国内SaaS業界は、急速に成長を遂げる注目の分野です。業務効率化やコスト削減を目指して、多くの企業がSaaSの導入を進めており、市場規模は年々拡大しています。
2021年のSaaSの世界市場規模は1,442億ドルで、2030年には7,032億ドルに達する見込みです。日本国内市場も毎年約13%の成長率で拡大しており、2019年の6,000億円から2025年には1.5兆円に拡大すると予測されています。
本記事では、売上高および年収ランキングから注目される国内SaaS企業を一覧形式で紹介します。それぞれの企業の特徴を把握することで、業界の動向や主要企業の戦略がより具体的に理解できるかと思います。ぜひお役立てください。
国内SaaS企業一覧と売上高ランキングTOP10(2023年度)
2023年度の国内SaaS企業売上高ランキングTOP10は以下のとおりです。
SaaS企業売上高ランキング
各企業が提供するSaaSサービスや、それぞれの企業が得意とする分野について、詳しく紹介していきます。
- エス・エム・エス(539億7,300万円)
- オービックビジネスコンサルタント(419億5,400万円)
- ラクス(384億800万円)
- Sansan(338億7,800万円)
- マネーフォワード(303億8,000万円)
- Appier Group(264億1,800万円)
- サイボウズ(254億3,200万円)
- freee(254億3,000万円)
- SREホールディングス(242億1,800万円)
- EMシステムズ(売上高:203億5,500万円)
1. エス・エム・エス(売上高:539億7,300万円)
企業名 |
株式会社エス・エム・エス |
売上高 |
539億7,300万円 |
従業員数 |
4,188人(2024年3月時点) |
所在地 |
東京都港区 |
設立年 |
2003年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
キャリア 介護・障害福祉事業者 ヘルスケア シニアライフ 海外 |
株式会社エス・エム・エスは、高齢化社会への対応を目的に、介護および医療分野向けのSaaSを提供しています。
介護・看護・障害システムの一元管理SaaS「カイポケ」は、介護事業者向けのクラウド型SaaSで、記録管理、請求書作成、勤怠管理などを一元化し、業務効率化をサポートします。全国4万6,300以上の事業所で導入されており、モバイル対応で利便性が高いです。
また栄養士向けコミュニティ「エイチエ」を運営し、業務支援や働き方改革にも取り組んでいます。高齢化社会における生活の質向上に貢献し、社会インフラとしての役割を果たしているといえるでしょう。
エス・エム・エスの強みは、「カイポケ」を中心に、業務負担の軽減とサービス品質の向上を実現している点です。国内のみならず、シンガポールやインドネシアを含む8つの国で事業展開しており、持続可能な成長を目指して業界に貢献し続けています。
2. オービックビジネスコンサルタント(売上高:419億5,400万円)
企業名 |
株式会社オービックビジネスコンサルタント |
売上高 |
419億5,400万円 |
従業員数 |
941人(2024年3月時点) |
所在地 |
東京都新宿区 |
設立年 |
1980年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
企業業務(会計・人事・給与等の基幹業務や、それに係る周辺業務)に関するソリューションテクノロジーの開発メーカーとして、パートナー企業を通して、お客様の業務効率化に貢献するクラウドサービス等を提供 |
出典:株式会社オービックビジネスコンサルタント|有価証券報告書
株式会社オービックビジネスコンサルタントは、主に中小企業向けに、会計や人事、給与など基幹業務を効率化するクラウドサービスを提供しています。
代表的な「奉行シリーズ」は、財務会計や給与計算、販売管理など、多岐にわたる業務を支援するクラウドサービスです。とくに「勘定奉行クラウド」は、日次業務から決算報告までを一元管理でき、業務の効率化に貢献しています。
同社の強みは、顧客第一主義を徹底している点です。ユーザーサポートやアフターサービスの品質が高く、顧客から高評価を受けています。
クラウドサービスの需要が高まり、SaaS部門の売り上げは増加しています。新規顧客の需要がクラウドサービスへと移行しており、今後もSaaS中心で成長を目指す方針です。
3. ラクス(売上高:384億800万円)
企業名 |
株式会社ラクス |
売上高 |
384億800万円 |
従業員数 |
2,561人(2024年3月時点) |
所在地 |
大阪市北区 |
設立年 |
2000年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
クラウド事業 IT人材事業(提供:ラクスパートナーズ) |
株式会社ラクスは、SaaSビジネスを展開し、企業の業務効率化を支援しています。「IT技術で中小企業を強くする」というビジョンを持ち、クラウドサービスを活用した生産性向上に取り組んできました。
代表的なサービスは、以下のとおりです。
- 経費精算を効率化する「楽楽精算」
- 請求書や納品書の電子発行を可能にする「楽楽明細」
- 勤怠管理をサポートする「楽楽勤怠」
とくに「楽楽精算」は国内トップクラスのシェアを誇り、多くの企業で導入されています。
2024年3月期の売上高は前年比40.2%増と好調に推移し、テレビCMをはじめとする広告戦略が認知度向上に貢献しました。今後は「楽楽精算」への依存を低減し、バックオフィス業務全般をカバーするSaaS事業の拡大を図る方針です。
4. Sansan(売上高:338億7,800万円)
企業名 |
Sansan株式会社 |
売上高 |
338億7,800万円 |
従業員数 |
2,030人(2024年11月30日時点) |
所在地 |
東京都渋谷区 |
設立年 |
2007年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
l Sansan/Bill One事業 l Eight事業 |
Sansan株式会社は、名刺管理を中心に営業支援を行うSaaS企業です。営業DXサービスを通じて企業の営業活動の効率化を支援しています。
主力サービスの「Sansan」は名刺をデジタル化し、企業内で顧客情報を一元管理することで営業チャンスを広げ、情報共有を促進するツールです。
デジタル化された名刺情報によって、オンライン商談でもスムーズに名刺交換ができ、営業活動の効率化につながる点はメリットです。現在は、1万社以上が導入しており、同社のサービス活用が進んでいるといえるでしょう。
また、他にも以下のような多様なサービスを提供しています。
- 個人向け名刺アプリ「Eight」
- 請求書業務を効率化する「Bill One」
- 契約管理をデジタル化する「Contract One」
今後は、「Sansan」と「Bill One」の営業体制を強化し、中堅・大企業をターゲットにした成長を目指しています。
5. マネーフォワード(売上高:303億8,000万円)
企業名 |
株式会社マネーフォワード |
売上高 |
303億8,000万円 |
従業員数 |
2,130人(2023年11月時点) |
所在地 |
東京都港区 |
設立年 |
2012年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
プラットフォームサービス事業 |
株式会社マネーフォワードは、個人や法人のお金の課題解決に特化したサービスを提供するSaaS企業です。
主力サービスには、個人向けの資産管理アプリ「マネーフォワード ME」や、法人向けの業務効率化クラウド「マネーフォワード クラウド」があります。
とくに「マネーフォワード ME」は、複数の銀行口座やクレジットカードの情報を自動で一元管理できる点が評価され、家計簿アプリ市場で高いシェアを誇ります。
「マネーフォワード クラウド」は、会計・確定申告・給与・経費精算など、企業のバックオフィス業務を一括管理できるサービスです。中小企業から大企業まで幅広く導入されており、税理士や会計士との連携もスムーズに行えることから、業務効率化を支援するツールとして高い評価を得ています。
また、マネーフォワードはSaaS事業の成長に向けた積極的な投資を継続しており、新規ユーザーの獲得や新サービスの開発にも注力している状況です。継続的な戦略設計によって、同社は持続的な成長を遂げ、SaaS業界での存在感を高めています。
6. Appier Group(売上高:264億1,800万円)
企業名 |
Appier Group株式会社 |
売上高 |
264億1,800万円 |
従業員数 |
706人(2023年12月時点) |
所在地 |
東京都港区 |
設立年 |
2018年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
AIの顧客分析等による企業のセールス・マーケティング支援 |
Appier Groupは、AI技術を活用したマーケティング支援を行うSaaS企業です。世界17都市に展開しています。データ解析を通じてターゲットユーザーの行動パターンを把握し、精度の高いマーケティング施策を提供している点が特徴です。
主なサービスには、以下のような広告運用の効率化やユーザーエンゲージメント強化を目的としたAIソリューションが揃っています。総じて、企業のマーケティング活動を支援するクラウドプラットフォームを提供しているといえるでしょう。
- 「CrossX」はROI(費用対効果)最大化を狙った広告配信
- 「AIQUA」では多チャンネルでのパーソナライゼーション
- 「AIDEAL」では迅速なコンバージョン促進
また、AI技術を駆使した行動予測やターゲティングにより、Appier Groupはアップセルやクロスセルを通じて既存顧客からの収益を増加させています。収益増加により急成長を遂げ、今後さらに注目を集めるAIマーケティング分野でのリーダーシップを強化していくでしょう。
7. サイボウズ(売上高:254億3,200万円)
企業名 |
サイボウズ株式会社 |
売上高 |
254億3,200万円 |
従業員数 |
1,276人(2023年12月時点) |
所在地 |
東京都中央区 |
設立年 |
1997年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
グループウェアの開発・提供 |
サイボウズ株式会社は、グループウェアを提供するSaaS企業で、日本国内で高い知名度を誇ります。
「kintone」や「Garoon」などのクラウドベースのツールを提供しており、企業のニーズに応じた柔軟な対応が可能です。CRMやSFA、タスク管理など多岐にわたる業務を一元管理可能できるため、規模に関わらず業務効率化を実現し、生産性向上にも寄与しています。
サイボウズは国内外に拠点を構え、グローバル展開を進めています。柔軟な勤務制度や充実した社内サポート体制も整っており、働きやすい企業文化が根付いている企業だといえるでしょう。今後は、自治体や省庁への導入を強化し、さらなるグローバル展開を加速する方針です。
8. freee(売上高:254億3,000万円)
企業名 |
freee株式会社 |
売上高 |
254億3,000万円 |
従業員数 |
1,722人(2024年6月時点) |
所在地 |
東京都品川区 |
設立年 |
2012年 |
上場証券取引所 |
東証グロース市場 |
事業内容 |
会計ソフト、給与計算ソフトの開発、運営 |
freee株式会社は、バックオフィス業務を効率化するクラウド型SaaSサービスを提供する企業です。中小企業や個人事業主に向けたサービスに強みを持っています。会計や給与計算、請求書作成などの業務をサポートし、ユーザーの規模に応じた柔軟なプランが魅力です。
代表的なサービスである「freee会計」では、銀行口座やクレジットカードとの連携により、仕訳作業や帳簿付けを自動化し、業務時間を大幅に削減します。経理や簿記の知識がなくても、簡単に決算書を作成でき、スモールビジネスの経理業務を簡単に管理できます。
freeeはオウンドメディアやYouTubeチャンネルを活用したマーケティング戦略を推進しています。「資金繰り改善ナビ」などの無料ツールによって、ユーザーの課題解決をサポートしている点も特徴です。
9. SREホールディングス(売上高:242億1,800万円)
企業名 |
SREホールディングス株式会社 |
売上高 |
242億1,800万円 |
従業員数 |
296人(2024年3月時点) |
所在地 |
東京都港区 |
設立年 |
2014年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
AIクラウド&コンサルティング事業、ライフ&プロパティソリューション事業 |
SREホールディングス株式会社は、不動産業界や金融機関向けの業務支援クラウドサービスを展開する企業です。
以下のような業務の効率化を支援するサービスを提供しています。
- AI技術を活用した「AI査定 CLOUD」
- 不動産取引に必要な契約書・重要事項説明書の作成を支援する「契約重説 CLOUD」
SaaS事業に加えてAI技術を活かしたコンサルティング事業も手掛けています。不動産・金融業界を中心にサービスを展開しており、今後はITやヘルスケア分野にも進出する方針です。
とくに「AI査定 CLOUD」は、不動産売買の査定作業を従来の180分から最短10分に短縮できる点が強みで、業界のDXを推進するサービスとして注目されています。
10. EMシステムズ(売上高:203億5,500万円)
企業名 |
株式会社 EMシステムズ |
売上高 |
203億5,500万円 |
従業員数 |
811人(2023年12月時点) |
所在地 |
大阪市淀川区 |
設立年 |
1980年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
医療業務処理用コンピューターソフトウェアの開発・販売・保守 |
株式会社EMシステムズは、医療・介護業界向けのシステム開発を手掛けるIT企業です。電子カルテや薬局向けシステムなど、医療現場の業務効率化を支援するSaaSプロダクトを提供し、高い市場シェアを誇っています。
主力サービスの「MAPsシリーズ」は、医科・調剤・介護/福祉を横断して活用できるクラウド型システムです。他には、次のようなシステムを提供しています。
- 「MAPs for CLINIC」は、電子カルテやWeb問診、診療・検査予約管理を一元化し、医療機関のDXを推進する
- 薬局向けの「MAPs for PHARMACY」では、処方箋管理や調剤業務を効率化する
今後は、分野を横断する統合型情報システムの開発に注力し、さらなる成長を目指している企業です。
国内SaaS企業一覧と年収ランキングTOP10(2022年度版)
2022年度の国内SaaS企業年収ランキングTOP10は以下のとおりです。
- プレイド(1,040万円)
- スカラ(852万円)
- AI inside(838万円)
- トヨクモ(821万円)
- アステリア(816万円)
- HENNGE(789万円)
- サイバーセキュリティクラウド(739万円)
- コマースOneホールディングス(732万円)
- チームスピリット(727万円)
- SREホールディングス(852万円)
各企業の事業内容や、2023年度の年収についても見ていきましょう。
1. プレイド(平均年収:1,040万円)
企業名 |
株式会社プレイド |
平均年収 |
2022年度:1,040万円 2023年度:955万円 |
従業員数 |
449人(2024年9月時点) |
所在地 |
東京都中央区 |
設立年 |
2011年 |
上場証券取引所 |
東証グロース市場 |
事業内容 |
消費者行動分析SaaSの提供 |
株式会社プレイドは、消費者行動の分析を行うSaaSプラットフォーム「KARTE」を提供する企業です。業界を問わず多くの企業に導入され、電通デジタルや丸井グループ、WOWOWなどとの協業を通じて、広告・CRM・顧客コミュニケーションの基盤刷新に貢献しています。
「KARTE」は、Webサイトやアプリ上での顧客行動分析、属性分析、A/Bテストなどをリアルタイムで実施できるツールです。また、ノーコードで構成要素の更新や改善ができる「KARTE Blocks」も提供し、どちらも使い勝手の良さが特徴です。
プレイドは給与水準が高く、SaaS業界でもとくに高い水準を誇ります。利益は積極的に社員の福利厚生や働きやすい環境づくりに還元されており、プライベートを重視した独自の休暇制度も導入されています。
2. スカラ(平均年収:852万円)
企業名 |
株式会社スカラ |
平均年収 |
2022年度:852万円 2023年度:775万円 |
従業員数 |
529人(2024年6月時点) |
所在地 |
東京都渋谷区 |
設立年 |
1991年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
DX事業、人材事業、EC事業、金融事業、インキュベーション事業 |
株式会社スカラは、SaaSやASPを提供し、顧客のニーズに応じた柔軟な開発を行っている企業です。ITやAI、IoT関連事業を手掛けるグループ企業でもあります。
同社は、APIベースで機能追加が可能なWebサイト構築ツール「GEAR-S」を提供しており、企業の要望に合わせたカスタマイズも実現しています。
また、ECサイト構築SaaS「EC-CUBE」の開発元として知られており、EC市場の成長に伴い業績を順調に伸ばしている企業です。企業向けには、「i-ask」や「i-catalog」など、さまざまなサービスを提供しており、幅広いニーズに応えています。
業績の向上に伴い、給与水準も高く、働きやすい環境づくりにも力を入れています。特に女性社員に対しては手厚い子ども手当を支給し、産休・育休の取得率は100%です。
3. AI inside(平均年収:838万円)
企業名 |
AI inside株式会社 |
平均年収 |
2022年度:838万円 2023年度:879万円 |
従業員数 |
121人(2024年3月時点) |
所在地 |
東京都渋谷区 |
設立年 |
2015年 |
上場証券取引所 |
東証グロース市場 |
事業内容 |
人工知能および関連する情報サービスの開発・提供 |
AI inside株式会社は、最先端のAI技術を研究・開発し、SaaSとして提供するテックカンパニーです。以下のような企業のDXを推進する多彩なツールを展開しています。
- 書類を高精度にデジタルデータ化する「DX Suite」は、あらゆる帳票を自動で読み取り、業務効率化につなげられる
- 業務支援に特化したAIエージェント「Heylix」は、自然言語で指示を出すだけで業務をサポートするAIエージェント。
AI insideは社員のスキル向上にも力を入れており、業務に関連する学習の費用を年間最大6万円まで補助する制度を設けています。技術革新を進めると同時に、社員の成長を支援する環境も整えているといえるでしょう。
4. トヨクモ(平均年収:821万円)
企業名 |
トヨクモ株式会社 |
平均年収 |
2022年度:821万円 2023年度:852万円 |
従業員数 |
57人(2023年12月時点) |
所在地 |
東京都品川区 |
設立年 |
2010年 |
上場証券取引所 |
東証グロース市場 |
事業内容 |
ベンチャー事業 新サービスの開発と運用 投資事業 未公開企業への投資 |
トヨクモ株式会社は、ビジネス向けのクラウドサービスを展開するSaaS企業です。以下のようなサイボウズの「kintone」と連携可能なツールを提供しています。
- 防災・危機管理を支援する「安否確認サービス」は、災害時にメールやアプリ、LINEなどを活用して従業員の安否を迅速に把握できる、加えて、アンケート機能により回答を自動集計できる
- 業務効率を向上させる「スケジューラー」はスマートフォンでも使いやすく設計されており、社内外のスケジュール管理をスムーズに行える。日報作成なども可能
同社は社員の待遇向上にも注力しており、賞与を年4回支給する制度を導入しています。安定した報酬体系を整えることで、社員のモチベーション向上と企業成長の両立を目指している点も大きな特徴といえるでしょう。
5. アステリア(平均年収:816万円)
企業名 |
アステリア株式会社 |
平均年収 |
2022年度:816万円 2023年度:844万円 |
従業員数 |
128人(2024年3月時点) |
所在地 |
東京都渋谷区 |
設立年 |
1998年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
・ソフトウェア開発・販売 ・製品サポート ・製品コンサルティング ・製品トレーニング ・デジタル・デザインの制作 ・デジタル・デザインのコンサルティング |
アステリア株式会社は、企業内の多様なデータやデバイスをつなぐソフトウェアやクラウドサービスを提供するSaaS企業です。「ASTERIA Warp」「Handbook X」「Platio」などを展開し、ビジネスのDXを支援しています。
とくに、「ASTERIA Warp」は、ノーコードでデータ連携の自動化を実現できるツールです。マスターデータ管理やデータ分析、業務プロセスの効率化など幅広い用途に対応している点が特徴といえます。1万社以上が導入しており、ビッグデータ活用のニーズの高まりとともに成長を続けている点も特筆すべきでしょう。
また、アステリアは社員の働きやすさにも注力し、6年以上勤務した社員を対象に1ヶ月の長期休暇を取得できる「サバティカル休暇」制度を導入しています。資格取得や留学の機会として活用でき、家族との時間も確保しやすく、自己成長やワークライフバランスの充実を支援している点も魅力です。
6. HENNGE(平均年収:789万円)
企業名 |
HENNGE株式会社 |
平均年収 |
2022年度:789万円 2023年度:827万円 |
従業員数 |
311人(2024年9月時点) |
所在地 |
東京都渋谷区 |
設立年 |
1996年 |
上場証券取引所 |
東証グロース市場 |
事業内容 |
クラウドセキュリティ |
HENNGE株式会社は、クラウドセキュリティー分野に特化したSaaS企業です。企業向けにクラウドサービスを開発・提供しています。「テクノロジーの解放で世の中を変えていく」を企業理念に掲げており、企業のIT環境を安全かつ効率的に運用するためのサービスを提供しています。
代表的なサービス「HENNGE One」は、クラウドサービスのID・パスワードを一元管理し、不正ログインや情報漏洩を防ぐセキュリティプラットフォームです。以下の2種類に分かれています。
- シングルサインオン機能を備えた「IdP Edition」
- メールセキュリティー強化の「E-Mail Security Edition」
多くの企業が直面する情報漏えいや不正アクセス、フィッシング詐欺といったリスクを軽減し、安全かつ効率的な業務環境の実現を支援しているといえるでしょう。
また、HENNGEは業務に関連する資格取得に対して補助金を支給する制度を設けており、社員のスキル向上を積極的に支援しています。
7. サイバーセキュリティクラウド(平均年収:739万円)
企業名 |
株式会社サイバーセキュリティクラウド |
平均年収 |
2022年度:739万円 2023年度:756万円 |
従業員数 |
112人(2023年12月時点) |
所在地 |
東京都品川区 |
設立年 |
2010年 |
上場証券取引所 |
東証グロース市場 |
事業内容 |
Webセキュリティサービスの開発、サブスクリプション提供、サイバー攻撃の研究及びリサーチ、AI技術の研究開発 |
株式会社サイバーセキュリティクラウドは、クラウド型セキュリティソリューションを提供するSaaS企業です。Webアプリケーション保護に強みを持っています。サイバー攻撃を可視化し遮断する技術に高い評価を受けており、企業のWebサイト・サーバーを守る強力なツールを提供している点が特徴です。
代表的なサービスとしては、「攻撃遮断くん」があります。国内でトップクラスの導入実績を誇るクラウド型WAF(Web Application Firewall)です。サイバー攻撃を検知・遮断し、Webサイトやサーバーを守るサービスです。
また、AIを活用した「WafCarm」を提供は、WAFの運用自動化によって、運用負担の軽減とセキュリティー強化を実現できるサービスです。
同社は、社員の働きやすい環境づくりにも注力しており、2020年には全社員を対象にして、テレワークを導入しました。現在も従業員に対して、柔軟な働き方をサポートしています。
8. コマースOneホールディングス(平均年収:732万円)
企業名 |
株式会社コマースOneホールディングス |
平均年収 |
2022年度:732万円 2023年度:774万円 |
従業員数 |
176人(2024年3月時点) |
所在地 |
東京都千代田区 |
設立年 |
2006年 |
上場証券取引所 |
東証グロース市場 |
事業内容 |
サイトインターフェースの構築、受注処理・在庫管理システムと複数店舗管理、運営サイトの信頼性第三者認証 |
出典:株式会社コマースOneホールディングス|有価証券報告書
株式会社コマースOneホールディングスは、ECサイト運営支援に強みを持つSaaS企業です。
主力サービス「future shop」は、中小企業向けに特化し、ECサイトの構築から運営までサポートするプラットフォームです。他にも多店舗運営や在庫管理を一元化できる「通販する蔵」など、顧客のECビジネス効率化を支援するツールも提供しています。
同社はアパレルや食品、化粧品など多業界でのECサイト運営を支援し、SaaS型ECプラットフォーム事業で高い評価を得ている企業です。従業員のキャリアアップにも注力しています。
社外研修や資格取得支援、書籍購入支援など、自己成長を促進する取り組みを行っている点も特徴です。
9. チームスピリット(平均年収:727万円)
企業名 |
株式会社チームスピリット |
平均年収 |
2022年度:727万円 2023年度:711万円 |
従業員数 |
212人(2024年8月時点) |
所在地 |
東京都千代田区 |
設立年 |
1996年 |
上場証券取引所 |
東証グロース市場 |
事業内容 |
マーケティングに関するコンサルティング事業 市場調査・広告・宣伝に関する事業 内部統制、リスク管理に関するコンサルティング事業 他 |
株式会社チームスピリットは、企業の働き方改革を支援する機能を統合したクラウドサービス「チームスピリット」を提供するSaaS企業です。
チームスピリットの特徴は、従業員の日々の業務活動を一元管理できるため、働き方を見える化でき、業務効率化を図れる点です。B2B向けのサブスクリプション型ビジネスモデルを採用し、企業のバックオフィス業務のDX化に貢献しているといえるでしょう。
TeamSpiritは、経済産業省の「IT導入補助金2020」に認定され、2024年3月末時点で50万ユーザーを超えるなど、業界での普及が進んでいます。
10. SREホールディングス(平均年収:719万円)
企業名 |
SREホールディングス株式会社 |
平均年収 |
2022年度:719万円 2023年度:689万円 |
従業員数 |
296人(2024年3月時点) |
所在地 |
東京都港区 |
設立年 |
2014年 |
上場証券取引所 |
東証プライム市場 |
事業内容 |
AIクラウド&コンサルティング事業、ライフ&プロパティソリューション事業 |
SREホールディングス株式会社は、AIクラウド&コンサルティング事業と不動産テック事業の2本柱で事業を展開する企業です。不動産業界のDXを推進しており、AI技術を活用した不動産価格の査定や業務支援型クラウドサービスの提供に注力しています。
代表的なサービスは、不動産査定の自動化や売買契約書・重要事項説明書作成支援を行うSaaSサービス「SRE CLOUD」などです。同社の提供するサービスは、業務の効率化と透明性の向上を実現し、業界全体のデジタル化を加速させています。
SREホールディングスは優秀なデジタル人材の採用に積極的に取り組んでおり、現在では人材育成を外部にも提供できるレベルに成長しています。今後は電力業界や宿泊業界など、他業界との連携を強化し、さらなるDX推進を図る方針です。
国内SaaS業界の市場規模と成長予測
国内SaaS市場は引き続き拡大しており、とくにERP(統合基幹業務システム)分野における成長が顕著です。
株式会社アイ・ティ・アールの調査「ERP市場2024」によると、2022年度の国内ERP市場は1,687億円に達し、前年度比で11.6%の増加を記録しました。
市場成長を後押しする要因として、インボイス制度対応や老朽化したシステムの入れ替え、リモートワークの普及が挙げられます。SaaS型ERPは前年度比26.8%増と急成長を見せており、2027年度には市場全体の約8割を占めると予測されています。一方で、パッケージ型ERP市場は縮小しているものの、売上額の変動は限定的です。
ERP分野にとどまらず、人事・労務管理や営業支援など、さまざまな領域でもSaaSの導入が進み、成長が加速しています。主要ベンダーは既存顧客のクラウド移行を支援しているため、この流れは今後さらに加速すると予測されるでしょう。
売上高・年収ランキングから見る業界成長を支える企業の特徴
国内SaaS業界で売上高や年収が高い企業には共通する特徴が見受けられます。業界をリードする企業は、以下の要素を重視しており、企業としての成長を支えているといえるでしょう。
- AIやクラウド技術
- データ分析力
- 顧客対応のスピード
たとえば、株式会社エス・エム・エスや株式会社ラクスは、クラウド技術を活用し、業務効率化を推進しています。株式会社オービックビジネスコンサルタントやSansan株式会社は、特定の業界ニーズに特化したソリューションを提供し、顧客の信頼を得ている点が特徴です。
株式会社マネーフォワードやAppier Group株式会社は、AIを駆使した高度なデータ分析により、企業の意思決定を支援しています。一方で、株式会社プレイドや株式会社スカラは、魅力的な年収を提供することで優れた人材を集め、イノベーションを促進しています。
また、SaaS業界で売り上げが高い企業の共通事項は、顧客ニーズに迅速に対応できる柔軟な組織体制が構築されている点も挙げられます。社員を大切にする企業文化が成長の原動力となっているといえるでしょう。
SaaS企業のランキングからマーケティング戦略を学ぼう
国内SaaS企業の売上高や年収ランキングを通して、業界で成功を収めている企業の共通するマーケティング戦略が見えてきます。データに基づく意思決定や迅速で柔軟な顧客対応、革新への挑戦を特徴としており、こうした戦略がマーケティングにも大きな影響を与えています。適切に取り入れることで、競争優位性を高められるでしょう。
マーケティング戦略の見直しを考えているなら、SaaS企業のアプローチは非常に参考になります。自社に適した戦略を構築し、成長を加速させるヒントを得られるはずです。
マーケティング戦略の最適化についてお悩みの方は、株式会社SEデザインにご相談ください。約40年にわたる実績を持つマーケティングコンサルティング会社として、SaaS業界をはじめとするBtoB企業の支援に豊富な経験があります。効果的な戦略づくりをサポートいたしますので、お気軽にご連絡ください。