集客とマーケティングの違いとは?BtoBの集客増で必要な考え方

公開日:2023-05-12 更新日:2023-11-15 by SEデザイン編集部

目次

168476657_m_normal_none効果的な売上拡大戦略を策定するためには、「集客」「マーケティング」の違いを正しく認識したうえで、適切なプランを立てなければなりません。本記事では、BtoB企業のマーケター視点で、「集客 vs マーケティング」の定義の違いについて整理し、効果的な施策の進め方を解説します。

集客とマーケティングの違いとは? 

165651209_m_normal_none

まずはじめに、集客とマーケティングそれぞれの定義について説明します。     

集客の定義

集客とは、その名のとおり顧客を集める施策です。一概に「顧客」と言っても、以下のように、自社製品やサービスの利用有無・頻度によってさまざまなレイヤーに分類されます。

  • VIP顧客
  • 新規顧客
  • 見込み顧客
  • 潜在顧客
  • 休眠顧客

集客を行う際には、上記の各顧客層に合わせて異なるアプローチを行う必要があります。たとえば「友達紹介キャンペーン」はVIP顧客には効果があるかもしれません。しかし、プロダクトに対する関心の薄い休眠顧客に実施したとしても、望んだ成果は得られないでしょう。

このように、集客ではそれぞれの顧客層に合わせたアプローチを実施する必要があります。

マーケティングの定義

対して、マーケティングとは市場調査から商品開発、販売戦略までを含む、売上拡大につながるあらゆる活動です。マーケティングについて、コトラー&ケラー共著の『マーケティング・マネジメント基本編 第3版』(2014,丸善出版)では、以下のように定義されています。

マーケティングとは人間や社会のニーズを見極めてそれに応えること

つまり、市場のニーズを起点にして、価値提供を行っていく取り組みとも捉えられるでしょう。市場調査や商品開発までの狭い範囲をマーケティング定義しているケースも見受けられますが、実際は販売戦略までを含む、一連の全てのプロセスが含まれます。

販売戦略は、新規顧客の獲得のみならず、顧客のリピート率を上昇させることで自社の売り上げを盤石化する施策も含みます。

集客はマーケティングプロセスの一部

マーケティング戦略を俯瞰して捉えた際に重要な意味を持ち、集客とはまさに“マーケティングプロセスの一部”です。市場調査をして、どれだけ素晴らしいプロダクトを作りあげても、その価値が顧客に伝わらなければ意味がありません。だからこそ、顧客を集め、自社プロダクトの価値を知ってもらう取り組みが必要なのです。

元来、日本の伝統的なBtoB企業では、集客は営業が担っていました。しかし、現在はマーケティングがその役割を果たすようになってきています。

近年、BtoBの集客で必要なマーケティング営業領域では、Salesforce社によって提唱された分業制が広まっており、その考え方は福田康隆氏の著作『THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス 』(2019,翔泳社)により日本にも紹介されました。

分業制の営業においては、従来はターゲットリストの作成からクロージングまで営業が担っていた一連のプロセスを、「マーケティング→インサイドセールス→営業」に振り分けることになります。

このように営業サイクルの分業制が求められるようになった背景には、顧客の購買検討サイクルの変化により、今まで以上に顧客とのエンゲージメントを重視した集客が必要になるでしょう。

マーケティングにおける集客のやり方

165933283_m_normal_none

以上を踏まえたうえで、マーケティングプロセスにおける「集客」を実施する際の必要ステップは以下のように分割されます。

  • Setp1.ペルソナを前提としたターゲット設定 
  • Setp2.施策のゴール(KPI)設定
  • Setp3.PDCAサイクルによる施策の改善

次項より、各ステップについて個別に説明します。

Setp1.ペルソナを前提としたターゲット設定  

集客のために適切な施策を行うためには、ターゲットを明確にしたうえで、「ペルソナ設計」を行うのが主流です。

ターゲットを設定する際には、「VIP顧客」「新規顧客」「見込み客(または潜在顧客)」「休眠顧客」の誰にするのかも、あらかじめ決定しておかなければなりません。その後、自社がアプローチするユーザーを具体的にイメージし、「理想的な人物像」を定義化するペルソナ設計を実施します。

BtoBにおける「顧客」は個人のみならず、業界や業界に属する企業、企業内の部門なども含まれます。そのため、ペルソナの設計について自社で議論する際には、まずは「自社におけるペルソナの定義」を定めておく必要があります。

なお、ペルソナ設計の方法については下記の記事でも解説していますので、あわせてご参照ください。
ペルソナの作り方【サンプル付き】〜インバウンドマーケティングの視点から解説

Setp2.施策のゴール(KPI)設定

ターゲットの設定とともに重要なのが、施策のゴール設定をもとにした評価指標の定義です。「新規顧客を増やし続ける」のと「リピーターを獲得する」のとでは、求められるアプローチが大きく異なります。

マーケティングプロセス全体のゴールは「KGI」、KGI達成までのステップである“小さなゴール”は「KPI」と表現されます。BtoBの集客におけるKPIの場合は、ただリードの数を獲得するだけではないケースも多々あります。

前述の分業制を採用している場合、マーケティングが掘り起こした新規リードはインサイドセールス営業にパスすることになります。
その際、「どういう条件のリードを、どのくらい獲得するのか」といった形で、マーケティング側と営業側で認識する細かい条件のKPI設定が求められるでしょう。

Setp3.PDCAサイクルによる施策の改善 

集客を行う際にも、集客はPDCAサイクルを回し顧客の反応を見ながら柔軟に対応することが重要です。PDCAサイクルとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取ったマネジメント手法で、施策の検証から改善までを理解するのに役立ちます。

PDCAサイクルを集客施策にあてはめると、以下のように分解可能です。

  • P…集客のターゲットとゴール設定
  • D…仮説に基づいて実際に集客施策を実施
  • C…ゴールに対しての成果振り返り
  • A…Cの結果に対しての改善のアクション

集客の施策を実施するのであれば、事前に仮説を作り、小さくテストすることで、リスクを最小限に抑えられます。

BtoBマーケティングで集客の起点となるチャネル 

165811270_m_normal_none (1)

BtoBマーケティングは、BtoCとは異なり商品単価が高く、顧客との商談サイクルも長くなりやすい傾向があります。そのようなBtoBのマーケティングプロセスで集客を行う際には、次のようなアプローチが有効です。

  • リード獲得からの新規営業
  • SEO対策による自然流入増
  • SNS運用
  • デジタル広告
  • オフライン広告

以下よりそれぞれについて解説します。

リード獲得からの新規営業 

BtoBでは訪問営業(フィールドセールス)やウェビナー、エキスポ、Ebook、メールマガジン、オウンドメディアなどにより、自社起点で新規顧客との接点構築を図るのがメジャーな手法です。

ほかの集客チャネルすべてにいえますが、昨今は顧客も多くの情報に晒されているため、各アプローチは自社のペルソナ設計に即した、質の高いものでなければなりません。

このことについて、前述した『THE MODEL』では、以下のように述べられています。

優れた顧客体験は、価格や商品そのもののよりも重要な意思決定の基準になっているのだ

それを踏まえると、ただ数を獲得するだけの集客ではなく、「どのような層に、どのようにアプローチするのか」を定義したうえで、顧客が求める情報発信をベースにしたリードとの接点構築をしなければならないといえます。

SEO対策による自然流入増 

SEOの実施による、自然(オーガニック)検索経由での集客増を図る手法も多くの企業が取り組んでいます。

主流な方法としては、オウンドメディアにおける記事公開を行う「コンテンツSEO」などがあります。オウンドメディア上で公開した記事や情報は、自社が削除しない限り残り続ける「ストック型の資産」となります。

ただし、BtoBにおけるSEOは「対策キーワードの検索ボリュームが少なく、そもそも検索されていない」という状況もたびたび発生します。そのため、オーガニック経由での流入だけでなく、後述するSNSも組み合わせた「オムニチャネル」の取り組みが大切です。

SNS運用

TwitterやFacebook、インスタグラムなどのSNSを運用して、顧客との接点構築を狙う集客手法です。SNS運用では、一方的な情報発信だけでなく顧客とのコミュニケーションによるリレーションの深化も期待できます。

おもにBtoCの施策と思われがちですが、BtoBにおいても自社商材の魅力やブランドイメージを発信し続ける取り組みの一つとしておすすめです。

デジタル広告 

検索広告やディスプレイ広告、SNS広告などから、自社サイトへのアクセスを促す集客手段です。予算コントロールにより必要最低限の費用で、効果計測までできるため、予算はかかるものの短期的な成果が期待できます。

オフライン広告 

テレビやラジオ、新聞、雑誌、看板、サイネージなど、オフラインの広告媒体に出稿することで集客を図る方法です。アナログ媒体はデータを集めにくいため、デジタル広告と比べ費用対効果として測定しづらいものの、顧客層次第ではデジタル広告よりも効果的な可能性があります。

たとえば、高齢世代のようにインターネット検索をあまり活用しない層にアプローチする場合は、優先的に検討されるでしょう。

まとめ

集客施策は、マーケティングプロセスの一部であり、売上拡大につなげるためには重要な位置を占めます。BtoBにおける集客プランは、BtoCとは異なる部分も多々あるため、それぞれの特徴を考慮する必要があります。

自社で採るべき施策について課題が発生した際には、「自社はどういった顧客にアプローチするべきか」という基本に立ち返りましょう。

いますぐ使えるコンテンツ戦略マップ

関連記事

コンテンツマーケティングで、
ビジネスの効果を最大化しませんか?

もっと詳しく知りたい方

ご質問・ご相談したい方