Notion AIとは、Notionのワークスペース上で利用できるAIアシスタントサービスです。2023年2月に正式リリースされた新機能であるため、「Notion AIについて詳しく知りたい」「ChatGPTなどほかのAIツールとの違いが分からない」という方も多いのではないでしょうか。
今回は、Notion AIの概要や機能、使い方、活用例、利用料金、注意点などを解説します。
Notion AIとは?
はじめに、NotionおよびNotion AIについて解説します。
そもそもNotionとは?
そもそもNotionとは、テキスト作成やデータ保存、ToDo管理、スケジュール管理などをまとめて利用できるクラウドサービスのことです。オフィスワークで必要なあらゆる作業をひとつのワークスペース上で実施できるため、「オールインワン・ワークスペース」と呼ばれています。
さまざまな作業を一元管理することにより、ExcelやWord、SharePointなど複数のアプリを切り替えながら作業する手間を省くことが可能です。Notionは、2013年に設立された米国のNotion Labs社により開発され、2016年にリリースされました。
Notionには3種類のバージョンがあります。
- Web版
- デスクトップ版
- モバイル版
また、Notionには無料プランと有料プランがあり、有料プランは以下の3つのプランに分かれています。
プラン名 | 料金 | おもな対象 |
プラス | 月額8ドル~ | 小規模グループ |
ビジネス | 月額15ドル~ | 複数のチームとツールをつなげたい企業 |
エンタープライズ | 要問い合わせ | 会社全体の運営に適した高度な管理機能とサポートを求める企業 |
Notion AIの概要
Notion AIとは、Notionのワークスペース上で利用可能なAIアシスタントサービスです。2022年11月に招待制の提供から始まり、2023年2月に正式リリースされました。
Notionのワークスペース上で利用できるため、日頃からNotionを利用しているユーザーにとって便利なサービスでしょう。
Notion AIを活用することで、文章作成におけるさまざまな作業をAIにサポートしてもらうことができます。たとえば、文章の翻訳や添削、要約、メール作成、表作成といった幅広い用途に使用可能です。
Notion AIの始め方・使い方
続いて、Notion AIの始め方・使い方について解説します。
Notion AIの始め方
まずはNotion AIの公式サイトにアクセスし、「始める」をクリックします。
メールアドレスの入力を求められるため、自身のメールアドレスを入力します。GoogleアカウントやAppleアカウントを使用することも可能です。
はじめてNotionに登録する場合は用途を聞かれるため、該当する項目を選択します。
そのあと、Notionのワークスペースに遷移します。ワークスペースまで遷移できたら、Notion AIを使う準備は完了です。
Notion AIの使い方
ワークスペース画面を開いたら、ワークスペース上の任意の箇所をクリックし、「スペースキー」を押下するとNotion AIのコマンド欄が表示されます。
【「スペース」を押下した場合】
また、「スペースキー」以外でも、半角の「/」や全角の「;」を押下してNotion AIのメニューを表示することも可能です。
【半角の「/」を押下した場合】
【全角の「;」を押下した場合】 ※半角の「/」を押下した場合と同様のメニュー表示
コマンド欄やメニューが表示されたら、Notion AIへの指示文を入力して、文章作成などを行ってもらいましょう。
Notion AIのおもな機能
ここでは、Notion AIのおもな機能として、以下の5つを解説します。
- 文章の作成
- 文章の要約・編集・訂正
- 文章の翻訳
- 必要なアクション事項の抽出
- アイデアの創出
文章の作成
文章の作成は、文章作成AIツールの代表的な機能であり、Notion AIにおいても以下のような機能が搭載されています。
文章作成(新規作成)
文章を新たに作成します。
文章の続きを作成
文章の冒頭だけを記載して、続きをNotion AIに作成してもらうことも可能です。
ブログやSNSへの投稿文の作成
ブログやSNSへ投稿するための文章を作成します。
営業メールや求人募集メールの作成
営業メール用や求人募集メール用の文章作成など、シチュエーションに合わせた文章作成をしてもらうこともできます。
文章の要約・編集・訂正
すでに存在している文章を基に、以下のような文章の要約・編集・訂正を行う機能もあります。
文章の要約
人間では30分程度かかるような要約作業でも、Notion AIなら30秒程度で要約可能です。
説明を付ける
たとえば専門用語が多く出てくる文章の場合に、誰もが理解できるような表現に書き直してもらえます。
スペルと文法の修正
難しい英単語などのスペルを書いて間違っていた場合でも、Notion AIによって正しいスペルに修正してもらうことも可能です。
文章量の増減
文章の内容を膨らませたり、情報を削ってコンパクトな文章にしたりできます。
文章のトーン変更
文章トーンのパターンとして、以下が用意されており、原文のトーン変更が可能です。
- フォーマル
- カジュアル
- 率直
- 堂々とした
- フレンドリー
シンプルな表現への書き換え
1文が長い場合や冗長表現が多い場合は、シンプルな表現への書き換えが可能です。
文章の翻訳
文章をほかの言語に翻訳してもらうこともできます。翻訳言語は、英語や日本語、中国語をはじめ、10か国以上の言語に対応可能です。
必要なアクション事項の抽出
原稿や議事録などから、必要なアクション事項を抽出する機能も搭載されています。
アクションアイテムの抽出
リサーチ原稿や取引先との商談メモを解析し、重要なアクションアイテムを抽出します。
ToDoリストや会議アジェンダの作成
会議の議事録などを解析し、会議アジェンダを作成することも可能です。
アイデアの創出
新たなアイデアを創出したい際は、以下の機能を活用できます。
アイデアのブレインストーミング
Notion AIによるアイデアのブレインストーミングができます。たとえばマーケティング施策を立案する際などのアイデア出しに活用することが可能です。
ストーリーやエッセイ、詩の創作
単純な文章の作成や編集だけでなく、クリエイティブなストーリーや詩などを生み出したい場合にも活用できます。
Notion AIの活用例
本章では、Notion AIを実際に活用した例をいくつか紹介していきます。
SNS投稿用の下書き作成
まずはSNS投稿用の下書き作成の例です。メニューから「SNSの投稿」を選択し、「AIツールの将来について」と入力しました。
入力後の実行結果は以下のとおりです。
一部表現の誤りがありますが、入力文である「AIツールの将来について」をタイトルに、AI技術の進歩や人間との共存について述べるSNS用の投稿文を作成できました。投稿文だけでなく、下部にはタイトルに関連するハッシュタグ(#)もついています。
文章のトーン変更
続いては、文章のトーン変更を行う活用例です。先ほどSNS投稿文として出力された文章に対して、「カジュアル」の設定でトーン変更を行いました。
実行結果は以下のとおりです。
「カジュアル」にトーン変更したことで、たとえば冒頭に「こんにちは!」というあいさつ文が入ったり、語尾が「~ですよ。」となったりする変化が起きました。文章の内容は大きく変えないまま、文章の雰囲気だけを変えたい際などに活用しやすい機能であるといえます。
アイデアのブレインストーミング
次に、アイデアのブレインストーミングを行う例を紹介します。メニューから「アイデアのブレインストーミング」を選択し、「AIを使ったマーケティング施策」と入力しました。
実行結果は以下のとおりです。
AIを使ったマーケティング施策として、上図のとおり10個の施策内容を回答してもらうことができました。顧客セグメンテーションやコンテンツマーケティング、価格設定など、さまざまな観点が含まれていることがわかります。
ただ、回答された施策内容の冒頭すべてに「AIを使った」と一律で記載されているため、やや機械的な回答となっている印象も見受けられました。
創作ストーリーの作成
最後に創作ストーリーを作成する活用例です。メニューから「創作ストーリー」を選択し、テーマとして「AIと愛」を入力しました。
実行結果は以下のとおりです。
上記のとおり、「AIと愛」と入力しただけで、まるで人間が作ったようなストーリーを創作してもらうことができました。Notion AIが作成したストーリーを基に、人間によって手を加えることで、より本格的なストーリーに仕上げることもできるでしょう。
Notion AIの利用料金
Notion AIは、無料トライアルとしての利用が可能です。無料トライアルでは、20回までのAI応答の範囲内で、有料プランと同様の機能を試すことができます。無料トライアルを使い切ったあとは、有料プランの契約が必要です。有料プランの契約は、ワークスペースの所有者のみ実施できます。
Notion AIの料金プランは、以下2つのパターンに分かれます。
- Notionの有料プランに加入中、かつNotion AIを年払いで契約:1メンバーあたり月額8ドル
- Notionの無料プランを利用中、またはNotion AIを月払いで契約:1メンバーあたり月額10ドル
上記より、たとえば「Notionは無料プランのままで、20回の回数上限に達したのでNotion AIだけ課金したい」という場合は、月額10ドルを支払うことになります。
Notion AIとChatGPTの違い
ここでは、Notion AIとChatGPTとの違いについて、「機能面」「料金面」「利用環境」の観点からそれぞれ解説します。
機能面
Notion AIは、標準機能として、スペルチェックや翻訳、要約、SNS原稿作成といったさまざまなモードが用意されています。対象のモードを選べばよく、たとえばユーザーが「次の文章を翻訳して」などと指示を入力する必要がない点が特徴です。
一方のChatGPTは、フリー入力のテキスト欄のみであるため、翻訳や要約など自分で指示を入力しなければならない点において大きな差異があります。
料金面
Notion AIは無料での利用する場合、20回までの回数制限があります。一方、ChatGPTは、無料で回数制限なく利用可能です。
有料プランは、Notion AIは月額10ドル(Notionの有料プランを利用中で、かつNotion AIを年払いで契約する場合は月額8ドル)です。それに対してChatGPTの有料プラン(ChatGPT Plus)は月額20ドルであるため、約2倍の差があります。
利用環境
Notion AIは、Notionのワークスペース内のみで動作します。Notion内の文書やデータにアクセスしたり、Notion AIのアウトプットをワークスペース内で共有したりする場合には適した利用環境であるといえるでしょう。
反対に、ChatGPTはNotion AIのように特定のサービス内に内包されておらず、独立したAIチャットツールとなっています。ChatGPTは独立した利用環境のツールである分、ほかのさまざまなサービスとAPI連携することも可能です。連携の手間はあるものの、幅広い利用環境を求める場合はChatGPTのほうが適しているといえます。
Notion AIとBingのAIチャットの違い
次に、Notion AIとBingのAIチャットとの違いについても、それぞれ解説します。
機能面
BingのAIチャットは、基本的にはChatGPTのようにテキスト入力欄1つのシンプルな構造になっています。会話スタイルを「創造的」「バランス」「厳密」の3種類から選択できますが、Notion AIほどの豊富なメニューはありません。
そのため、あらかじめ要約や翻訳などのメニューを選択し、最低限の指示文のみの入力で済ませたいユーザーはNotion AIのほうが向いているといえるでしょう。
料金面
BingのAIチャットは、無料で利用可能です。2023年5月時点では、とくに有料プランも出ていません。Notion AIについては先に述べたとおり、無料で利用できる回数には制限があります。
したがって、無料で利用し続けたいユーザーはBingのAIチャットのほうが適しています。
利用環境
BingのAIチャットは、Microsoft Edgeブラウザのみに対応しています。そのため、Google Chromeユーザーなどにとっては、ブラウザを切り替える手間が発生する点がデメリットです。
一方のNotion AIは、ブラウザ制約はないものの、Notionのワークスペース内という制約はあります。ブラウザかワークスペースかの違いはありますが、どちらも利用環境の制約がある点においては同様であるといえるでしょう。
Notion AI利用時の注意点
Notion AIは便利である一方、以下の点に注意することが必要です。
- 無料トライアルには回数上限がある
- 必ずしも指定した条件に従ってもらえるとは限らない
- Notionユーザー以外は、Notion AIが最適とは限らない
無料トライアルには回数上限がある
Notion AIは無料トライアルができますが、無料での利用には20回の回数制限があります。Notion AIにはさまざまな機能があるため、いろいろと試しているとすぐに回数の上限に達してしまうことが注意点です。
無料トライアルを行う際は、事前調査のうえ、あらかじめ使いたい機能をある程度絞って利用してみるとよいでしょう。
必ずしも指定した条件に従ってもらえるとは限らない
Notion AIに対して特定の条件を指示しても、条件に合致しない回答が返ってくる可能性もあります。たとえば、Twitter投稿用の下書きをお願いした際、140文字以上の文章が返ってきました。
本来であればTwitterの仕様も考慮して140文字以内での回答を期待したいところですが、必ずしもそうならない場合もあります。希望通りの回答を得るためには、指示内容を変えながら何度か試してみる必要があるでしょう。
Notionユーザー以外は、Notion AIが最適とは限らない
Notion AIでできる文章作成や要約、ストーリー作成などは、ChatGPTやBingのAIチャットといったほかのAIツールでもできます。Notion AIの大きな魅力は、Notionのワークスペース上でAI機能も自然に使えることといえるでしょう。
一方、Notionを普段利用していないユーザーの場合は、Notion以外の環境でも使えて回数制限などがないChatGPTやBingのAIチャットのほうが適している可能性があります。
Notion AIによってNotionの利用がさらに便利に
Notion AIは、2023年2月に正式リリースされたNotionのワークスペース上で利用可能なAIアシスタントサービスです。Notionユーザーにとっては、これまで以上にワークスペースを便利に利用できるでしょう。
ChatGPTやBingのAIチャットと比べると、メニューが豊富にあり、最小限の指示入力で回答を得られる点などが特徴です。
一方で、無料での利用には20回の回数制限がある点やNotionのワークスペース上でしか利用できない点には注意が必要です。また、Notion AIもほかのAIツールと同様に回答結果が不正確である可能性があるため、必ず人間の目でも出力結果を確認するようにしましょう。
AI技術はこれからさらに発展していくと予測されているので、早い段階で基本的な活用方法を取り入れておくことが大切です。SEデザインでは、IT分野におけるBtoBマーケティング&セールス支援を行っており、30年以上の実績がございます。業務の効率化や顧客へのアプローチでお困りの際は、お気軽にSEデザインへご相談ください。