのチーム

(株式会社あしたのチーム)

人事評価特化型のSaaS

ジョブカン

(株式会社DONUTS)

勤怠管理の他に経費精算や採用管理もできるSaaS

jinjer

(jinjer株式会社)

クラウド型の人事労務システム。タレントマネジメントも可能

 

HRのSaaSカオスマップの一例

HR業界のカオスマップ

出典:HR NOTE

HRのSaaSカオスマップの分類は以下のとおりです。

  • 採用管理:採用プロセスを一元管理し、候補者対応を効率化する
  • タレントマネジメント:従業員のスキルや成長を可視化・最適化する
  • 勤怠管理:勤務時間や休暇をリアルタイムで記録・管理できる
  • 経費管理:経費申請・精算をデジタル化し、承認を迅速化する
  • 労務管理:雇用契約や社会保険手続きを効率的に管理する
  • マイナンバー:マイナンバーの収集・保管・管理を安全に実施する
  • 給与管理:給与計算から振込までのプロセスを自動化する

経理

経理のSaaSカオスマップは仕訳・伝票処理、会計処理、請求・支払、経費精算、財務・会計分析といった経理プロセスに沿って分類されています。具体的に解説すると、以下のようなSaaS領域になります。

  • 仕訳・伝票処理では会計ソフト:取引の記録と仕訳を自動化する
  • 会計処理ではERP:経営資源を一元管理し、会計業務と他部門を連携できるシステム
  • 請求・支払では請求書発行システム:請求書の作成や送付、支払管理を効率化するツール
  • 経費精算では経費精算システム:経費申請から承認、精算までをオンラインで処理するツール
  • 財務・会計分析ではBIツール:財務データを可視化し、経営判断を支援する分析ツール

主要サービス・企業名

freee

(freee株式会社)

経理・会計業務を効率化するSaaS

弥生

(弥生株式会社)

中小企業向け会計ソフト

MoneyForward

(株式会社マネーフォワード)

経理・財務管理SaaS

ClimberCloud

(株式会社NTT DATA, Inc.)

請求書や帳簿といった書類をインボイス・改正電子帳簿保存法に対応した電子データとして保存できるSaaS

DocuWorks

(富士フイルムビジネスイノベーション)

デジタル文書の作成や保存を支援するSaaS

 

経理のSaaSカオスマップの一例

経理のカオスマップ

出典:AI Smiley

タスク管理

タスク管理のSaaSカオスマップは、タスク作成やタスク割り当て、進捗管理、タスク分析といったタスク管理プロセスに沿って分類されています。たとえば、タスク作成ではタスク管理ツール、タスク割り当てではプロジェクト管理ツール、進捗管理では進捗可視化ツールといったSaaSの領域が存在します。

主要サービス・企業名の候補

Asana

(Asana, Inc.)

タスク・プロジェクト管理を支援

Trello

(アトラシアン株式会社)

視覚的なタスク管理ツール

Wrike

(Wrike, Inc.)

チーム向けプロジェクト管理ツール

Backlog

(株式会社ヌーラボ)

プロジェクトの進捗をリアルタイムで管理できるSaaS

TimeCrowd

(タイムクラウド株式会社)

従業員の稼働時間の見える化を促進するSaaS

 

タスク管理のSaaSカオスマップの一例

タスク管理ツールのカオスマップ

出典:スーツ

タスク管理ツールを大きく分けると以下のようになります。

個人向けタスク管理ツール

個人向けタスク管理ツールの目的は、個人の業務や日常のタスクを可視化し、スケジュール通りに進行させることです。シンプルな操作性やリマインダー機能、カレンダー連携などが特徴といえます。

代表例: TodoistTickTickGoogle KeepMicrosoft To Do

組織向けタスク管理ツール

組織向けタスク管理ツールを使用する目的は、チームやプロジェクト単位で業務を分担し、進捗を可視化しながら連携を強化することです。タスクの担当者設定や期日管理、コメント機能、KPI追跡などといった機能を持つケースが多くなっています。

代表例: TrelloAsanaJiraNotionBacklog

最新のSaaSカオスマップの傾向

初期のSaaSは一般的な業務改善を目的としていました。しかし、SaaS市場は成熟が進み、顧客企業のニーズが細分化されるにつれて、より具体的な利用シーンに特化したSaaSの需要が高まっています。

成長が著しいSaaSカテゴリー

プロジェクト管理や広報、部門別連携といった特定の業務に特化したSaaSが次々と登場し、市場を牽引しています。また、AIを活用した文章校正ツールや自動化された営業支援ツールなど生成AI技術を組み込んだツールの台頭も目立ち、企業のDX化をさらに推進しています。

SaaS業界の今後の展望

顧客データを統合・分析する、パーソナライズされたサービスを提供するといった顧客データの活用やセキュリティー強化を重視したSaaSの開発が進み、企業のデジタル戦略の中心的存在となると予想されます。さらに、中小企業においても人材不足を補うため、特化型SaaSの導入が加速していくでしょう。このように、市場の競争が激化する中で、新しいサービスが次々と登場し、SaaSカオスマップも頻繁に更新されていくと考えられます。

SaaSカオスマップの活用方法

ここまで解説してきたように、SaaSカオスマップは、数多くのSaaSをカテゴリーごとに整理し、比較検討を容易にするツールです。SaaSカオスマップを有効に利用するためには、自社でどのように活用していくかを明確にしておきましょう。

企業のIT導入戦略に活用

SaaSカオスマップは、ITシステム導入を検討する際に、自社のニーズに合致する最適なSaaSを選ぶのに役立ちます。SaaSのベンダー情報とカテゴリー分類によって、どのサービスを選ぶべきかの指針となり、導入後の効果測定やROIの最大化にも活用できるでしょう。

自社の課題に適したSaaSの選定に活用

SaaSカオスマップを活用し業種や機能別に整理されたマップを参照することで、自社の課題解決に貢献するSaaSを発見しやすくなります。

マーケティングや営業戦略に活用

SaaSカオスマップは、競合他社のポジショニングや市場トレンドの把握にも有益です。競合のサービス内容や強みを可視化することで、自社の差別化戦略を立案しやすくなります。また、市場の成長領域を把握することで、新たなビジネスチャンスを発見することも可能です。

競合分析や市場ポジションの理解に活用

SaaSカオスマップは、競合企業やそのサービスの市場での位置づけを把握し、投資や提携先選定にも役立ちます。提供企業の成長性や市場動向を分析できるので、戦略的な決定に必要な情報を得ることにも貢献します。

まとめ:カオスマップで知る自社にとってのSaaSの重要性

SaaS市場は変化が激しいため、最新情報を継続的に把握することが不可欠です。今後はAI技術の発展に伴い、自社に最適なSaaSを見極める重要性がさらに高まっていくでしょう。

最適な選択肢を見つけたり、自社に関連する市場を分析したりするためには、カオスマップの基本を理解し、適切に活用することが重要です。

SEデザインは、これまで約40年にわたり、BtoB企業様のコンテンツマーケティングを支援してまいりました。大手外資系IT企業を中心に、SaaSやPaaS、IaaSのお客様との取引実績も豊富です。

導入事例制作ホワイトペーパー・eBook制作オウンドメディア構築など、コンテンツマーケティングに関する相談先をお探しでしたら、SEデザインまでお気軽にご連絡ください。

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監修者
SEデザイン編集部
BtoB企業、特にIT分野を中心にコンテンツマーケティング支援を行っており、導入事例やホワイトペーパー・eBook、SEO記事の制作、LP制作、オウンドメディア構築などの制作も行う。導入事例制作では、IT・テクノロジー分野の知見を活かし、外資系を含むIaaS、PaaS、SaaSの事例を中心に年間150件以上、累計2,500件以上制作しており、高い評価をいただいている。

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