HubSpotとSansanの連携|メリットや名刺活用事例を解説

更新日:2025-02-06 公開日:2025-01-24 by SEデザイン編集部

目次

展示会やイベントなど、名刺を入手する機会は数多くあります。しかし「名刺管理に時間がかかる」「名刺をたくさん集めてもリードの育成に至らない」という悩みを抱えている人方もいらっしゃるでしょう。

HubSpotとSansanを連携すれば、顧客情報を一件ずつ入力する手間や労力を削減できます。HubSpotのトラッキング機能やスコアリング機能を活用し、効率的に顧客との信頼関係を構築できる点も強みです。

本記事では、HubSpotの導入支援・活用支援を行っているSEデザインが、HubSpotとSansanの連携方法やメリット、活用事例について解説します。

HubSpotとSansanは連携できる

HubSpotは顧客情報やリード管理、マーケティング機能を持つCRMツールです。一方で、Sansanは名刺情報をデジタル化し組織で共有できるツールです。

HubSpotとSansanを連携すると、手作業で名刺情報やメールアドレスを入力する必要がなくなり、作業の負担が大幅に軽減されます。Sansanでデジタル化された情報は、APIを通じてHubSpotに自動で取り込む仕組みです。

また、HubSpotのトラッキング機能を活用し、メルマガや個別メールなどを通じて、リードの興味や関心度を把握できます。関心度合いの高さを基に優先順位をつけて適切なアプローチを行うことで、効果的なリードナーチャリングが可能です。連携後はSansanでデータを更新すれば、HubSpotにも自動で反映されるため作業の手間がかかりません。

HubSpotは無料・有料のプラン問わず連携可能ですが、「App Marketplace権限」もしくは「スーパー管理者」の権限が必要です。また、SansanのAPIキーも使用します。

HubSpotとは

HubSpotとは、CRM機能を核として、さまざまな機能と連携できるビジネスツールです。インバウンドマーケティングの強化や業務効率化に適しています。SansanやSlack、Zoomなど、多くの外部ツールと簡単に連携可能です。

そのため、顧客情報や営業プロセス、マーケティングキャンペーンなどの一元管理に役立ちます。HubSpotの各ツールの主な特徴は以下のとおりです。

HubSpotCRMは無料で、そのほかの5つのHubには無料プランと有料プランがあります。有料プランではより高度な機能が追加され、顧客との信頼関係を構築しやすくなるといえるでしょう。とくに、リードナーチャリングや顧客との関係強化、売り上げ拡大に取り組む企業に適しています。

Sansanとは

Sansanはクラウド型の名刺管理ツールです。法人向けの名刺管理サービス市場で82%と高いシェア率を誇ります。専用スキャナーやスマホアプリを活用して容易にデータ化できるため、名刺管理にかかる工数の大幅な削減が可能です。

たとえば、従業員に個人で名刺管理を任せると、情報が属人化し社内での共有が難しくなるという課題が生じます。しかし、Sansanを導入すればクラウド上で一元管理が実現するため、名刺情報を社内全体の共有資産として活用できる点が大きなメリットです。

仮に、担当者が退職する場合でも、顧客情報のスムーズな引継ぎが可能です。一度登録した情報はクラウド上で自動更新されるため、管理の手間や古い情報による入力や確認ミスを最小限に抑えられます。

HubSpotとSansanの連携がもたらす5つのメリット

HubSpotとSansanを連携すれば、名刺情報を効率的に活用できます。名刺の登録作業の時間と手間を削減できるため、迅速なアクションにつなげられる点がメリットの一つです。情報を会社の共有資産として活用することで、営業活動やマーケティングの大幅な生産性向上を実現します。

ここでは、HubSpotとSansanの連携で得られる5つのメリットについて見ていきましょう。

HubSpotとSansan連携の5つのメリット

手入力作業の削減で業務効率化が図れる

HubSpotに直接名刺情報を登録する場合は、手入力が必要です。時間がかかるだけでなく、入力ミスなどのヒューマンエラーが発生するリスクもあります。とくに、イベントや展示会後など、多くの名刺を処理する場合は、迅速な対応が困難になると予想されるでしょう。

しかし、HubSpotとSansanを連携すると、スキャンや撮影でデータの自動登録が可能となり、手入力の手間と負担を大幅に軽減できます。加えて、名刺交換後、迅速にフォローアップできるため、顧客へ良い印象を残しやすくなります。営業活動のスピードと効率が向上し、商談機会を逃さずに済む点は大きなメリットです。

リードナーチャリングが実現できる

Sansanに名刺情報を登録するだけでは、潜在顧客との関係促進・構築が難しいケースも少なくありません。しかし、HubSpotと連携することで、潜在顧客への適切なフォローがしやすくなります。

たとえば、HubSpotのメールマーケティング機能では、顧客の行動データや関心を参考にパーソナライズされたメッセージの送信が可能です。適切なタイミングで情報を提供することでリードから興味関心を引き出し、商談の可能性を高められます。

関心度に応じて優先順位を設定することで、適切なコンテンツの発信やキャンペーンのお知らせといった効果的なアプローチにつながります。HubSpotを活用すると、リードナーチャリングを効率的に実現できる点はメリットの一つです。

顧客情報の属人化を防ぎ会社の資産にできる

担当者が各自で名刺情報を管理している場合は、社内での情報共有が難しくなります。その結果、異動や退職時に引継ぎが困難になり、顧客との関係が途絶えてしまうケースもあるでしょう。社内で情報の管理方法が統一されていない場合、重複登録や更新漏れが発生し、データの正確性に影響を及ぼすリスクが生じます。

HubSpotとSansanを連携し、顧客情報を社内全体で共有すれば、属人化を防止することが可能です。部門を問わず必要な情報にアクセスできる環境を維持できるため、情報共有が円滑になります。

データの重複を防止できる

複数の営業担当者が同じ顧客の名刺を個別に管理している場合、同一顧客への重複アプローチが発生するリスクがあります。顧客情報が一元管理されていなければ、企業への信頼を損なう可能性もあるといえるでしょう。

Sansanの高精度なスキャン機能とHubSpotの自動データ更新機能を活用すれば、管理の手間をかけずに、データの重複を防止できます。営業チーム間の連携が強化され、同一顧客への重複した営業活動を回避できる点がメリットです。余計なアプローチを避けることで、営業効率の向上や顧客からの信頼獲得につながります。

顧客に関する最新情報を維持できる

Sansanに名刺情報を登録すると、自動的にHubSpotに反映されます。Sansanで情報を更新すれば、HubSpotの顧客情報も常に最新の状態に保たれる点はメリットです。顧客やリードに昇進や異動があった場合でも、常に最新の情報に基づいた適切な対応が可能です。顧客からの信頼を損なうリスクを回避でき、満足度向上が期待できます。

データとして、常に最新の顧客情報にしておくことで、営業活動の精度が向上し、顧客に対する最適な提案がしやすくなります。最新情報が全社で共有されるため、部門間の連携がスムーズになり、マーケティング施策や顧客管理の効率的な対応が可能です。

HubSpotとSansan連携の4つの注意点

HubSpotとSansanの連携によって、営業やマーケティングの効率を大幅に向上できる一方で、適切に運用しなければ、重要な顧客情報が埋もれるリスクが生じます。ここでは、スムーズに活用するために事前に把握しておくべき4つのポイントについて見ていきましょう。

HubSpotとSansan連携の4つの注意点

不要なデータを同期しない

Sansanに、仕入れ先やパートナー企業など、リードや顧客以外の名刺情報を登録している企業も多いでしょう。顧客や見込み客以外の情報をHubSpotに同期すると情報が膨大になり、重要な顧客データが埋もれるリスクがある点に注意が必要です。

含まれているデータが多い場合には、連携前にSansan内のタグ機能を活用し、名刺をグルーピングすることで、不要なデータ取り込みを回避できます。ただし、HubSpot内でSansanタグを活用して顧客情報をリスト化するには、Operations Hubの有料プランが必要です。

メールアドレス情報が必要

連携した場合でもメールアドレスのない名刺情報は取り込めません。取り込む際は、「重複の可能性を減らす」セクション内の「Eメールアドレスを持つコンタクトに同期」のチェックを外しましょう。

また、HubSpotとSansanを連携する際は、一つのメールアドレスに複数の名前を紐づかせないことが大切です。同じメールアドレスを持つ複数の名刺が存在する場合、データが競合しエラーが発生するケースもあります。連携前にSansan内でメールアドレスの重複を確認し、必要に応じてタグ付けやデータ整理を行いましょう。

HubSpotの情報は自動削除されない

連携後はSansanで名刺情報を変更すると、自動的にHubSpotにも反映されるため、情報管理の手間を大幅に削減できます。しかし、情報の削除については、自動連携されません。

Sansanで削除した名刺情報をHubSpotからも削除する場合は、手動操作が必要です。

連携前に登録した名刺情報には別途操作が必要

HubSpotとの連携前に、Sansanに登録した名刺情報は、HubSpotへ登録されません。連携前の情報をHubSpotに入力する際は、以下のような別途操作が必要です。

  • Sansanのタグ機能を活用
  • SansanからExcelやCSVファイルをエクスポートし、HubSpotへインポート

データをインポートする手順については、HubSpotナレッジベースの「インポートファイルの設定」を参考にしてください。

HubSpotとSansanの連携方法

ここでは、HubSpotとSansanの連携方法について解説します。

なお、連携にはHubSpotアカウントの「スーパー管理者」の権限が必要です。ない場合は、「App Marketplace権限」を付与してもらいましょう。SansanのAPIキーも使用するため、事前に準備しておくとスムーズです。

Sansanでタグ設定を行う

Sansanでは、名刺をグループ化して管理するためのタグ付けが可能です。スムーズに連携するために、全社でタグの共通ルールを事前に定めておきましょう。Sansan上で、HubSpotに同期したい名刺情報をタグ設定する手順は、次のとおりです。

  1. 「タグ操作」>「タグ管理」 をクリック
  2. 編集対象のタグ名にマウスカーソルを合わせ「編集」を表示
  3. 「タグ名」「公開レベル」を「すべてのメンバー」または「特定のグループ」のどちらかに設定
  4. 設定後「保存」 をクリック

なお、Sansanからファイルをエクスポートし、HubSpotにインポートを行う場合、タグの設定は不要です。

アプリのインストール

アプリの連携は、HubSpot側から設定します。具体的な手順は次のとおりです。

  1. HubSpotアカウントの「マーケットプレイス」を開き、Sansanを検索
  2. Sansanを選択し、右上の「アプリを接続」をクリックしてSansanアカウントにログイン
  3. 別のタブでSansanの名刺管理画面を開き、「設定」>「外部サービス連携」>「API Key」をクリックしてAPIキーをコピー
  4. HubSpotのダイアログボックスに、SansanAPIキーを貼り付ける
  5. HubSpotに同期したい公開タグ・共有タグのチェックボックスを選択
  6. 「Sansanに接続」をクリック
  7. 同期をセットアップして、有効化する

同期できるタグは最大300個までで、同期は自動では開始されません。システム間でコンタクトの有効化が必要です。

データの同期設定

HubSpotの「同期設定」タブで編集します。具体的な手順は次のとおりです。

  1. 「設定画面」でHubSpotプロパティーにSansanのフィールドをマッピング
  2. 「フィールドをマッピング」画面で、プロパティーマッピングの確認および変更
  3. 「制限」画面で、オブジェクトレコードの同期方法を設定する
  4. デフォルトではメールアドレスが有効なコンタクトのみを同期する設定となっているため、不要な場合はチェックを外す
  5. 「確認」画面で設定した条件を確認し「保存して同期」を選択

制限をかけない場合、Sansanに新規登録した情報はすべてHubSpotに自動登録されます。顧客やリード以外の情報をSansanに登録している場合も全てHubSpotに反映されるため、事前に整理しておまきしょう。

HubSpotとSansanの連携活用事例

HubSpotとSansanを連携すると、顧客の興味関心度を可視化し、適切な対応が可能になる点が大きなメリットです。リードナーチャリング基盤をスムーズに構築し、名刺情報を営業活動における重要な資産として活用できます。

ここでは、顧客との信頼関係を強化し、効果的な営業活動を実現した具体的な活用事例を2つ紹介します。

膨大なリードをHubSpotで評価する

多くの企業が「保有する膨大な名刺情報を営業活動に効果的に活用できない」という課題を抱えています。個人情報を基に顧客と適切なやり取りを行い、信頼関係を構築するには、リードナーチャリングの戦略的な基盤構築が欠かせません。

弊社が支援させていただいたある企業では、Sansanに保管していた大量の顧客情報をHubSpotと連携させ、リードを定量的に評価する仕組みを構築しました。結果として、名刺情報を活用したリードナーチャリングに成功しています。

まず、リードナーチャリング戦略の設計として、ペルソナの定義やカスタマージャーニーマップの作成、コンテンツ戦略の策定を行いました。次に、リードを適切に分類・評価するための基準を設定し、優先順位を明確にしています。

その後、HubSpotを活用し、ナーチャリングメールの自動化やワークフローを実装し、リードの顧客化を効率的に行いました。運用後も定期的に成果を確認し、メール内容やセグメント基準を見直して効果の最大化を図っています。

メールマーケティングに活用

展示会やセミナー、講演会などで大量の名刺を入手するケースも多いでしょう。お礼のメールを一度送るだけでは、リードナーチャリングにつながりません。

効果的なフォローメールを設計し、お礼メールに資料やURLを添付して、顧客の関心を引き出しましょう。たとえば、資料のダウンロード案内や新サービスのお知らせで、顧客の行動を促進できます。

HubSpotのトラッキング機能を活用すると、顧客の興味や関心度合いが可視化できる点がメリットです。また、興味・関心を基にリードの関心度を適切に評価すれば、製品やサービスへの関心度合いが高い顧客から優先的にアプローチできるため、効率的な営業活動を実現できます。

加えて、HubSpotのスコアリング機能を活用すると、リードの優先順位を明確化できるため、営業の効率化を図れます。リードナーチャリングの促進や顧客満足度の向上に効果的です。

HubSpotとSansanを連携し顧客の興味関心を可視化しよう

HubSpotとSansanを連携すると、情報入力の手間を軽減し、人的ミスを防止できます。HubSpotの機能を使ってメールマーケティングを行うことで、顧客の興味関心度合いを可視化することが可能です。

結果として、適切なアプローチでスムーズなリードナーチャリングを実現できる点は、大きなメリットです。すでにSansanを利用している企業の方は、HubSpotと連携することで、顧客とのさらなる信頼関係構築につなげられるでしょう。

SEデザインは、HubSpotが日本進出した当初から、HubSpot導入支援・活用支援を実施しています。顧客との信頼関係構築を強力にサポートするHubSpotの導入をお考えの際は、こちらからお気軽にご相談ください。事前に画面操作を確認できるデモや、一定期間さまざまな機能が使えるトライアルなどもご案内可能です。

 

この記事をシェアする

  • note
  • メール
  • リンクをコピー